レミール転生   作:久保田紅葉

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リームの壁

 想像以上にリーム帝国から逃亡してきた市民や軍人で収容所がいつの間にか溢れかえりそうになっている……もしリーム帝国民が収容所から町に溢れてしまえば仕事の無い彼らが治安の悪化を招いてしまうこととなってしまう。

 

 そうなってしまう前に鉄道局や都市計画局、農務局といった関連する局を集めて帝前会議へ提案する議案書作成を行うこととなった。彼らに市民権を与えるとしてその後のことを考えなければならない。

 

 

 

「逃亡してきたリーム帝国民たちの働き口ですか……我々鉄道局としては今すぐにでも人手が欲しいところです。男手だけでは無く女性も採用して行きたいところではありますな」

 

 

 

 そう発言するのは鉄道局。戦時中の現在では大きな輸送力で力を発揮し今後も皇国内に網目のようにして路線図を伸ばす計画もしている。戦中・戦後問わずに貨物・旅客とも景気は良さそうであるので勤めるには最適であろう。

 

 

 

「働き口だけではございません。現在の収容所ではエストシラントに近すぎて拡張性がもうありません。もし可能であれば国境線沿いのリーム帝国によって破壊された廃都市や廃村をまるまる彼らが暮らす場所へとするのもありかもしれません。……地元住民の反発が予想されますが」

 

 

 

 都市計画局はこう話すが我々上層部としてはそちらの方が復興が促進されて良いが……しかし先祖代々暮らしてきた地元住民たちは反対するであろう。

 

 まぁ全て無からの始まりとなるのでわだかまりは少なそうに思えるけれども、こればっかりは長い目で見なければどうしようもないことである。

 

 

 

「食糧輸入が滞った際、自国で食糧増産のために未開拓の土地を開墾していただくのもありかと、勿論しっかりと給金を出した上休息も取らせますが……」

 

「技研が開発中の蒸気式トラクターの実地試験としてもいいわ。要検討ね」

 

 

 

 確かロバート副所長が蒸気式戦闘車を元に開発していたはず、後で確認してみることにして提出用の書類をまとめようとしたところで魔導通信が鳴り響く。

 

 

 

「少々失礼……こちら先進科学技術研究所所長レミール」

 

『レミール所長!ルディアス皇帝陛下から緊急の帝前会議を開催すると連絡がありました!今すぐパラディス城へ向かってください!』

 

「……了解した。申し訳ございません。ルディアス陛下より緊急の帝前会議が開かれるそうですの

で今回は一旦お開きとさせていただきます。キャメル、正面に車を回して」

 

「はい。かしこまりました」

 

 

 

 数分の後、蒸気式自動車に揺られてパラディス城に向けて出発する。路上には蒸気式トラムや馬車が入り乱れていたがなんとか通りぬけてパラディス城に到着できた。

 

 

 

「レミール様!どうぞこちらです!」

 

 

 

 衛兵に案内されるがままに通されたのはいつもの大会議場……ではなく、こじんまりとした会議室へと案内された。

 

 

 

「レミールよく来てくれたね。……これで全員、早速だけど説明お願いできるかな?」

 

「はっ。僭越ながらご説明させていただきます」

 

 

 

 他局局長等の姿は見受けられず陸軍と海軍、それも上層部たちが勢揃いしていた。

 

 

 

「今から4時間前に撮影されたリーム帝国国境線を写した最新の魔写です」

 

 

 

 魔写に写っていたのは国境沿いにそびえ立つ高さ15メートルほどはあろうかという形容しがたい城壁、それが国交沿いにそそり立っていた。しかもこれだけではなくトーパ王国国境線とクーズ王国国境線、さらには海岸線に至るまで国境という国境に壁で囲まれてしまったのだという。

 

 

 

「前線の兵の報告では……一晩の内にこの壁はせせり上がってきたらしい。我々の放送に嫌気が差したのかと思ったが国全体を覆ってしまうとなれば話は変わってくる」

 

「ふぅん……ワイバーンによる空からの偵察は?」

 

「そのことでちょっとしたご相談がありましてですな……結論から言うと越境しての偵察は行えなかった」

 

 

 

 陸軍総司令官の話では壁の出現を確認した後、日の出とともにワイバーンでの強行偵察を実行しようとしたのだがどうにもワイバーンの調子が悪いのだという。

 

 

 

「何とか上空に上がれたワイバーンがいたが数分もしないうちに体調を崩し地上へと戻る羽目になった。飼育担当からと現地兵からの報告書がありますのでご覧いただきたく思う」

 

 

 

 報告書を要約するとこんな感じである。

 

  ・ワイバーンが国境沿いに近づくにつれて具合が悪くなり逆に国境から離れると体調が回復する。

 

  ・壁には魔道障壁のような防護がされており破壊は不可能である。

 

  ・何とか上空に上がることのできた竜騎兵はリーム帝国内が濃い霧に覆われていることを確認した。

 

 

 

 何とも不気味な城壁である。戦後の疎開計画や避難民の移送の見直しをしなければならないかもしれない。

 

 

 

「陸軍としては国境沿いの現時点で疎開をしている都市や町村は余裕を持って30㌔内陸への疎開をしていただきたい。それに国境沿いへのワイバーン配備を辞め、旧式でも良いのでムーの飛行機械の導入を要望したい」

 

 

 

「疎開都市の再開発は計画段階ですので可能です。その計画にリーム避難民を加えて検討してみましょう。ムーからの飛行機械の輸入は私が何とかしましょう。海軍からは何か要望がお有りでですか?」

 

 

 

 空気だった海軍に話を振ってみればやはり海軍も竜母に積載されているワイバーンも同じような症状を訴えているようで飛行機械の導入を計画していた。

 

 

 

「軍の近代化もしないといけないね。……悲しいことだけどワイバーンはもう空の王者と言えなくなるかもしれないね」

 

 

 

 ルディアスの言う通りであるが弱音を吐いてもどうにもならない。一歩ずつでも進んでいかなければならない。




リーム帝国君鎖国するってよ

6/8:追伸 タイトルを入れ忘れていたことをすっかり忘れたまま公開してしまいました。
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