勇者だって転生します。   作:カオス案山子

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目的のない旅もいいんじゃないかな。


転生と勇者
勇者、死す。そして物語が始まる。


 

「・・・・・・あぁ」

 

思えばここまで長い旅だったなぁ

 

12で故郷を旅立ち

13で選定の剣を抜き、勇者と呼ばれるようになって

魔王を倒したのは・・・25だっけ?

 

うーん・・・

人生で1,2を争う位のイベントだったはずなのに明確に思い出せないとは・・・

全く老いたくないもんだ

 

まぁその旅の中であいつらとも出会って・・・

 

ザック、カルステスア、ンギア・・・・・・

 

そしてルジュルン・・・

いやーみんないい奴だったなぁ

 

ザックはロリコンだけど

 

カルステスアはアル中だけど

 

ンギアはメンタルクソザコだけど

 

ルジュルンはニートだけど

 

・・・あれ?こう考えるとみんなろくでもねぇな?

よくこいつらと魔王倒せたな

 

はぁ・・眠くなってきたな・・・

 

「・・・あーあ。まぁしっかし。

もし生まれ変わりがあるのなら。

ちーととかいうのを持っている奴らの故郷の『ニホン』とやらに行きたかったなぁ・・・」

 

 

 

 

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こうして勇者アンスルの生涯は閉じました。

享年93歳。

死因は老衰。

その日のうちに彼の死は国家中に知れ渡り。

誰もが彼の死に悲しみました。

 

・・・でも女神さまは見ていました。

彼の最後の瞬間を。

女神さまは聞いていました。

彼の最後の願いを

そして女神さまは勇者を呼び出しました。

 

『勇者アンスル。あなたの最後の願い・・・ニホンに行きたいという願い。かなえて差し上げましょう。』

 

「はぁ・・・」

 

『なんかいやそうですね?あなたの心残りだったんでしょう?』

 

「いやそうなんですけど・・・」

 

『?では何か?』

 

「いや・・・こんなおいぼれの状態でいってもなぁって・・・」

 

勇者の言葉に女神はクスリと笑みを浮かべます

 

『大丈夫ですよ。あなたの肉体と年齢は20歳になりますから』

 

「えっ、本当ですか?」

 

『はい。魔王を倒し、平和を取り戻したあなたにはそれくらいしてあげますよ。』

 

そう女神さまが言うと、白い門が現れました。

 

『さぁ、勇者・・いえ、アンスルさん』

 

「は、はい」

 

『その門をくぐればニホンに到着です!』

 

「女神さま・・・ありがとうございます!僕・・・ニホンを楽しんできます!では・・・・!」

 

そうアンスルは女神さまに感謝して門をくぐりました。

 

『いってらっしゃい!願わくばあなたに良き出会いがありますように・・・・・・!』

 

 

 

 

 

こうして勇者アンスルは『ニホン』に転生したのでした。

 

めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

~ギャルクス王国に伝わる勇者アンスルの冒険最終章より抜粋~

 

 

 

 

 

 

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「世間は元旦で休みなのに・・・俺はいったいなんで会社に来てるんだ・・・」

 

「いやそういう仕事なんだから仕方ないでしょ吹上。大体そういう会社ってわかって入社したのに。」

 

元旦。1月1日。一年の始まり。

二人の男と一人の女がオフィスで仕事をしていた。

 

「しかし吹上君は帰省とかしないのかい?」

 

三人の中で一番年上の頭皮が寂しくなってきている男。[川口 玄【かわぐち げん】]が

先ほど嘆いた若者、[吹上 太一【ふきあげ たいち】]に問いかける。

 

「いや、とくには考えてないっすね。実家自転車で10分くらいなんで。」

 

「あ、そんな近いんだ。」

 

そう聞いたのは吹上と同期の女子[藤沢 南【ふじさわ みなみ】]

 

「藤沢さんは埼玉だっけ?」

 

「はい!久喜なんですよ~。でも実家に住んでるので帰省とかはないですね~。」

 

「あぁ、そういやそうだったね。」

 

「部長は帰省とかしないんすか?」

 

