――パーパルディア皇国、クワ・トイネ派遣艦隊旗艦、パーパルディア型巡洋戦艦パールネウス
その艦橋では艦隊司令官のバーラがクワ・トイネ公国軍からの緊急通報に対処しようとしていた。
「……所属不明の艦隊が接近中、その中には全長200メートルを超える大型艦が含まれているそうだ。艦長、貴方の推測を聞かせてほしい」
「200メートルとなればパーパルディア型とほぼ同じか大きいぐらいでしょう。となれば運用出来るような国々は限られてきます」
「可能性としてあり得るのは列強国のミリシアル、ムー、そして我が皇国か。ありえない話かもしれないがもしくは未知の国か……」
『目標艦隊見ゆ!』
見張り員の報告から双眼鏡を覗いてみれば平べったい大型艦を中心とし、外周に駆逐艦のような艦艇を伴って輪形陣を組んでいた。
「中心部にいるのは航空母艦のような船であるな。応答の用意は?」
「はっ、クワ・トイネ公国からの通告通り我々の通常回線で合わせております」
「良かろう。では……『こちらはパーパルディア皇国軍クワ・トイネ派遣艦隊司令官のバーラである。これから臨検を行う。貴艦の所属と目的を伝えられたし』」
無線での呼びかけに対し数分の後に応答がある。
『我々は日本国海上自衛隊所属、護衛艦いずもである。貴艦の臨検を受け入れる。なお後部エレベータより乗艦を願いたい』
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「ほう……この艦は全装甲甲板を採用しているのか」
「戦闘機を並べられそうなので恐らくは航空母艦かと……しかしあれは飛行機体のようですが形が奇妙ですね。どうやって飛ぶのでしょうか」
下士官2名と艦長を伴って乗艦したバーラ。見慣れぬ国旗に見たこともない飛行機体が駐機された飛行甲板に狼狽えそうになるがこらえてこの艦の代表と面会する。
「現在パーパルディア派遣艦隊、並びにクワ・トイネ公国は厳戒態勢にある。貴艦の航行目的を知りたい」
「……!よかった、言葉の壁はなさそうで安心しました。はじめまして、私は日本国外務省の全権大使、田中と申します」
田中は名刺を差し出すがパーパルディアにはそんな風習は無いためカードのように名刺を受け取る。
「ニホンコク、聞かぬ名前であるな」
「それもそのはずです……我が国は突然この世界に転移してきたのです。哨戒機による情報収集でその確証を得ました」
「そうなればクワ・トイネ軍の中で噂になっていたマイハークでの所属不明の飛行機械騒動は……」
「はい。予期せぬ領空侵犯でありました。我が国に敵対的意思はなし。そう断言致します!」
「なるほど了解した。……となればクワ・トイネ公国との会談が目的であるな。マイハークまでは我々が先導しよう。付いて参れ」
パーパルディア皇国艦隊を先頭に海上自衛隊護衛艦隊が続いていく。
「言葉が通じて何よりでしたね」
「はい。……しかしパーパルディア皇国という国、周辺国への派遣艦隊が存在しているとなれば周囲の国々と安全保障条約を結んでいる可能性があります」
「米国と似たような感じではあるのか、いやはや……」
水平線の先に大陸が見え、街のようなものが見える。クワ・トイネ公国随一の港町マイハークへとたどり着いた。
入江の入り口が狭いようにみえたがパールネウスは平然と入港していく。いずもが接岸すると連絡が行き届いていたのか外務局の外交官が待機しておりそのまま会談をすることとなった。
「案内ありがとうございました。いずれは貴国との国交を結びたいと考えております」
「了解した。本国に伝えておこう。それでは」
田中はバーラに別れを告げ外交会談へと移っていく。残されたのは軍人同士話は自国の兵器へと集まっていく。特に戦艦が珍しいのか海上自衛隊の乗組員たちはパールネウスとパーディラスに集まっていた。
「日本国では戦艦が珍しいのか?」
「ええ、元いた世界では記念館を除き全て退役していますからね」
「戦艦が引退とはな……となればあの空母が戦略の要という訳であるな」
「いえ、あれは護衛艦です」
「はい?どう見ても空母……」
「護衛艦です」
「あぁ、そうですか。はい、わかりました……」
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ところ変わってパーパルディア皇国首都、エストシラントは外務局第三局、主に第三文明圏と文明圏外国を担当する部署にレミールの姿はあった。
「ニホンコク……そう名乗る国と接触したとの情報は本当かしら?」
「え、ええ。先程クワ・トイネに派遣していた艦隊から通信がありました……彼らは日本国と海上自衛隊を名乗りマイハークへ入港したと。彼の国のタナカという外交官曰く、皇国とも国交を結びたいとも話していたそうです」
「分かったわ。私は早速日本国に向かうから準備して頂戴」
「了解し……え?」
いつの間にか旅支度をしていたレミールを彼女お付きメイドであるキャメルが取り押さえる。
「いけませんレミール様、国交を結んでいない国にいきなり出向くなど言語道断です。外3に外交官が来訪すると思いますのでその時にお会いできるでしょう。それまで我慢してください」
「今すぐ行きたいので離していただけませんか?これ以上拘束すると国家反逆罪でキャメルのことを逮捕しなければなりません」
「ルディアス皇帝陛下からはお墨付きをいただいておりますのでご安心を」
「はぁ……解ったわ、解ったわ。外交官が来るまでは大人しくしているからとりあえず解放してくれないかしら」
何かまだ企んでいそうな気がしたキャメルだが観念したそうな表情をしているエミールを見て拘束を解く。
諦めたようなレミールであったが彼女の願いは数日のうちに叶えられることとなった。
今日で連休が終わりなのでまた期間が空くと思います