エルマルは……終わらねえっ! 作:ONE DICE TWENTY
シキの死により崩れ行くメルヴィユ。
村の人たちは飛べるから良いとして、動物は……も、大丈夫そうだな。
「ん?」
「どうかしたの?」
「……ちょい、強めに掴まってろよ」
砂岩ウォークで落ちていく様を眺めていた……んだけど、一瞬気になるものが見えて、そこに直行する。
もうすぐで島の下部が海水に着く……というところでソレを掠め取り、再度砂岩ウォークで上がっていく。ヒュウ、危ない。巻き込まれるところだった。
「……それ」
「ああ──多分、フワフワの実だ」
能力者の死後、再生成されるという悪魔の実。
落ちていく桜みたいな梅みたいな樹に突然これが生ったものだから、流石に気付けた。
「あの一瞬で、そんな小さなものを……遠くから?」
「
「売るつもりなの?」
「だって俺達食べたら爆発するだろ。んなことより、どこに売るかなんだよなー。……海賊は論外として、けど海軍……世界政府にまで渡ると面倒……誰かいないかなぁ、食ったところで悪用しないでいてくれる人」
「……無理でしょう。人間は、力を得たのなら……それを誇示したくなる生き物よ」
悲観的だけど、マジそれ。
俺だって力を得たからこんな大立ち回りしてるわけだしね。
海軍が一番丸くはある。俺達がお尋ね者じゃなければ。
いや。
……あの人なら、か?
「ちわーっす三河屋でーす」
「ん? なんじゃ、最近のニュース・クーは子供も雇うようになったんか」
「いや三河屋っす。ニュース・クーじゃないっす」
「そうか。それで、アラバスタ王国の稚児がマリンフォードに何の用じゃ」
「ああいや、金獅子のシキが死んで、近くにフワフワの実が生成されたんで、海賊とか世界政府の手に渡るのアレだなーって思ってお届けに来ました」
「……ヨシ! 受け取ろう!」
「あーっす」
大分端折ったけどこんな感じ。
まだレッドライン超えてなかったからね。マリンフォード、近かったんだよね。
「追手は、しっかり撒いたのね?」
「一回引力圏越えたから絶対追ってきてないと思う。まぁ俺も放り出されそうになって焦ったけど、フレイムダイアルさん様様だわ」
信頼のおける、ちゃんとした正義の人。
ケムリンかおつるさんかガープ中将か……その辺の誰かだったんだけど、ケムリンは現在地わかんないのとこっち犯罪者って理由で問答無用しそうだからナシになって、おつるさんも引退してるとはいえまだまだ未知数&部下の厚みがわからないからナシになって。
そう考えると犯罪者を初手逮捕しなさそうで、且つ頼りになる海軍の人ってガープ中将くらいしかいなくて。
強さの面ではめちゃくちゃ怖いんだけど、信用できる、は信用できるから。
……ほんとはスナワニとかヤハハさん殺した跡地も周って再生成された実が無いか確かめたいところだけど、ちょっと遠すぎるのがな。
まぁなんで、今回は、っつーか今回からは、って感じで。
今はようやくレッドライン渡り切った所だ。いやー、なっげぇでっけぇ大地ですこと。まぁ大陸だもんな。
「ここが新世界……。となりたかったのだけど、雲の上ね」
「降りたい?」
「任せるわ」
だろうね。
……G-1支部に降りるのはナシ。エッドウォーは……読者としての行ってみたさと、何も残ってないんだろうなぁ感と、あと何か残ってるとしたら100%世界政府、しかもサイファーポールかそれ以上の何かが見張りとかしてそうだから多分無理だろうなぁ、っていうので。
ま……あそこかね。順当に行こう、順当にさ。
メルヴィユに勝るとも劣らない緑豊かな島。
……ただ所々にいる「オカシナ」動物は、正直言ってメルヴィユにいた動物たちとはくらべものにならない。
「この島……は、どういうところなの?」
