レミール転生   作:久保田紅葉

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短い&ご都合主義気味でありんす


定期帝前会議

「……それでは定期帝前会議を開始いたします」

 

 

 

 いつものように開催された定期帝前会議、今日の議題は貨客船ダイゴロウ号の遭難と乗員乗客合わせて300人が突如として失踪した事件である。技研だけではなく、日本人の行方不明者を出したということで海上保安庁から捜査員が派遣され合同での捜査が行われていた。

 

 

 

「……ということは何かしらわかったという事なんだよね?」

 

 

 

 ルディアスが問いかけると捜査の指揮をとっている技研の担当者が答える。

 

 

 

「はい。現時点で判明した事をお伝えいたします」

 

 

 

 ――船長と思われる日記によりますと、貨客船ダイゴロウ号はエストシラント港を中央暦1939年12月18日に出航しました。これに関しては第3埠頭の管理事務所から証言がとれました。

 12月20日にアマノキ港入港、翌21日に出港、こちらもアマノキ港の灯台守に確認したところダイゴロウ号の確証が得られました。

 

 

 

「ここまでは今まで判明していることだよね」

 

 

 

 ルディアスの言葉に頷き、話を続ける。

 

 

 ――22日、ここで乗組員の1人が奇妙な物体を釣り上げたと記載があり、風化していた航海日誌

にその詳細の記載がありました。記述通りに描いた想像図がこちらになります。

 

 

 

 フリップボードには人型をしているものの全身が鱗に覆われて首元には魚のエラのようなものがついている。なんとも気味の悪い容姿をした魚と言っていいのか不明な生物が描かれていた。

 

 

 

「……今までこんな生物は見たことがない。魔物なのか?」

 

「そこまでは断定できていません。ですが万が一釣り上げた、もしくは見かけた場合は速やかに海軍本部に通告するよう義務付けをお願いしたく……」

 

「今すぐに許可しよう。バルス司令、頼める?」

 

「お任せを」

 

 

 

 バルス司令が連絡を終えてからまた報告会が開始される。

 

 

 

 ――謎の生物を釣り上げてから数日、24日からダイゴロウ号の船内で奇妙な疫病が蔓延し始めました。主な症状としては吐き気、頭痛、嘔吐、発熱といった症状で船医も首を捻っていたそうです。それに加えてこの症状が出た翌日からザラという女性コックの名前が上がります。ですが……乗員ならびに乗客名簿にザラという名前の人物の記載はありませんでした。

 

 

 

「つまりは……その奇妙な生物が人間種に化けて紛れ込んだということか?」

 

「その可能性は否定できませんが……こちらの写真をご覧ください」

 

 

 

 厨房に備え付けられた冷蔵庫のような物体、その中には霜がついた冷凍肉が所狭しと並んでいる。そしてもう一枚、真紅に染まる宝石と大量の鱗が入れられた木箱があった。

 

 

 

 ――状況から考えられるものとして1つ挙げられるのはダイゴロウ号のコックであるマイローが食への好奇心から口にしたという可能性です。この冷凍肉ですが……リーム・ドーヴァーとよく似た成分が検出された上、その大部分が旧知の物質ではなく。全く未知の物質たちで構成されていることが判明しました。

 また木箱の赤い宝石はベゾアール石の一種のようでして、謎の生物内から採取されたものとかつてリーム帝国兵に支給されていた紫色の宝石のペンダントと同じ効果が確認されました。

 ……これはあくまで推測となりますが、コックのマイローが好奇心から件の謎生命体を口にし何者かに操られるままに冷凍肉を乗員乗客に食べさせて体調不良者を続出させたとの推測されます。

 

 

 

「するとこのザラという人物はコックであるマイローと同一人物であると?無理があるのではないか。第一、彼は男であっただろう。性別が違うじゃないか。ニホンの創作物にあるようなセイテンカンをしたということか?」

 

「その認識で間違いないかと。事実、収容されたダイゴロウ号の船長の遺体は女性でしたが、名簿上では男性でした。それに男性から女性への性転換は過去にリーム帝国が行った痕跡があります」

 

「パンドール将軍のことか……ありえない話ではない」

 

 

 

 ――そしてマイロー、もといザラは乗員乗客のすべてに冷凍肉と宝石を渡してダイゴロウ号の全権を握ったと思われます。これが現時点で判明している情報であります。

 

 ですが失踪事件に関わったリーム帝国の船舶は未だ特定には至っていません。

 

 

 

「ですが……この怪生物が第三文明圏の海にはびこっているとなれば自由で開かれた第三文明圏の海域が脅かされているということになります」

 

「それだけでなく、領海近くにリーム帝国の船舶が現れたのです。船団護衛だけじゃなくて民間商船の単独運行停止も視野にいれないといけないかもしれません」

 

「駆除するにしてもねぇ……随分と苦労しそうだなぁ」

 

 

 

 いざ対応策を……と話し合う前に小休憩を挟む。各々紅茶や一服をと席を立ち上がろうとしたところで会議場の扉が勢いよく開かれた。

 

 

 

「陛下!各局長もおられましたか!至急お伝えしたいことがございます!」

 

「何事か!」

 

 

 

 ルパーサが扉を勢いよく開けた職員を咎める。よく見ると情報局に勤めている職員のようであった。

 

 

 

「クーズ王国大使館、ならびに各国境警備隊、海上を航行している船舶からの緊急報告です!『リーム帝国を囲っていた壁が消失!ならびにリーム帝国軍の大軍がクーズ王国へ侵攻を開始した!』との報告がありました!」

 

 

 

 一瞬の沈黙の後、ルディアスが宣誓する。

 

 

 

「30分後に緊急臨時会議を開始する!レミール、バルスとアルデを呼び出して。大至急!ルパーサはクーズ王国に渡航禁止命令と即時退去命令も」

 

「わかったわ」「承知」

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