レミール転生   作:久保田紅葉

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これにてロデニウス大戦は終了となります。


ロウリア王国の落日 下

 ハーク城のあちこちから連続した聞きなれない発射音や単発の発射音、そして爆発音が聞こえてくると同時に兵士たちの悲鳴が響く。近衛隊大隊長のランドは策があると帝前会議から後にした。

 

 ハーク・ロウリア34世の避難をパタジンが呼びかけたがそれに応じず玉座から離れるようなことは無かった。

 

 

 

『クリア!』『クリア!』『オールクリア!』

 

『この部屋を抜けた先がロウリア王のいる玉座の間だ気合いれていけ!』

 

『押忍!』

 

 

 

 パルが両開き扉を蹴破るとそこは晩餐会が開かれるような大広間であった。散弾銃片手に進んでいくと不意に真っ暗だった大広間に蝋燭の灯りが灯る。そこには非武装のメイドが二人両手を上げて立っていた。

 

 

 

「こ、殺さないで……」

「助けて……ください……」

 

 

 恐怖に染まったメイド。非武装の民間人を撃ち殺して進むという海軍特戦隊ではない。

 

 

 

『地面に伏せて両手を頭の上で組みなさい!早く!』

 

 

 

 恐る恐る地面に伏せる。そのまま拘束しようとしたところ、奥の柱からぬるりと人影が現れた。

 

 

 

「誰だ!手を挙げて投降しろ!」

 

「ふむ……、非武装の人間は撃たないようですね。パーパルディア海軍特戦隊の皆様ごきげんよう。私近衛隊長のランドと申します」

 

「我々はハークロウリア34世に用がある。そこを通してもらおう」

 

「それはできかねます……王は重要な会議をしておりますゆえ」

 

「そんなことはどうでもいい、我々は王の身柄を確保しこの戦争を終わらせる」

 

「…………仕方ありませんね」

 

 

 

 ランドが指を鳴らせば柱や天井から黒い兵士のようなものがぼとぼとと落ちてきた。

 

 

 

「第一近衛隊攻撃開始、敵を殲滅せよ」

 

 

 

 各々武器を構えた第一近衛隊が特戦隊へと襲いかかってくるが、近接武器しか持たない彼らに対して特戦隊は手に持っていた散弾銃や軽機関銃で応戦し銃弾を浴びせる。

 

 多数の弾丸を受け一度は倒れた近衛隊の兵士であったがむくりと起き上がると再び武器を手にとって襲いかかってきた。

 

 

 

『こいつら不死身なのか!?』

 

『撃っても撃っても立ち上がって来るぞ!どうなってるんだ!』

 

『頭!頭を狙って!』

 

 

 

 動揺が広がったがパルは的確に指示を飛ばしていくが……。

 

 

 

「おっと、よそ見をしてもらっては困りますねぇ……」

 

 

 

 ランドが鋭い剣撃でパルへと襲いかかる。黒光りしている剣は明らかに毒が塗られており刺されば命に関わるような代物であった。

 

 

 

『くっ、ふっ……』

 

「おやおや、どうしましたか?」

 

 

 

 散弾銃でカタをつけようとするがランドの剣舞に翻弄され思うように狙いをつけられない。かといって目くら撃ちをすれば同士討ちとなってしまう可能性があったためにできなかった。

 

 

 

(くっ……どうすれば……落ちついて、敵は接近攻撃を仕掛けてきている。だとすればこの場合、距離をとろうとするのではなく……)

 

 

 

『今っ!』

 

 

 

 距離をとろうとしていたパルはその戦略を一転させて逆にランドへと突撃していった。これを予想していなかったのかランドはその質量体当たりに対してまともな受け身をとることができずにふっとばされて壁にめり込んで意識を失っていた。

 

 それと同時に第一近衛隊の兵士たちが泥のように溶けて消えた。

 

 

 

『い、一体なんだったんだアレは……』

 

『親玉がくたばったら泥みたいに消えていった。気味が悪いな』

 

『ロウリアの秘密兵器……なんだろうか』

 

『ひとまずそれはおいておきましょう。我々の任務を忘れないこと。王の確保へ行きましょう』

 

 

 

 帝前会議が開かれている玉座の間に、白銀の騎士鎧を身にまとった兵団がなだれ込んでくる。

 

