ビルが立ち並ぶ場所
所謂高層ジャングル
今日も労働者たちが、個性もない服装で歩き回っている
その姿を高層階にあるカフェで、見下しながら、一杯約1000円のコーヒーを飲みながら悦に浸る人物がいた
「ふぅむ・・・。いつどの世界でも、労働者というのは無様よな」
ダンディな髭を生やし、高そうな灰色のスーツを着た男は、隣に座る桃色の髪の毛の女性に対し、語り掛ける
「・・・その労働者がいなければ歯車は止まりますけどね」
「そんなことはわかっているのだよ」
「あとそのキャラなんですか?正直痛々しいですよ」
「やっ、やかましい!今、我はそういう雰囲気で楽しんでいるのだ!水を差すでない!」
「雰囲気って何ですか?今ここにいるのは誰のおかげだと思ってるんです???」
「・・・ふっ」
「笑ってごまかさないでくださいよ。その気になれば追い出すこともできるんですからね」
「すまんかった。それだけはやめてくれ」
すぐさま女性に対して土下座をする男性
この二人、ただの人間ではない
「全く・・・・。あの頃の威厳のあった魔王様はどこに行ってしまわれたのですか??」
「フッハハハハハ!威厳だけで生きていけるか!そんなものコチラの世界に来てしまった時点でとうに捨てたわ!」
「それ以外にも色々失ってますよね・・・」
そう。この二人
異世界にて、勇者アンスルとそのパーティによって討伐された魔王とその右腕その人なのだ
彼らも、勇者に敗北し、消滅を待つだけだったが、気が付いたらこちらの世界・・・日本に来ていた
魔王『フェイガス』は見事に何もできなくなっており、残っていたのは異世界の記憶のみだったが、その右腕である桃色の髪の女性『チェーゲイ』は限定的な未来予知能力と極度の幸運があったため、その力を使い、一発クジと株を当て、あっという間に大金持ちになったのだ
なので魔王は現在、チェーゲイのヒモ状態である
「ふぅん。いいか我が右腕よ。失ったものばかり考え、後ろばかり向いているのは実に愚だ。時は止まらず止められない。であるのなら、無理にでも前進していくしかないのだよ」
「かっこよく言ってますけど・・・」
「よせ!何も言い返すでない!他ならぬ我自信が[あぁ、今の説明流石に無理あるなぁ・・・]と思っているのだから!」
「ぶ、無様・・・・」
「フハハハハハ!魔王であるこの我がこのようになるとは!おのれ女神ィ!!」
憎しみを込めた表情でそう吐き捨てるフェイガス
そんな様子を見てため息を一つ吐き、話し出す
「・・・はぁ。女神に憎しみを吐き出すのはいいですけど。そろそろ行きますよ」
「む?そうか・・・もうそんな時間か」
二人は服装を整え、ある場所に向かう
「しかしまさかだな。我を討ち果たした勇者がこちらに来ているとは・・・」
「・・・ホントに会いに行くんですか?」
「当然だ!久しぶりの挨拶といこう!」
そういって二人はビルを後にした
「ちなみにコレ何番線の電車に乗ればいいんだ?」
「だからここですって・・・おとなしくついてきてくださいよ」
「うむ。しかしこちらにもダンジョンはあったのだな・・・」
「東京駅ですけどね・・・・」
ポンコツ