エルマルは……終わらねえっ!   作:ONE DICE TWENTY

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10時頃に前話が投稿されています。まだの方はそちらからどうぞ。


第13話 最強! 最強と最強と最強と雑魚

 流石にな。

 SMILE能力者は「どこがどうなるか」が分かりやすい上に、元来の動物系に手の届いてるケースがほとんどない。

 初見殺しで初手必殺がこっちのスタイルなんで、まー殺しやすかった。

 

「お前さん……外国の方だな」

「ああ。だがアンタのことは知ってるよ。花のヒョウ五郎」

「本当か!?」

「ああさ。俺は未来から来たんだ。おでんの奥さんに引き戻してもらってな」

 

 一回吐いちゃった嘘なので、この設定で行こうと思う。

 

「未来から……!?」

「つっても確定した未来じゃない。未来ってのは一本筋じゃなくてな。桜や松の木みてーに何度も何度も枝分かれしてんだ。その一つから来た。その一つでは、この五年後に光月モモの助がここへやって来て、モモの助の引き連れた外からの援助と共にオロチ、カイドウをぶっ殺すって感じだったんだが……」

「が?」

「ちょいと、おかしなことになっててな。基礎知識はあるが、肝心なところでトチる可能性が出て来た。今から言う俺の話におかしな点がありゃすぐ言ってくれ」

「……わかった」

 

 つーわけで、この時点で判明しているだろうワノ国の歴史をかいつまんで話す。

 訂正が入ったのは二回。

 

 一つはやはり、「赤鞘九人男が現れるのは十六年後」と噂されていた、ということ。

 そしてもう一つが。

 

 

「浜色の髪の異邦人、ねぇ。……ま、状況的に俺だけど……それをおでんが言ってたっていうのはマジでどういうこと??」

「この話を聞いたのは、おでん様が海外より戻ってきてからだ。ともに旅をした男がそう呟いていたと言っていたが……」

 

 つーことは、グラララさん?

 それとも……ロジャー?

 

 いやまっさかー。俺そんな預言とかされちゃうタマじゃねーぞ。

 

 あれだろ、グル眉の方だろ。大穴でデュバリィ。

 

「鍵! あったぞ!」

「お」

「よし、すぐに囚人達の手枷を外し、看守たちに付け直すんだ! 浜色の髪のお方が言う言葉が本当なら、あちらの檻に河松殿もいるはず!」

 

 よし、まだ五年前だからかなんか知らんけど、闘志は折れてないっぽいな。

 んじゃ──俺は。

 

「浜色の髪のお方?」

「俺は外で見張りしてるよ。秘策があるからな、クイーンを殺すための」

「そうか。……頼りにしてもいいんだな?」

「あたぼーよ」

 

 砂岩ウォークで兎丼の空へと上がっていく。

 秘策。カイドウに使う予定の奴だけど、ブラキオサウルスに有効なら自信もつく。

 

 さて──。

 

 

 

「オッケーだ。殺して来た」

「軽ッ!?」

 

 もう殺人に何を感じることも無くなった……みたいな転生者あるあるは最初からない。

 アラバスタの時点でならず者殺してるしな。スナワニもだけど。

 

 倒す、とかいう行為が理解できない。殺しゃいいのになんで生かすんだか。

 

「ヒョウ五郎。この看守たち、殺しても良いか?」

「……構いやしねぇが、一応理由だけは聞いておく」

「敵だから」

「……わかった」

 

 海楼石の錠に何の意味がある。

 それは能力者を普通の人間に戻すってだけの錠だろう。戻したなら殺せよ。

 

 そうすりゃ後顧の憂いを気にしなくても済む。

 

「これからどうする、浜色の髪のお方!」

「とりあえずえびす町行って自分の大事な人でも守っててくれたらいいよ」

「アンタを手伝えることは、それしかねェのか?」

「俺は基本飛んでいくからなぁ」

「ならば、拙者だけはついてゆこう。カッパッパッパ……水を泳げば空の行程にも追いつけようよ!」

「河松!」

 

