エルマルは……終わらねえっ! 作:ONE DICE TWENTY
山場らしい山場を越えて──そして見事というかなんというか、そげキングが世界政府の旗を撃ち抜いたのをニュース・クーで見て、なんだか感慨深いものを覚える。
これで未練はできたかね、なんて。後方腕組親父面だ。
インペルダウン脱獄も、頂上戦争も起きない。だからまー、参謀総長が記憶を取り戻すこともないかもしれんが、それはそれだろう。
あと俺がやるべきは一つ二つ。エニエスロビーの後、無事にブルックが一味に加わったらしいのも見届けた。経験値足らずでキシシに負けるんじゃないかと思ったんだけど、よくよく考えたらニコ・ロビンの経験値が莫大なんだから、そこで釣りあいとれらーな。
……このまま順当に行くなら、シャボンディ諸島で完全敗北、くまが一味を飛ばす……はずなんだけど。
「なぜ俺は海軍大将に追われているのか」
「仕方ないじゃな~い、丁度通りがかっちゃったんだからさぁ。それより、結局手放したんだ」
「でも今アイツ生きてるじゃん。いいだろそれで」
「全部わかっててやってたって言いたいワケ?」
「んなこと言ってねーけどさ。あっぶねぇなソレ!」
マージで危ない。
見聞色の覇気なんだろうけど、こっちの移動先読んでヒエヒエ先置きしてやがる。置きボムっておかれる側になるとマジでエグいな。
「おれは心配してんだよ~? 少し前はある種のヒーローみたいなことしてた君が、今じゃ戦争屋の一部。君ほどの行動力と移動能力を持ってる能力者が革命軍ってのは、大将として見過ごせないワケ」
「俺が革命軍入ったのなんでそんなバレてんの? 公式発表してないだろ!」
「世界政府非加盟国ばかりで目撃情報が出るんだ、繋がりを見つけるのはそう難しいことじゃないでしょうよ」
……ちったァカムフラージュしてくれよドラゴン!!
何にも気にせず革命軍たちと革命してたわ!!
「それで、それはそれとして! なんで今追われてんの! 新世界で赤髪が動いたって話聞いてないワケ!?」
「あぁなんか一昨日とかに小耳に挟んだような」
「それ絶対招集命令だから! もっかい確認した方が良いから!」
「いや~、君を捕まえる方が優先でしょ」
……クソ、カイドウ封印しちゃったせいで赤髪海賊団がカイドウと小競り合いを起こしてくれない、というバタフライエフェクトがここまで影響してくるとは。さらに頂上戦争が起きてないから大将ズが暇というバタフライエフェクトが!
鱗粉撒き散らし過ぎだろ!!
「というか! 極悪犯で言うならそれこそ麦わらの一味だろ! アイツもなんか懸賞金上がってたし!」
「そりゃ上がるよ。エニエスロビー襲撃は重罪だし」
「いやだからそっち追えよこっち来んなよ!!」
「いやだから通りがかっちゃっただけなんだって。おれもニコ・ロビンに会って、意志を聞いてさ。その帰り道だったんだよ。でも道中で君がのんきに空歩いてたから、これは海軍大将として重い腰を上げる必要があるって」
「アンタの腰が海軍で一番重いんだからそのまま重くあれよ! 俺はフロリアントライアングル見に来ただけなの!」
「おれだってヤだよ~きみの相手するの。でも逃がすとおじさん職務怠慢になっちゃうからさ~」
「毎日怠慢してる奴が今日だけやる気出してんじゃねーよ! "兇状旅"!」
小隕石群。
それは──海上から伸びた氷柱によって、空中で氷漬けにされる。
……なんか……強くなってない?
