不屈のエース~甦るレジェンド~   作:フリュード

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皆さん・・・お久しぶりです

約9年間という「久しぶり」という表現を用いるのも躊躇うほどの期間になりましたが・・・
モチベーションが上がりまして書き上げました

時間が空いたときにコツコツと書いていけたらなぁと思います


第13話 合宿一日目(夜間)

青道高校 Bグラウンド

 

ダダダダダダダダ・・・・

 

「はっはっはっは・・・」

 

武藤は昼間の練習で疲労がたまり体が重くなっているのを感じながらも力を振り絞り一生懸命走っていた。

 

日が沈み、夜になっても練習は終わらない。

 

 

 

 

 

グラウンドにナイターが付けられると、A・Bグラウンドに人数を分けて、ポール間ダッシュを行っていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

地獄の昼練習が終わったかと思えばひたすら走りこむ夜練

 

スタミナに自信がある武藤でも走り終えた後はその場に立ち止まり息を整えるので精いっぱいだった。

 

 

しかし、息が整うのを時間は待ってくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次、武藤!」

 

 

「!!!は、はい!」

 

1軍メンバーをA・Bグラウンドに分けているため、当然人数も少ない。そのため走り終えてもすぐに出番が来てしまうのだ。

 

 

「(キツイ・・・けど!)うおおおおお!!!」

 

それでもやるしかない・・・・武藤は必死の思いで走り続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらおら遅いぞ!」

 

「もっと速く走れ!!!」

 

グラウンド内で選手たちの怒号が飛び交う

 

練習場所を外野スタンドから内野グラウンドに移るとベースランニングが始まる。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・うぷっ・・・はっ、はぁ・・・」

 

ひたすら走る。走ることを終えることが出来ない武藤は、鉛のように重い手足に鞭を打ち、込み上がってくる吐き気を気合で止めながら走り続ける。体はもう限界だった。

 

「遅いぞ武藤!」

 

「Aグラウンドの御幸も同じ状態になっているらしいぞ!」

 

「負けるんじゃねえぞ武藤!」

 

 

 

「う、うおおお・・・お・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

二塁を蹴った武藤に待っている選手、練習の手伝いをしている2軍の選手から怒号が飛び交うが、武藤には聞こえていない。

 

もはや無心で走り続けていた。

 

 

 

 

 

 

「次!」

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・・・・」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「・・・・」

 

武藤が走り切ると次の選手が走り始めたが、走り終えた武藤は頭を下げて、膝に手を置きながら言葉少なに息を整えている。

 

心配した中村が声をかけると武藤は声を発さず、『大丈夫です』という意味で手を挙げた。

 

「分かった。無理はするなよ。」

 

中村はそう言いベースランニングの準備に入る。

 

「・・・・・・どうした。俺はこんなものじゃねぇだろ・・・」

 

武藤は息を整えながらつぶやく。武藤の目は死んでいない。

 

 

 

 

「次!」

 

「ふうううう・・・はい!」

 

まだ息を整っていない、それでも走り続ける先輩に遅れまいと必死に追いかける

その気持ちだけで武藤はひたすら走り続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、今日の練習はこれで終わりだ!」

 

すべての夜練が終わり、A・Bグラウンドで練習をしていた選手、2軍の選手が集まる。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

「あぁ~疲れたぁ。」

 

夜練してもなお歩きながら会話が出来るくらいに余裕がある2・3年生とは対照的に1年生の武藤・御幸は声すら出てこない。武藤は腰に手を当てて息を整える事が出来ているが御幸に至っては立ち上がることが出来ない。

 

「大丈夫翔也?」

 

「御幸~息してるか?」

 

そんな2人に川上と倉持が心配そうに声をかける。

 

「おぉ~二人か・・・まぁ大丈夫では・・・」

 

「無いかな・・・っと・・・はぁ・・・」

 

武藤と御幸は川上たちの問いかけに答えながら歩き始める・・・が、足の痙攣が止まらない。

 

「ほっ・・・」

 

2人の言葉を聞き一安心した川上。

 

 

 

 

「・・・(しかし・・・1年違うだけで・・・)」

 

「・・・・(何でぴんぴんしてんだよ・・・)」

 

川上とは反対に、上級生(特に1年しか違わない2年生)は疲れてはいるもののピンピンしている光景に疑問を持つ倉持と武藤であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・うぅ」

