目の前に鎮座する明らかに異質なそれに思わず首をかしげるイオ。
そんな彼女に背後から一つの人影が近づく。
「ふっふっふ……よくぞ聞いてくれましたっ!!」
「うおっ!?……ってコトリかよ」
イオの背後から声をかけたのは特徴的なメガネをかけた少女、豊見コトリであった。
テンション高く現れた彼女に、イオは口にこそ出さなかったもののコトリの豊富な知識から繰り出される無限説明地獄が始まるのではないかと思い若干表情が死ぬ。
最も、それは杞憂に終わったのだが。
「皆さんの疑問ももっともなこと……これはエンジニア部の下半期の予算、その内の約70%近くをかけて作られた、エンジニア部の野心作、宇宙戦艦搭載用レールガンです!!」
「宇宙戦艦だぁ…?」
「宇宙戦艦、って……またとんでもないものを……」
モモイとイオが思わずそんな声を漏らす。ミドリとアリスも、声にこそ出さないものの驚いた様だった。特に、アリスに関して言えば目がキラキラと輝いている。コトリはなお、テンション高く続ける。
「エンジニア部は今、ヘリコプターや汎用作業ロボットに続いて宇宙戦艦の開発を目標としているのです!このレールガンはその最初の一歩、大気圏外での戦闘を目的として開発された実弾兵器!明らかに類を見ない初の試みです!」
「かっこいい……聞いてただけでワクワクしてくる!」
「流石ミレニアムのエンジニア部!」
「……相変わらず大層なことだが、予算がこれだけで70%飛んだのは痛いな」
ミドリとモモイが口々に褒める中、イオはレールガンを見つつ少し残念そうにそういう。その言葉は、この場にいたエンジニア部の面々にかなり刺さったようだ。
「あはは……先輩の言う通り、予算の大部分を使い切ったせいで他の部分は全く出来てないんですよね……技術者達の足を引っ張るのはいつも創造力の欠如ではなく予算……」
「お前らの作ったロボなりを売ったり機材の修理なりで稼げないのか?お前らの技術があれば引っ張りだこだろ」
「それはそうなんだけど、予算ができたらすぐに他のものの開発費に充てちゃうから……これが全く貯まらない」
「……ダメじゃねえかよ」
イオの言葉に答えたのは垂れた犬の耳を持つ少女、猫塚ヒビキである。少し残念そうな言葉とは裏腹に、後悔はしていない、と言わんばかりの様子の彼女にイオは頭を振った。
「そんなの計画段階でわかることじゃん!どうしてこのレールガン、完成まで持っていっちゃったのさ!?」
「お姉ちゃんがそれ言う……?」
そんなエンジニア部の有り様に、モモイが正論かつ自分にもブーメランが突き刺さりまくっている言葉を投げかける。
それに対して、部長であるウタハはフッと笑った。
「愚問だね、モモイ……ビーム砲は、ロマンだからだよ」
「その通りです!ビーム砲の魅力がわからないなんて、全くこれだからモモイは……」
ウタハの言葉にコトリが同調する。ヒビキも声にこそ出さないものの、部長にして自分の、同志の言葉にコクリと頷く。
「……そうか(諦)」
「馬鹿だ!頭良いのに馬鹿の集団がいる!!」
火力と取り回しさえ良ければ武器は何でもいいイオ等、アリスを除くエンジニア部の勢いについていけなかったゲーム開発部の面々はなんとも言えない表情になる。しかし、そんな事気にしないと言わんばかりに彼女らは続ける。
「エンジニア部の情熱が注ぎ込まれたこの武器の正式名称は……
光の剣:スーパーノヴァ!!」
「また無駄に大袈裟な名前を……」
ミドリはそのあまりにもな名前に若干呆れていた様子だったが、
そばにいたアリスは違う様子だった。
「ひ、光の剣……!?」
「あ、アリスの目が輝いてる……!?」
「おいおいまさか……」
「アリスちゃんがこんなに興奮してるの、初めて見たかも」
……ありとあらゆる知識をゲームから拝借し、糧としてきたアリスにとって、
光の剣という単語はあまりにも毒だった。
「わあ、うわぁ……」と感嘆するアリス。
そして彼女は意を決したのか心なしかキリッとした表情になると、ウタハ達の方を向いた。
「……これ、欲しいです」
「……え?」
ヒビキから思わずそんな声が漏れた。他の2人もその言葉にポカンとする。そんな彼女達にアリスはズイッと近寄る。
「偉大なる鋼鉄の職人よ、あの竜の息吹が欲しいのだ」
