「"……ホシノ"」
学校に帰る途中も、帰ってからもホシノの様子がおかしかった。
帰路の途中でボロボロになった便利屋68と合流したり、風紀委員会に声をかけに行ってそれなりに時間は過ぎていたと言うのに、その表情は暗いままだ。
アルは自身も傷だらけにも関わらずその様子を心配し、ヒナもホシノのことを心做しか気にしている様子だった。
……ダリルの言っていた、[サイコ・ザク]と言う名前らしい特務士官の使用していたアーマー。それについての話は、また後日ということになり、今日は一旦解散となった。
「先輩、大丈夫?」
「……さっきから、ずっと暗いままですよ?もしかして、捕まってる間あの人に酷いことを……」
「うへ、ノノミちゃん、ありがと……でも、そういうわけじゃないんだよ」
心配そうにホシノを見る後輩たち。
ノノミは、原因が突然現れた特務士官にあると考えたようだが、ホシノはそれを即座に否定した。
……ホシノの様子から見て、先生は自身の予感は当たっていると確信した。だからといって、どうこの場で切り出せばいいと言うのだろう?ホシノの死んだはずの大切な先輩が、自身の目標とも言える人が、自分と袂を割って攻撃してきていたなどと……
「……ホシノ先輩、何があったか話してよ。私達がいるんだから」
「前みたいに、1人で抱え込んだりするのはもうだめです」
アヤネとセリカもそう言う。
しかし、ホシノは首をゆるゆると横に振った。
「これだけはだめなの。これは、おじさん……いや、私の問題だから」
ホシノの一人称が変わる。
……やんわりとした、しかし明らかな拒絶。
後輩たちの表情が、驚くような、悲しむような、そんな表情に変わる。
「……何でよ。前も一人で抱え込んで、それでこんな事になったのに……また、また抱え込むつもりなのっ!?」
「……先輩、ごめんなさい。今回ばかりは私もセリカちゃんと同意見です」
「ん、先輩はいい加減そういう所を治すべき」
「先輩、私達は……そんなに頼りないですか?」
後輩たちが口々にそう言う。
……前の再会の時の雰囲気はもうなく、緊張感が室内を包む。
その時、パン、と手を鳴らす音が響いた。
「"はい、みんな一旦落ち着いて"」
先生だ。全員の視線が彼女の方を向く。
先生は、少しだけ目を閉じると、改めて彼女達を見回した。
「"……世の中には、深入りしてはいけないことがある。そうでしょ、ホシノ?"」
先生の視線が、ホシノを射抜く。
……あの時、自分が言ったことと全く同じ言葉だった。
多分、先生は何で私がこうなっているのかお見通しなのだろう。
(……やっぱり、かなわないな)
「"でも、"」と言って先生はフッと頬を緩めると、言葉を続ける。
「"もう、隠し事はなしだよ。何時だっていい。明日でも、明後日でも、1週間後でも……手遅れになる前に、話してあげて。みんな合わせて、アビドス対策委員会なんだから……そうでしょ?"」
「……うん、わかったよ先生。みんな、明日、きっと話すね」
ホシノは確かにそう言って、にへらっと笑った。部屋の空気がいくぶんか緩む。
「……ん、約束」
「そんなこと言って、いなくなっちゃうのも無しだからねっ!」
「う、うへ〜、おじさん、耳が痛いな〜」
セリカから言われた言葉に、
実際に黒服との取引に応じた時似たようなことをしたのを思い出したのか、ホシノが気まずそうに目をそらす。
「ほら〜、目を逸らしちゃダメですよ〜☆」
「むきゃっ!?