「ベガパンクの実験施設がある場所。ほら、所々に海兵がいて、所々に世界政府のマークがあるだろ。……サイファーポール的なのがいないのは幸いだけど、物々しいことにゃ変わりないな」
「……それで、世界政府から追われている私と、海軍から追われているあなたが、ここに何の用?」
「子供がな。人体実験に使われてる」
「……」
パンクハザード島。
未だシュロロロが毒ガス事故を起こしていないし、赤イヌと青キジが戦ってもいないので、あり得んレベルの寒暖差は敷かれていない。
ただただ厳重に守られているだけの場所。
今ニコ・ロビンにそう言ったけど、現時点で子供が誘拐・実験されているかは微妙。世界政府ならやりかねないし、ベガパンクも科学のことになれば悪人になれる善人なので、うーん、まぁ、微妙。
まぁ今回の狙いはペガパンクではなくシュロロロである。
シュロロロを殺すためだけに来たと言っても過言ではない。シュロロロさえいなくなればドレスローザ……っていうかドフィも百獣海賊団も大ダメージを受けるし、百獣海賊団に至っては半数以上の戦力を削げる。なんならワノ国のエグい内容全部消える。
といっても今後の、だけだ。
シュロロロとドフィは七年前からSAD及びSMILEの製造に着手しているわけで……まぁ、全部は無理って話だ。
「さっきからずっと高空を飛んでいるけれど、何を警戒しているのかしら」
「警戒してるっていうか、見極めてる。ベガパンクは殺したくないがシーザー・クラウンは殺したい。たとえば小隕石の流星群を降らせて研究所丸ごと潰したとして、まーベガパンクもヤっちゃう可能性が高い上に、シーザー・クラウンはロギア。これは悪手にしか思えない」
「そうね。それに、実験体も犠牲になる」
「そそ。だから俺の"上空からの大規模破壊"はここには使えない。かといって侵入できるほどの技量も無い。アンタはあるかもだけど、アンタはアンタでロギアに何もできない」
「……ええ。戦力不足は……わかっているわ」
「だから考えている。この研究所の形を見て、どこに重要人物がいそうか、ってのとどこを破壊すれば人を集めることができるか、ってのを」
……が!
俺にそんな緻密な作戦を考える頭はない!! ドン!!
だからやることはシンプルだ。いつだってな。
「連係技と行こう、ニコ・ロビン」
「連係技?」
「今から俺があそこに正面突破してくる。で、俺の身体の全方位、死角が一切できないように、アンタの目を俺に咲かせる」
「なるほど。それで、そのシーザー・クラウン……ロギアの能力者以外は」
「クラッチでもなんでもいい、殺す殺さないは自由でいい。俺なら殺すけど、アンタにゃアンタの矜持があるだろうからな。まぁそれで頼む」
つまり、疑似・ハナハナの実の能力者だ。
「ただし、どうやったってカバーしきれない場面も出てくるだろう。それで俺が怪我すんのはいいんだけど、アンタの目に当たる場合が怖い。フィードバックがエグい。だから一応俺もちゃんと動く」
「ええ、お願いするわ」
「んで、ホントは口も咲かせてほしいんだけど、相手は毒ガス使い。フィードバックがどれほどかは知らんがまー多分危ない。だから腕を咲かせて、YESNOはそれで頼む。ああだから、耳も必要だな」
「……集中力が続くといいけれど」
「続かなかったら俺が死ぬ。そんでこっから逃げられずにアンタも死ぬ。簡単だろ?」
「ええ、とっても」
この完璧な作戦は、けれど一つだけ。
「一個だけ、アンタには我慢してもらわないといけないことがある」
「……何かしら」
「全身に目。あるべきじゃない所に耳と腕。そんな奴は──100000%、化け物、って呼ばれる。アンタ嫌がってただろ、自分の見た目をどうこう言われるの。それが嫌なら別の方法を探すよ」