彼女は期待に満ちた表情でそう言う。
……が、その返答は渋いものだった。
「うーん、そう言ってくれるのはうれしいのだけど……」
「申し訳ないけどそれは出来ない相談なんですね…」
ウタハとコトリは申し訳無さそうにそう言った。
アリスやモモイが明らかにショックを受けた表情になる中、イオのみやっはり、と言いたげな表情になる。
「何で!?この部屋にあるものなら何でも持って行っていいって……」
「モモイ、よく考えてみろ。そもそもあれ、マトモに携行できるような代物じゃないだろ」
「……あ」
不満げなモモイだったが、イオにそう言われたことで、そのことに気がついたのかポンと手を打つ。
対するアリスはまだピンと来ていないようだ。
「……?アリスのレベルが足りないのですか?装備可能レベルを教えて下さい」
「いや、悪いがそういった問題ではなくてだね、もっと現実的な問題なんだ」
自信の知識の中からそれらしい回答を導き出したアリスがそう尋ねるが、それにウタハは首を振ると、説明を始めた。
「さっきイオが言った通り、この武器は個人の火器として使うには大きくて重すぎる」
「なんと、基本重量だけで140kg以上です!更に、光学照準器とバッテリーを足した上で砲撃を行うと、瞬間的な反動は200kgを超えます!」
……そう。本来、このレールガンは艦砲。そもそも個人携行を前提に開発されていない。いくらキヴォトス人といえどまともに扱えるわけないのである。
「うっ……で、でもイオ先輩ならもしかすれば……」
「俺が使ってどうすんだよ。第一、持ち上げられたとしてあれは得物として取り回しが最悪すぎる」
「……(ショボン)」
光の剣を使えないという現実を突きつけられ、アリスがしょんぼりと肩を落とす。……心なしか瞳が潤んでいるようにも見える。
それに気がついたイオは、迷ったように頬をかくと、アリスの肩を叩いた。
「ま、そう気を落とすな、アリス。
ゲームのストーリーだって、全てが順風満帆ってわけじゃないんだ。まだここを全部見終え……探索し終わったわけじゃないし、他に何かないか探そうぜ」
「そうだよアリス!もしかしたら、もっとレアなアイテムがあるかもしれないし……」
「それに、エンジニア部みんなからアリスの専用武器も作れるかもだし……」
「モモイ……ミドリ……イオ……」
仲間たちに励まされたからか、若干元気になってきたアリス。そんな彼女にウタハが声をかける。
「……これをかっこいいと言ってくれただけで、私達はうれしいよ。ありがとう。持っていけるならば本当にあげたいところだけど……」
ウタハがそう言ったその時、アリスがパッと顔を上げた。その表情は、先ほどと同じようにうれしそうに輝いていた。
その様子に全員がきょとんとする中、アリスはウタハに近寄った。
「汝、その言葉に一点の曇りもないと誓えるか?」
……と言っても言い回しがあれだったのでイマイチ意図が伝わりにくかったが。
「……えっと?」
「た、多分ですが、[本当なのかって]聞いてるんだと思います」
ミドリの解説でようやく理解がいったのか、ウタハがアリスの言葉に驚きで目を見開く。
「もちろん嘘は言ってないが……それはつまり、あれを持ち上げるつもり、ということかい?」
その言葉に、アリスはコクリと確かに頷いた。
その瞳には一点の曇りもない。確固たる意志が宿っていた。
場にいる生徒たちが息を呑んで見守る中、アリスはレールガンに近づき、銃身の下の方をつかむ。
「この武器を抜く者……この地の覇者となるだろう!」
「ふふっ、なるほど。意気込みは素晴らしいですね!」
まさか持ち上げられるとは思っていないのだろう。コトリがそう言う。
そう思うのも無理はないだろう。いくらロボットといえどアリスの姿は小柄な少女のそれに過ぎない。ただの少女がレールガンを持ち上げられるわけがないのだ……
「ふっ……!」
「無理は、しないほうがいい……クレーンでも使わないと持ち上がら……」
アリスが腕に力を籠める。
それを見てヒビキが「持ち上がらない」と、そう言いかけた、その時、
ズズズ……
周りにいた人々の身体を、僅かな振動が貫いた。
「まさか……」
「えぇぇっ!?」
「……オイオイ冗談だろ?」