と思ったらホシノ顔がノノミにガッチリと固定された。
パタパタと手を振って抵抗を試みるホシノだったが、全く離される気配はない。その様子を見て、みんなから、自然と笑みが溢れる。
いつものような、対策委員会が戻ってきた。
彼女達が戯れる様子をしばらく見守っていた先生だったが、ふとあることを思いついたのかぽんと手をうった。
「"……そうだ!"」
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しばらくして、アビドスの屋上に、彼女達の姿はあった。
しかし、一部だけ砂が簡単に掃かれ、代わりにマットレスと掛け布団が敷かれていた。その中から少々過密気味に対策委員会の少女達と先生が入っていた。
「何でこうなったの……」
「"そういえば、前にここから星をみた時、とってもキレイだったなって思い出して。丁度三日月で月明かりも弱いし、みんなにも見せてあげたいなって思って"」
ぎゅうぎゅうとした感触を受け、セリカがそう呟く。それに先生はうれしそうにそう答えた。セリカは少しだけ先生の方を不服そうに見たが、やがて空を見上げた。
「……確かに、バイト帰りの町中だったら気付かなかったかも。とってもキレイ……」
「ん、宝石みたいにキラキラ光ってる」
セリカの言葉にシロコが同意する。
そんなシロコのことを困ったようにアヤネが見た。
「シロコ先輩……流石にあれは盗めませんよ?」
「そうですよ、シロコちゃん。お星さまはずっと遠くにありますからね」
「……それぐらいわかってる。2人は私を何だと思ってるの」
「あはは……シロコ先輩なら思いかねないなって」
流石にあんまりな2人の言い草にシロコは思わず起き上がってムッと頬を膨らませた。しかし、それも一瞬のこと。シロコは再び寝転がって空を見上げる。
「……でも、盗めない代わりに、この空を、この一瞬を、想い出に閉じ込める。絶対、忘れないように」
シロコの静かな、それでいて力強い言葉。
それに押されるように、ホシノも、夜空を見上げた。
「……そうだね」
暗い、遠い、吸い込まれそうな空に、星々がいくつも瞬いている。柔らかい三日月の明かりの輝きと、隣にいる温かな体温は、ホシノの奥底に巣食っているぐちゃぐちゃとした思いを消してゆく……
いつも、夜警に行っているはずなのに、今の今まで、その星空の美しさに気がつくことはなかった。
(……私も、忘れないよ)
ホシノは心の中でそう呟いた。
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……深夜、アビドス高等学校の屋上に、大きなもこもことした塊があった。シロコとノノミの抱き枕にされてどこか寝苦しいような幸せそうな何とも言えない表情を浮かべる先生。
遅くまで星に見入っていたのか、メガネをかけたまま眠ってしまったアヤネ。寝相が悪く、若干布団からはみ出しているセリカ。
そして……安らかな寝息を立てているホシノ。
カシャン、カシャン、カシャン……
そんな彼女達に、1つの人影が金属が小さく擦れる音を立てている近づいていた。音の主はまずアヤネに近寄ると、白いシルクの手袋で包まれた手でそっとメガネを取ると、畳んで側に置いた。
次に、セリカの所に近づいくと、僅かな布ずれの音とともに布団をたくしあげてかけた。シロコとノノミに挟まれた先生は困ったように足を止め、結局離れる。
最後に、ホシノの近くに近づくとその顔を覗き込んだ。
……すう、すうと、静かに寝息を立てるホシノ。
足音の主は、それをしばらく見つめると、ゆっくりと人差し指を伸ばし、その頬にモチリと触れた。
「ホシノちゃん」
……声が、聞こえた。記憶の片隅にずっと残っている、優しい優しい声。ひんやりと硬いものが、優しく自分の頬に触れる。
「ん、んんん?」
いつぶりかの心地よい微睡みを邪魔されたことに、ホシノは抗議の声を上げながら身動ぎすると、モソモソと瞼を擦って目を開けた。
ぼんやりとした視界が、少しずつ、少しずつクリアになる。
自分を見下ろしている人物が、少しずつ、少しずつ露わになる。
……後ろに流した翡翠の髪に柔らかな笑み。顔の左半分を痛々しい傷跡が覆い、ガーゼがつけられているものの、こちらを見つめる金色の瞳は………
