「そ、そんんなな・・・」
江北は酷くショックを受けていた
それは本日からアルバイトとして入ってきた新人が
自分よりも若い新人が生意気だったからではない
いやぶっちゃけるととんでもない糞新人なのだが
そもそもはじめましての相手に勇者やってますとか言う奴なんてまともじゃないし
服装も自由だけど黒字に思いっきり白文字で勇者と書かれている服着てくるなんて絶対まともじゃない
江北からしたらあんな態度、別に屁でもないのだ
そもそも20歳ならまぁこんなもんだろと。
面倒見てくれって言われたのも当日の朝だし
こんなやつでも人手不足の今なら正直助かるというのもある
それにだ。
思いのほか仕事を覚える速さもあるため即戦力とまではいかないが。
まぁ自分の仕事の負担が減るだろうと
そんな風に考えていた
あの衝撃的な事実を知るまでは
「似てるんですよ・・・。故郷に置いてきてしまった嫁に・・・」
嫁
それは生涯を誓い合った二人のうち、女性の呼び方である
アンスルは確かに嫁がいるといったのだ
「ほわほわほわほわわわ」
江北は終業の時間までの記憶がなかった
「あのー・・・江北さん?もう終業ですよ?」
「わわわわわわわほ・・・・はっ!?もうこんな時間ですか・・・あっどうも。ありがとうございます」
「いえいえ・・・(やっぱり変わってるなぁ江北さん)」
別の社員から声を掛けられ、正気に戻る江北
「・・・なんか疲れたなぁ。もう今日はおとなしく帰って酒でも飲もう・・・・」
江北は荷物をまとめて退社した
:::
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・あのー」
「ん?なんだ?知り合いか?」
「聞いてない」
「ん?」
「なんであんたがここに住んでるんだよ・・・!」
江北は内心キレていた
自宅という名の楽園に帰宅したと思えば
まさかお隣がアンスルだったなんて・・・!
しかももう一人男がいる・・・・!
「あっ、どうも。えぇとこいつはですね。そのー・・・居候です。うちの」
吹上はいきなり敵意むき出しでにらんできたお隣さんこと江北に対して、アンスルを指さしながら紹介する
「・・・知ってます」
「え?」
「そいつ。うちの新人バイトです」
「・・・えっそんなことあるんですか?」
「こっちが聞きたいですよ・・・」
「・・・その様子を見るにうちのアホがなんかご迷惑おかけしたみたいで・・・申し訳ございません」
そういって吹上は頭を下げる
ちなみにアンスルはもう部屋の中に戻っている
「あっ、そんな頭なんか下げないでください・・・」
江北は少し驚いていた
あの非常識金髪イケメンヤ〇チン野郎と同棲しているくらいだから、こいつも大概なんだろうなぁと思っていたら、まさかのちゃんとしてそうだったからだ
「いえいえ・・このお詫びは必ずしますから・・・。あっ、あとこれからあいつがお世話になります。よろしくお願いします」
「あっ、いやっ、そうですね。はい。えぇと・・・・こちらこそよろしくお願いします?」
そんなやり取りが行われている中、アンスルは(世の中って意外と狭いもんだなぁ)と思っていた
尚この後吹上からこっぴどく常識を叩き込まれるのはまた別の話
世界は狭い