 おお。まぁ確かに、用心棒は必要か。

 覇気使えないしな。

 ワノ国内部での仲間……同行者ならまぁいい……と思ったけど。

 

「浜色の髪のお方。どこへ行く?」

「ついてくる必要はないよ。アンタ九里に行きな。そこにアシュラ童子がいる。……ただ、赤鞘九人男を待つ侍がどんだけ残ってるかは知らん」

「そうか。それで、アシュラに何を伝えようか」

「ん?」

 

 ……何をか。

 何を伝えるんだ? 数がいても邪魔なだけだしな、討ち入り。

 

「鬼ヶ島をぶっ叩く場合、最悪鬼ヶ島がどっかに落ちる。そうなりゃワノ国は大パニックだ。地震雷火事親父、てんてこ舞いの大騒ぎ。それを鎮めてくれりゃァなんも要らねえ」

「カッパッパッパ! ──カイドウを倒すのは、己一人で構わないと?」

「そのつもりで来てる」

「……」

「……」

 

 まぁ、そうだよな。

 カイドウを倒すために二十年後……じゃねえ、十六年後に飛ばされたんだもんな。

 気に食わないか、そりゃ。

 

「外国から来たお人に、国を守れ、と言われるとは。拙者ら、これでもかというほどに舐められているでゴザルな」

「あぁ、すまん、気に障ったなら」

「当然、守る。だが──拙者たちは拙者たちで動く。助けてもらった手前、申し訳が立たないが……」

「構わない。が、忠告だ。未来人からの忠告だ。もし赤鞘九人男が何らかの手段で続々とワノ国へと辿り着いてきたら──夕立ちカン十郎は殺せ」

「……何を。あれなるは確かに奇抜な見た目をしているが、拙者たちと同じおでん様に仕えし赤鞘九人男!」

「アンタがやらねーなら俺がやる。すまんな、これ以上理由を話せと言うなら、俺のことは最早第三勢力とでも思ってくれ」

 

 沈黙。

 ……ま、いいや。

 

 砂岩ウォークで空に上がる。

 

 んじゃ。

 

 

 

 

 眼下、博羅町。

 役人街だからここも潰しといた方が良いと思って来てみたら──なんか大炎上してた。

 すげー嫌な予感がする。

 

 瞬間、ボシュッと音がして……隣に火が来る。

 

「よォ、また会ったな」

「ああ……あの時の」

「ああ、あの時のさ。あの姉ちゃんは、もう運び終わったのか?」

「いや、今別行動中なだけ。アンタは?」

「ちょいと漂流しちまってな。あっちにある編笠村ってとこに流れ着いて、ちょいと話を聞いてみりゃひでー話がわんさかだ。そこに、なんでも将軍とやら殺された、って話が来てよ、国外から来てる俺達が編笠村で見つかってみろ、あの村に迷惑をかけちまう。だってんでちと早いが出航しようと思ったら、ここの役人とかいうのに見つかっちまって、それを倒していく内にここまで来た」

「そりゃあ数奇な運命なことで。でもまぁ大丈夫だ」

「何が」

「将軍オロチを殺したのは俺だし、今からカイドウ殺しに行くし。すぐに俺が犯人だってわかる。だから逃げられるよ、アンタらは」

 

 轟、と。

 放つ熱の高くなるエース。

 

 ……。失言か?