「いや私は逆に帰省待ちだね。明日娘一家と息子一家、あと独身の息子が帰ってくる予定でね。久しぶりの一家勢ぞろいで・・・

っと、もう6時か・・よし、今日はさっさと帰ろう!明日我々は休みだしな。ゆっくりしよう。」

 

「そうですね!吹上は明日何か予定あるの?」

 

「んー特にないな。あっ、先帰ってていいですよ。ちょっとこれだけやっちゃいたいんで。」

 

「ん、了解。それじゃ戸締りよろしくね」

 

「お疲れ様です。」

 

そういって川口と藤沢が退社する。

一人残った吹上は、飲みかけだった麦茶を一気に飲み干すと、パソコンに向かい最後のスパートを掛けた。

 

 

 

 

 

 

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「だー・・・疲れた・・・」

 

帰宅した吹上は一人、特に見もしないテレビをつけて缶ビールを飲む。

 

「もうあれだな。今日はさっさと布団しいて寝るか。なんか疲れたわ」

 

食事をさっさとすませ、風呂に入り、布団に入る。

布団に入り数分、彼は眠りに落ちていた。

 

深夜の暗闇に時計の秒針の音だけが響いている。

カチ・・コチ・・カチ・・コチ・・

 

「・・ん、んん」

 

彼が寝返りを打ったその時

 

ピカッ!っと何かが光った

 

「・・んあ?」

 

もぞもぞと布団から何事かと起き上がる吹上。

 

「んー・・なんだよこんな夜に・・・」

 

吹上が部屋の電気をつける。

部屋が明るくなり、吹上が目を開くと目の前に・・・

 

「あの、すみません・・・」

 

・・・金髪の高身長イケメン(全身鎧)が立っていた。

 

「・・・誰だてめぇ!?」

 

思わず声を上げた吹上

そんな吹上に落ち着いてくださいとイケメンが声をかけるが

 

「いやこれが落ち着いていられるか!警察呼ぶぞ!?」

 

「ちょっと待ってください!僕は別段怪しいものでは・・・」

 

「深夜に人んちに不法侵入してる時点で立派な不審者だわ!つーかどっから入ってきやがった!?」

 

「いや僕だって門をくぐったと思ったらこんなところについたんですよ!?・・・はっ、まさかここは・・失礼!ここは何という場所ですか!?」

 

「何をわけわかんないことを言ってんだ!?つーかその恰好なんだよ!?コスプレか!?」

 

「これは・・僕の装備!?女神さまの計らいか・・」

 

「あぁ!?女神!?怪しい宗教勧誘か!?」

 

「いや違いますよ!とにかく落ち着いて・・・」

 

「・・・よし分かった。とりあえず警察呼ぶから話はお巡りさんとしてもらおうか」

 

「ほんとに待ってください!まずここがどこか教えてください!お願いします!」

 

そういって全身鎧の金髪イケメン不審者は土下座をする

それを見た吹上は落ち着いたのか、枕元に置いていたペットボトルのお茶を一口飲む。

 

「・・ここは東京だよ。」

 

「トウキョウ?」

 

「いやなんで首傾げてんだよ・・。東京!」

 

「トウキョウ・・・ニホンではないのですか?」

 

「いや日本だろ。日本の首都だぞ。つーかお前東京に住んでるんじゃないのかよ」

 

【日本】

 

その言葉を聞いた金髪イケメンは満面の笑みを浮かべ

ガッツポーズを決める。

 

「あぁ!夢がかないました!ありがとう女神さま!」

 

それをあきれた様子で見ていた吹上はもう一度お茶を飲み、声をかける。

 

「一人で盛り上がるのはいいんだが・・お前ナニモンだ?」

 

そう吹上が聞くと金髪イケメンは笑顔のまま吹上の手を握り、答える。

 

「あぁ名乗りを忘れてました!僕は[アンスル]!勇者と呼ばれていたものです!」

 

「・・・なるほどね。」

 

吹上はふぅと一息ついて

 

「よし!警察呼ぶか!」

 

「いや待ってください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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