楽園に雷光は走る   作:時空未知

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感想、高評価、ありがてえ……ありがてえ……


廃墟に響くフリージャズ

 

「ねえ、お姉ちゃん……」

「しっ、静かに」

 

モモイがミドリに鋭く声をかけ、物陰に身を潜める。

……そのすぐ側を紺色のオートマタがカシャン、カシャンと音を立てて通り過ぎていった。モモイはもう一度ヒョコリと物陰から顔を出しそれを確認すると、一息ついて額の冷や汗を拭った。

 

「ひゅー、もう行ったかな?危なかった……」

「危なかった、じゃないよ!何なのここ!!」

 

そう自分の姉に抗議の声をあげるミドリだったが、等のモモイも誤魔化すように肩をすくめる。

 

「い、いやー。危険な場所だとは聞いてたけどまさかこれ程とはね……」

「"こ、ここはどこ……私は誰…?"」

「あ、先生のステータスが混乱状態になってる」

「うわわわ、どうしようどうしよう!?」

 

記憶喪失じみた発言をする先生にミドリが悲鳴を上げた。

現在、彼女たちはモモイの提案で、連邦生徒会長失踪前までは厳重な監視体制を敷いた上で立入禁止となっていた場所、廃墟に来ていた。

文字通り、文明の跡地を瓦礫や蔦、植物が彩る退廃的な景色が広がるその場所……何故だか非友好的な空気をか持ち出す謎のオートマタが歩き回っている事を除けば静かな場所であった。

お陰で物陰にさっきから隠れっぱなしの彼女たちであったが、唯一イオだけが余裕そうである。

 

「立入禁止って噂を聞いて警戒してみればさっきからただのオートマタしか居ねえな……毒蛇が潜んでる嫌な感じもしねえし、

ホントにここが危険区域か??」

 

ざっと辺りを見回す彼女は、左手に電子バトンとグレネードをマウントしたシールド、右手にシールドを取り付けた2連ライフルを装備していた。警戒感というものが欠片も感じられない。

そんな彼女のスカートをミドリがグイグイと引っ張った。

 

「先輩も早く隠れてよ!!今、先輩はフル装備じゃないし……というか何でいつもの背中のウェポンラックをもってきてないの!?」

「うん?それはだな、あれは弾薬の消耗が激しいから経費がセミナー持ちのC&Cの任務でしか使わねえんだ……ってわかった、わかったからそれ以上スカートを引っ張るなっ!!」

 

恐怖によるものかミドリのスカートを引っ張る力がとんでもなく強くなり、縫い付け部分がミチミチと音を立て始めたため、イオも慌ててその場にしゃがむ。

 

「"ウェポンラック……?"」

 

ショック状態からいつの間にか回復したのか、聞き慣れない単語に首を傾げる先生。

そんな彼女に、イオはその事を話すか少し迷ったようだったが、すぐにどうせ話しても大したことはあるまいと思い直した。

 

「あー、普段もう片方の部活の任務の時はこれに追加で背中にいくらか装備を盛るんだよ。戦闘するときはあっちも装備してることがほとんどだ。ま、だからと言って今の装備であんなガラクタ相手に遅れを取るつもりは毛ほどもないが……」

「"え、今でもかなり重装備だと思うけど……"」

 

先生がそういうのも無理はない。今まであってきた生徒たちはほとんどがメインウェポン1つのみ。サブで手榴弾やミサイルドローンを持っていたりするがイオのように目に見えてわかるほどゴテゴテと持っていたりはしなかった。

当の本人はと言うと、先生の言葉にわかってないな……とばかりに首を振った。

 

「これじゃあ全然足りないね。重装甲かつ高火力、それで無理矢理押し通れば大抵の事はどうにかなる。俺からすれば俺以外この戦法を取るやつがいないほうが驚きだね」

「イオ先輩、そういうのは……えと、」

「言うは易し、行うは難し。だよね」

「そう!それ!!」

「お前達までそう言うか……」

 

モモイとミドリの反応を受けて、わざとらしく天を仰ぐイオだったが、直ぐに真面目な表情に戻ると改めて辺りの様子を伺った。

 

「……しかし、目標が何処にあるか見当もつかないのがアレだな。この中を隠れながら移動するには限界がある」

 