 

「カイドウを、倒しに?」

「あ、ああ。倒しにっつか殺しに」

「そりゃまた……なんで」

「この国の現状見ただろ。オロチなんて飾りだ。あれ殺したところでこの国の現状は変わらん。だからカイドウを殺しに行く」

「この国のために、か?」

「馬鹿言え、何の義理があるんだよ」

「馬鹿言ってるのはお前の方だろ。相手は四皇だぞ?」

「四皇だとなんだよ。殺しちゃいけねーのかよ」

 

 会話は。

 

「エース! こっちは全部終わったぞー!」

「上でサボってんのかー!? エース!!」

「ああ、今行く! ……いつ行くんだ、それ」

「今からだけど」

「決めた。おれも行くよ、それ。いつかの飯の礼、まだしてねぇしな」

 

 だと思ったァ。

 そして俺は知っている。他の奴ならともかく、コイツの意思を曲げることは未来で親父になるグラララしか無理であると。

 

「……準備するなら早めにしな。俺は先に行ってるからさ」

「おう!」

 

 まー、現時点でも強かろう。俺の能力と相性もいい。

 この後グラララ傘下になる前に七武海も倒すはずだし、強さもフツーに格上だ。格上が俺に恩を抱いてくれてるってのはありがたいね。

 んじゃ。

 

「私を置いていく気?」

「……いきなり腕に目と口と耳咲かすのやめよーぜ。怖い」

「情報収集は、要らなかったみたいね」

「無駄になったのは認める。……つってもアンタ連れてったって邪魔なだけだからなぁ。俺が焼いたオロチ城地下にポーネグリフあるから、それ読んでれば?」

「実力不足は理解しているつもり。……だから、これは情報。白舞の潜港という所で、巨大な義手を付けた大男を見た、という情報があったわ。その隣に蒼い髪色の女性と忍びがいた、ともね」

「マジで来たんか……その三人だけ?」

「ええ。海軍の船を見た、という話もない」

 

 ……やめて来た、ってのだけはやめてくれ。

 ニコ・ロビンを預けられなくなる。

 

 つか、嫌な予感がまだひしひしと──。

 

「あ」

「……どうした?」

「……見つかったわ。その三人に。目が合ってしまった」

「そりゃ大変だ。逃げろ逃げろ」

「無理ね。目の前にいるもの」

 

 そうかぁ。

 じゃあ。

 

「適当になんとか言ってごまかすと吉!」

「ええ、今空中にいるあなたの場所、伝えておいたわ」

「嫌がらせが過ぎるだろ!! あれか、海に落とすドッキリ根に持ってるのか!? すまんて!!」

 

 ああ、見えます見えます。

 この距離で、すげー良い笑顔でこっちに向かって来てる紫髪が見えます。でもあなた飛べないでしょう?

 

「モサモサ!」

 

 それがあったね!

 

 

 

 して、集結する。

 

「海賊……? いや、今は良い。この国の現状は理解したァ。しかし、酷ェじゃねえか、レコダ。オレの顔をしっかり確認した上で一人で行こうとしてたよなぁ?」

「海軍……。いや、今はいいや。で、あの遠くに見えてる顔みてェな島に、カイドウがいるってことで良いんだよな?」

「……まぁ、そうだね。でもどうする気? この海流だ。片や能力者、片やでけぇ重いの持った爺さん。恒常的に空飛べるの俺くらいしか」

「なぁに、手段はある」

「おれもだ。空を飛べるのがお前だけだと思うなよ?」

 

 ダメだな。

 誰かと一緒に戦う、って経験値が無さすぎて、どうしたらいいかわからん。

 

 いいか、ガン無視で。

 

 ただ──。

 

「行くなら行くで、もう良い。俺がお前ら全員あっちに飛ばす。ただ地面に吐き出せるわけじゃねぇ、空に出す。俺はラニラニの実を食った天候人間なんでな、降らせることしかできねーんだわ」

「へぇ! 面白ぇ実もあるんだな!」

「あまり能力に頼り過ぎるなよ?」

「一応、アラバスタの剣術も修めてる。この刀は飾りじゃねぇのさ、一応な」

「なら良い」

 

 じゃあ、行こうか。

 

回天土(エクステンド)。あっちにゃ敵しかいねーんで、見敵必殺っつーか、鏖殺で頼むよ」

「腕が鳴る!」

 