「子供の頃は、よ。もう割り切っている。それに、政府の名を被って非道を働くような連中に何を言われた所で気にもならないわ」
「OK、んじゃそれで行こう。はい、これ」
渡すのは──ミルキーダイアルと、少し青色の入ったミルキーダイアル。
「これは?」
「秘蔵っ子なんだけどね。ダイアル屋のおばちゃんと仲良くなって、仲良くなり続けて、珍しいモンばっか買ってたら売ってくれた。名付けてどこでも空島キット。高度は俺が確保するから、空島の高度でそのミルキーダイアルを使うと、海雲と島雲を一時的に生成できる。ただし一時的だ。効果時間は一日もないとか言ってたはず」
「それまでにすべてに方をつける。あなたが」
「YES.」
高度一万メートルまで砂岩ウォークで上昇し、使う。
ちゃんと機能してくれたそれは海雲と島雲を作り、小さな小島を生成。そこにニコ・ロビンを置き──さっき言った通り、全身に目と腕と耳を咲かせてもらう。
「できるだけ一対一、あるいは一対二くらいになれるように頑張る。大勢相手してアンタが疲れたら元も子もないからな」
「あら、心配してくれているの?」
「疲れたら能力解けてお陀仏だろっつってんの。あと、階上になんもないとか、屋外である場合は俺がフツーにやるから。そのつもりで」
「わかった」
んじゃ。
そう言って──高度一万メートルからフリーフォールする。
「"獅子擬き"」
通常の雲に来た辺りで偽物ライオンを降らせ、その背に乗って、良い感じのタイミングでジャンプ。
無事、研究所の屋根に飛び移ることに成功した。
ペチペチ。あっち。
「……あ、見られてたのね。サンキュ」
あびねーあびねー。
フツーに見られてたっぽいわ。もうクラッチ済みだけど。
強いね、ハナハナ。
それと──"黒光り星群"。
長鼻君の黒光り星。その流星群。
恐怖。パンクハザード島に降り注ぐ無数のG。まぁ玩具なんだけど。
グランドラインの異常気象だ。仕方ないだろ?
人のいない部屋を見つけて、窓から入る。
ちなみに鍵はハナハナで内側から開けてもらった。強すぎるハナハナ。そりゃ逃げるのも隠れるのも二十年やってられるわ。
足音は極力消す……けど、鳴っちゃうものは鳴っちゃうので、どっちかというと隠れるんじゃなくてこっちが見張りの兵を追う形でのスニーキングミッション。見つけた瞬間クラッチ。おいおいハナハナ強すぎないか。
という立ち回りを何度も何度も続けて、ようやく辿り着きました研究施設。
いやこの研究所自体原作じゃなかったものだからさ。原作でトラ男とシュロロロがいたのがまぁ成れの果てを改造したものだったとしても、元の施設じゃないから迷う迷う。
とはいえ、辿り着いた。
ちなみにベガパンクの部屋じゃないのは確認済み。本人も確認済み。
……今はな。特にくまとボニーの大事な時期だ。彼に危害を加えるのはナシナシの実。
「ちわーっす三河屋でーす」
「……誰だ?」
「ああ間違えた。ちわーっす殺し屋です。シーザー・クラウンさんですね? 死んでください」
撃つ。
銃弾を。さっきクラッチされて気絶した海兵から奪って来たポンプショットガンを。ちなみにサーベルもかっぱらった。
当然のように通り抜ける弾。
「シュロロロ……もう一度聞いてやろう。誰だ、キサマ」
「いやだから。まぁ殺し屋じゃなくて運び屋なんだけど。別にもうなんも運んでないから運び屋でもなくね?」
「ガスローブ」
おっと容赦ない。
まぁそうか。コイツ案外冷静なんだよな。余裕のある内は。
撃つ。
「……よく見れば、なんだおまえのその身体は。シュロロロ……実験体にそんな奴いたか?」
「悪魔の実自体が壮大な人体実験、ってオチじゃなければ、人違いじゃねーかな」
「シュロロロロロ! ガスが回って意味不明な言葉を喋り出したか。にしても、海軍は本当に使えないな。このおれのこの頭脳が! この海でどれほどの価値があると──」