「一回やられた技でやられる程弱くはないよ、おれは」
「次は赤イヌのマグマでも降らせてやろうか」
「まぁ、じゃれ合いはこの辺にしておこうか。──天害レコダ。ちょいと話があるんで、止まってくんない?」
「あいよ」
ま、殺気無かったからな。
ポーズで追いかけてきてんのはわかってた。にしちゃあちゃんとアァイスエィジ使って来てたけど。
「──事実確認からだ。きみさ、ニコ・ロビンと別れてから、その後一回でも会った?」
「アラバスタで一回会ったきりだな。なんだ、そんなに変化あったか」
「あった。……昔からは信じられねぇほど笑うようになってたし……麦わらの一味を堂々と仲間と呼んだ。昔を思えば、考えられねえことだ」
「そうかい」
そりゃいい成長だろ。
「だから、聞いたんだ。きみのことどう思ってんのか」
「聞くなよ。マスコミかよ」
「なんて言ったと思う?」
「無視かー」
……エニエスロビー後のニコ・ロビンが俺の印象についてなんと語ったか。
えー。……んー。
「いつか復讐してやる……とか?」
「あー……。まぁ、間違っては……いねぇのがなんとも」
「こーわ。ただの超人系にはハナハナの実天敵過ぎるからもう近づかんとこ」
「待て待て。そうじゃねぇのよ。"いつか……時が来たら、見返してやるつもり"、って。そう言ってて」
「いやだからそれ復讐してやるって意味じゃん」
「……そう聞こえちゃう?」
「そう聞こえちゃう」
青キジは、後頭部をポリポリ掻いて、「不器用だねぇどっちも」なんて呟く。
アンタに言われたかねーわ。
「この後はどうする気なのよ、きみ」
「海軍に言うワケないじゃん」
「そこのとこ……ちょいと。ちょっとだけ。な?」
「まぁ、革命軍として行動するよ」
「……ホントは?」
「……本当に知りたい?」
「本当に知りたい」
「じゃァ、教えてやる。時期は教えないけど、俺はマリージョアを襲撃する気でいる」
「……マジ?」
「ああ」
だって。
「
「……そして自分が頂点に?」
「どうかなァ」
話は終わりだ。
俺の言葉の信憑性が一割切ってることくらい伝わってんだろ。
重く受け止めるか冗談だと聞き流すかは、ご自由に。
「
「もういっちゃうの?」
「もういっちゃうの」
「そうかい。ところで、アラバスタ王国とリュウグウ王国に盗人が出たって話」
「雑談終了! 閉店ガラガラ!
飛ぶ。
アイツ話なげーんだよ。ニコ・ロビンとの会話はカラっとしてんのに。
つーか絶対なんか時間稼ぎしてただろ。あぶねー、あれで三大将勢揃いとかしてたら流石の俺も最終奥義使ってたわ。
ま。
元気でやってんなら、何よりじゃね。
ところで、俺の能力って天空なわけで。
なんとなーく避けてたんだけど、vsカイドウで己の無力さ加減を流石に感じ取った俺は、一応、一応な。一応勉強のためにってことで──空島はウェザリアに来てたりする。
そんな頻繁にじゃない。だけどタメになるんだこれが。特にこの惑星の風予測図があるのがデカすぎる。ジハハはまずここを支配下に置くべきだったと思うよ。
で、ここのジーサンたちとそこそこ仲良くなってて、そこそこ助けられてて。
そんなある日、飛んできますのは肉球ね。
……やっぱり経験値足りなかったか! という思いを隠しつつ、飛んできた肉球……もとい、ナミの容態を聞く。俺医者じゃねーからよ。
「命に別状はない。多少、全身打撲と火傷をしとったくらいじゃ」
「そうけ。……いや、なんつーか……天候って面白いな」
「いやいや流石にヒトは降ってこんよ」
「ツッコミ忘れたけど全身打撲と火傷はそこそこやべーのよ」
「ほっほっほ、休んでおればなんとかなる」
なんとかなることは知ってるけど。
……最悪トリノ王国へ……は、不味すぎ子さんか。ドラムなら……ついでに寒波貰ってきて、とか。
テキーラウルフだけは絶対いかねー。つーかもうその時期ってわかった以上、革命軍に帰りたくねえ。
……帰らないと電伝虫が鳴り続けるんだろうけど、範囲外にいりゃ大丈夫。