 

ひたすら走り続ける地獄の夜練を終え、グロッキー状態の御幸は目の前の光景に思わず弱音を吐く

 

合宿というのは何も練習を行う事だけではない

 

山盛りになった白ご飯

いつも以上に豪華に盛り付けられたおかず

 

そう、次は食事である

 

練習によって傷ついた筋肉を修復するには何よりもまず食事を摂ることである

そこに合宿という事ありいつも以上におかずの量が多くなっているのである

 

「さすがに・・・あの練習の後だときついって・・・」

 

流石の御幸でもひきつった笑いしか出てこない

だがそんな中武藤はというと・・・

 

「え、純さんって昴君と対戦したことあるんすか?」

 

「おぉ、中学時代に一度だけな・・・あいつのシュートが信じられないぐらい曲がって肘に当たったことがあるんだよ・・・あれは痛かったわ」

 

「あぁ~あの人容赦なくインサイド投げてきますからね・・・逆にインサイド投げたら睨んでくるんでダルい性格してるんすよね」

 

「んん~?武藤って昴と面識あるんか?」

 

「面識も何も・・・幼馴染っすね」

 

「へぇ~あの龍王の昴と幼馴染なんだ」

 

「いや~家が隣同士ってだけですよ。卒業したらさっさと寮に入って家を出ていきましたからね・・・(パクッ)」

 

伊佐敷・小湊と談笑をしながら食事をしており、そのおかずやご飯も消費されていた

 

先ほどまでグロッキー状態になっていた時とは大違いである

 

 

「あいつ・・・さっきまでヘバッていただろ・・・?」

「スタミナには自信があるって言ってたけど・・・」

「化け物だな・・・」

 

御幸・川上・倉持はその光景を見て乾いた笑いを出すしかない

 

(・・・とはいえ、武藤に置いて行かれるわけにはいかないな!)

 

御幸とて中学時代から強肩強打の捕手として名を馳せた捕手である

 

ライバルであり、友である武藤に負けるわけにはいかない・・・

御幸も目の前の食事にありつくことにしたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~~~体がバッキバキだぁ」

 

食事を終えた後、武藤は室内練習場の一角でいつもの自主練の前にストレッチを入念に行っていた

 

「すげぇな武藤・・・おめぇあれだけ走った後に練習できるのか?」

 

「タケちゃん、「継続は力なり」だよ」

 

「おぉ~確かにそうやのぉ・・・とは言いつつも凄いとしか言えんわなぁ」

 

すっかりいつものメンバーになった武藤・麻生・前園の会話

やはり本題は地獄の合宿メニューを消化した後でも練習を行う武藤のタフネスぶりである

 

「んん~さて、今日は体幹トレーニング6種類を10回3セットずつやってからネットスローとティーをやりますか」

 

「うげ・・・今日は体幹の日か」

 

「おめーは体幹無さ過ぎてコンニャクだもんな~」

 

「うるせぇ!今に見てろよ・・・ほら、いつものくじやろうぜ」

 

「がはは、ほれ今日のくじじゃぞ~」

 

前園が取り出したのはくじ箱。その中にはいくつか折りたたまれた紙が入っていた

 

きっかけは前園が「体幹トレーニングって何種かあるし、どうせならドラフト形式でやってみぃひんか?」といったことがきっかけだった

 

「さ~て、今日は何が出るかな・・・ほれっ!」

 

1番手の武藤がボックスの中から紙を一枚取り出し、折りたたまれた紙を広げると「プランク(キックバックVer)」と書かれていた

 

これは「プランク」と呼ばれる肘をついた状態で頭からかかとまで一直線になる姿勢を維持しつつ、片足を10回ほど上げるトレーニングである

 

正直言うと、かなりきついトレーニングである

 

「おぉ~~~い武藤ゥ!キッツい奴出しやがったなぁ!?」

 

「よっしゃああ!最高じゃねぇか!」

 

「さてさて、次はワシじゃ・・・の!」

 

騒ぐ麻生に対し武藤はガッツポーズ、その会話をスルーして2番手の前園がくじ箱から取り出し折りたたまれた紙を広げると「バード・ドッグ」と書かれていた

 