誰もが驚き、振動の根源を見た。
そこには、確かにレールガンを持ち上げた……
しかも、一切無理をしている様子なくレールガンをそれらしく構えるアリスの姿があった。
「も、持ち上がりました!」
「嘘……信じられない」
ヒビキが思わずそう呟く。
しっかりと保持されたレールガンは、それが元々アリスの為だけに作られたかのように、彼女によく似合い、その銃口を高々と空へと向けていた。その時、アリスは持ち手付近に何かを見つけたようだ。
「えっと、このボタンは……Bボタンでしょうか?」
「え?」
モモイらゲーム開発部はよくわからず首を傾げる。
しかし、開発者たるエンジニア部のメンバーは違った。
「ま、待って……!」
慌ててヒビキが止めに入るがもう遅い。
アリスがボタンを押した瞬間、銃口が展開。
強力な磁力の発生により弾丸がプラズマの光に包まれる。
アリスは、ほとんど反射的に足を開き、射撃の体勢をとった。
「……っ、光よ!!!」
瞬間、辺りが閃光に包まれた。
周囲一帯を一瞬で音速をはるかに超える速度まで加速された弾頭により発生した衝撃波が舐める。
そして……
「ああああ!?わ、私達の部室の天井があっ!?」
エンジニア部の部室の天井に、見事な大穴が空いていた。
射線上にあった物を全て消し飛ばしたのか、破片は疎か粉塵すら落ちてこない。
「……すごいです」
その圧倒的な火力に、アリスはほれぼれとしてそう呟いた。
「……く、はははっ!さいっこうだな!アリス!!いいもん見つけたじゃねえか!」
その横では、呆然とする仲間たちに混じって、その破壊力に爆笑するイオの姿もあった。イオはひとしきり笑い終えると、ウタハの方を見る。
「ふう……なぁ、ウタハ。うちのアリスがあれを持っていっても、問題ないよな?」
「構わないさ。持っていってくれ」
イオの言葉に、ウタハは頷いた。
「ウタハ先輩……本当にいいんですか?」
「ああ。どちらにせよ、この子以外には使えないだろうからね。ヒビキ、後でアリスが持ち運びやすいよう肩紐と取手の部分を作ってあげてくれ」
ショックから復帰したのか、ミドリも頷いたに話しかける。しかし、ウタハの言葉が揺らぐ様子はない。
他の2人も名残惜しそうでは有るが、異論は無いようだ。
「うわ、なんだかものすごい武器を貰っちゃったね!ありがとう!」
「あ、ありがとうございます!」
「ありがとうございます、ウタハ先輩」
ゲーム開発部の面々が口々にお礼を言う中、ウタハはニヤリと笑った。
「いや、お礼にはまだ早いさ」
「え?」
その言葉にモモイがキョトンとする中、彼女はヒビキに指示を出す。
「さて……ヒビキ、以前に処分要請を受けたドローンとロボット、全機出してくれるかい」
「……うん」
ウタハの言葉を受け、ヒビキが部室の奥へと消える。
その様子を見て、嫌な予感を覚えるモモイとミドリ。イオの方も何か察したようだが何も言わない。
「えっと……ウタハ先輩?なんだか展開がおかしいような……」
「これってもしかして、[そう簡単に武器は持って行かせない!]みたいなパターンじゃない!?」
モモイがその嫌な予感の正体を口にすると、2人はバッと勢いよくウタハの方を見た。それに対して彼女は一言。
「その通りさ。その武器を本当に持っていきたいのなら……」
「私達を倒してからにしてください!!」
いつの間にかコトリが、愛用のミニガンとドローンを引き連れて部室内に展開しているではないか。
……ゲームの中ではお約束だが、まさか現実にこんなことが起こるとは思わなかっただろう。
「!?」
「ぶ、武器1つのためにここまで……?」
「で、でもこっちにはレールガンを持ったアリスとC&Cのイオ先輩が……」
動揺するアリス、ミドリ、モモイ。しかし、モモイはいち早くそのショック状態から立ち直った。そう、こちらにいるのは戦闘のスペシャリスト、いくらなんでも負けるわけが……しかし、現実は非情である。
「あ、俺は参加しないぞ」
「「え゛っ!?」」
ひらりと手を振ったイオに対し、ミドリとモモイが一斉に彼女の方を振り向く。それに対して、イオは肩をすくめた。
「この際、俺みたいなバランスブレイカーが参戦したら野暮ってもんだろ。やるならば、お前達の力で試練を突破してみせろ」
