レミール転生   作:久保田紅葉

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予定通りトーパ王国と魔王のたたかいをお送りいたします

2~3話ぐらいで終わる予定です。


オペレーションモモタロウ with パーパルディア 上

 パーパルディア皇国からリーム帝国を挟んで北東部に日本国の四国ほどの大きさの国がある。

 

 フィルアデス大陸とその国は、幅200メートル、全長30キロメートルという細長い陸地によって繋がっていた。

 

 その国の名はトーパ王国といい、トーパ王国の北東部は幅100メートル、全長約40キロメートルの陸続きでグラメウスと呼ばれる大陸に繋がっていた。グラメウス大陸は魔物と呼ばれる生物が支配する大陸であり、人間、亜人の国家は存在していないはずであった。

 

 魔物は全く話しが通じず、人間や亜人族を見つけると襲い掛かってくる。魔物自身は特に文明を築いている訳ではなく、その秀でた身体能力を使用し、バーサーカーのように見境なく人間に襲い掛かってきていた。

 

 日本人が魔物を一言で表すなら農作物を荒らす熊や猪と同じ扱いの「害獣」である。

 

 トーパ王国の北東部には城塞都市トルメスがあり、魔物の大陸グラメウスとトーパ王国の間の細長い陸地には『太陽神の使い』と共に築き上げた「世界の扉」と呼ばれる城壁があり、永きにわたりトーパ王国はこの壁を駆使し魔物の侵入を防いできた。

 

 この世界の扉には、トーパ王国兵が交代で常駐しながら警備に当たっており、その兵士たちを支えるために城塞都市トルメスが存在する。

 

 トーパ王国の国民たちは、フィルアデス大陸への魔物の侵入を防ぐ人類の守護国として高い誇りを持っていた。

 

 その思いが通じたのかは定かではないものの数年前からパーパルディア皇国から新旧問わずに兵器が輸出され、一個大隊のパーパルディア陸軍の兵士が常駐し、世界の扉の守りを強化していた。

 

 その日、いつもと同じように朝日がのぼり、穏やかな朝だった。

 

 非常勤として雇われていた傭兵ガイは魔物の大陸グラメウスとトーパ王国の勢力圏の境目にある城壁「世界の扉」でグラメウス大陸の方向を眺めていた。

 

 

 

「ふぁあー……。おはようございます。当直お疲れ様です。」

「おはようございます」

 

 

 

 ガイはやる気の無い欠伸をしつつ、パーパルディア陸軍の当直兵とあいさつをかわす。

 パーパルディア側も交代の時間のようで当直兵が交代の兵たちと挨拶を交わして食堂へ向かい次の夜勤に備えて睡眠を取るのであろう。

 

 そんな光景を欠伸をしつつ面倒臭そうに見ていると何かで頭を軽く引っ叩かれる。

 

 

 

「こらこら、グラメウスの監視は人類、その他の亜人族の生存に関して重要な任務だぞ」

 

 

 

 ガイが振り返ると幼馴染でもあり、共に勤務をする事になっていたトーパ王国騎士のモアがガイの頭を軽く叩いていた。

 

 

 

「そんなこと言っても…………」

 

 

 

 ガイはそびえ立つ城壁を見る。

 

 

 

「この世界の扉は高さが20メートルもある城壁だぜ。グラメウス大陸と陸続きといっても、ここ10年で最大規模の魔物の襲撃でもゴブリン10数匹だろ?上から弓やパーパルディアの小銃で撃ってはいおしまい……だろ?ゴブリンだけなら100匹以上いてもこの城壁ならビクともしねぇ。わざわざ朝早く起きて警備してなくても寝てても一緒だろう?」

 

 

 

 エルフでもあり、真面目な騎士モアが呆れたようなため息をついた後、反論する。

 

 

 

「いやそうとも限らないぞ……ここ100年くらいの記録だが、オークやゴブリンロードが城壁まで来たことがある。オーク等は、弓が効かないから厄介だぞこの銃があればなんとかなるが……」

 

「確かになぁ。少し前まではオークは騎士10名が組織的な動きをしてやっと倒せるほど強大、だったがなぁ、今は銃があるから100年単位の話を言われてもよう……。全く、エルフさんは真面目だな」

 

「おっ、ガイとモアじゃないか。何話してたんだ?またガイがエレイにフラれた話でもしてたのか?」

 