このメニューは四つん這いの姿勢から右手・左足を上げた状態で10秒・続いて左手・右足を上げた状態で10秒キープするトレーニングである

 

「おぉ~まぁまぁの奴が出てきたのおぉ・・・ほれ、次は麻生や」

 

「チックショー・・・なめんじゃ・・・ね!」

 

少し残念そうな表情にも見えた前園だが、3番手の麻生が勢いよく紙を取り出した。

そしてその紙に書かれていたのは・・・「ハイリバースプランク」と書かれていた

 

先ほどのプランクの姿勢とは逆にあおむけの状態で肘を伸ばした上で行うプランクの事である

 

「ま、またプランクかよ・・・」

 

「おうおう、プランクだけでも10種類くらいあるぞタケちゃん~??」

 

「それぞれ異なる筋肉を刺激する事が出来るからのぉ~」

 

「ううう・・・でもやるしかねぇな・・・」

 

まだ一巡したばかり。だが約一名心なしか真っ白になっていたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・8・9・10!!!よし終わりぃ!」

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・筋肉が・・・」

 

「おおう・・・体に効くのぉ・・・」

 

6種類の体幹トレーニング(通称「ドラフト体幹」)を無事終えた瞬間、地面に這いつくばる麻生

 

武藤と前園は膝立ちの状態で背中や腕を伸ばしたりと軽いストレッチを行っていた

 

「ううう、次はティーだな・・・」

 

「おうおう、そうと決まれば準備するぞ~」

 

「へいへい・・・っと~」

 

野手陣の二人はカゴとネットを用意しティーの準備を始める

 

「さてさて、自分も準備しないとな・・・」

 

武藤も野手陣の二人を見て同じようにネットと籠を用意してネットスローの準備を始める

 

ひたすらネットに向けて投げ続ける練習であるが、ただ闇雲に投げていては意味がない

 

「よし、カメラの位置はここらへんで良いかな・・・よし、投げますか」

 

フォームのチェックの為に、部で使用しているカメラを横に設置し、録画していることを確認すると籠からボールを取り出し投球の準備動作に入る

 

武藤の投球フォームはノーワインドアップから投球動作に入るときにグラブを頭の高さまでもっていき、オーバーハンドで投げるというものである

 

1球1球、フォームを投げるまでの投球動作に問題がないか

時折変化球を交えて投げ、その時とのフォームに違いがないか

 

一瞬一瞬をカメラに録画するために50球をネットに投じるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりカーブの時に若干腕の振りが鈍くなる感じかなぁ・・・まだまだだなぁ」

 

「言われてみれば・・・って感じだなぁ」

 

「そうやのぉ・・・ちと腕の振りが速球系よりも緩めになっているようにも見えるの・・・じゃが強豪はこういった所をしっかりと研究してくるからのぉ」

 

「てかチェンジアップも投げてたよな?そっちは大丈夫なんだな」

 

ネットスローが終わり、カメラで自身のフォームを確認する武藤の横で野手陣の二人も意見を言うために集まっていた

 

「なんだろうなぁ、チェンジアップはストレートとのギャップを生かしたいから基本早く腕を振ってボールを「抜いて」いるんだよね・・・カーブも「抜く」という点では一緒なんだけど・・・」

 

「カーブの握りって手首を返して投げるんだっけ?あれで良く投げられるよな」

 

「そそ、絶賛練習中でね・・・これでも早くなった方かな?」

 

「ほんとあの握りでよう投げられるの・・・しかしわしら野手陣もカメラを用意してフォームチェックしてみるのも良いかもしれんな!」

 

「ゾノも俺も「グワッ」とか「ピタッ」とか擬音語が多めだからな・・・カメラで確認することは大事だな」

 

「いやいや、麻生だけじゃろ!?」

 

「はぁ!?」

 

疲れによるものか、ほんのちょっとのきっかけから口喧嘩が始まる

疲れているはずなのに、ここへきて口喧嘩出来る体力が残っていることに驚きである

 

「ははは・・・さてさて、片づけてシャワー浴びに行きますよ~」

 

武藤はそんな光景に苦笑しながら、カメラ内のSDカードを取り出して、あらかじめ入っていた野球部のSDカードを差し込んでから道具の片づけに入るために野手陣の喧嘩を止めるのであった

 

 

 

こうして、合宿の1日目が終わるのであった・・・

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