ゴーンゴーン・・・・
鐘がなる
教会の鐘が今日も鳴らされる
一定の周期で鳴らされるその鐘の音は、多くの国民に癒しと安寧を与えている
勇者亡き今、この国はとても不安定な土台の上に成り立っている
最近では、魔族もまた活発に動き出していた
世間では、魔王が復活したと言われているが、そんなことはない。
魔王は確実に死んでいる。
勇者アンスルとそのパーティーが討伐している。
では何故そのような不安が国民の間に広まっているのか?
答えは簡単。
今まで、郊外に湧いて出てきた魔族は、衰えた勇者が討伐していたからだ。
また、王国付近に湧いた魔族は冒険者たちが狩っていたので、国民がその危機を身近に感じることなどなかったのだ。
しかし、勇者が亡くなったことにより、状況は一変。
郊外の魔族が討伐されなくなり、その分、王国に近づいてくる魔族が増えたのだ
さらに、絶大な力を持っていた魔女も行方不明になったため、必然的に冒険者たちへの負担が増え、対処できなくなっていたのだ。
さらに、冒険者の人手不足という問題がここに加わる
勇者が魔王を討伐したことで、魔族の出現が、一時的にだが大幅に減少し、冒険者たちへの依頼も激減したのだ。
その結果、その日暮らしが多かった冒険者たちは、その日すら生きていけないような状況に陥った。
当然、そうなれば冒険者を辞める者が増えるわけであって。
今、冒険者をやっている者は、そんな状況でも冒険者を辞めなかった、筋金入りの冒険者か、新人の冒険者がほとんどだ。
そんな状況で、不安に駆られた一般国民達は、祈るしかできなかった。
唯一、神として崇められている存在。
女神に。
::::
「・・・・・では、そのように」
「えぇ。神父様。女神さまのご加護があらんことを」
「ご加護があらんことを」
王国の東に位置する、協会では、一人の農民が神父に別れを告げて、協会を出ていく
農民が出ていき、協会の扉が閉まるのを確認して、神父はゆっくりと腰を下ろす
「ふぅ・・・・これで46人目ですか。流石に多すぎますね・・・」
神父は傍らのコップに注いである水を飲み干し、天井を見上げる
そこには女神の姿がステンドグラスに描かれている
「・・・・女神さま。これは一体どういうことなのでしょうか。勇者が亡くなったのを皮切りに、魔族たちの積極的な領域侵犯。それどころか最近はエルフ共もきな臭くなってきたおります。・・・・それに魔女の失踪。これはどうも偶然なのでしょうか?聞けば、魔女は最後、勇者が晩年過ごしていたとされる森に向かっていく姿を最後に、失踪したとのことで。正直、何かしらの裏があるとしか思えません。・・・・さらに、そのタイミングでの、”魔王の娘を名乗る魔族の投降”。・・・・あぁ、この世界はどうなるのでしょうか・・・」
神父は一人、空に向かって、嘆いた
ステンドグラスがゆっくりと笑ったように見えるが、気のせいだろう。
偶然?必然?
※数日間、私用でお休みします。