 

 

 顔なじみとなったパーパルディア兵にエレイにフラれたことをいじられガイはうなだれる。いつもと変わらない日常がそこには広がっていた。

 

 『世界の扉』と呼ばれる城壁から北側のグラメウス大陸は長の短い草が生えているのみであり見通しは非常に良い。今の季節は青々と茂っており、陸地部分の北側を見れば見通せるかぎり草原が広がっている。

 

 小鳥たちは歌い、蝶は舞う。今日も何事も無く、この勤務は終わるだろう。平和だな、そう世界の扉にいる者たちが思った時であった。

 

 

 

 

 

 コォォォォォォ……コォォォォォォ…………。

 

 

 

 

 

 始めは地震もしくは地響きかと思ったが地面は全く揺れておらず、悪魔の轟のような音はグラメウス大陸の方からとどろいてきていた。とてもおぞましい…………おぞましい何かが世界の扉へと近づいてきているように聞こえた。

 

 

 

「い、一体何だ!?」

 

「おい、アレなんだ!?」

 

 

 

 パーパルディア兵の方がグラメウス大陸の方角を指差すと大地が少しずつ黒くなっていくのが見えた。

 

 

 

「何だ!?大地が……黒くなっているのか!?悪夢の前兆か?」

 

 

 

 モアが望遠鏡を覗き込むとその正体がはっきりと見えた。

 

 

 

 「あ……あれはゴブリンだ!ゴブリンの群れが大地を黒く染め上げているんだ!いや、オーク、オークも混じっている。1、2……いや数え切れない!少なく見積もっても100体、いやそれ以上の数がいる!」

 

 

 

 さらに先に視線を奥に移すと、オークよりもひとまわり……いやふたまわりは大きい魔物が2体見える。

 

 

 

「な、なにぃ!あれはまさか……レッドオーガとブルーオーガまでいるぞ!伝記でしか伝わっていない伝説の魔獣までもが見えるぞ」

 

 

 

 オーガと呼ばれた2体の魔獣の後ろには、パーパルディア皇国でよく見かける野生の地竜を3回り大きくした赤い地竜のようなものが見える。

 

 その上には、オーガよりも1回り大きい魔獣のような物が1体。モアはトーパ王国の資料室で古文書を読んだ事があり、特に目に焼き付いている。忘れることのできない魔王の姿が目の前にあった。

 

 

 

「せ……せ……せ…………赤竜と、魔王ノスグーラ!赤竜とノスグーラだぁ!」

 

「何ぃ!?貸せ!」

 

 

 

 かけつけたパーパルディア陸軍の大隊長がモアから双眼鏡をひったくって覗き込む。その顔はどんどんと青ざめていった。

 

 

 

「通信兵ぇぇぇ!!急いでパーパルディア本国と城塞都市トルメスに通信しろ!『魔王復活せり!救援求む!』急げ!」「は、はっ!」

 

「敵襲ー!敵襲ー!魔物が攻めてきたぞー!緊急配置につけー!急げー!急げえー!これは演習ではないぞ!」

 

 

 

 一気に世界の扉が慌ただしくなる。サイレンが鳴らされ通信兵は世界の扉の南方にある城塞都市トルメスへ緊急通信を送り、当直明けだったパーパルディア兵たちも小銃片手に指定された場所や機関銃陣地の配置に移り来る魔物の襲撃に備える。

 

 

 

 

 

 コォォォォォ グゴォォォォォォ・・・

 

 

 

 

 

 薄気味悪い音を大地に響かせ、大地を黒く染め上げ、ゴブリンやオーガといった魔物の大群が世界の扉へ迫る。

 

 当面は、常備兵力の150人とパーパルディア陸軍一個大隊500人で城壁の守りを支えなければならない。

 

 現時点の世界の扉を守る兵たちの中で一番階級の高い人物、パーパルディア陸軍の大隊長がモアに命じていた。

 

 

 

「モア!お前の知識は魔物に精通しているようだな!今見た事をトルメスに直接出向いて伝えろ!急げ!」

 

「し……しかし、私も共に…………」

 