 天と天を結ぶ。

 俺達のいる場所が天となり──鬼ヶ島の上空から、放り出される。

 

「各自、別行動! 思い思いに! 作戦なんか無ェんで、全部ぶっ壊す! そんだけ!」

「得意だぜ、そういうのは! ──火拳!!」

 

 大破壊が、降り注ぐ──。

 

 

 

 

 フロアの大破壊はポートガス・D・エースに任せるとして。

 ゼファーは……真っ先にカイドウに向かって行った。……大丈夫か、あれ。

 

「アンタらは行かなくていいの?」

「……行ったら、先生の邪魔になる」

「成程、その辺弁えてんだ」

「だから、教えて。他に倒すべき敵を」

「ああ、んじゃ」

 

 居るか知らんけど、ジャックと、ルナーリア族とかいうチート種族。

 そして──地下のどっかに女の子が一人幽閉されていることも伝えた。ら、飛んで行った。

 

 まだ海軍としての正義感バリバリって感じかな。

 

 んじゃまー俺は覇気使いの戦闘の間に挟まりますかね。

 

 

「ウォロロロ!! 黒腕! まさか生きている内にまた相まみえるとは……素直に嬉しいと言おう!」

「オレは失望したぞカイドウ!! 十年も前はまだ気持ちのいい海賊だと思っていたが、やはり海賊は海賊か! 略奪! 支配! そして薬物!! 何をどうしたらそこまで堕ちて行けるゥ!!」

「ウォロロロロロ……オロチの悪趣味をおれのせいにするな……!」

「何を言う! SMILEをドフラミンゴから買い取ったのはお前だろう、カイドウ!!」

「確かに買ったが、その残りカスをワノ国の人間に食わせると言い出したのはオロチだ。おれの趣味じゃねぇ」

 

 確かに。

 そう言われたらそうだな。……カイドウってもしかして殺す必要ないのか?

 

「だが、見て見ぬふりをした!」

「都合が良かっただけだ……! 是が非でもこの国の連中を貶めたいと思うほど、おれはこの国にこだわってねェよ……!」

 

 まぁ支配してるのは事実だし、結局SMILEだの武器商人だのは此奴のせいだし。

 ただこのままだとゼファーがジョイボーイになっちゃうのでは、とか。

 

「──天網恢恢」

「あァ!?」

 

 飛び上がったウォロロロを地面に叩きつける。

 いや重っも……! 降らせるのがこんな重い生物初めてだ。

 

糸天蚕魔(スティグマ)!」

 

 カイドウの身体に──ベタベタと何かが張り付く。

 よし、張り付きはするな。

 

「折角のォ……再会の、それも、本気の殺し合いに──雑魚が手ェ出して来てんじゃねェよ!!」

 

 徐大金棒・八齋戒(はっさいかい)による打撃。すんげぇ速度でこっち来ての殴りは──ぶっ飛ばされることで事なきを得る。

 ドフィと違って、ウォロロロの攻撃は全部が必殺だ。

 だから俺には当たらない。

 ……油断してると覇気でぶん殴られて致命傷負うからできるだけ避けるけど、今まーったく見えなかったので多分無理でヤンス。

 

「なんだ、今の感覚……」

「よそ見か、カイドウ! スマッシュ・バスター!!」

「オオオオオオ!?」

 

 ゼファーの義手は海楼石製。その上での膂力と爆発物。

 その威力は推して知るべし……なんだけど。

 

「フフフ……流石は最強の生物。傷一つ無いか」

「ウォロロロ……流石はそっちの方だ。おれより何個も年上で、よく動く……!」

 

 マージか。

 今の食らったら俺ミキサーされたライムみたいになってたよ。

 

天波槍(テンパランス)

「ゼファーァァアア!!」

「カイドウゥゥゥウウウ!!」

 

 おいおい、意に介さないにも程があるだろ。防ぎすらしやがらねえ。

 ──だったらちょっかいかけまくるぞ俺は。

 

天濁流(テンタクル)

 

 天空の濁流。それを流してきて──カイドウの足元に。

 ……減速確認できず!