「ふふっ……君ならわかってくれると思ってたよ。そうでないと、[資格]を確認する意味がないからね」
イオの言葉に、ウタハもそう言う。
そんなやり取りをしている間にもドローン軍団は徐々に接近してくる。
「前方にドローン及びロボットを検知、敵性反応を確認!」
「う、ぐぐ……や、やってやる、やってやるもん!!イオ先輩の力が無くたって、
私達とアリスがいればなんとでもなるはずっ!」
「ああ、もうっ!」
アリスは冷静に敵を見据えながら、モモイとミドリは半ばヤケクソ気味に戦闘に突入した。
________________________
エンジニア部のロボット、ドローン混成部隊の内容は
とても簡単でシンプル、しかし堅実なものだ。
正面から物量に優れたロボットを並べ立て、後方からドローンが攻撃する、といったもの。
そのうえでコトリが防御シールドを展開して支援することで硬い雑魚キャラを大量に並べ立てるという非常に厄介な仕様になっている。
……しかし、その堅牢は防御シールドを無に帰す存在がこちらにはいる。
「充電率100%……光よっ!!」
アリスのレールガンだ。
先程の一射と比べ、多少抑えられてはいるものの、それでも目が眩む様な光と、衝撃波が辺りを駆け抜けたかと思うと、射線上にいたロボットとドローンがシールドごと粉砕され、破片となって辺りに散らばる。
「よし、相手の陣形が崩れたっ……!お姉ちゃん!」
「わかってる、行くよ、ミドリ!!」
そこで出来た僅かな隙に、モモイとミドリが滑り込む。
構えられているのは、それぞれアサルトライフルとスナイパーライフルへとカスタムされた同型の銃、
「ドットを打つように緻密に……!」
「とりゃあっ!!」
モモイのアサルトライフルの掃射がレールガンの余波で損傷したロボット、ドローンにトドメを刺し、ミドリは比較的損傷の少ない対象を的確に狙い撃ち、破壊する。
生まれたときからともに育ってきた双子だから成せる言葉いらずの連携。
しかし、相手もただ押されるままではない。
「うぐっ……!ならば、ヒビキ、モモイ達は私とドローンが!その間にロボットをアリスに!」
「了解……!」
今、この状況で最も優先的に対処すべきは
圧倒的な破壊力を持つアリス。
突出してきたモモイとミドリを防御力の高い自身で分断し、その間に武器の取り回し故に接近してきた相手に対処しづらいアリスを攻撃する。コトリ達はそう判断した。
「まずっ、アリスちゃん!!」
「ふっふっふ……ここから先は行かせませんよ!!」
モモイとミドリが引き返そうとするも遅い、既に回り込んできたドローンが彼女達に立ち塞がる。そこで足が止まったところに遅れてコトリが追いついてきた。
「っ…!!」
対するアリスの方も、状況は芳しくない。レールガンの攻撃は直線的。その対策としてヒビキはロボットを広く、広がるように展開した。アリスはレールガンの出力を絞り、一基ずつ破壊しているものの、処理速度が明らかに追いついていない。
そんな戦闘の様子を、イオとウタハは離れた場所で見ていた。
「はっ、あいつらが戦闘するところは初めて見たが、自分らで言う割にはやるじゃないか」
「そんな呑気なこと言ってていいのかい?形勢は少しずつ、こちらが有利になりつつある」
ウタハの言う通り、若干ではあるが、ゲーム開発部側が押され気味だ。しかし、イオの表情は崩れない。
「本格的にヤバそうなら少し手助けしてやるつもりだが……あの様子ならまだいける。まだセッションはフィナーレじゃない」
イオがそう言ったその時、
「あうっ!?」
ついに、アリスに攻撃できる距離までロボットが接近した。
小型のアームから発された電気ショックにより、アリスが身体を震わせる。
……が、それ以上、アリスに攻撃が届くことはなかった。
「ううっ……!スキル、大旋風ですっ!!」
そう言うや否やカウンター気味に放たれた大旋風……もといレールガンの銃身による薙ぎ払い。
本来、銃でそんなことをしたら銃身がだめになってしまうだろう。
しかし、アリスが持っているレールガンは、そもそも強度が高い。更に、質量が140kg以上もある鉄塊が薙ぎ払われたとなると、その威力は生半可な剣などを遥かに凌駕する。
ゴシャアッ!!