「馬鹿者!情報を制する者は戦いを制す!この情報を正確にトーパ王国とパーパルディア皇国に伝える義務がある!今ここで戸惑っているとトーパ王国全体、いやパーパルディア皇国、いやそれ以上の被害が出る!それこそフィルアデス大陸の全生命に脅威が及ぶぞ!これ以上の反論は許さん!仲の良い傭兵もお供に連れて行け!急げ!」

 

 

 

 ケツを蹴り上げられモアとガイは馬に乗り込んで、一路城塞都市トルメスに向かった。

 

 

 

「ふたりとも頼んだぞ……副長!戦闘準備はいいか!」

 

「はっ!大隊長のご命令があらばいつでも魔物共を蜂の巣にできます!」

 

「現状の兵器は?」

 

「パ式ライフル銃700挺、75ミリ要塞砲3門、12.7ミリ重機関銃予備をあわせて8門、7.7ミリ軽機関銃8門それに各種弾薬や爆薬といった具合ですな」

 

「援軍が到着するまでは?」

 

「パーパルディア本国からであれば準備等を勘定すれば1週間から2週間はかかるかと」

 

「……わが軍は数的劣勢、敵は圧倒的多数、撤退は不可能。状況は全くといっていいほど最高といったところであるな」

 

「ええ、まったくです」

 

 

 

 大隊長は笑っており、その副官を笑みを浮かべていた。

 

 

 

「総員傾注!敵は強大である!しかし我々が抵抗しなければ第三文明圏は甚大な被害を受ける!ここが最後の防衛戦だ!刺し違えてでも死力を尽くして守り抜け!」

 

『応っ!』

 

「いい返事だ!魔物どもに人類の底力を見せてやろうじゃないか!」

 

 

 

 

 

 ▲ ▼ ⏰️ ▼ ▲ ⏰️ ▼ ▲

 

 

 

 

 

 トーパ王国 城塞都市トルメス

 

 世界の扉の維持管理を行うために築き上げられた城塞都市トルメスに、モアとガイの二人が馬を飛ばして到着したころにはトルメスはすでに非常召集をかけており、全戦力をもって『対魔王戦争』の準備真っ只中であった。

 

 モアとガイは、トルメスに着くなりすぐに、トーパ王国北部守備隊長の元に通される。

 

 あいさつもそこそこに、激が飛ぶ。

 

 

 

「現状を報告せよ!」

 

「はっ!グラメウス大陸方向から魔物が地を埋め尽くす勢いで侵攻を開始!目測ではありますがゴブリン約4万、ゴブリンロード約2千5百、オークが約3百、さらには王立古文書に記載された伝説の魔獣、レッドオーガとブルーオーガが各1体を確認、また、赤竜に乗った魔王ノスグーラと思われる魔物1体確認しました!」

 

「なんということだ……北部守備隊の兵5000ではとても持たない!通信兵!首都ペルンゲンに緊急連絡だ!」

 

「はっ!」

 

「魔王ノスグーラが復活した!王国軍を全力投入する必要ありと!どの回線よりも最優先で送ってくれ!」

 

「はっ!」

 

 

トーパ王国 王都 ベルンゲン

 

 

 トーパ16世の御前で国の重臣たちが真剣に会議をしている。その表情と雰囲気は最悪といっていいほどであった。城塞都市トルメスからもたらされた『魔王復活』の報、世界の扉守備隊650、および北部守備隊の精鋭兵約5000は突如として現れた魔王軍およそ4万以上の猛烈な攻勢にさらされていた。

 

 トーパ王国軍約1万5千の援軍は王都ベルンゲンを出発し、城塞都市トルメスへと向かっている。

 

 

 

「何故……突然に神話の魔王軍が復活したのか……第一、本当に魔王軍なのか?どうやって確認したのだ?」

 

 

 

 トーパ王が問いかけるとトーパ王国王立大学の神話学の専攻の教授がその問いに答えた。

 

 

 

「神話では……魔王は勇者4人のうち、3人の命を使用した封呪結界に封じ込められているとあります。そして、その結界は毎年少しづつ減衰していくとの記述もございます」

 

「魔王復活はこの封呪結界の減衰によるものと思われますが、今回、大軍を率いて侵攻してきているため、今がた復活した訳ではなく時間軸としては少し前に復活し、軍備を整えてから侵攻してきたものと思われます。」

 

 

 

 神話学の教授の話は続く。

 

 

 