「えへへ、起こしちゃってごめんね、こんな時間に」
そう言うと、少女はホシノの視界の外に引っ込んだ。
ホシノはしばらく放心していた。
……ボロボロで傷だらけで、どこか笑顔が陰りを帯びているようにも思える。でも、間違いない、あの声は、あの人は……
ホシノはゆるゆると、ぎこちなく起き上がった。
視線を向ければ、そこに彼女は立っていた。
白いシルクの手袋に黒い、ゆったりとしたコート。
不自然にくびれた手首……服装も、雰囲気も、自分が知っているものとは異なる。でも、でも、こちらに笑いかけるあの人は……
「……ユメ、先輩?」
「久しぶりだね、ホシノちゃん」
そう言って、ユメはホシノに笑いかけた。
生きていたのか、どうして今の今まで連絡をくれなかったのか、なぜ、このタイミングで……様々な感情がホシノの中を駆け巡る。でも、一番最初に浮かんだ感情は、泣きたくなるほどの安堵。
ホシノは、マットレスから降りると、彼女の元に駆け寄ろうとした。
「……え」
しかし、足が止まる。
彼女の頭上に浮かぶヘイローは確かに記憶にあるアビドスの校章に似たもの。
しかし、それは黒く染まり、砕けていた。あの、特務士官と同じように。
何より……未だ微笑んでいる彼女の背後に鎮座する……今日みたものと同じ傷だらけの特務士官。
……やはり、あの時初めて聞いた、ボイスチェンジャーのかかっていない特務士官の肉声は……
先程まで信じたくない最悪の可能性だったものが現実味を持って押し寄せてくる。
「……先、輩……先輩が、先輩が特務士官なんですか?」
気がつけば、ホシノはそう尋ねていた。
理性は、いい加減現実を見ろと嘯く。
感情は、苦痛をあげてそれを否定する。
最愛の後輩の、掠れた声。
それを聞いた、ユメは悲しそうに目を伏せた。
「そうだよ。私が、特務士官だよ」
「………な、なんで、」
優しかった先輩、人の悪意を知らず、いつも笑ってばかりだった先輩。
その人が、あの時私達を攻撃した、
私がいなくなった後、後輩たちをカイザーと共に襲撃した。
……あの時の出来事が嫌でも頭をよぎる。
気が立っていて、砂祭りのポスターを破り捨ててしまったこと。
その次の日の仲直りの散歩と銘打たれたそれの途中に起こった砂嵐で、先輩は姿を消した。
それもこれも、全部全部……私があの時、あんなことをしたから……?
「……ホシノちゃん、私は別にあの時の事を怒ってるわけじゃないよ。
ホシノちゃんがずっとあのことを気に病んでて、
あの時のポスターも大切にしてくれてるってことは知ってる
ただ、黒服さんと会って、私が変わっただけだから。
……そういえば、黒服さんにはスラスター周りだけでも修復してくれたお礼を言わなきゃ」
数年前といえど、あれだけの時を過ごした後輩だからだろうか。
ホシノが何を思っているのか読んだユメはそう言ってホシノを慰める。
……それが果たして、慰めになっているかは疑問だったが。
自分の敵の名を、先輩が親し気に呼んでいる……
それが、今の先輩と自分の壁を示しているようで……
「ホシノ先輩っ!」
「"ホシノ!!"」
その時、背後から声が聞こえたかと思うと、
シロコが、セリカが、ノノミが、アヤネが……そして先生が、ホシノの前へと進み出た。
ユメはそんな後輩達の様子を見ても、変わらず笑顔のままだった。
「みんな、やっと起きたみたいだね。ホントにごめんね〜、こんな時間に起こしちゃって」
「……えぇ、ほんっと迷惑だわ……アンタが出てきたせいで気分も台無しよ」
「特務士官をやってた先輩、でいいんだよね。今更何しに来たの?」
後輩達が、そんな言葉をユメに投げかける。
後輩達の誰もが、特務士官を敵意の籠もった目で睨みつけている。当然だろう、彼女達にとって、目の前の人物はホシノの様子がおかしくなった原因であり、ヘイロー、声、そしてその背後に控えるアーマーから見るに、特務士官でしかないのだから。
しかし、ホシノにはそれが堪らなく苦しいことで……
「ま、待ってみんな、先輩は、ユメ先輩は……」
「ホシノ先輩!?」
「ユメって、あの時あの人が言ってた?」
ホシノの口から発せられた弱々しい言葉に、彼女達に動揺が走る。ただ一人、先生だけがユメのことをじっと見つめていた。
