レミール転生   作:久保田紅葉

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週一投稿できたので初投稿です


新型巡洋戦闘艦と技術の母

 リーム帝国と北方諸王国群がドンパチして緊張が高まってきたとはいえそう簡単に情勢が変わるわけなく、今のところパーパルディア-リーム帝国国境線は平穏そのものであるためこうして外遊に出ても大丈夫という訳である。

 

 

 

 今現在、私は補佐として連れてきたロバートと共にムー国に向かう飛行機の中で海上の遊覧飛行を楽しんでいた……正確には飛行機酔いをしてしまったロバートの介抱をしながらであるけれど。

 

 

 

「申し訳ございませんレミール所長……うっぷ」

 

「あーあ、もう。少し安静にしてなさい。横になれるような場所があればいいのだけれど……」

 

 

 

 残念ながらこの航空機にはベットやリクライニングシートといったモノはなくただソファーが固定されているだけ。勿論回復魔法を司る呪術師は居ないし酔い止め薬等もないのでせいぜいふかふかのソファーに身を預けて目を瞑って目的地に到着するまで眠りへとつけるのを祈るしかない。

 

 

 

「所長、ごめんなさい……もう限界です!」

 

 

 

 口元を抑えながらトイレへと駆け込んでいくロバート。流石に耐えることができずに食事を戻してしまったようである。

 

 

 

「……大丈夫ですかね?彼」

 

「あー、初めて飛行機に乗ったから?じゃないかしら?帰りは大丈夫でしょう」

 

「そう言うレミール様は大丈夫そうに見えますけど」

 

「私?私は鍛えてるから大丈夫よ」

 

「……?そ、そうですか」

 

 

 

 そんなこんなで降り立ったのはムーの港湾都市マイカル郊外にあるアイナンク空港へと私とロバートを乗せた飛行機は降り立った。ここで自動車に乗り換えマイカル港のリグリエラ・ビサンズ社所有の造船所が今回の目的地であった。

 

 ロバートは相変わらず青白い顔をしているが全てを吐き出したのか先程よりは気分はマシになっているようで足取りは軽くなっていた。

 

 

 

「やっぱり地面の上を歩くのは最高ですね」

 

「そうね。……でも帰りも飛行機だけど大丈夫なのかしら?」

 

「…………」

 

 

 

 ガラッゾ・オートモービル社製乗用車(豊田社・AA型モドキ)に乗り込み造船所へと向かう。その道中は道路という道路に車が溢れ、進んでは止まり、少し進んだかと思えばまた止まる。これを繰り返していた。

 

 

 

「すみません。また渋滞で……」

 

「いいのよ急がなくて……しかしこんなにひどい渋滞なら路面鉄道を敷けばいいのにと思いますけど……それに警官一人だけで交差点を捌くのは厳しいんじゃないかしら」

 

「計画はあるのですがね……今はオタハイトばかり優先して地方都市での工事はまだ手つかずで始まっていないのですよ」

 

 

 

 運転手であるカイオスと雑談をしているが後部座席に乗ったロバートはというと完全に堕ちてしまっていた。

 

 

 

「到着までそっとしておいてあげましょうか。しばらく掛かりそうですし」

 

「ええ、そうしてもらえると助かるわ」

 

 

 

 

 

 ▲ ▼ ⏰️ ▼ ▲ ⏰️ ▼ ▲ 

 

 

 

 

 

 ようやく到着したマイカル港はリグリエラ・ビサンズ社所有のマイカル造船所、その巨大なドック一杯を専有して一隻の大型艦の建造が進んでいた。

 

 

 

「こちらがパーパルディア皇国より依頼されリグリエラ・ビサンズ社で設計・発注をかけたムー国最新鋭の戦艦……パーパルディア型戦艦です」 

 

 

 

 大型クレーンが忙しなく動き、作業員たちが忙しなく動いている。その中には技研の派遣研究員の姿も見られた。

 

 協定による技術者交流の一環でこのパーパルディア級の造船を見学し自国で生産できるようになるためである。

 

 

 

「技研の技術者たちを受け入れていただきありがとうございます」

 

「科学文明国が増えるのは良いこと。そう上層部が判断し、許可したおかげです。それに……貴女のおかげでもあるのです」

 

「レミール様の知識に加え、技研交流協定での魔法文明国の解析……我が国の技術に大きなブレイクスルーをもたらした貴女は技術の母と呼ばれている程なのですよ」

 

「そんなことを言われるようなことはした覚えはないのだけれども……」

 

 

 

 ほんのちょっとルディアスやムー国の技術者たちに進言したりアドバイスを出したりスケッチを数枚送りつけたぐらいで大袈裟なとは思うけどそれは置いておいて最新鋭の戦艦を紹介してもらおうかしら。

 

 

 

「主砲には45口径35.6cm連装砲を4基8門、対小型艇や戦列艦用副砲として15.2cm50口径単装砲片舷8門、計16門を搭載しております。最大で25ktの速力が出せます」

 

「装甲は旧式の30.5cm砲を耐えられ、積載した35.6cm砲も理論上は耐えられるようになっています」

 

「……ところで対水雷防御はどうなっているのかしら?」

 

 

 

 私が質問をするとマイラスは眉を八の字に曲げる。

 

 

 

「まだ実用化には至ってはいません……ですので試験的なものを装甲内に搭載しております。実用製としてはまだまだです」

 

「わかったわ……しかしこの船は」

 

 

 

 『金剛そっくり』という言葉を出しそうになってしまったほど、すこし異なるものの見た目はほぼ竣工時の金剛そのものであった。

 この戦艦が皇国の富国強兵の要となるのは容易に想像ができていた。

 

 

 

「いいわね。パーパルディアへの回航はいつごろになるかしら?」

 