イオの言葉通り、目に見える範囲だけでもオートマタの数はかなり多い。

更に時折お互いに通信しているような動作も確認できる為、

下手な行動をすれば見えない範囲にいる相手までが、一斉に押し寄せてくるだろう。

さて、どうしたものかとイオが考えたその時、

 

「あ、先輩!そのことなんだけどG.bibleが最後に観測された発信座標も貰ってるの!」

「本当か!?」

 

モモイが今思い出した、と言わんばかりに前提を覆す発言をした。その言葉にイオは喜色の乗った驚きの声をあげる。

G.bible……それが今回の目標だ。稀代の天才ゲーム開発者が残したゲームの聖書。どのようなものかは一切不明だが、その中には神ゲーを作ることができる何かが記されているという……

イオ自身は期限ギリギリまで廃墟中を探索するつもりだったが、大まかな位置が解っているとなれば話は別だ。

 

「モモイ、その座標を教えてくれるか?」

「え?うん。いいけど……」

 

モモイはそう言うと、自分のスマホの画面をイオに見せた。

イオはその座標と、地形図を素早く読み込む。

その時間、僅か10秒ほど。

 

「……よし、解った。先生にも見せてやってくれないか?」

「了解!」

「"お、モモイ、ありがとう"」

 

先生はその画面をチラリと見て、懐からタブレットを取り出して短く操作すると、よし、と小さく頷いた。

 

「"大体、ここから2km先の地点だね……よし、少し遠回りになるけど比較的安全なルートも算出できたから……"」

「おっと、その必要はない」

「"え?"」

 

頼りになる相棒からの結果が返ってきたので、その事を報告する先生だったが、それはイオに遮られた。

ポカンとする先生を余所にイオはどこからともなくティッシュを取り出すと、軽く鼻をかんでから、口を開いた。

 

「あんたらは最短ルートで目標の座標まで行ってくれ。俺はあとから合流する」

「"え、ちょ、ちょっとイオ!?"」

 

そういうが早いか先生の静止も聞かず、イオは無数のオートマタが展開する瓦礫の散らばる大通りへと飛び出した。

当然、突然視界内にあらわれた彼女に、オートマタ達のカメラアイが集中する。

無数の銃口が自身に向けられる中、イオは懐のポケットに手を入れた。

 

瞬間、

 

 

「"うわっ!?"」

 

離れた位置にいた先生も思わず驚くほどの大音量の音楽が、周囲一帯に響き渡った。この音楽は……

 

「"ジャズ?"」

 

先生が思わずそう呟く中、イオは正面に展開するオートマタ達に向けて2連ライフルの銃口を向ける。

 

「よお、ガラクタ共。ジャズが聴こえるか?」

 

そう言うと、イオは凶暴に、獰猛に口元を吊り上げて笑った。

 

「そうだ、奏者は俺だ……よそ見するんじゃねえぞっ!!」

 

瞬間、イオがいる場所に正面から大量の弾丸が放たれた。それに対してイオが取った行動は単純だった。正面にシールドを構え、全速力で吶喊する。

全ての弾丸を弾きあげながら先頭のオートマタの一機の10m圏内まで接近したイオは左的のシールドに全身を隠しながらライフルを構えた。

 

轟音。

 

オートマタが着弾の衝撃で弾け飛び、そのモニターから光を失う。その確認すら惜しいと言わんばかりにイオは敵陣の中央に滑り込んだ。相手にもフレンドリーファイアの概念があるのだろうか、イオへの攻撃が一瞬弱まる。

その一瞬の隙をついて、イオはシールドから取り外した円筒形の何かを上空に投げ上げた。

瞬間、

 

カッ

 

円筒が破裂したかと思うともう一つの太陽と見紛う閃光と轟音が、鳴り響くジャズの音を一時的に掻き消した。

閃光弾だ。

イオの方を注目していたオートマタの動きが完全に止まった。

無論、その大きな隙を見逃すイオではない。

素早く起き上がると2連ライフルを構える。

 

「はっ!次から遮光ガラスを採用してくることだな!!」

 

イオの煽りと共に轟音が連続する。

束ねられたライフルが交互に発射され、その度に車線上にいたオートマタが大きくのけぞる。

あっという間に、イオの周辺に展開していたオートマタは

その数を片手で数えられるほどに減らしていた。

その蹂躙劇をあっけを取られて見ていた先生だったが、

後方から来つつある敵の増援を見てはっと我に返った。

 