「いやまぁベガパンク一人で十分じゃね? もうすぐ一人じゃなくなるけど」
「意味わからんこと言ってないで早く死ね! お前今どれだけガスを吸ってると思って……」
撃つ。
三発目。
……別にシュロロロに向けて撃ってるわけじゃない。
研究機材ブチ壊してるだけだ。気付かれてないけど。
「おまえ……妙だな。呼吸をしていない。シュロロロ……面白い! そういう進化を遂げた海兵か?」
「馬鹿言えよ。呼吸しない生物がいるかよ」
「確かに呼吸をしていなかろうとガスは回るが……それも効いていないな? 毒に極めて高い耐性を持つ個体か!」
撃つ。……弾切れだ。ショットガンの弾くすねたはいいものの、やっぱ量持てないのがなー。ハーブと赤ハーブと一緒に入ってりゃいいのに。
「しかし……覇気も使えん状態でおれを殺しに来るとは、シュロロロ……愚かだな、実験体。そうやって考える脳が無いから使われることにいつまで経っても気付けない。まさにゴミ! ゴミクズだ!」
「いやところでさ、シーザー・クラウン。俺もアンタに似た能力者なんだけどさ。屋内では正直使い物にならなくて、特にvs自然系の屋内戦はマージでどうしよっかなーとか思ってたんだよ」
「シュロロロロロ!! ガスが効かなかろうと、これは効くだろう? ──
「今さっきアンタが呼吸してないって言ったばっかじゃん。効かないよ」
「いや話は聞いてるのかよ!!」
ああツッコミはしてくれるんだ。優しい。ニコ・ロビンとかガン無視だからな俺のボケ。
「シュロロロ……確かに少し面倒だな。研究所内で炎や爆発は使いたくない……」
「ああで、話の続きなんだけど。どうしよっかなーって。どうやったら屋内の敵に何かしらできんのかなーってずーっと思っててさ。まぁ一個目がこうやって」
ガン! と強い音を立てて、天井から槍が突き出る。
……やっぱり貫通しきらないか。かなり高度上げたんだけどな。
「武器を落としてもらうこと」
「シュロロロ……原始的な手段だな。野蛮且つ効率も悪い。流石はゴミだ」
「んでもう一つが──"
黒光り流星が止んで、今度は雪が降り始める。みぞれ程度の雪。
……ま、変わらんよね。
極寒にすればガスも液化するんじゃねーかと思ったけど、そういう理屈は通じないか。全然極寒じゃないってそれ百万回。
「もう終わりか? 何をされたということもないが……シュロロロ、実験体が我が物顔で研究所内を歩いているのは些か気色が悪い。ゴミはゴミらしく檻に戻れ!」
「もう一個だけ! もう一個だけ試させて!」
「なんだ、全く。仕方のない……ってなるかァ!」
ドン!! と。
──部屋の空気が重くなる。
「……なにィ!? 覇王色だと!?」
「そんなん使えるワケないじゃん。使えるなら初手使いながら入って来てるって。そもそも俺に王の素質なんかないっつの」
さらに、重く。
さらに、重く。
シュロロロが──立っていられなくなり、床に手をつく。
「ク……ソ……なんだ!? 何かが……圧し掛かって……!!」
「俺はラニラニの実の天候人間。悪魔の実図鑑にゃそう書かれてる。が──その実、天候を操る方が
「ラニラニの実……シッケアール王国の……
「ああそういう名前なんだ。知らんかったありがとう。でも、そっちは非効率なのがわかった。使ってる感覚として──"格落ちした降るはずのモノ"より、"降るはずのないモノ"の方が断然降らせやすいんだ。前者は蛇口が小さいっつーか詰まってる感じで、後者はもうドバーよドバー」
血が。
流れ出す。自然系のはずの彼から、血が。
地面に押し付けられているから──ではない。
「ギ──」
「"
「──ャ、ァァ、ァアア、アアアッ!?」
ボトボトと。
ベチャベチャと。
ブチブチと。
様々な異音を立てて──降る。