 

 仕方ない、天空海闊で一旦広げるか。最大距離まで伸ばさないとダメな気はしてる。

 

 天黒死(テンペスト)がなー。……ゼファーに影響ありそうなのがなー。

 だから嫌だったんだよここに他の奴呼ぶの。

 

「──炎戒(えんかい)・火柱!!」

 

 立ち昇るは火の柱。

 ゼファーとカイドウは互いに距離を取り……フロアドームの中から出て来た人影に目をやる。

 

「おーっと、ポートガス。どうした、下の連中は」

「全員熨して来たよ。一人つえープテラノドンがいたけど、仕組みさえわかりゃどうにでもなる」

「魚人のゾウは?」

「ああ、そいつはあっちの爺さんの仲間が倒してた」

「ハッ、そりゃぁ良い報せだ。生徒の腕の上達を海賊から聞くのはちと思うところあるが、今は良いにしてやる」

「言ってろ。……で、コイツがカイドウか。でけぇな」

「……ウォロロロ。そっちのガキとは違ぇな。お前からは、強さってモンが伝わってくる」

「そりゃどーも。火拳!!」

 

 巨大な炎の拳。

 それはカイドウに直撃し──。

 

「いッ!?」

「ウォロロロロロ!! だが、まだ若ェ!!」

 

 覇気を纏った八斎戒に打撃され、ぶっ飛んだ。

 ずしゃぁ、と俺の方にまで飛ばされてくるポートガス・D・エース。

 

「……ててて。流石は四皇か。舐めてかかれねぇな、おれも」

「なんでその程度で済んでるん??」

 

 多少、血は流してるけど。

 あの金棒がクリーンヒットして、身体に穴も開いてない。……ロギアだから??

 

「強ェな、あの二人」

「ポートガス、アンタも大概だけどね」

「だが──レコダ。お前もやれることがあるから来たんだろ? そもそも一人で行く気だったみてぇだし」

 

 ……。

 今仕込み中なの。お前らと違って俺は下準備がいっぱいいるの!

 

「時間を稼いでほしい、って顔してるな。いいぜ」

 

 ポートガス・D・エースは……長いからいいや。エースは、屈伸運動を少しして、直後消えた。

 

「神火・不知火!!」

「良いぞ、若造!! ぶつかってこい! いくらでも相手をしてやる!!」

「おれにはまだ早い、なんて思ってたのが馬鹿だった! どうせ海賊王になるんだ、今勝てなきゃいつ勝てるって話だ!」

「ウォロロロ!! 海賊王! 海賊王か!! あァ思い出す──ヤな記憶を、これでもかってな!!」

「オレも混ぜろよ、能力者ぁ!!」

 

 あれ……か?

 十六年後、って光月トキが言ったのは、俺が来ることを指してたんじゃなくて……あの二人か?

 そうだよな、だって傳ジローからは「浜色の髪のお方」の話聞かなかったもんな。浜色の髪のお方は流石に俺かもしんないけど、赤鞘九人男とは全く関係ないってオチじゃあ。

 

熱息(ボロブレス)!!」

「おっとラッキー一回目」

 

 顔だけ龍になり、そこから撃ち出された熱線。エースには当然効かなくて、ゼファーは自力で避けている。

 それは水平から天までを突き破り──()()()()()

 

「あ?」

「余所見が好きだなぁ、スマッシュ・ブラスター!!」

「大炎戒・鬼火!!」

 

 大爆発が起きる。お、良いね良いね。余剰は全部貰うよ。

 

 ──爆炎の中、揺らめく影。

 

「さっきから、ちまちまちまちまとォ──」

回天(エクステン)

「余計な手出ししてんじゃねェよ!!」

()!!」

 

 ……っぶねぇ!