「"は、早く助けなきゃ……!"」

「ちょっと先生!?」

 

そのまま瓦礫を乗り越えようとする先生。しかし、後方からミドリに突然服を押さえられたため

ビターンと倒れる羽目になった。

顔をしたたか地面にぶつけて悶絶する先生。

その様子を見て慌てふためくミドリ。

 

「せせ、先生っ!大丈夫ですか!?」

「"あいたたた……な、何とか……"」

 

そう言いながら起き上がる先生。鼻血ブーしているものの他にこれと言って問題はなさそうである。

それに、そんなことよりも先生はやらなければいけないことがある。

 

「"そ、それよりイオを……"」

 

そう言って先生が振り向いたその時、爆炎が辺りを彩った。

発生源はイオが投げた3発のグレネードによるもの。

それにより敵の戦線に大穴が開く。

更に……

 

「なるほどな……頭に識別用の発信機がついてんのか。こいつはいい……!」

 

当の本人は辛うじてカメラアイの光が点滅しているオートマタの頭を手に持ち、反撃が散発的な他のオートマタを一方的に撃滅していた。

……なんかもうオートマタのほうが気の毒になってくる。

そんな光景だった。

 

「……いつもより装備が少ないからちょっぴり心配したけどやっぱり思い過ごしだったね。先輩は先輩だよ」

 

その光景を呆れたように見つめるモモイ。

それに対し、理由もわからず再び呆然と見つめる先生に、ミドリは軽く説明した。

 

「C&Cコールサイン04、迅雷イオ先輩……

強さそのものもありますが、それ以上に情け容赦ない戦術や戦闘スタイルで有名なんです……多分、助けなくても大丈夫ですよ、先生」

「"……そうみたいだね"」

 

先生はそう言うと、モモイたちと一緒に指定の座標まで移動を開始した。 

 

 

___________________________

 

 

先生達の道中は極めて順調だった。道行く先のオートマタはほとんどイオ相手に出払っているらしくほとんど居らず、

いたとしても先生の指揮があるモモイとミドリの敵ではなかった。

どうもイオ自身もこちらとは別ルートで目的地に移動しているらしく、ジャズの音も途切れることはなかった。

そして……

 

「ふう……やっと着いたよ」

 

数分後、座標が示す廃工場に先生達はたどり着いた。

工場内は不気味に静まり返っており、ひんやりとした空気も感じられる。外とは打って変わって何かが動く気配すらない。

 

「……うーん、やけに静かですね」

「やめてよお姉ちゃん。絶対それ何かあるやつじゃん」

 

フラグじみたことを言い出すモモイをミドリが軽く小突く。

……確かに、こんな薄暗い場所で突然襲われるのは真っ平である。

先生がそんな事を思っていたその時、

 

 

バゴオオオン!!!

 

近くのコンクリート壁がとてつもない音を立てて唐突に砕け散った。

 

「「「"ひきゃああああああああっ!?"」」」

 

続けざまに3人分の甲高い悲鳴が上がる。

モモイとミドリと先生は、思わずお互いの体を庇うように抱き合って飛び上がった。

 

「ほ、ほら、お姉ちゃんがあんなこと言うからああああっ!!」

「びえええ、私だってわかんないよそんな事ぉ」

「"ど、どこの誰かわかんないけど食べるなら私から……"」

「……人をなんだと思ってるんだお前ら……って先生もかよ」

 

半泣きになってその場にうずくまる3人のの頭上から、聞き慣れた声が降ってきた。3人が恐る恐る見上げると、先程と比べて粉塵や灰で若干煤けたイオが呆れ顔で見下ろしていた。

彼女の姿をしばらくポカンと見つめていた3人だったが、

やがて緊張が抜けきったのかその場にへたり込んだ。

 

「な、なんだ。先輩か……びっくりさせないでよもう」

「"な、なんで入口あるのに無理矢理……"」

「あー、想定以上の敵が来てな。建物を爆破して入って粉塵にまぎれて逃げ切ろうと思ったんだよ」

 

その言葉通り大音量で流していたはずのジャズはもう聞こえていない。

そこまで言うと、イオはちらりと後方を見た。

……彼女の言葉通りなら、オートマタたちがひしめく音が聞こえてもいいはずだが、そのような音は全く聞こえない。

 