「"君が、梔子ユメ……君自身が死んだと言ったホシノの先輩でいいんだよね?"」
「そうだよ、先生。こうして会うのは、ホシノちゃんには久しぶり、他の後輩ちゃん達と先生には初めましてになるね」
そう言うと、ユメは軽く自分の胸に手を当てた。
「元、アビドス生徒会会長で、一時期はカイザーPMCの特務士官としても雇われてたね。改めて名乗るならゲマトリアの所有物、実験体No.54梔子ユメだよ。よろしくね」
「実験体って言っても何だかんだ自由にさせてもらってるけどねー」と、ユメは何でもないことのように言った。
……生徒達は、何も言わない、ただ、呆然と彼女のことを見ていた。
「"……実験体って…"」
「そのままの意味だよ。私は自分の命と引き換えにアビドスの借金の半分と一切の権利を買われた。
……ホシノちゃんならわかるんじゃないかな」
「……!」
……本来なら現時点で9億超あった借金、それが唐突な土地代等収入、と言う説明の付きで半分がなくなったことがあった。
まさか、あれが……
ホシノの表情が驚愕と悲哀に染まってゆく。
それを知ってか知らずか、ユメは口を開いた。
「黒服さんに買われた後、いろんなことを知った。
希望でどうにかならない現実も、アビドスに降り掛かっていた悪意も、そして、それを乗り越えたとしても待ち受ける滅びも……」
懐かしそうに、空を見上げて、ゆっくりとユメは語る。
最後に一つ息をつくと、沈んたように視線を落とした。
「……最初は黒服さんの実験によって強くなって、全部守りたかった。実際に強くなった……でも、足りなかった。
だから、アビドスを切り捨ててみんなを守ろうとした……それだけだよ」
そこで言葉を区切るとユメは顔を上げ、先生に笑いかけた。
「だから、先生には感謝してるんだよ。先生は、カイザーを私を退けてみんなを救ってくれた。私が諦めたものも含めて全部。
それに……」
次に、ユメはホシノ達に目を向けた。
「みんなも、私の思うよりずっとずっと強かった。私がいなくても、きっと大丈夫だから」
温かい、温かい言葉だった。それでいて、儚く、壊れてしまいそうな笑顔だった。
……誰も、何も言わない。
「……今日はこの事を言いたかっただけだよ。
あとは……ホシノちゃんに会いたかったからかな」
それだけ言うと、ユメは背を向けた。
「じゃあね。多分、もう会えないかもだけど……」
……ユメは、立ち去ろうとしている。ホシノを置いて。
それに、彼女の言葉の節々に混ざっていた諦めに近い感情……
気づけば先生は彼女に声をかけていた。
「"ユメ!きみはそれでいいのっ!?"」
ユメの足が止まった。少しだけ顔を動かした彼女の右眼が、こちらに向けられる。それに宿るのは諦観か、未練か、
……先生は一つ息をつくと、彼女に語りかける。
「"私は、何も知らない。顔の傷の意味も、どんな経験をしてきたのかも。
……でも、きみだって、幸せになる権利はある、今からでも遅くない。みんなと……"」
「だめだよ、先生」
ユメが小さく答えた。確かな拒絶の籠もった意思、先生の言葉が途切れる。
ユメの視線が、ホシノの後輩達へと移る。
「私に今更後輩ちゃん達といる資格は……」
「そんなことない」
今度はユメの言葉が遮られた……シロコだ。
他の後輩たちも、もう最初の頃の敵意は感じられなかった。
少し、ほんの少しだけ、ユメが動揺した。
シロコの言葉に続けて、アヤネが言葉を続ける。
「あの時も言いました。先輩が私達を違う形で大切に思ってくいることは知ってると……」
「そうですよ。私達は、出会い方が不幸だっただけ。まだやり直せるんじゃないでしょうか?」
「……というか、そのなんでも1人で抱え込もうとするのが本当にホシノ先輩の先輩ポイっていうか……ともかく、少しは私達を信じなさいよ!」
アヤネが、ノノミが、セリカが、ユメに呼びかける。
その度に、ユメの身体が、少し少しと揺らぐ。
最後に、シロコが彼女に近づくいた。
「最初は、少しぎこちないかもしれない。
でも、きっと掛け替えのない仲間になれる。
それにホシノ先輩も、先輩がいないと、とっても悲しむ」
シロコが、ユメに手を差し伸べた。
更に、ホシノもユメの元に歩み寄る。
