死にかけの女性発見事件から数日後
アンスルは仕事をしながら、色々と考えていた
「うーん・・・・」
「・・・どうしたんです?なんか最近上の空ですけど」
「あっ、江北さん。いやー実はですね?あの女の人いたじゃないですか」
「あのって。あぁ、あの時の。ていうかまだあの時のことを色々考えてたんですか?」
「・・・逆に皆さんはよくケロっと忘れられますね・・・・」
アンスルがそう聞くと、江北は当り前じゃないですかと答える
「例え目の前で誰かが死んでたとしても、親族との別れがあったりしても現代社会を生きるためにはひたすらに忘れるしかないんですよ。そもそもいちいち出来事を覚えていても脳内がキャパオーバーしてもうなんか滅茶苦茶になるんで。一応先輩として教えてあげるけど、深く考えすぎるともっとめんどくさくなってくるわよ?引けるときに引いとくのが正解」
「そういうもんですかねぇ・・・」
「そういうもんよ。長いものには巻かれなさい」
「・・・それって自分が無いじゃないですか?」
「無くていいのよ。自己主張なんてするだけ無駄。労力をそこにかけるなら巻かれながら身分相応の生活をするほうがマシよ」
どこか遠い目をしながら話す江北から、どこか闇の気配を感じるアンスル
そんな中、アンスルの携帯がピロピロと着信音を鳴らす
「っと、すみません」
「はいはい」
アンスルは席を立ち、オフィスから出て携帯を確認する
そこには知らない番号が表示されていた
(・・・・?誰だろう・・・)
怪しく思いながらも、電話に出る
「・・・・もしもし?」
『あーもしもし?吹上さん?』
電話の向こうから聞こえてきたのは中年くらいの男性の声だった
アンスルはどこか聞いたことがあるなぁ・・・と思いながら答える
「えーと、違いますけど」
『え!?違う!?嘘ぉ!?だってこの番号って・・・・!あの野郎・・・』
「えーと・・・・一応吹上さんと知り合いですけど・・・」
『お!そうなのか!あー・・じゃあ俺のこと伝えといてくれる?ほら、女性の時の警察ですっていえばわかるだろうから』
「女性の時って・・・あー!あの時の警察の人!」
『ん?俺を知ってるのか?』
「いや知ってるも何も・・・ほら、あの時いた男ですよ」
アンスルがそう言うと電話の向こうの男性は『んー?』と考えるようにうなる
『・・・・あぁ!あの時の唯一まじめだった兄ちゃんか!』
「唯一って・・・・」
『いや実際そうだっただろ。うーんまぁこの際兄ちゃんでもいいや!ちょっと今から指定する病院に来てくれん?』
「へ!?いやいや!今すぐは無理ですよ!僕にも仕事があるんですから!」
『んなことはわかってるよ!冗談冗談!えーと・・・・今度の日曜日開いてるか?』
「日曜日ならオフですけど・・・・」
『ならよかった!〇〇病院までその日に来てくれ!んじゃ!よろしく!』
「あっちょっと!」
アンスルがそういうが、電話はすでに切られている
(・・・・まぁ、今度の日曜日に行ってみるか・・・・)
今度の日曜日