アリスの側に展開していたロボットは残らずその質量兵器によりすり潰され、機能を停止した。
そのままの勢いでアリスはレールガンを構え、標準。
目標は……モモイとミドリの猛攻を防ぐので手一杯なコトリ。
「モモイ!ミドリっ!!」
「!!お姉ちゃん、伏せてっ!!」
「へ?一体……ってうわわっ!!」
アリスのレールガンの収束光を確認したモモイとミドリが慌ててその場に伏せる。対するコトリは突然の事に対応が遅れた。
「魔力充填率100%……撃ちます!」
「え、急にどうsほわああああっ!?」
コトリの身体は、シールドごとレールガンの弾丸に吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がった末に工作機械にペチリとぶつかった。
________________________
「……素晴らしい」
「よく頑張ったな、お前ら」
戦闘が終わると同時、ウタハとイオが近づき、そう声をかける。
「あ、案外なんとかなっちゃった……」
「くっ、悔しい……ですが、これが結果ですね!」
今だ勝った実感がわかないのか、キョトンとするミドリに対し、煤を払いながら起き上がったコトリは悔しそうにそう言うと、改めてアリスに向き直った。
「アリス、その光の剣は、改めてあなたのものです!」
「わぁ、わぁっ…!」
いつものゲーム由来の口調すらなく、感嘆詞のみでアリスは喜びを溢れさせた。
「ふう……これで一件落着、かな?」
その様子を見て、ミドリはほっと一息をついた。
因みにモモイはと言うと、戦闘の疲労から床で伸びている。
その後、アリスはヒビキにレールガンのカスタムをして貰うために席を外し、それに他の面々もついて行く。
その様子を、ウタハとイオは少し離れた場所から見ていた。
「しかし、あのレールガンいいな……威力を抑えてでもいいから小型化できるんなら俺も使ってみたいところだな」
「ふむ……確かに良いね。折角、一から理論立てて開発したのにあの一台で終わるのはもったいない。君のアーマーに組み込む分には予算で工面できるかもしれない」
「そいつはいい。是非ともお願いするぜ」
そう言って2人は軽く笑みを交わす。
そして……
「さて、ここからが本題。といったところか?」
イオの口調からいつものおちゃらけた雰囲気が消える。
その表情も、至極真面目なものになった。
ウタハの表情も、心なしか硬い。
「……そう言うところからみて、君も感づいていたか」
「当たり前だろ。あのレールガンをあそこまで扱える駆動系の耐久性、出力、それに被弾したときの再生機能……あんな性能、ただの精巧なアンドロイドに積むような代物じゃない」
イオは、先程の戦闘を観察して、自分が持った違和感を並べ立てる。
そう、おかしいのだ。いくらキヴォトス人が凄まじい身体機能を持っているといえどアリスのそれは明らかに過剰だ。
……もし、その過剰な機能が過剰でないとするならば、考えられる用途は……
「……まあ、間違いないだろうね。あの子の本来の目的は戦闘だ」
「だろうな……ちっ、何処のどいつがあいつを開発したのか知らんが、きな臭い機能をつけやがって……」
イオは小さくそう呟くと、改めてアリスの方を見た。
彼女は、エンジニア部やモモイ、ミドリに囲まれて楽しそうに笑っている。心の底から、楽しそうに。
その笑顔に、何か裏があるようには、到底思えない。
「……ま、開発したやつが何を考えていようが、知ったことか。あいつは、俺達の仲間だ。それだけが、事実だ」
どもー、時空未知です。
ということで今回の作品はいかがだったでしょうか?