「魔王の確認方法ですが……王も知ってのとおり勇者パーティーにいた獣人族ケンシーバのイメージの魔写を石版に施したものがございます。古代の技術で作られたもではありますが時空遅延式魔法をかけています。古文書研究者等、魔王の魔写を見たことがある者もおるはずでしょう。……今回最初に報告してきた王国騎士であるモアも見た事があったとの事です。また、レッドオーガやブルーオーガも確認されていることから、私としては今回の魔王軍は本物である可能性が高いと判断いたします」

 

 

 

 教授の話が終わり、入れ替わるようにして外交担当大臣が前に進み出る。

 

 

 

「いずれにせよ、万単位の魔物がトーパ王国目掛けて侵攻してきている。もしも我が国が落ちれば、神話のごとくフィルアデス大陸全体に魔物が流出しかねない緊急時です。王!この事実を周辺各国に伝えてよろしいか?」

 

「うむ、魔物の動向は逐一報告を。各国が援軍を組織中に我が国のみが倒した場合、やはりリアルタイムで伝えることが必要だろう。」

 

「援軍の要請はいかがいたしますか?」

 

 

 

 外交担当大臣の問いに、騎士団長が口を挟んでくる。

 

 

 

「陛下、畏れながら私は援軍が必要だとは思っておりません」

 

「ほう……何故か?」

 

「まず第一に、昔は国家の概念すら無かった。当時に比べたらドワーフの技術は向上し、剣の強度は遥かに向上しています。エルフの魔術研究により、魔法も失われたもの多いとはいえ、飛躍的に向上しています」

 

「人族についても高度な戦術、戦略が取れるため、昔に比べ、「強さ」という意味において、昔とは比較になりません。気をつけるのは、魔王とレッドオーガ、ブルーオーガくらいであり、その他のオークやゴブリンの兵を見るに、我が国のみの戦力で十分対応可能かと思われます。魔王やオーガも、王宮魔導戦闘衆特戦隊で対応可能ではないかと思います。」

 

「だが本当にそうであるか?」「何ぃ?」

 

「今、世界の扉が持ち堪えるのはパーパルディアの兵器提供があったからであろう?彼の国の兵器が無ければあっという間に世界の扉は崩れ落ち、トーパは亡国となっていたであろう」

 

「ふんっ、そんなのたまたまではないだろうか」

 

「『たまたま』で防衛が成功するわけなかろう!それは団長自身が一番わかっていることだろう!」

 

「今は身内同士で争っている場合ではない!……ともかく一刻も早くこの事実を各国に伝え、救援を求めるのだ」

 

「は、はっ!」

 

 

 

 

 

 ▲ ▼ ⏰️ ▼ ▲ ⏰️ ▼ ▲

 

 

 

 

 

 パーパルディア皇国 皇都 エストシラント 第3外務局

 

 トーパ王国大使は部隊の派遣要請のために第3外務局を訪れていた。受付を担当していたのはプルームンという女性であった。

 

 

 

「……緊急通信があったと思いますが世界の扉に神話に刻まれし伝説の魔王が復活し襲撃してきたと我が国は判断いたしました。トーパ騎士団と貴国から派遣された陸軍一個大隊が世界の扉において防衛戦を繰り広げております。しかし、魔王が神話のとおりの強さであれば、討ち取るのは大変な困難を伴います。現在、貴国のおかげでどうにかこうにか世界の扉で持ち堪えております。ですが……もし世界の扉が突破されてしまえば我が国は甚大な被害を被ることでしょう。どうか派遣をよろしくお願いしたいのですが……。」

 

「……報告にあった通りですね。こればかりは私個人の判断できかねますので上層部の判断を仰ぎます。ですが……前向きの良い結果を伝えられると思いますよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 

 数日後、トーパ王国大使に新造艦であるフィシャヌス級高速戦艦とヴェロニア型大型空母を含む一個艦隊、ならびに二個大隊の派遣、そして海軍の海軍特戦隊も派遣することが決定し、輸送艦4隻を伴ってエストシラント港からトルメス港へ向けて出発していった。

 

 

 

 

 

▲ ▼ ⏰️ ▼ ▲ ⏰️ ▼ ▲

 

 

 

 

 

 日本国 首都東京

 

 トーパ王国の駐日大使は悩んでいた。トーパ王国本国から日本へ魔王討伐の援軍要請する旨の指令が来る。

 

