レミール転生   作:久保田紅葉

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調査

 青空が広がるパーパルディアの空の下、私と神聖ミリシアル帝国情報局のナーヴァは大型輸送機に搭乗し機内からリーム帝国に築かれた城壁を眺めていた。ナーヴァが何やらつぶやいているが気にしないことにして眼下に広がる景色を楽しむ。

 

 パーパルディア側は非常にのどかな原野や森林といった景色が見られるもののそれに対してリーム帝国領は黒い壁と深い霧に覆われていた。

 

 

 

「この霧はいつ頃から出現を?」

 

「壁……通称『リームの壁』とほぼ同時期に出現し、軍からの報告によれば一日たりとも晴れた記録はない……と聞いております」

 

「なるほど、なるほど……国境を越境しての航空偵察行為は?」

 

「数回行われたのですが大した結果は得られず、国境内での偵察にとどめております」

 

「なるほどね……解ったわ」

 

 

 

 ナーヴァは持参した私にはよくわからない機械を取り出してはしきりに数値を測っている。どうやら魔素の濃度を計測しているようだった。

 

 

 

「パイロット、壁ギリギリ近づいて……よし、次は壁から離れるようにして……。そしたらまた壁に近づいて……」

 

 

 

 それを何度か繰り返して飛びだったアニールの陸軍飛行場へと戻る。機材をまとめたナーヴァは難しそうな顔をしている。

 

 

 

「どうでした?」

 

「……現時点では魔帝とは断定できません。ですがこの霧は大気中の魔素濃度が高すぎる為に魔素が霧となってリーム帝国領内に漂っているのだと思われます。普通であれば風などで撹拌され濃度は低くなるはずですが……」

 

「あの壁が魔素の撹拌を邪魔をしていると……となれば壁の中は魔獣だらけでしょうね」

 

「可能性として考えられますが……リーム帝国側から特段気になるような情報、そして魔信すらないのが不可思議なんですよ」

 

 

 鎖国をしているようなものであろうか。パーパルディアはともかくとしてミリシアルにも連絡1つ寄越さないのはどうかと思うけれど。

 

 

 

「言っておきますが、パーパルディアとリーム国交に関してはミリシアルは関与致しませんので悪しからず」

 

「えぇ、これは我が国と彼の国との問題でありますので。遠路はるばるお越しいただきましてありがとうございました」

 

 

 

 アニール陸軍基地に降り立ったミリシアル政府専用機のゲルニカに乗り込んだナーヴァを見送ると私は急行……いや夜行寝台普通列車『パーネルウス』号に乗り込んでエストシラントまでの帰途につく。これで朝にはエストシラント中央駅につけるようなダイヤになっていた。

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△ 

 

 

 

 

 

「局長。只今戻りました」

 

 

 

 眠らない魔都、神聖ミリシアル帝国帝都・ルーンポリス。その一角を大々的に専有している情報局にナーヴァが大量の資料とともに帰還する。情報局局長であるアルネウスはその情報を今か今かと待ち望んでいた。

 

 

 

「ナーヴァ!よくぞ戻った。……どうであった?」

 

「リーム帝国国境は魔帝の仕業ではなさそうではありましたが、少し気味が悪かったですね」

 

「なるほど……。で、パーパルディアの市井の様子はどうであった?」

 

「それはこちらにまとめてありますので……どうぞ」

 

 

 

 撮影した魔写をファイリングした物をアルネウスに手渡す。それを開いては興味深そうに眺める。

 

 近代風の市街を走る蒸気式路面鉄道、列車の行き交うエストシラント中央駅、さらに上空から撮影した最新鋭のパーパルディア型巡洋戦艦を含む第一艦隊の姿、そして国境警備隊に配備されているパ式魔導戦車(蒸気式戦闘車)の数々、パーパルディアのありとあらゆる場所が収められていた。

 

 

 

「ふむ、パーパルディアの鉄道は機械文明のジョウキキカン?というものであったか。一体全体第二文明圏ムーの機械文明をどうやって手に入れたのかは謎ではあるな」

 

「しかし、鉄道だけを見ても彼の国は国中に蜘蛛の巣の如き鉄道網を作り上げていました。それに加えて我が帝国鉄道と引けをとらない速度で運行を行っておりました。侮ることはできないかと」

 

「ふぅむ……しかし民間だけでは判断がつかないだろう?」

 

 

 

 ナーヴァは深刻そうに伝えるがアルネウスは未だ懐疑的であったため、付け加えるようにしてパーパルディア型巡洋戦艦の写真を無理やりにでも見させる。

 

 

 

「推測ではありますがムー国で建造されたパーパルディア型巡洋戦艦の主砲は推定口径34センチ、主砲だけで言えば旧式のマーキュリー級魔導戦艦とほぼ同格であります。……私が言いたいことはおわかりですね?」

 

「ムーは我が国の造船技術に近づいているということか?」

 

「それもそうなのですが私が言いたいのはムーと同等の造船技術をパーパルディアが身につけているということです。こちらを……」

 

 

 

 アルネウスが見ればデュロを上空から撮影した魔写のようで、沿岸の造船所にはパーパルディア型巡洋戦艦の同型艦と思われる軍用艦の建造真っ最中であった。

 

 

 

 「これは現地協力者からの提供された物であります。この他にも魔導巡洋艦クラスや航空魔導母艦の建造、さらにはこれよりも大型魔導戦艦の建造が進められている……とのことです」

 

「…………事実なのか?」

 

「確かな情報筋から手に入れた情報ですので信憑性は高いかと……この他にも超大型艦の独自建造や飛行機械による部隊設立等も予定されていると」

 

 

 

 ナーヴァの言葉にアルネウスは深く考え込む。世界最強を自負する神聖ミリシアル帝国、警戒こそすれど仮想敵国など存在していなかったがムー国とパーパルディア皇国が力を付け差を詰めてきたとなれば話は変わってくる。

 

 

 

「一度上層部に掛け合ってみよう。……結果はわかりきっているが」

 

 

 

 そうアルネウスは言うが機械文明のキの字すら知らない軍上層部を中心として『ムー・パ皇両国、恐るるに足らず!』といった具合で聞く耳を持たない。

 

 ナーヴァの報告書は『リーム帝国での事象は魔帝に関係なし』という部分だけが認められ『ムーとパーパルディア皇国を警戒するべきである』という警告は完全に無視されることとなってしまった。 




この後どうするか……案がない&ストックがないので暫く間隔が空くかもしれません
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