「っと、覚醒が近いようじゃの。粥を用意して来よう」
「おー、そりゃ甲斐甲斐しいな。んじゃハレダスのジーサン、俺はここで見張っとくよ。悪者の可能性も捨てきれんだろうし」
「ほっほっほ、心配性じゃのうレコダ君は」
そうじゃないとは知ってるけど。
泥棒だしなコイツ。金目のものとかないとはいえ。
して、起きる。目を開ける。二日経ってから。
「……ここは」
「スカイピアより東南東。
「っ!? ……私の
「ああコレね。流石に武器はあぶねーから預かっといた」
「返して!!」
起き上がろうとしたナミの身体を降らせる。
やめとけやめとけ。全身打撲はマジでボロボロの証だぞ。
「なにこれ……身体が、重い……!?」
「まぁ聞けよ、泥棒猫ナミ。アンタ、麦わらの一味だろ?」
「……!」
「ああ安心しろ。海軍に突き出したりしねーよ。俺も少額ながらお尋ね者なんでな」
「どうだか……。小物程目先の金欲しさに通報するものでしょ」
「けど、知ってんだろ。空島に海軍がない事」
正直言えば、接触する気はなかった。
っつーか麦わらの一味の女性陣にだけ接触してるとか、害悪転生者街道まっしぐら過ぎて嫌なんだけど。絶賛嫌われているとはいえ。
……バランスとるためにシッケアール王国とか行ってみるか? ラニラニの前任者が遺した日誌とか探しに。
「おーいおいおいおいおい。娘さんや、起きたのかーい?」
「……仲間を呼んだのね」
「こんなちんちくりんジーサン仲間なワケねーだろ。戦場に出る前に寿命で死ぬわ」
「酷い言われようじゃ……。とと、それより、娘さん。粥を持って来たのでな、動けるようになったら食べると良い」
「要らない」
「……まぁ、ここに置いておくからの」
だから、これが無いと安心はできないだろう。
「ほれ」
「っ……」
「これこれレコダ君。怪我人に物を投げるでないよ」
キャッチされる
そして──警戒心MAXで、彼女はこちらを睨む。
「ハレダスのじーさん。アンタが看病続けるっていうんなら、俺はキリダスさんとかユキダスさんちに行って勉強するけど」
「ほほほ、今日はそうしてもらおうかのう」
「あいよ。代金の種は、いつもの場所に入れておくから」
「ああ」
ウェザリアでの勉強代は地上での種や本土……というと語弊があるけど、スカイピアで島雲を少し分けてもらって、それをウェザリアに持ってくることで賄ってる。
ここは小さい人工空島だからな。結構助かるんだそうだ。
「あ、それと今日の嵐、一部貰っていくけど、良いよな」
「一部にしといてくれよ~? 研究材料が無くなってしまう」
「あいよー」
そんな感じで、俺はウェザリアにいるのである。
ナミがウェザリアに来てから五日ほどが経った。
現在の自分の境遇とウェザリアについてを学んだ彼女は、天候研究と……そして俺に、というか俺の能力に興味を抱いているらしく、最近ずっと尾行されてる。
すまん、俺に尾行効かないんだ。
「話あるなら出て来てくれないか」
「……。この国のことは、大体わかった。けどわからないのはあんた。……あんた、何者なの?」
「お尋ね者」
「そういうこと聞いてんじゃないわよ!!」
おお、流石は一味一のツッコミ属性。
こういう暴力ツッコミは最近廃れて来てるからな……。
「ハレダスさんたちはこの島出身の……空島出身の人たち。でもあんたは違う。服装も雰囲気も、明らかに青海の人間」
「ああそうだよ。俺は青海人だ。ただ、気象に関しちゃ俺も興味があってね。スカイピアの島雲とか、地上で取れる珍しい種とかを代価に、ここで気象学を学んでる感じ」
「……スカイピアの方の空島へも、行ったことがあるの?」
「なんなら一時期住んでた」
「住んでた? ……待って、今島雲や地上の種を代価に、って言ったわよね」
「ああ」
「もしかして、地上と行き来できる手段があるの!?」
……食いつくとこそこか。
いや、そうか。今は仲間の安否が心配で仕方ない状態。そりゃ戻りたが……。
……。……、……。
あれ?