「はい。試験航行も行うので……半月後にはパーパルディアへ向けて回航できるかと」

 

 

 

 私やロバートが訪れてから半月後の中央歴1629年2月16日仮称パーパルディア型戦艦1番艦はマイカル港を出発しパーパルディアへ向けて回航されていき、約2週間後、3月5日エストシラント港には多くのパーパルディア市民や陸海軍の軍人が港に詰めかけ今か今かと新型巡洋戦艦の到着を待ち望んでいた。

 

 商魂たくましい商人たちが露店を出した為に露店街となりちょっとした祭りのような風景が広がっていて、その中に仲の良さそうな少年が二人歩いている。私とルディアスだ。

 

 私はハンチング帽にロングパンツ、胸をサラシで締め付けカッターシャツを着て、ルディアスは同じくハンチング帽に丸メガネ。ショートパンツにカッターシャツというお忍び格好でルディアスと私は完全に市中に溶け込んでいた。

 

 少し前までは中世風味の服が多かったけれど今はムーかぶれのスタイリッシュな服装が増えてきていた。

 

 

 

「ちょっとレミ……レン!あんまり早く歩かないでよ」

 

「あら?ごめんねルディ。こうやって二人で歩くのも久しぶりだと思ってね」

 

 

 

 ルディアスの手を引き屋台を巡る。串焼きがメインであるがその中でムーから来た商人が開いていた屋台に目が留まった。

 

 

 

「いらっしゃい坊っちゃんたち。何にするかい?」

 

「おじさん。これ何?」

 

 

 

 ルディアスが不思議そうに質問をする。三角形に形作られたようなものであるが前世の記憶がある私にとっては馴染というか思い出深いものであった。

 

 

 

「これか?これはヒノマワリ王国っていう国の名物のヤキニギリメシっていうものでな、コメという食べ物に外側をショーユというソースを塗って焼き上げたものだ買っていくかい?」

 

「うーん……レン、どうする?」

 

「僕は食べたいな。おじさん2つずつください」

 

「はいよ。おまけでもう一個つけとくな」

 

 

 

 人混みから離れた桟橋の上へと座る。つつみを広げれば二個見慣れた形をした握り飯が包まれて入っていた。

 

 

 

「不思議な型だね。どうやって食べるのかな」

 

 

 

 ルディアスば不思議そうに握り飯を見つめているが私がひょいと手に取ってみれば関心したように持ち上げて口に入れた。

 

 

 

「不思議な味だね。噛めば噛むほど甘味が出てくるし、このショーユ?ってソースはいい感じの焦げになって白いコメとよく合うね」

 

 

 

 お気にめしたようでなによりである。私は久しぶりに口にするかつての故郷の味を確かめながらゆっくりと頬張る。米の甘味に少し焦げた醤油の塩味と甘味が口一杯に広がる。

 

 

 

「懐かしいなぁ……」

 

 

 

 そう零してしまった私の言葉をルディアスは聞いたはずだけれど聞き逃したのか何も言わなかった。

 

 

 

「だけどこの握り飯は美味しいね。皇国でも栽培できるのかな?」

 

「コメを作るには大量の水を必要としますので都市部では厳しいかと、もし行うとすれば大河の辺りで水を汲み上げて栽培を行うことができるかと。もしくはクワ・トイネ公国に種子を持ち込んで見るのも手かと」

 

「うん。そうしてみよう。農務局とクワ・トイネ大使に問い合わせてみようか」

 

 

 

 二個目も平らげお腹を満たしたところで何やら騒がしくなっていく。船をもっている市民は大急ぎで帆を張り次々と出航していく。中には手漕ぎのボートで出ていく者もいた。

 

 

 

「到着したようね。ルディ、急いで戻りましょう」

 

「そうみたいだね」

 

 

 

 岸壁へ押し寄せる人波を避けて海軍本部に戻るとルパーサがお冠で私たちの到着を待っていた。やっぱり無断で出歩いたのがいけなかったかな?

 

 

 

「お二人でお忍びデートは良いですが護衛たちのことも考えてください。探し出すのに一苦労していましたよ」

 

「ごめんねルパーサ。今度からそうするよ」

 

「今度から……はぁ、まぁいいでしょう。レミール様もですよ」

 

「あっ、はい。すみません……」

 

 

 

 確かに誘ったのは私であるからぐうの音も出ない。いつもならルパーサのお叱りを受けるところであるが重低音の汽笛の音が聞こえてきた。急ぎルディアスと共に海軍本部の屋上へ上がれば巨大な島のような船がムー国の駆逐艦2隻を伴って入港しようとしていた。歓迎の船たちが近づこうとしているがパーパルディア海軍の戦列艦が近づかないよう目を光らせている。

 

 

 

「あの船を見てしまうと皇国海軍の船が全て小舟に見えてしまうなレミール殿下」

 

 

 

 いつの間にか隣にバルス海軍総司令官がいた。海軍の制服組として面白くないことこの上ないはずである。

 

 

 

「……あの大型艦が気に食わないですか?」

 

「勿論気に食わないことはある。だがあの船は強い。現時点での全皇国海軍の船をぶつけても勝てないであろう。それに……」

 

 

 

 気に食わなさそうな表情からいってん。悪戯の成功した子供のような顔を浮かべたバルスは笑う。

 

 

 

「技研の技術者があの大型艦の造船に関わっているのであろう?そしてこの船を作り上げる力がパーパルディアにはある……いやぁ楽しみであるな!」

 

 ガッハッハと笑うバルス。私に変なプレッシャーがかけられながらもパーパルディア型戦艦1番艦はエストシラント港に入稿し大歓声を浴びた。




筆が非常ーーーに遅いので1~2週間に1話投稿できればなと思います
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