「……」
「へへ♪」
俺とネルはミレニアム特設のグラウンドにて少し距離を開けて向かい合って立っていた
そしてそこには
…ざわざわ
…ひそひそ
周りにはミレニアム生がその戦いの噂を聞き付けてギャラリーとしてやってきていた
正直見られながらってのは少しやりにくいかもしれない
それでもやるしかない
「それではこれより学園交流戦を始めます!」
ユウカが俺とネルの間に立って宣言をした
「交流戦のルールは光輪大祭のルールを元にさせてもらいます!」
光輪大祭とはキヴォトスで開催される学園対抗による体育祭の事だ
今年もあるだろう
「勝敗はどちらかが戦闘不能、もしくはミレニアムのヴェリタスと特異現象捜査部が戦闘続行不可能と判断した場合決着とします」
ヴェリタスから4名、特異現象捜査部は2名がこれよりモニターからこの戦いを審査員として見る形だ
さらに身体面等の危機状態をも察知出来る仕組みでそれが発生した時点で試合を強制的に終了するとの事だ
さっきの件もだがこれはさきほどユウカから聞いている
「尚ヘイローを持たない不知火颯の為に美甘ネルは実弾ではなくゴム弾を使用してもらいます」
「あぁいいぜそれでも」
ネルはそれを納得する
「そして不知火颯は我々ミレニアムで設計した鋼刀二本を使用してもらいます、構いませんよね?」
……
事前にその説明もあり俺はその鋼刀を作ったエンジニア部と話をしている
「急遽作ってあまり自信がないのだが…ゴム弾は確実に捌ける上にこれで人体に攻撃しても衝撃のみしか起こらない、傷等は付かないから安心してほしい」
俺はその鋼刀を持ち振ってみる
その刀は俺の普段持つ刀と同じくらいの重さだ
正直別の刀を持って戦えるか不安だが…俺の持つ刀でもし間違いが起こっては困る…がミレニアム側の考えだろう
「ありがとう、ウタハ、ヒビキ、コトリ」
「不知火先輩に作るってのを前に知っていたらもっといい刀を作れたんだけどな…」
「いやむしろこの短時間でこれはすごいよ!ヒビキ」
「そ…そうかな…///不知火先輩がそう言うなら…///」
「今度来る時はもっといいの用意しておきますね♪」
「ありがとなコトリ、それと三人とも俺の事颯って呼んでくれてもいいぞ?」
「分かった、そうしよう颯」
「うん…颯先輩//」
「むしろ刀を触れる機会を貰えた事嬉しく思います!また何時でもエンジニア部に来てくださいね颯先輩♪」
「あぁ!」
「あぁ、構わない」
それに承諾するとユウカが言葉を続ける
「それではゲヘナ学園3年不知火颯とミレニアムサイエンススクール3年美甘ネルの戦いを始めます!両者準備はいいですね?!」
「あぁ!いつでもいいぜ!!」
「こっちも構わない!」
ネルと俺はそれに答える
「両者の確認を終えたのでこれよりカウントを始めます!シグナルが青になったら勝負開始です!それではカウントスタートします!」
ユウカがその場から離れると俺とネルの互いの背後のシグナルが点灯を始める
そのシグナルの音を聞く
ピッ……ピッ……ピッ……
そしてそのシグナルが…
ピーーーー!!!
青となる
「!!」
「ハハッ!」
俺はネルの元に走り出す
「行くぜ!」
ネルはツインマシンガンを使って俺に銃弾を撃ってくる
俺はそれを捌いたり避けたりする
だが俺はそんな状態でもネルから一時たりとも目を離しはしない
!!?
バキッ!
「くっ……!」
性格面から勝手に予測していたがどうやら間違ってはいなかったようだ
「へぇ~やるじゃねぇか♪!本当に弾を捌ける上にアタシの接近戦にも対応出来るとはな!」
ネルは銃を持って俺に白兵戦を仕掛けてきた
俺は刀でそれを防いだ
スピードも早くて弾の間隔もヒナ達と同じだが、やはり隙がない
「こんなに近づいて大丈夫なのか?この範囲は俺の間合いだぞ?」
俺は笑いながらそう言う
「……」
ネルは沈黙するが俺は続ける
「一式……旋風」
「!!?」
その風にネルが巻き込まれ上空に飛ばされる
この刀でも風の力は使える…
その力にはミレニアム生も何事と驚いたりざわざわしたりしていた
だがまだ油断は出来ない
俺は落下するネルの下に待ち構えていた
「これで…」
だが上から落ちてくるネルは…
笑っていた
俺はその姿を見て刀の柄をギュッと握り締めた
「ハハッ!やるじゃねぇか!そうでないと面白くねぇよなぁ!!」
ババババン!!
上空から銃弾が降ってくる
俺はその場から離れて上空の銃弾を捌く
上から銃弾を捌くなんて事が無かった為俺は苦戦していた
「!!…」
だがそれに集中していた為
「こっちに集中しなくても大丈夫か?!」
ネルは俺の間合いの範囲に来ていた事を知らなかった
「しまっ…」
「この距離でお前は捌けるのか?」
そう言ってネルは俺に銃弾を叩き込んだ
ババババババババババン!!
ツインマシンガンの銃弾を至近距離から捌き切る事も、避けきる事も今の俺には出来ない
「ッ!………グッ……」
俺は僅かに銃弾を喰らってしまう
そしてツインマシンガンの銃声が鳴り止み
俺とネルは互いに距離が出来ていた
「…………」
痛みが走る
例えゴム弾だとしても痛みはかなりのものだ
「どうした?この程度か?ハハッ!もっとアタシを楽しませてくれるよな?!」
ネルのその言葉は俺の耳には入ってはいなかった
「颯」
「何お父さん、今僕稽古の途中だよ?」
「いずれ相手に勝てない時というのはやってくる」
「急にどうしたの?もしかしてそれって銃とかそんな感じの時の話なの?」
「それだけじゃない、そういう時に剣術や運動神経でもどうにもならない相手は沢山いる」
「うん」
「だがかといって命を奪ってまで勝っていいというのはお前にはしてほしくないんだ、これはそんな状態に陥った時に使う技だ」
「それってどんな技なの?」
「あぁこの技は不知火が剣術と同じように受け繋いできたピンチを打破したり命を奪わずに敵に勝つためのものだ」
「受け繋いできた?」
「お前にもこの技を教える、だが忘れないでほしい」
「止まってるならこっちからいくぞ!!」
「……」
「アハハ!!」
ババババババババババン!
「!!」
キキキキキン
ザッ!
「ハハッ!アタシの間合いに入ったらさっきと同じに……!!?」
俺は刀を離してネルの腹に両手を添える
「風の型Ⅰ…鎌鼬(かまいたち)の咆哮」
(この技を多用してはいけない、そしてピンチや勝つため、そんな時に使ったらいい…相手の身体の中に直接衝撃を流し込む、そんな風の咆哮を)
親父との言葉を思い出し俺はこの技を使った
「ぐ!……カッは…!な……んだ…これは……?」
ネルはそのまま俺に身体を預けて意識を失うのだった
周りがざわざわしている
だが勝負は決した
「そこまで!勝者不知火颯!」
ユウカの言葉で勝負は終わりを告げた