頂上戦争が起きないとさ。
オックス・ベルのアレ……どうすんの? つ、伝えられる?
おいおいくまさん! その辺考えてる!? 大丈夫!?
「あるのかって聞いてんのよ!!」
「それ軽いとはいえ金属で痛いから避けるけども」
つか元気だな。
全身打撲じゃなかったんか。五日……眠ってる時間含めたら一週間だけど、そんじょそこらで治るモンじゃなくね?
……いやワンピ世界の治癒力を舐めてはいけない……。
「この、この! あるかどうかを! 聞いてんの! 答えなさいよ!!」
「聞く側の態度じゃないのが一点。聞いてどうすんのが一点。仮にどうにかして行けるのだとして、心象悪いと連れてってもらえないよが一点」
「……行けるのね。じゃあ今すぐにシャボンディ諸島へ私を連れて行って!」
「行ってどーすんだよ。あそこに麦わらの一味はいねーぞ」
「ッ……やっぱり知ってた。知ってて知らないふりを……!」
ふむ。
ニコ・ロビンの無頓着……というか呆れてるのに慣れ過ぎたか。
普通はこうだよな、人って。嘘ばっか吐いてる奴には怒るよな。
「行き来の手段はあるし、誰かを連れていくことも可能だし、なんなら麦わらの一味を集結させることも可能」
「本当!?」
「それで、どうすんの? また黄ザルに負ける?」
「そんなことまで……もしかしてあんた、どっかで見てたんじゃないでしょうね!」
「さぁ、どうだろうね」
漫画では見てましたけども。
んー。
まぁ、どうしようかな。
今回分はもう学び終わったみたいなトコあるし。
「お願い。……殴ろうとしたことは……謝るから。お願い。アイツら、私がいないと……真っすぐ進むことすら」
「まぁ、良いんじゃない? さっきも言ったけど麦わらの一味シャボンディ諸島にいないわけで。当然船にもいないのよ。だから航海士不要ってワケ」
「……」
「おーいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいレコダ君や。まーたデリカシーのない発言で娘さんを傷つけてるわけじゃなかろうな?」
「ハレダスのジーサン、俺がそんなノンデリ野郎に見えるのか? 超紳士だよ俺は」
「君が来た時からじゃが、嘘吐きも一切直らんのぅ」
「へぇ。どっからどこまでが嘘だって?」
「今、君が頭の中で、面倒になって来たからどこかへ行こうかな、と思ったところまでじゃ」
……これだから老兵は。
兵じゃないけど。
「ほっほっほ。レコダ君の考えは天候に似ておるからの。理解もしやすいんじゃよ」
「……私抜きで話を進めないでくれる? どういうこと?」
「私情の話だ。俺の勝手な事情から、麦わらの一味を再集結させるのは今じゃない、という気持ちがある。集結の手伝いをするくらいは良いんだけど、やっぱり今じゃない」
「どういう……」
「弱いんだよ、今のままじゃ。それじゃあ新世界でやっていけない」
「なんであんたがそんなこと気にするワケ?」
「いーやごもっとも」
うん。マジで。
ごもっとも過ぎて返す言葉が無い。