「……だが、ガラクタ共が入ってこないのは予想外だな。もしかして偶々目標地点が奴らの防衛対象だったのか?」

「"……そうみたい、だね。私たちの方も何かいる気配は感じられなかったし"」

 

イオが来るまで何もなかったことと、たった今アロナから出て来た調査結果から見てそう判断した先生はイオに言葉を返すと、よいしょと起き上がった。続けてモモイとミドリも立ち上がった。

 

「そういえば先輩、いつもみたいに派手に戦ってたけど弾薬は余ってるの?」

「問題ない……と言いたいところだが閃光弾を使いすぎた。

帰りは先生が提案したルートを辿ったほうが確実だな。

……それより」

 

イオはそこで一旦言葉を区切ると辺りを見回した。

 

「……ここは一体何なんだ?見たところただの旧式機械の並んだ廃工場だ。あんな無駄に性能がいいオートマタを配備する価値は正直ない」

「確かに、実は連邦生徒会が非常時に使うための秘密兵器って訳でもないだろうし……一体」

 

イオの言葉にモモイも追従する。

その言葉につられて先生があたりの様子を探ろうと振り向いたその時だった。

 

 

[接近を確認]

 

 

突然、辺りに電子音声が響いた。

 

「!!構えろっ!」

「え、えっ!?」

 

瞬間、先生らの身体が下にグンと引っ張られる……イオだ。

考えられるものは自動砲台かトラップか……

敵襲を警戒する彼女だが、他の3人は唐突すぎて状況がよくわかっていないようだ。その時、更に電子音声が響く。

 

[対象の身元を確認します]

「……あ?」

 

その内容は、少なくともイオが予想したものとは大きく異なった。彼女が疑問の声をあげるが、電子音声は答えない。

ただ淡々と音声を連ねるのみだ。

 

[才羽モモイ、資格がありません]

「え、え!?なんで私のこと知ってるの?」

 

モモイがこれの異常性に慌てふためくが、やはり音声は止まらない。

 

[対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません]

「私のことも……一体どういう?」

 

その電子音声は、ミドリの名前も言い当てた。

そして次は……

 

[対象の身元を確認します。迅雷イオ]

「……」

 

立ち上がりはしたものの、未だ警戒を続けているイオ。

自分の名が告げられ、彼女は身を硬くする。

モモイとミドリのが即座に資格がないと告げられたのに対し、

イオの判定を告げるのには少しの時間が空いた。

 

[……資格がありません]

「……考えすぎ、か」

 

結果は今までと変わらず。誰にも聞こえないほど小さくイオがそう声を漏らす。

 

「先輩の判定?の結果までかなりのタイムラグがあった……なんでだろ?」

「そりゃあミドリ。単純に俺が2年生だからだろ。先生ならもっとラグが長くなるんじゃないのか?」

 

……嘘は言っていない。

何なら普通に考えてそっちの可能性のほうが高い。

ミドリの疑問を適当にはぐらかしつつイオは先生の方をちらりと見た。それに対して先生は少し怒ったように腰に手を当てた。

 

「"だめだよイオ。女の人の前で年齢の話は厳禁なんだから"」

「いや、事実を言っただけじゃないか先生?

そんなことより、そろそろ判定とやらが出るみたいだぞ」

「"え、あホントだ!?"」

 

くだらない話をしていたら、いつの間にか電子音声は先生の

[判定]に入ったようだ。先生は慌てて電子音声の回答に耳を澄ます。

 

[……………]

「あれ?」

 

しかし、その回答が目に見えて遅い。さながら深く考え込むように……

 

「……やっぱり歳の話か」

「"あー、あー、聞こえない聞こえない"」

 

ニンマリ笑って再び先生をからかい始めるイオ。

それに対して先生は両耳を塞いで対抗する。

モモイはその様子を見て大笑いし、ミドリは止めようか止めまいかオロオロしていたその時。

 

[資格を確認しました。入室権限を付与します]

 

電子音声が、そう告げた。

 

「……これは面白いことになってきたな」

「ええっどういうこと!?いつ先生はこの建物と仲良しになったの!?」

「"わ、私にもさっぱりだよ!?"」

 

モモイだけでなく先生まであたふたとする中、電子音声は続ける。

 

