神秘狂いのキヴォトス動乱道中(凍結)   作:紅琳檎

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キャラ紹介ページ、ちょっと勢いに任せてだかだかと打ち込んでいたら誤字というより誤植をしていました。
感想欄でのご指摘ありがとうございます、修正いたしました。

未所持ですが好きなキャラクターを登場させました。
あと新キャラも。
早く書きたいシーンまで到達するように更新頑張ります。


1-3 『ヘイロー所持者の神秘保有量におけるレポート』Ver.1

ミレニアムサイエンススクールは各部活や研究機関の内容を閲覧できる外部向けの公式サイトが存在する。

様々な端末からアクセスできるそれは、所謂サブスクリプションのように一定額の支払いをもって各々の興味を引く組織の研究内容を閲覧できるというものだ。

一応ランキングも存在しており、定期購読数や定期購読金額順など、様々な視点から未知のジャンルに触れることができるとキヴォトス内でも評判のコンテンツだ。

 

『神秘を観測する手法について』

『神秘が物体に与える影響について』

『神秘が物理法則に与える影響について(更新あり)』

『神秘の可視化による今後の研究について』

 

ちなみに人気ランキング1位は『ミレニアムお役立ち情報』という便利グッズや日常生活の小技を紹介する部活で、月額110クレジット(税込)と格安だが登録者は65万人を超えており売り上げ金額でもランキング入りしているほどの一大コンテンツと化している。

 

「よーし、これ更新したら今日はおしまいにしよ!

 明日の実験棟押さえてあったよね?

 エンジニア部に計器の申請通ってるか誰かもう一回確認しといて!

 で、ネルちゃんとワカモちゃんは絶対会わせちゃ駄目だからリスケできるように!」

 

はーい、と気の抜けた返事が返ってくるがリズはそちらに目もくれず、いっそ残像が見えるレベルでキーボードを弾いていく。

その他の部員たちも各々の担当業務に取り掛かっているため、打鍵音と各所への連絡とで神秘発現研究部の部室はにわかに騒がしくなった。

 

『神秘が人体に与える影響について(加筆予定)』 !New!

 

新たにサブスクを更新したリズはPCの電源を落とすと、乱雑に物が置かれたデスクから一抱えもあるほどの巨大なファイルを取り出す。

顔写真付きの様々な生徒の情報が収められているそのファイルこそ、この部活で最も価値のある存在だ。

 

「先生と知り合えたのは僥倖だなぁ、あのワカモちゃんと知り合えたわけだし。

 ネルちゃんはようやくここに理解を示してくれたし、あとはエイミちゃんあたりのデータも欲しいところ……ヒマリちゃんに直談判してみるかなぁ。

 明日でコトリちゃんのデータも揃うし、そうしたらあの実験に踏み込める……」

 

ぱらぱらと収集したデータを眺めながらリズは溜め息を吐く。

神秘という存在に狂い早4年。

まともな研究が可能になってからは未だ1年と半年ほどだが、初めの数十ページほどの児戯にも等しい収集データから見れば、随分と形になったんじゃないかと自己評価を下す。

最も、その数十ページは彼女自身を用いた実験データなのだが。

 

「部長、明日の件確認したけど、ダブルチェックお願い」

「はいはい、……うん、問題ないね、ありがとう。

 ちなみにアイサ、身体の具合はどうかな?」

「ん、なんか変な感じ、ああいい意味でね?

 正直、まだ信じられなくてフワフワしてるような」

 

神秘発現研究部副部長、一色(ひいろ)アイサ。

彼女はとある事件に巻き込まれリズに救助されており、その際に転校してきた少々複雑な経歴を持つ。

透き通るようなプラチナブロンドを緩く巻いて、片翼だがよく手入れされた純白の翼はどこぞの令嬢のような雰囲気を持っている。

自身の白髪を弄りながらプラチナブロンドいいなぁなどと呟くリズであるが、ミレニアムの一般学生からすれば十分羨望の対象であることを彼女は知らない。

 

「明日はネルちゃんのデータ収集が終わり次第だけど、アイサも一応取っておこうか」

「うん、部長に任せるよ。

 じゃあ明日のために、この子も整備してあげなきゃだね」

 

机に立てかけられたアサルトライフル。

愛し気に撫でるその手には、夥しい傷跡が残っていた。

 

「よくもまぁ、治ったもんだねと、我ながら思うよ」

「アイサの頑張りもあったけど、わたしもよくもまぁ治せたもんだなって思う」

 

顔を見合わせてふたりは小さく笑い、互いのスクールバッグを手に立ち上がった。

 

「じゃ、みんな解散!