……どうなんだろうな。今集結させて魚人島に送り出したら……もしや新世界の行程が二年に伸びる、とかになんのか? まぁ連載期間として考えたらそれくらいは……じゃなくて。
主にG-5支部と万国に二年かけることないだろ。つーか覇気未収得でvsビッグマムは絶対ヤバい。即死だろ。
ヴィンスモークは……うーん。
最終的にルフィさえワノ国に辿り着きゃいい、というのはあるんだけど……うーん。
「なに、その沈黙。まさか返す言葉もない、とか思ってるんじゃないでしょうね」
「おいおい見聞色発達し過ぎだろ。その通りだよ」
「見聞色? ……って、何?」
おっと。
……どうなんだ? このタイミングでナミが覇気の種類知るのって。
いや、知った所で習得は……。
「よーし。んじゃ、とりあえず自己紹介からでいいか、泥棒猫」
「良いけど、その呼び名は気に食わない。ナミって呼んで」
「いいじゃんか泥棒猫。語呂がいい」
「……」
「わかったわかった。んじゃナミ。俺はアラバスタ出身の運び屋レコダって名前でやってるお尋ね者でね。世界各地のあらゆるところからあらゆるところへ、配達物を届けるのが俺の仕事なんだ」
「……世界の宅配便……ってこと?」
「そそ。んで、それで世界中を飛び回る関係上、気象学を習うのは必至。だからこうして配達物ない日は勉強してるってワケ」
「成程……。それに、アラバスタ出身なら……少しは信用できる」
「いやいや、アラバスタにも悪い奴はいるだろ」
「いたとしても小物でしょ。あんな平和な国、
へぇ、小物でさァよ。
「だから……なんだ。アレよ。手紙? ならいいよ。各地にいる仲間に手紙出すとかなら承る。ベリーは貰うけど」
「ええ、無償の方が怪しかったし、それは構わない。……なら、すぐに手紙を書くから、ルフィに届けて欲しいの」
「モンキー・D・ルフィであってる?」
「ええ、そう。麦わら帽子がトレードマークの」
「りょーかい。他、手で抱えられるモン程度ならお届け可能だけど」
「……いいえ、今は良いわ。とりあえずルフィに無事を伝えられたら……それで安心してくれるだろうし。……ううん、待って。やっぱり全員分お願い!!」
ああ全員の所に行くことになってしまった。
まぁまぁ。まぁまぁじゃない? 速達便は任せるってペルさんから言われてるし。まぁまぁ。
「ほっほっほ。話はまとまったようじゃな」
「ええ。お爺さん、紙とペンを頂戴」
「うむうむ、元気なのは良い事じゃ。家の引き出しの中にあるから、好きなだけ使ってよいぞ」
「ありがとう!」
駆け足でハレダスのジーサンの家に戻っていくナミ。
健気だねぇ。
「ワシも、聞いてよいかの」
「今再会させない理由?」
「それも含むが……なぜ、あの娘さんの仲間とやらが飛んだ先を知っておるのか、と思ってな」
「ああ」
もう決めました。
ワノ国から白ひげ海賊団まで、それはもう広々と伝わってしまっているので──この設定で生きて行こうと思います。
「俺、実は未来人なんだよね」
「……ひょ?」
便利過ぎるトキトキの実。過去に戻れないとか誰も知らねーモンなァ!!