「ユメ先輩……私、頑張ったんだよ。みんなを守るために。アビドスを……先輩の残したものを守るために。
お願いだから、それを否定しないで」
泣き出しそうな声だった。ユメの身体が、更に揺らぐ。
しばらくの沈黙の末、ユメが動いた。
彼女の右手が、ゆっくり、震えながらシロコの元に伸びる……が、その手はやがて力なく落ちた。
「みんな優しいな……こう見えて私、押され弱いんだから。でも、だめなの」
ユメはそう言って俯いた。
シロコ達が、先生が、ホシノが、息を飲む。
「……私は、黒服さんに買われちゃったし、あっちには、あの子がいるから」
そう言うと、今度こそユメは彼女達に背を向けた。
もう二度と、振り返らないように。
「ホシノちゃんを買ったお金は口座に入れてあるから。借金を残さず返して、何百万かは手元に残る位はあるよ。アビドスを守り切ったみんなへのご褒美だと思って受け取ってね」
ユメはそれだけ言うと、背後に鎮座するサイコ・ザクへと歩きだす。しかし、それも長くは続かなかった。
その足がつんのめるように止まる。
ユメが背後を見ると、ホシノが自身の右手を掴んでいた。
「……ホシノちゃ「嫌だっ!!」」
ユメの声をホシノが掻き消した。
「行かないでよ!折角……折角会えたのに離れ離れなんて嫌だ、絶対に認めない!!
離さない……離してなんてやるもんか。私の側に
カシャン
金属が落ちる音がした。フッと身体が軽くなったかと思うと、そのままホシノは後ろに倒れた。
「……え」
何が起こったのかわからず、ホシノは未だ手の中に残るそれをみた。
……細い義手だった。関節を動かす最低限の機構しか持っていないとても粗末で、古ぼけたものだった。
「……ホシノちゃんのほっぺた。すごくぷにぷにして柔らかいんだよ」
声が、聞こえる。
その方をみれば、ユメが、先程まで右腕があったはずの場所を見ていた。
「……もう一度、触りたかったな」
それだけ言うと、ユメはサイコ・ザクへと手を差し伸べた。
ガコン
胸部の装甲が開き、そこから無数のアームが伸びて来たかと思うと、ユメの身体を絡め取る。
「!ま、待って、」
ホシノが慌てて立ち上がるも、その時にはユメはその内部に完全に取り込まれていた。胸部装甲が閉まり、アームが彼女の四肢の義手と義足を取り外し、先端についた電極に各部を接続してゆく。
グポン
サイコ・ザクのカメラアイに光が灯ると同時、その身体が起き上がる。ジェネレーターが唸りをあげ、スラスターに光が灯る。
「お願い、待ってよ……っ!」
ホシノが追いすがる。けれど、僅かな差でサイコ・ザクが飛び上がるのが先だった。ホシノの指先を、装甲が掠める。
「……さよなら、みんな」
ユメはそう言って手を軽く振ると、上空のヘリコプターに向けて飛跳した。
……すぐに、そのスラスター音も、光も消え去り、夜の静寂がアビドスに戻る。
「あ、ぁああ……」
ホシノが、かすれ声をもらしてその場に蹲る。
ポタ、ポタとコンクリートに大粒の涙が吸い込まれてゆく。
「ユメ先輩……なんで、どうして……」
その声は、夜空に吸い込まれて消えた。
どもー、時空未知です。
ということで今回の作品はいかがだったでしょうか?
……今回でアビドス編を終わらせるつもりが、思った以上に筆が乗りまして、伸びに伸びてしまった。
さて、ここでひとつ今後の展開についてアンケートが、正直どれにしようか迷いに迷ってまして……個人的にはヤンデレ化が一番好き
追記:アンケート作った後でさらなる分岐を思いついてしまったため再投稿。申し訳ない……
ホシノの今後についてどれがいい?
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何とか立ち直ってユメ先輩を連れ戻す。
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ヤンデレ化してユメ先輩を監禁する。
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ホシノちゃん壊れちゃった……
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ユメ先輩とおそろい()になる