ガスが、降る。
「アンタが酸素をガスとして操れるんだ、俺だって大気をガスとして操れるさ」
あまり知られていないけど、ガスって降るんだよね。
ただまぁ地球上で起きる現象じゃないから、降るワケないもの扱いみたいでさ。
ここ地球じゃないけど。
「肉を降らせて骨を降らせて、死んでくれ、シーザー・クラウン」
「──馬鹿言え! この頭脳を消すくらいなら、こんな研究所纏めて──!!」
肉体が、ガスから生身に戻る。
大気というガスを降らせているのは変わらないけど、肉が裂かれ削ぎ落されるのは終わる。その上で、シーザー・クラウンはその手にカスタネットみたいなものを出した。
「声出せないから俺が言ってあげよう。"
「な──んだ、腕!?」
「クラッチ……じゃなくて、ストラングルなんだ」
首の関節で終わりかと思ったら、そのまま折ったねコレ。
でもまぁ、止めは刺すけど。
気絶したシーザー・クラウンの頭と心臓をそれぞれサーベルでぶっ刺して──。
帰りもニコ・ロビンにハナハナでサポートしてもらって、ようやくの帰還。
いやー、緊張したね。
「なぜ、初めから最後の手を使わなかったの?」
「疲れるから」
「疲れる?」
「いやね、空気ってそこまでブロック分けされてるもんじゃないんだよ。だから、範囲決めてその範囲だけガスを降らせたとしても、当然周囲の空気も入ってくんの。なくなった場所にね。密室でもなきゃそれはほぼ永遠で、俺も永遠に降らせ続けなきゃいけない。相手が死ぬまで。疲れるでしょ?」
「……つまり、あなたの狙いは」
「勿論、相手がそれに気付いてガスになるのを止めて、生身に戻るの待ちだったよ。生身の人間ならハナハナで楽に殺せるわけだし、銃とサーベルなんか飾り飾り。連係技って言っただろ? 道中は完全に頼りっきりだったんだから、そりゃ最後くらい連係しないと。俺が拘束してアンタが攻撃、ってね」
ちなみに密室でやると俺も引きずり込まれる。
酸素は無くても平気だけど、真空状態になるからね範囲外が。
ってわけで、パンクハザード編完!
……にしたいところなんだけど。
「で、どうだった?」
「まだよ。さっきまではあなたの死角を見るのに必死だったから。子供達がいるかどうかを見るのはこれから」
多分ニコ・ロビン的には子供達とかそこまで気にしないと思う。ああ、今のニコ・ロビンは、ね。
生きたい! 後の人の心を取り戻したニコ・ロビンなら助けるだろうけど、今はまだなぁ。
そうして、ニコ・ロビンが腕をクロスさせて目を瞑ること数分。
「……とりあえず、貴方が置いてきた目の近くにはいない。そこから咲かせた目と目を伝って、さらに奥まで見たけど……いない」
この方法は俺の考えていたものの一つ。
本来新世界編でなら見えないところにも自身を咲かせる、なんて芸当をやってのけるニコ・ロビンだけど、一旦今は無理だ。
だから代替案として、まず俺が屋内に入って、俺についてる目が適当な壁を見てそこに目を咲かせ、俺が出た後もその目が反対の壁なんかを見て目を咲かせ……って連鎖をしていくことで、締め切られた密室以外は網羅することができる……的な。
ただ、完全に密室、特にカギのかけられた所なんかは見えない。俺でも入れんし。
もしそこに子供達がいるのなら……あー。
「どうするの?」
「どうしようもないかなー。これ以上の大立ち回りはベガパンクもだけどその子供達自体にも危害が及ぶかもしれん。ぶっちゃけシーザー殺せただけかなりデカいし、あとはベガパンクの良心を信じるしか」
巨人化とかは完全にシュロロロの手持ち案件だったから大丈夫だとは思うんだけど。
……不安、ではある。
あるが……。
「行くか。次の島」
世界にはどーしよーもないこともある。
この手は二本しかないからニャー。