とても、とても道が長い……イオをたくさん可愛がりたい()のに、道が遠い……
でも頑張ります。曇らせ好きな偉い人も言ってました。
日常があるからこそ、曇らせが輝くのだと……
ふ、ふふふ、ふふふ……
そういえば短編小説にするまでもないかな?と言うぐらい
短いネタを考えたんですよ。楽しんでいただけたら何卒……ではどうぞ。
「……は?」
イオから聞いたこともないような困惑して、呆けたような、全く持って間の抜けた声が出た。
任務の都合上、装備も軽装で、珍しくジャズを流さずにイヤホンで聞くに留めているイオ。いつも通り音楽に乗りながら他のC&Cの面々の会議に参加していたが、突然そんな声を出したものだからその場にいた面々がが驚いた。
「……どうかしましたか?イオ」
「いや、え?は?いや、おま、バニガって、おま……」
普段の様子からは信じられないほどうろたえにうろたえるイオ。
その視線の先にいるアカネが手に持っているのは、我らがリーダー、美甘ネルに胸以外ピッタリのサイズのバニーガール衣装……
「……?だから、ここではバニーガール服を着ていないと怪しまれるから、円滑に任務を進めるために……」
「はぁああああっ!!??」
カリンが硬直していたイオのためにもう一度その旨を丁寧に説明したところ、普段の様子からは考えられないほどイオは酷く狼狽して、悲鳴をあげた。
「おい、イオ。うるせぇぞ!!急にどうしたっていうんだよ」
「"いつものイオらしくない……"」
「逆にリーダーも先生も何でそんなに冷静なんだよ!?バニガ衣装だぞ!?」
……イオのイメージでは、バニーガールと言えばどちらかというとエッチなお店に関わりのある人達である。リーダーはさておきその衣装を今からプロポーション抜群のアカネ、カリン、先生が着ようと言うのである……それだけでも色々かなり不味いが、それ以上に、多分このまま話が進めば自分も着る羽目になる。
着たらその……自分の尊厳とかプライドもかそういうものが砕け散る。確実に。
イオは抵抗した。自分の尊厳を守るために。
「"……やっぱりイオ、女の子が好きなんだ"」
「そう言うんじゃねえよ先公っ!!着るのが嫌だっつってんだよ着るのがっ!?」
「"先公!?"」
ド直球の罵倒に先生が驚愕する。
しかし、そこまで慌てていたからだろうか……イオは、背後に近寄る人影に気が付かなかった。
がしっ
「へあ!?」
イオの身体が何者かに拘束される。
……反射的に彼女が振り返ると、そこには光を反射して光るメガネ。
「さあ、イオも大人しく着替えましょうか?」
「何を抵抗してるのか知らねえが、いい加減さっさとしろ。あたしはもう準備できたぞ」
……いつの間にかネルの着替えの手伝いを終えたアカネが、彼女の背後に回り込んでいたのだ。
イオはその拘束を振りほどこうとした。しかし、それを確認したカリンが更に正面から拘束に入った。そして……
「や、やめろっやめろっつってんだろ!!?俺は着なくていい、着なくていいから脱がすな、ぬが……ひあっう!?アカネテメェ何処触っていやがるっ!?」
「アカネが上着のボタンを外そうとしてるのに暴れるイオが悪いと思うが……」
「るっせえ!!!ってちょっと待て、わかった、わかったから下着はやめろ。自分で脱ぐから、脱ぐから頼むからやめひいんっ!?」
「"……あれ、意外と色気がない下着"」
「ブチ殺すぞクソ先公っ!!!!」
……必死の抵抗も虚しくそこら中に服を投げ捨てられながら手早く剥かれていくイオ。
数分後、黒タイツに白色の衣装。最後の抵抗と言わんばかりに紺色の男者のスーツを上から着て、涙目でうずくまるかわいいウサギが一匹誕生した。
どのダリルメインの短編を先に読みたい?(上位2作)
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