勇者だって転生します。   作:カオス案山子

38 / 62
その頃


とある神殿の御話

 

ゴーンゴーン・・・・

 

鐘がなる

 

教会の鐘が今日も鳴らされる

 

一定の周期で鳴らされるその鐘の音は、多くの国民に癒しと安寧を与えている

 

勇者亡き今、この国はとても不安定な土台の上に成り立っている

 

最近では、魔族もまた活発に動き出していた

 

世間では、魔王が復活したと言われているが、そんなことはない。

 

魔王は確実に死んでいる。

 

勇者アンスルとそのパーティーが討伐している。

 

では何故そのような不安が国民の間に広まっているのか?

 

答えは簡単。

 

今まで、郊外に湧いて出てきた魔族は、衰えた勇者が討伐していたからだ。

 

また、王国付近に湧いた魔族は冒険者たちが狩っていたので、国民がその危機を身近に感じることなどなかったのだ。

 

しかし、勇者が亡くなったことにより、状況は一変。

 

郊外の魔族が討伐されなくなり、その分、王国に近づいてくる魔族が増えたのだ

 

さらに、絶大な力を持っていた魔女も行方不明になったため、必然的に冒険者たちへの負担が増え、対処できなくなっていたのだ。

 

さらに、冒険者の人手不足という問題がここに加わる

 

勇者が魔王を討伐したことで、魔族の出現が、一時的にだが大幅に減少し、冒険者たちへの依頼も激減したのだ。

 

その結果、その日暮らしが多かった冒険者たちは、その日すら生きていけないような状況に陥った。

 

当然、そうなれば冒険者を辞める者が増えるわけであって。

 

今、冒険者をやっている者は、そんな状況でも冒険者を辞めなかった、筋金入りの冒険者か、新人の冒険者がほとんどだ。

 

そんな状況で、不安に駆られた一般国民達は、祈るしかできなかった。

 

唯一、神として崇められている存在。

女神に。

 

 

 

 

 

::::

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・では、そのように」

 

「えぇ。神父様。女神さまのご加護があらんことを」

 

「ご加護があらんことを」

 

王国の東に位置する、協会では、一人の農民が神父に別れを告げて、協会を出ていく

農民が出ていき、協会の扉が閉まるのを確認して、神父はゆっくりと腰を下ろす

 

「ふぅ・・・・これで46人目ですか。流石に多すぎますね・・・」

 

神父は傍らのコップに注いである水を飲み干し、天井を見上げる

 

そこには女神の姿がステンドグラスに描かれている

 

「・・・・女神さま。これは一体どういうことなのでしょうか。勇者が亡くなったのを皮切りに、魔族たちの積極的な領域侵犯。それどころか最近はエルフ共もきな臭くなってきたおります。・・・・それに魔女の失踪。これはどうも偶然なのでしょうか?聞けば、魔女は最後、勇者が晩年過ごしていたとされる森に向かっていく姿を最後に、失踪したとのことで。正直、何かしらの裏があるとしか思えません。・・・・さらに、そのタイミングでの、”魔王の娘を名乗る魔族の投降”。・・・・あぁ、この世界はどうなるのでしょうか・・・」

 

神父は一人、空に向かって、嘆いた

 

ステンドグラスがゆっくりと笑ったように見えるが、気のせいだろう。




偶然?必然?







※数日間、私用でお休みします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。