で、手紙を預かったわけだけど。
……アマゾン・リリーエグいな。
入れるか、ここ。今上空なんだけど。
あと矢ァ飛んできてんだけど。
武装色纏った矢こえー。
……つかルフィいなくね? ジャングル内……じゃないっぽいんだけど……まさかもうワラワの湯浴み場とか言わねーよな。流石に入れないぞ。俺に石化は効かないとはいえ。
「そこのもニョ」
「ここ高度何メートルだと思ってんの?」
「7000メートルじゃ。全く、そんなところにいるせいで、戦士達がざわついておるじゃろう」
「ああ見聞色持ちもいるんだ、そりゃそうなるか。すまんすまん」
「構わぬ。が、何用じゃ。ここは女ヶ島がアマゾン・リリー。男の立ちいって良い場所ではない」
「それ知ってるから降りなかったんだよ。でも丁度いいや、ニョン婆。最近ここに男が一人入って来ただろ?」
「入って来たが……待て、何故その名を!?」
「シャクヤクから聞いたんだよ。それで大体納得してくれ、グロリオーサ」
「なんと! シャクヤクの知り合いか!」
「そんな感じ。で、外の島からその男に手紙があってさ。渡しといてくれる?」
「それくらいであれば構わぬが、これからはあまり近づかぬようにしてくれ」
「了解」
こう……なんだろうな。
なんで女ヶ島って心惹かれないんだろうな。
歳が離れてるのも勿論あるんだけど……やっぱりこう、いつもは秘されているからいいのであって。
「早く行ってくれニュか」
「はーい」
さて次は。
知ってる場所、ってことでトリノ王国に来た。
当然俺の暗雲は無くなってるけど、なんだか賑やかだ。……あの時のニコ・ロビンの助言で、どうにかなってしまったんだろうか。トナカイのやること無くなってないだろうか。
そんな心配を余所に降り立てば──「おー!」という歓声があった。
「久しぶりだどー!」
「砂色の髪のにーちゃんだどー」
「ねーちゃんの方はどうしたどー?」
「ああ今いねーんだ。ついでに、俺もすぐに行かなきゃならん」
「そうなのかー。で、今日はどうしたど?」
「手紙をな。預かってて。最近珍しいタヌキとか捕まえなかったか?」
「お! それなら丁度火にかけてるどー! 珍しい喋るタヌキだで、鳥と分け合いっこするどー」
「そのタヌキ宛の手紙でさ。食う前に読ませてやってくれ」
「いや助けろよそこまで事情がわかってんならァ!!!」
遠くの方からなんか聞こえたけど知らない。
「頼んだ……って、お前あん時のちび助か?」
「おー! もう三年経ったからなー。おれもとーちゃんたちと一緒に狩りに行ってるどー」
「ハー……やっぱ食うモンが栄養価高いと成長も早いんだな。ああでも、その点で言うとアレ栄養価全然ない上に薬漬けだから食わない方がいいかもしれん」
「薬の過剰摂取だったら、まず薬抜くところからだどなー」
「まぁその辺はあんま関与しないから。あ、そうだ。打撲に効く軟膏とかってある? ちょっと買いたいんだけど」
「いっぱいあるどー」
「おおい! おれを!! 助けてくれよ!!」
頑張って自分で助かれ。
次に来たのはグリンストン。
既にダブダブに太った長鼻君を見つけて、急降下する。
「どわっ!?」
「よう、ウソップン」
「……ヘラクレスンの友達か?」
「そんなところ。はいこれお手紙。食うなよ?」
「いや流石に手紙は食わねえよ!」
でもお前故郷に羊さんいるじゃん。
次、バルジモア。
ここは文明がちゃんとしてるから簡単だった。普通にお手紙でーすで届けてくれるらしい。助かるゥ。
寒波をかなり頂いて帰った。
その次、ハラヘッターニャ。
寝てたブルックの頭蓋骨開けて中に手紙置いてきた。
次、カマバッカ王国。
一生砂浜走ってる黒足を見つけるのはとても簡単だった……んだけど、一部のオカマが俺を見つけて俺の方に来るもんだから、結構苦戦した。
最終的にナミの手配書をはっ付けた便箋を黒足の前に降らせることで解決。なお、グル眉君は空飛ぶ俺を見て「その手があったか!!」とか言ってたけど知らない知らない。
で──シッケアール王国。というか王国跡地。
その海域に入った瞬間、斬撃が飛んできた。
「ほう。避けるか」
「避けるだろ。死ぬっつーの」
「……砂岩を蹴って空を歩く男。四億の首、天害レコダだな」