 今の覇王色纏った攻撃だった! 大気の壁にあり得ない感触あったもん! あっぶな! マジでっべーわマジで! 前兆とか無いのな覇王色! こーわ!!

 

「ウォロロロ……お前が誰で、どんな目的があって来たのかは知らねェが……ここに立つ資格の無い奴が、ここに立ってんじゃねェ!!」

「シーザー殺してドフラミンゴ潰したのは俺なのに、か?」

「──なんだと?」

 

 ぞっとするほどの殺気がこっちに向く。

 ああそうか、やっぱわかってなかったか。

 

「ハハハ、改めて名乗ってやるよ、百獣のカイドウ。俺は運び屋レコダ。SADを作れる唯一の科学者シーザー・クラウンを殺し! SMILEを作る一族を操ってたドンキホーテ・ドフラミンゴを倒し! アンタの計画である最強の海賊団、その夢を破壊した張本人が俺だ!!」

「……そうか。お前が」

「初めまして、世界最強! ちなみに俺は多分肉体面最弱だ! 筋トレ程度でしか鍛えてねぇし、覇気も使えない! 悪魔の実の能力だけで! ここまでやってきた!!」

「ウォロロロ……」

「そんで、そんな格下に今日! アンタは負け」

「耳障りだ」

 

 避けるとか。

 察知するとか、じゃない。

 

 金棒が目の前にあった、とかでもない。

 

 弾かれる。飛ばされる。磨り潰される。

 ブチ抜かれる。

 

「……すまねぇな、黒腕、そんでロギアのルーキー。……再開と行こうじゃねぇか。冷めた熱も、お前らなら呼び覚ましてくれんだろ?」

天脳(テンノウ)姿婆一徹(シナバイッティス)!」

「……ああ?」

 

 いやー。

 まー。

 

 予期してたことだからなー。

 

「……大丈夫か、レコダ!」

「大丈夫には見えねェが……流石だな、アラバスタの稚児」

「今……確かに手応えがあった。……何の能力者だとしても……そこまでタフなのは、どういう理屈だ」

「あァ? 馬鹿言えよ、何がタフだ。普通に死にかけてるよばぁーか。が、残念ながら──俺の意識ってのは、何があってもトばねぇ。ゼファー、アンタ気付いてただろ? アンタの仲間を待ってる間、俺が一睡もしてねえってことに」

「そんな気はしてたが、本当にそうだとは思ってなかった」

「ハハハ……いやー、痛い。意識が飛びそうなほど痛い。だが残念。俺の意識は飛ばないし、覇王色で殴っても俺は無傷なんだなーコレが」

 

 それは秘策の一つ。

 全物理攻撃が即死レベルのカイドウ。だからこそ、金棒による攻撃は全部防げる。そして覇王色を纏った攻撃は──食らうけど、俺が死ぬことはない。

 

 チート能力だ。

 俺は外傷以外では死なない。ただそれだけのチート能力。

 

 強いだろ?

 

「ウォロロロ……能力か体質かは知らねェが、それ頼りの雑魚ってことじゃねえか。もう何度も同じことを言わせんな──引っ込んでろ。おれは今旧友とルーキーを同時に相手にするっていう楽しい時間を過ごしてんだ」

「馬鹿言え、国を出てからお前を殺すためにここまで来てんだ。足を引っ張ることくらい許せよ、最強」

「……もう、良い。気にせずにやろう、黒腕、ルーキー」

 

 チート能力だ。

 だけど……ま、正直。

 

 あとは、俺のやる気次第だったりする。

 

 やる気。意義。

 こんな強い相手とやりあう必要あんのか、って。

 こんな痛い思いしてまで戦わなきゃいけないのか、って。

 

 だから今までは仲良くなってたんだ、住民たちと。

 そいつらを捨てられない、ってストッパーが働くから。

 

