それはまだ、魔王が魔王と呼ばれる前のお話
「ふぅ・・・・」
とある魔族が一人、人里離れた山奥でひっそりと暮らしていた
その魔族の名はチューゲイ
彼女は魔族としての戦闘能力はほぼ皆無であり、同族からは存在価値のないものとして扱われている
「お、これは貴重な山菜・・・これは今日の夕飯ですね」
本来、魔族というのは食事を必要としない
魔族にとって食事というのは人間やエルフといった魔族以外の種族の脳を食べることを指す
彼女はその行為をしない代わりに、人間と同じような食事をとっているのだ
勿論効率はクソだが、彼女はその他者の脳を食べるという行為に心底嫌悪感を抱いていたからだ
というのも、彼女。実は人間と魔族のハーフであるため、感性は人間に寄っているのだ
ちなみに両親は大恋愛ではなく、普通に魔族の父親が暇つぶしで凌辱して、できてしまった子供なので、生まれてすぐに捨てられた。
「・・・ん?」
彼女が山での散策を終えて自宅に帰ろうと歩いていると、どこからか喧騒が聞こえてくる
「何でしょうか・・・?こんなところに人・・・?」
喧騒のするほうに向かっていくと、そこには血がそこら中に飛び散っていた
その中に一本、血の道ができていた
「何ですか・・・これは・・・」
彼女はその道を辿っていく
恐怖心もあるが、それ以上に、この先に何があるのか
その興味が上回っていた
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しばらく進んでいくと、喧騒がさらに聞こえるようになってきた
彼女は物陰に隠れながら、その話を聞く
「てめぇ!!どういうことだぁ!!!???」
「はっ!どうも何も・・・貴様は我の前に不要ということだ!!」
どうやら二人の魔族が喧嘩しているようだった
その二人の周囲にはすでに息絶えた魔族が数十人転がっている
体の一部が欠損している者も多くおり、その喧騒の激しさを物語っている
「この裏切り者がぁ!!!」
「・・・・」
一方が殴りかかるが、もう一人の魔族が腕を振ると、襲い掛かった魔族の四肢と首が切断される
当然、即死だ
「・・・・!?(な、なんなのコイツ・・・!確実にやばい!に、逃げないと・・・!)」
彼女がすぐに立ち去ろうとすると、魔族はさて、とつぶやき、彼女が隠れていた物陰に視線を向ける
「・・・・さて。そこで見ている者よ」
「!?(バレてる!?)」
「いや別に取って食おうなどと思っていない。顔を出せ」
そう言われ、彼女は、おとなしく従い、物陰から姿を現す
「ふむ・・・?混ざりものとは・・・」
「見ただけでわかるの?」
「うむ。まぁそんなことは些細なことだ。さて女よ」
「な、なんですか・・・?」
「そうおびえるでない。いや実はな。ある組織を作ろうと思っていてだな」
その魔族は自分が作ろうとしている組織の詳細を彼女に語る
それは壮大な夢物語だった
「・・・それは」
「勿論無謀だ!だが、だからこそやる意味がある!!」
「・・・組織はわかったけど・・・それを私に話してどうするの??」
彼女が聞くと、その魔族はフハハと高笑いをする
「当然!貴様にその計画の手伝いをしてほしいのだ!」
「手伝い?」
「そう!わかりやすく言えば我の右腕になってほしいのだ」
「右腕・・・・」
「そうだ!我のこの計画には貴様の力が必要不可欠なのだ!」
「必要不可欠って・・・そもそも出会ったのは初めてじゃない」
「そうだが?我は見ただけで能力などはわかるんだが?」
「え、そうなの?」
「うむ」
その魔族からの勧誘に、彼女は少し考える
今のままの生活ももちろん悪くない
だが本当にそのままでよいのだろうか?
数分間、長考した末、彼女はこう答える
「・・・わかりました。協力させていただきます」
「む!本当か!いやーよかったよかった・・・これで断られたらもう殺すしかなかったからな・・・!」
「やっぱりそう考えてたんですね・・・っと」
彼女が腕を差し出す
「私の名前はチューゲイ。しがない半人半魔です」
「我の名はフェイガス!将来、魔王になるものだ!」
そして二人は出会った
チューゲイは断片的な未来予知によって、断った未来を見ました
死んでました。断れないですよね。