「高名な鷹の目ジュラキュール・ミホーク様に覚えられてて光栄だけど、その殺気収めてくんない? 俺手紙届けに来ただけなんだよね」
「暇潰しだ。少し付き合え」
あなたの暇潰しはそのままアリの一生を潰すんですよ。
とか言ってる暇なく斬撃が来る。
海賊狩りの斬撃と違って、振るわれたソレが飛ぶとかじゃなく斬撃そのものの性質を有しているから、いや怖い怖い。
「ふむ。世界に満ちる大気。その僅かな震えを察知して避けているな」
「おいいきなりネタバラシすんじゃん。相手が隠してる情報簡単に見抜くんじゃねーよ」
「加えて……お前、
「いやねーよ。ワノ国でも革命軍でも才能無しって言われたよ」
「その言葉には文脈があるだろう。──"ここまでやっても無理ならば"、"才能がない"。そう言われたのではないか?」
……。
えーと、紙ヒコーキを作りまして。
飛んでけー。
「
「あの男への手紙だろう。渡してやるから、少し遊んでいけ」
「……少し、ってどれくらい?」
「満足するまでだ」
「曖昧だなァ」
……まぁ、いいさ。
どの道シッケアール王国跡地には用事があったからな。
「追加注文だ、鷹の目。手紙は手紙として、俺はこのシッケアール王国跡地の書庫に用がある。アンタが満足したら、そこも覗かせてもらう」
「好きにしろ」
「OK。んじゃ景気よく行こうか。
まさか勝てるなんて欠片も思ってない。
攻撃力の面で見ればウォロロロにも勝りかねない敵だ。
そして別に殺す気もないのでエグ技は使わない。
ただただ──力をぶつけ合う。
とはいえ。
「あのさ。全部の斬撃に覇気纏うのやめてくんない? 俺の天空斬れちゃうんだけど」
「能力に頼り切りだからそうなる。その上で、覇気を習得する気がないのだとすれば、能力をそれに順応させるしかあるまい」
「もうさせてあるよ。
暗雲を貫き落ちてくる天鋲の槍。
放たれる斬撃は──しかし、この天空を切断するに能わない。
「ほう!」
「あの最強生物カイドウの身体に穴ァ開けた槍だ。斬れるかな、世界最強の剣士!」
「面白い──が、あまり見え透いた弱点を作るな。興が失せる」
その角度からは絶対に放てない──天鋲の槍の真横からの斬撃。
それによって消えてく槍。……バレんのはっや。
「いや、正面からちゃんと突破するとかさ」
「いくらおれでも、
うわー、全部バレてーら。
……じゃあ真横を強化しろって? ムリムリ。グランリブート無いと無理。
「んー……割といろんな奴相手にしてきたけど、戦ってて一番楽しくないかも、アンタ」
「それは光栄だな」
初見殺しも原作知識アドも効かない相手。
そんでもって、何やっても一瞬で見抜いてくる相手。
……まーずい。
「中々に面白いな。見聞色対策か、それは」
「おいナチュラルに心読むんじゃねぇよ」
全然不味くないのにまーずいって思ったの透けてる上に見聞色対策であることまでバレてるとか。
……おや?
もしかして……ここも無理ゲーだったりする?
「よーし。──ペローナに手紙渡して、目的の書籍見つけて、俺はとんずらするんで! じゃあな海兵狩り!!」
「行かせると思うのか?」
「
発生させるは無数の天空。極小。
それは鷹の目の身体に纏わりつき──ちょっと遅くさせる。
「む……!」
「斬りたいなら全部斬ってな! あぁ二千個はあるからそのつもりで!」
付き合ってられるか、っていうね。
そして最後に来たのが……まぁ、テキーラウルフ。
なワケもなく。
「手紙? 誰に?」
「もうすぐ来るオハラの悪魔に」
「ああ、そういえば保護したって聞いたような。……って、ダメだよレコダ君! 女の子にそんなあだ名付けちゃ!」
「俺が付けたんじゃねーよ世間に言えそれか政府に」
悪魔の子、だとオルビアの方が悪魔になると思うんだよな俺。
そういうのは良いとして。
「頼むよコアラ。革命軍でこういうのマトモに届けてくれそうなのお前しかいないんだよ」
「そんなこと……あるかも……いやハックが」
「まぁまぁ。同性だしさ。なんかタイミングあるだろ」
「っていうか自分で届ければ」
「自分で届けるのが嫌だから言ってんの。ジャーニー!」
「あ、うん。じゃあねー」
──これでオッケー☆