 

 

『全員その場で手をあげなさい!近衛隊は武器を捨てて地面に伏せなさい。早く!』

 

 

 

 パルが叫ぶと近衛隊は武器を捨てて床に伏せ、ハーク・ロウリアやパタジンといった上層部は拘束されようとしたところでこの場にいない少女の声が響きわたった。

 

 

 

「……無様ですわね。お父様」

 

 

 

 慌てたように特戦隊が振り向くと15,16歳ぐらいの少女が持っているはずのないライフル銃を構えたロウリア陸軍らしき兵隊を連れて帝前会議会場になだれこむ。特戦隊が銃を向けるがパルが銃を下げさせる。

 

 

 

『貴女は?』

 

「ハーク・ロウリア34世の愛娘、ジェシカ・ロウリアでごさいます。そこにいる私の父から代わってロウリア王国の国家元首、ジェシカ・ロウリア35世となることをここで宣言いたしますわ」

 

「かっ、革命か!ジェシカよ!そんな娘に育て上げた覚えはないぞ!」

 

「お父様や将軍たちが目を覚まさないからこうして私自らが目覚ましとなって革命を起こすしかなかったのです!それもこれもそこにいる女のせいですが……それも今日までです!」

 

 

 

 親子で口喧嘩をしたかと思えば懐からフリントロック式の拳銃を取り出したかと思えば会議の隅にいたフードを被った女に向ける。パルが止めようとしたが撃鉄が落とされて弾丸が放たれた。

 

 放たれた弾丸は正確無比にフードの眉間に当たり大きくのけぞる。ワンテンポ遅れてパルがジェシカの身体を押さえつけたところで不気味な笑い声が帝前会議会場に響きわたった。

 

 声の主を探すと先ほど脳天を撃ち抜かれて絶命したと思われていたフードの女であった。

 

 

 

『クケケケ……貴様の父や上層部は簡単に堕ちたがまだ毒刃にやられず生き残っていたとはな……』

 

「当たり前でしょ!ここは私やお父様の国、ロウリア王国です!化け物にくれてやるもんですか!」

 

『もうよい。企みが暴かれてしまえばもうこの場に用はない。せいぜい足掻くことだな』

 

 

 

 女から黒い靄が立ち上がったかと思えば帝前会議会場に広がった。毒ガス!と特戦隊が慌てたがすぐに晴れて何事も無かったように晴れる。

 

 

 

「う、うう……ここは?それに私は……」

 

「お父様!大丈夫ですか!」

 

 

 

 頭を抑えたハーク・ロウリア34世を支えるようにしてジェシカが駆け寄る。

 

 

 

「ジェシカか……随分と大きくなったようだが」

 

「お父様!記憶が……」

 

「うむ……あの気味の悪い女と出会ってからの記憶が思い出せん。だが……彼らを見るに戦争を巻き起こして敗北寸前……といったところであろう」

 

「……はい、ロウリア王国はクワ・トイネ公国に戦争を仕掛け列強国のパーパルディア皇国、そして新興国のニホンに敗れパーパルディア軍によって首都攻撃を受けている最中です」

 

 

 

 そうか……と、ハークロウリア34世は立ち上がるとパル他特戦隊の前まで歩くとひざまずく。

 

 

 

「この戦乱の全ては記憶がなくとも私の責任にある。だが民は私の指示に従っていただけである。私が言うのもおかしな話ではあるが命は助けてやってはもらえぬか?私の身体さえあればこの戦乱は終わるのであろう。国王としての最後の務めを果たしたい」

 

『……わかった。ハーク・ロウリア34世よ。貴様にはこの戦争を引き起こした張本人として身柄を拘束させてもらう。何か言い残すことはあるか』

 

「うむ。ジェシカ……そして大臣たちよ。ロウリアを頼んだぞ」

 

「お父様……っ!」

 

 

 

 身柄を拘束されたハーク・ロウリア34世は国内に向けて演説し戦争の敗北と終戦を告げる。ハーク・ロウリア34世は戦争を引き起こした犯罪人としてパーパルディア皇国に拘束され、その娘であるジェシカ・ロウリアが次代の女王として即位し、ジェシカ・ロウリア35世としてロウリア王国の舵取りをしていくこととなった。




次回は講話会議となります
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