 けど……原作知識だけで来たのは間違いだったな。

 せめて誰か一人でも、誰でも良いから優しさや日常に触れておくべきだった。

 

 いいかな、と。

 思う……思ってしまっている自分がいる。いやー。マジで心弱いね。ろくに鍛えもせずに来たからだ。心身が追いついちゃいねぇ。

 もうSADも無い。SMILEも無い。

 これ以上の犠牲者は増えず、これまでの犠牲者を救う手立ても無い。

 

 最強は、最強と最強が相手をしてくれている。

 

 ……もう良いんじゃね、って。

 

暗日天(アンビテン)

 

 俺は、そうだ、たとえばヤマトとか連れて来てさ。赤鞘九人男でもいい。そういう強い奴らを運ぶ係をすれば、いいんじゃね、って。

 

水浸合天(ミズビガーテン)

 

 もう諦めて──いいんじゃね、って。

 

「そーやって闘志無くすタマに見えてんだったら、流石に不服だねェ。回天土(エクステンド)

「!?」

 

 ゼファーの右腕に殴打されたタイミングで、ウォロロロの足元に穴を開ける。出口は海上。

 これくらいで死なないのはわかってるけど――なるだろ、流石に。

 

「……ウォロロロロロロ!! あァ、うざってェ! 出しゃばるな、能力だけの、覇気も使えねェ奴が!!」

 

 完全に成ったな。

 さっきから熱息撃ってる時とかも瞬間的になってはいたけど、もう完全に龍だ。そして焔雲を生み出し、それを歩いて飛んできている。

 

「オイオイ……なんだよあのデカさは」

「レコダお前、わざとアイツをあの姿にしたな? 何か策があるのか」

「ん。……まぁ、多少はね。まだまだ準備しなきゃだけど……俺がやってることは、全部意味がある」

「そうか。なら」

「そうかい。だったら」

 

 ──原作においては、絶対に、どんな状況でも……手を結ぶことはあり得なかった二人。

 生死においても、時間においても、絶対に隣り合わなかった二人の背中が、俺の前に立つ。

 

「爺さん。アンタさっきから呼吸が荒いだろ。持病かなんか持ってんな。あんま無理しないで、おれに任せとけよ」

「抜かせ、小僧。お前の炎も全くと言っていいほど奴にダメージを与えられてないだろう。これも経験だと思って、しょんべん垂らして元居た海にでも帰ってろ。カイドウはオレがやる」

「"劣神の裁き(クライン・トール)"」

「あ!?」

 

 雷がカイドウを撃つ……けれど、ダメージ無し。まぁアイツも雷使うしな。

 

「この中で一番の格下で雑魚は俺だ。その俺が言うけどさ。──カイドウを殺すのは俺だから、手助けヨロ」

「ふっふっふ! その身体でよく吠えたァ!」

「もう心配はしねぇぞ、良いんだな!?」

「あぁ、気持ちよく戦ってくれよ。俺も存分に戦うからさ」

 

 んじゃあ、景気づけに──デカイの一発撃ちますか!

 

霧尾天(ミスティルテン)!」

 

 天から降り注ぎしは──勿論、天空。

 それはカイドウの身体に纏わりつき──そんなんなんもカンケーねぇとばかりに、カイドウが戻ってくる。

 

「ウォロロロ……! あァ、おかしな気分だ……! 心底気分が悪ィのに、心底気分が良い……!!」

「なんだぁ? 酔っぱらってんのか、四皇!」

「そうさ……それがいい! 良い事言うじゃねェか、ルーキー! ウォロロロロロ!!」

 

 カイドウは、どこからか……バカでかい瓢箪を取りだし。

 その中身を、飲んだ。

 

「ウォロロロロロ!!! さぁ、くだらねぇ馬鹿のせいで中断されたが、丁度いい、第二ラウンドと行こうか!!」

 

 ……一応、計画通りではあるけど……さて。

 

 成就までに、俺が保つかな!!! べべん!!!

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