 パーパルディア皇国への援軍要請は無事に通り派兵が決定したため、大使はパーパルディアだけで良いではないかと考えがあったが本国からの命令なのでそこに私情は入れない。

 

 日本は自衛以外に他国へ軍を送るという事を異常に嫌っている。その事はトーパ王国本国にも報告済みなのだが……どうしたものかと考えていた。

 

 

 

「失礼します。会談のご準備が整いました」

 

 

 

 部屋のドアがノックされ、日本国外務省の準備が整ったようである、大使は重い腰を上げて会談へ望むこととなった。

 

 

 

「――……という訳でして、我がトーパ王国とパーパルディア陸軍派遣隊は現在、城塞都市トルメスにおいて様々な種類の敵……いわゆる魔物と呼ばれている生物を制御できる魔王とその配下の魔王軍と戦っています」

 

「現時点では世界の扉で押し留めております。しかし、魔王の魔力が伝承のとおりの力を持っているのであれば、我が国に甚大な被害をもたらします。魔王とレッドオーガ、ブルーオーガを倒すため、貴方がたの軍……自衛隊を派遣していただけませんか?」

 

 

 

 外務省の担当は考え込む。一概に害獣駆除で出動できれば良いものの知性を持った魔物がこの世界にいるため意思疎通が可能であれば人権を定めなければならないのである。

 

 

 

「その魔王というのは、知性を持ち合わせた知的生命体ですよね?今日本では、魔族についても人権の適用範囲について揉めています。知的生命体を一方的に虐殺したとなれば、国民感情や、対外関係に影響が出る可能性があるので……。」

 

「しかし魔王及びレッドオーガやブルーオーガ、ゴブリンやオークに至るまで主食は人族や亜人族とされています……つまり人間を食料として消費することとなります。……それでも彼らを保護する必要がありますか?」

 

「……他官庁も絡む問題なので、この件は一旦持ち帰ります」

 

「ええ、ぜひ良い答えを期待しております」

 

 後日、日本国政府は有害鳥獣駆除の国際貢献として、陸上自衛隊のトーパ王国への派遣を決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔王軍 本陣

 

 暗闇の中、コウコウとした松明が焚かれ、その光が魔獣3体を照らしている。視線の先にはボロボロになりつつも未だ健在であった世界の扉があった。

 

 その中で中心的な場所にいる者、黒い体は筋肉で盛り上がり、針金のような毛は人間たちの刃物を弾く。黒く渦巻き状に突き出た角を持ち、他種とは隔絶した魔力を放つ「それ」は苛立ちをかくせないままゆっくりと話し始める。

 

 

 

 「チッ……しばらく見ないうちに、人間どもは随分と数を増やしたみたいだな……。まあ、人間の肉は美味いから、食料の現地調達はしやすくなったのはいいが、しかしあの壁はまだ攻略できんのか!」

 

 

 

 貧乏揺すりをしながらその者は言い放つ。その視線の先に要塞砲が着弾すると地面を抉りゴブリンたちを吹き飛ばす。

 

 

 

「魔王ノスグーラ様、落ち着いてください。明日になればあの壁に穴が空き、好物である人間をたらふく平らげることができるでしょう」

 

 

 

 魔王と呼ばれた魔物にレッドオーガが話しかける。

 

 

 

「太陽神の使いを召喚されているワケでもないのに随分と力をつけていたようであるな。しかし我が魔王軍の敵ではないはずだ。何故突破できん?」

 

「4万ほど用意したゴブリンのうち、すでに三分の一が消耗しました。しかし、人間どもは怪我人こそ大勢出しているが数えるほどしか討ち取れていないぞ」

 

「まあ、前回からずいぶん時間がたっていますし。人間どもも、少しは学んだのでしょう。ですがまだオーク軍団健在、後方からゴブリン共も続々と壁へ向けて集まっておりますから、この世界を自分たちの物と勘違いしている人間どもを駆除し、魔帝様が速やかに統治に移れるように、少しでも助力するのが我らの使命よ」

 

「魔帝様の国……魔法帝国が復活した暁には、その絶大な国力であっという間に世界を征服なさるだろう。人間や亜人は魔帝様のように、今は国を作っているらしいが、下種が魔帝様の一族に対抗するなど不可能だ」

 

「時は近い。その前に少しでも征服地を広げるぞ」

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