砂岩ウォークで海の上を行く。
んー。ホントはなー。気圧勾配作ったり、超低気圧超高気圧作ったりできりゃもっと良かったんだけど……やっぱりなんか詰まりを感じる。
なんなんだろうな、これ。
前任者もこの詰まりを感じながら雨男、なんて呼ばれるに至ったんだろうか。
それとも別の……。
「島が見えて来たわ」
「ん。ああ、ドレスローザだな。ここはここで厄介なんだけど、強いて助かることがあるとすれば首魁がただの
「誰が、ただの
強い衝撃。
──思わずニコ・ロビンを離してしまうほどの。
「ンンン、フフフフフ……なんだ、人間を斬った感触じゃねえなぁ」
スマン、とは言っておく。
どーにかして着地してくれ。翼はやせるだろアンタ。
まぁ良かったよ、グリーンビット島の方に落ちたみたいでさ。
「そいつは島雲っつってね。まぁ雲なんだ。俺はクモクモの実の能力者だからさ」
「
「おいやめろよナチュラル頭良いの。俺の咄嗟の言い訳が馬鹿みたいに聞こえるだろ」
「フフフ……今のやり取りでおまえの馬鹿さ加減はわかったが──砂みてぇな金髪を短く切り揃えたガキ。青い目。そんでもって、降り注ぐ砂岩を蹴って移動する能力。フフフフフ──おまえだな、おれのビジネスパートナーを殺しやがったのは」
……なに?
目撃者は全員ヤった。監視カメラも全部壊した。
何より俺が脱走する時まだ警報は鳴ってなかった。シーザー・クラウンの死はバレてなかったはずだ。
なんで知ってる? ……いや、カマかけの可能性もあるか。
「ビジネスパートナー、ってのは──海軍第16支部大佐、マリンコード00733のネズミ大佐で」
「シーザー・クラウンのことだ。フフフフフ……甘かったな、ガキ。最後の最後でお前は奴に近づくために能力を解いたんだってなぁ。そして、奴の心臓と頭蓋をサーベルで刺した。フフフフフ、その執念は良い。ガキにしちゃ見事なモンだ。──だが、
「ああ、最後の最後で心臓と脳をガス化したのか。そりゃしくったな。でも死んでるんだろ?」
「あっさり認めたな。……ああ、そうだ。おれに電伝虫を入れ、助けてくれと喚き散らかした後……事切れたよ」
「まぁ全身の肉が削げ落ちてたからな。あそこからガス化したところで流石に寿命が尽きるだろ。死んでないって言われたら踵返して殺しに行くところだった。ありがと、教えてくれて」
「フフフフフフ! 素直に礼を言える奴は嫌いじゃない。だが、おれのビジネスの基礎をぶっ壊してくれた事については──落とし前をつけてもらわなきゃならねえ。そうだろう?」
「そうは言うけどさ、アイツがアンタに流してるSADはこの世にあっちゃいけないモンだし、それで作ったSMILEとか邪魔でしかない。俺は正義をしただけだよ。だってほら、勝った方が正義なんだろ?」
伸びてくる糸を、槍で弾く。
……かったい糸だなホントに。弾けはしたけど槍の方がぶっ壊れたよ。
「ンンン? クモクモの実とかいうのが嘘だとして、だがお前の能力は掴めねえな。降ってきてる砂岩。降って来た槍。削ぎ落された血肉。……落とす、あるいは降らせる、って感じの能力か」
「おいだからナチュラル頭良いのやめろって言ってるだろ。俺だってイトイトの実の方が万倍良かったよ。なんだよ雲に糸引っかけて移動するって。雲を何だと思ってんだよ」
「フッフッフ!! お前もおれを知っていると、そう言いてェわけだ」
「だから簡単に見抜くなよ俺の意図を。恥ずかしくなるだろ糸だけに」
──"蘂降る桜"。
「っ!」
「おいやめろよその反応。寒いジョークに空気が重くなったってか。タハー、流石王下七武海。リアクションまで豪華とは恐れ入る」
「……覇王色じゃねえなァ。フッフッフ、こんな小物に備わるモンでもねェが……」
「"
「
アホ言え。
……ただの
逃げる、一択!!