[才羽モモイ、才羽ミドリ、迅雷イオの3名を先生の[生徒]として認識、同行者である[生徒]にも入室権限を付与し、下部の扉を開放します]

「"……え、下部?"」

 

……一応、正面にも扉はある。だと言うのに何故か電子音声は下部の扉と言った。

下に隠し扉でもあるのだろうか?まさか床が落とし穴のように開くわけでもないし……

若干嫌な予感を覚えた先生は、現実逃避気味にそう考える。

生憎、その予感は的中することとなったが。

 

 

ガチャン

 

 

「"え、"」

 

足元で音がしたかと思うと、ガクリと身体が下に沈み込む。

先生はガクガクと首を動かして地面を見る。

……その目に徐々に自身が立っていた地面が開こうとする光景が

飛び込んできた。

 

「床がっ!?」

「わわわ落ちるっ!!?」

「"モモイ、ミドリっ!?"」

 

ちょうど中心当たりに立っていたモモイとミドリが真っ先に落ちようとしている。それを視認した先生はほとんど反射的に彼女たちの足元に向けて壁と同化しつつある床を蹴った。

……その時、

 

「全員、俺に掴まれっ!!」

 

吠えるような声が響くが早いか、先生の身体が華奢な腕に絡め取られた……イオだ。

彼女は地面が開き始めるのを視認する否や、両腕の武器を即座に投げ捨て、まずモモイとミドリのクッションになろうとしている先生を抱きかかえ、そのままミドリとモモイの真下まで移動。

イオの言葉がギリギリ届いていた2人は目の前に現れた恐らくイオと思われる人物にしがみつく。

その感触を受け取ったイオは、先生を両腕で抱え上げると脚を着地のときに備えて構えた。

 

ドスンっ!!

 

幸いにも、そこまで底までの高さはなかったようで、着地の瞬間はすぐに来た。背後で投げ捨てた武器が落ちる音が聞こえる中、イオはホッと溜息をつくと、恨めしそうに自分たちが落ちてきた場所を見上げた。

 

「あぶねぇ……この構造を考えたバカを見つけたらぶん殴ってやる……」

「"ちょ、ちょっとイオ、大丈夫なの!?"」

 

そんな彼女に、先生は慌てて声をかける。

大人1人、と少女2人、計3人分の着地の衝撃を一身に受けたのだ

心配するのは当然と言えば当然だ。

しかし、イオはそんな先生にフッと笑いかけた。

 

「安心してくれ、先生。いつも任務中はこれと同じぐらいの装備を担いで走り回ってるからな。これ以上の高さから着地したこともあるし大した事ない」

「"そ、そっか……それなら良かったよ"」

 

それを聞いてようやく安心したのか、先生は胸を撫で下ろした。

……そしてしばらく、両者そのままの体勢で沈黙する。

即ち、先生がイオにお姫さまだっこされている体勢のまま……

しかも、背の高く、顔の作りが凛々しい寄りの少女に顔を覗き込まれている状態であり……

そのことまで思考が行き着いたのは先生の頬が、ぽっと赤くなる。

 

「"イ、イオ……その、顔が……"」

「顔?顔に一体……」

 

そう言いかけたところでようやくイオもそのことまで思考が行き着いたらしい。だが、先生とは対象的にイオが作った表情は呆れ顔だ。

 

「いや、そんなに気にすることか?同性同士だし……」

「"い、いや、でもその……"」

「うわわわ、お姉ちゃん……」

 

その時、そんな2人にミドリの声が聞こえた。見ると、彼女もその様子を見て頬を染めている。

そんな妹の声に、モモイはなるほどと頷いて言った。

 

「やっぱり、イオ先輩が女好きと言う噂は本当……」

「"え゛っ"」

「……っ!!断じて違うっっ!!!!」

 

今度こそイオの顔が羞恥で茹だったように真っ赤になり、

一帯に、彼女の渾身の叫びが虚しく響き渡った。

 




どもー、時空未知です。
というわけで今回の作品はいかがだったでしょうか?


先生、お前はいつから自分が生徒の脳を焼く側だと錯覚していた?
……私は一人称俺のカッコいい系メイドにお姫さまだっこされたら脳の回線が焼ききれる自信があります。皆さんはどうですか?
それはそうとエミュがやっぱり難しい……

さて、次回でいよいよアリスとの対面です。
お楽しみに……
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