「・・・・へ?」
自信の受けてきた仕打ちを聞いても
表情一つ動かさないどころか、それがどうしたとでも言いたそうな視線で空を見つめる空の母親
その様子に、拍子抜けしたような顔を作る空
「えーと・・・いじめられてたのはわかったわ。けど・・・だからどうしたの?」
「・・・何も、感じないと?」
「えぇ。だっていじめられてただけでしょ?実際にコッチに被害が来てるなら動くけど・・・」
「こっちにって・・・空はあなたの息子でしょ?」
「そうよ?」
「なら・・なら何とかしてあげようとかそういう風に思わないの?」
ルジュルンがそう聞くが、空の母は何を言っているのかわからないとでも言いたげな顔で首を傾げる
「うーん・・・・何とかって言われても・・・」
お茶を飲み、一呼吸置く空の母
「・・・子供の『遊び』に、大人が介入するなんて無粋じゃないかしら?」
「・・・・『遊び』?」
「・・やっぱりか」
『いじめ』を『遊び』と答えた母親を、何か信じられないものを見るような目で見つめる空
「母さんは、僕がされてきたことを『遊び』だって言うの・・・?」
「えぇそうよ」
「・・・遊びなわけないじゃん!だってこんなに・・こんなに嫌な思いしてるんだよ!?」
「うーん。遊びでも嫌な思いすることもあるじゃない?ホラ、カードゲームとかでも負けると嫌じゃない?それと同じことだと思うのだけど・・・」
「同じなわけないよ!」
「じゃあどう違うのか説明してくれる?」
「そんなの・・・なんでわからないの・・・??」
「・・・やめときなさい空。今のあなたが何を言っても、あんたの母親には理解できないわよ」
悔しそうに、唇を噛む空をなだめるように声をかけるルジュルン
「・・・時にお聞きしますがお母様」
「あら?何かしら?」
「お母様は学生・・・学校に通っていたころはどのような生活をしていらしたので?」
「そんなこと聞いて何になるのかしらー?」
「いえいえ、少し気になったもので・・・」
「そう?別にいいけど・・・そうねー」
母はそういって話し始める
「聞いても面白いことなんて一つもないわよ?ただ普通に過ごしてただけだし・・・」
「いじめなどは?」
「そんなものなかったわよー?仮にあったとしてもなかったわよ?」
「あったとしてもなかった?」
「えぇ。いじめっていうのはね空ちゃん。双方の認識があっているときにしか発生しないの」
「???どういうこと???」
「そうねぇ。例えばお母さんが今、ルジュルンさんに水をかけたとするでしょ?これはいじめかしら?」
「えーと・・・」
いきなり聞かれた空は困ったように考える
そんな空の答えも待たずに、母は話し始める
「答えは、どちらでもない。よ」
「どちらでもない?」
「そうよ。今ここでルジュルンさんに水をかけても、お母さんがかけ返されて終わりでしょ?それはただの戯れになる。けど、もしお母さんが日常的にかけていたら、もしかしたらいじめになるかもしれない。けどそんなことわからないでしょ?だって『見ていないんだから』」
「・・・・つまり?」
「つまりお前の母親はこう言いたいわけだ。『自分が実際に見ていない。聞いていない物事はすべて信用するに値しない』と」
「うーん言い方が厳しいけど・・・そうね。そのとおりよ」
「そんな・・・」
母親が信用しない理由が、自分が見てないから信用しないなんて理由だということに、空は強いショックを受けた
見るか
聞くか