 明日は忙しくなるから十分睡眠をとること!

 注意力散漫だったら蹴り出すからそのつもりでよろしく!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「……で、あの的を撃つだけでいいんだよな?」

「そうそう。

 ただしこっちの指示通りにお願いね。

 そんなに難しいことは言わないけど、右目閉じて左の銃でとか、その場でジャンプしながらとか、両方同時にとか、そのくらいだから」

「まぁそんくらいなら支障はねぇな。

 こんなんで強くなれるんだったら、もっと早く来てればよかったぜ」

 

翌日、C&C所属の美甘ネルはミレニアム内で最高機密を誇る第3実験棟を訪れていた。

主に神秘実現研究部かエンジニア部が流出できない類の開発を行っている時にのみ使われるものだが、ネルは所属している組織柄、中で行われる実験をぼんやりと理解していた。

貼り付けたようなリズの笑顔に、ビンゴ、とネルは心中で呟く。

 

「……一応データ収集のためって名目なんだけど、どうして強くなれるなんて思ったのか、参考までに聞いてもいいかな?」

「そりゃあ、あたしが逆立ちしたって敵わねぇやつがわざわざあたしなんかのデータを取るってんだ。

 それにあたしだって研究部のウワサもいくらかは聞いてるし、ちょっと興味もあったからサブスク入ったんだぜ?

 内容はまぁ、理解できてるとは言い難いけどよ」

 

ネルは自身の携帯端末から、配信されている『神秘が物理法則に与える影響について(更新あり)』を開いて見せる。

不敵に笑みを浮かべながら、2丁の銃が繋がる鎖が音を立てた。

 

「見てりゃ分かる、てめぇらの異様な戦闘力は神秘の研究の賜物だろ?

 動きはシロウトくせぇのにそこらの不良じゃ傷ひとつ付かねぇ、逆に1発でも当てりゃほぼ致命傷だ。

 こっちもそれなりの組織なんでな。

 データを取られて強くなったって例は聞かねぇが、聞かねぇだけで目の前にあるのは誤魔化せねぇ」

 

せっかくならちょっと喧嘩してみてぇところだけどよと、つい口を吐きそうになったネルは言葉を飲み込む。

 

「おまえ、荒守リズと、一色アイサ。

 実験の結果がほとんど二人に集約されているとみて間違いねぇよな?」

 

濃密な殺気に、緊張が走る。

研究部の部員たちが手を止め警戒を露わにするも、リズはビジネスライクな笑顔を浮かべたままだ。

 

「まぁ間違ってないけど、すごいね?

 流石C&Cのリーダーだなって感じ」

「伊達にミレニアムのエージェントやってねぇからな。

 まぁあたしたちも強くなる必要があるし、フィードバックくらいはしてもらいたいところなんだが」

「いいよそのくらい。

 代わりにさっきみたいな簡単な指示じゃなくてもっと色々やってもらおうかな。

 必要とあらば的代わりにわたしが立つこともあるから、ちょっと頑張ったほうがいいかもね?」

「上等ォ!」

 

売り言葉に買い言葉。

かくして、過去類を見ない規模の実験が幕を開けた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「弁明があれば聞くわ」

 

仁王立ちで腕を組んだユウカ、どこか鬼の面が見えるような。

ぼんやりとそんなことを考えつつ、脚が痺れてきたなとリズは正座していた。

背後には倒壊寸前の第3実験棟。

当然のように怒られていた。

 

「いや、特にないかな?

 とりあえずデータいっぱいでホクホクだから早く帰ってレポート書きたいなって感じ」

「ブッッッッッ殺すわよリズ!!

 第3実験棟がいくらで建ったか知らないとは言わせないわよ!?」

「あはは怒ってる怒ってる。

 まぁ仕方ないよ、神秘の研究には建物の1つや2つ、些事だからね」

「200億を些事だっていうなら耳を揃えて支払いなさいよォ!!」

 

 

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