やはり俺たちの本気は間違っていない   作:健康啓涼

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【前書き】
この度は当作品をお読みいただきまして、ありがとうございます。

この度、『俺ガイル』と『アニガサキ』のクロスオーバー物を執筆させていただきました。

なお、初めに断っておきますが、『奉仕部』は存在せず、また雪ノ下さんや由比ヶ浜さんは今のところ登場予定はございません。

pixiv様の方にも投稿しておりますが、ハーメルン様では『楽曲コード』が使用できる関係で、若干、内容が変わっております。


今後も細々と執筆してまいりますので、引き続き、私の妄想ごとにお付き合いいただければ幸いです。

【修正】
'25 9/6 タイトル編集/誤字脱字の修正


ようこそ社畜養成の同好会へ
ようこそ社畜養成の同好会へ(1)


『青春とは嘘であり悪である-』

 

青春とは嘘であり、悪である。青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き 自らを取り巻く環境の全てを肯定的に捕らえる。彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も 社会通念も捻じ曲げてみせる。彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。仮に失敗することが青春の証であるのなら、友達作りに失敗した人間もまた青春のど真ん中でなければおかしいではないか。しかし、彼らはそれを認めないだろう。全ては彼らのご都合主義でしかない。結論を言おう。青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ。

 

「……なぁ。比企谷。私が宿題で出した課題は何だったかな?」

「…はぁ。『高校生活を振り返って』というテーマの作文でしたが」

 

 

そう。これは俺が書いた作文である。そのテーマに対し、考えること1時間。必死に構想を練り上げて書き上げた超大作である。あまりにも個性的であり独創的なもので、万人には理解しがたい内容も含まれている点は否めない。

俺はどうにもリア充たちが謳歌する青春が嫌いだ。本当に嫌いだ。声を大にして言いたいぐらい大嫌いだ。どうして自分たちの価値観を押し付けるだけで、他人を認めてやれない。その思いを込めて書き上げた力作なのだが……。

 

「そうだよな。それでどうしてこんな作文が書けるのだ」

「……近頃の高校生ってだいたいこんなものではないでしょうか」

 

「ふむ……」と何やら考え始めるのは、現代文の教師である平塚先生。ちなみに、俺のクラス担任でもある。ちなみに年齢は30歳ぐらい……だよな。まぁ、誰も興味ないだろうな。

 

さて、俺がどうしてこんな話をしているかというと、6限終了後のHR後に職員室まで呼び出されたのだ。ただ、呼び出されたのは「生活態度」ということだったのだが。

 

おかしいぞ。なぜ、生活態度から作文の話になるのだろうか……

 

それよりもだ。最も気になるのは先生の表情。目が座っていながらにこやか。ふえぇ……怖すぎますよ。その表情。

 

「聞いているのかね。君は」

「は……はぁ……」

「いいかね。もう一度、言うぞ。どうして君はこうも遅刻ばかりするのかね。それもよりにもよって『新生活に慣れよう週間』に」

「……へ?」

 

……おかしい。いつの間にか話が本題に戻っている。一体全体、いつの間に……。

先生の口から出た言葉は『新生活に慣れよう週間』などと何ともネーミングセンスのない、そして、内容が良く分からないイベント名。

 

なにこれ。誰が考えたの?もう少し工夫や思考を凝らすなどしてほしいものだが……。

 

「ところで、比企谷。お前、友達はいるのかね」

「びょ…平等を重んじるのが俺のモットーなので、特に親しい人間は作らないことにしているんですよ。俺は」

「つまり、友達はいないとう事だな」

 

平塚先生は少し呆れたように俺の言葉を遮った。

 

「た……端的に言えば」

「だからだろうな。この作文テーマは必ず自分のことについて書くように追記をしたはずだ。まぁ、君みたいな人間が毎年1人は出てくるからな」

「……そんなの聞いていませんが」

「当たり前だ。だから、注意を受けているんだろうが。君は」

 

先生は机の上に作文を放り投げると、冷ややかな視線をこちらに向ける。……どうやら余計なことを言ったらしい。

 

この後、先生から朝学活で説明した内容を改めて説明された。といっても、遅刻をしていた俺には初めて聞くばかりの話だが……。どうやら、朝学活の時に作文のテーマにも追記があったそうだ。俺以外にも幾人かは諸事情も含めて遅刻した生徒はいたようだが、彼ら友人などに聞いたかどうかは分からないが、自分のことについて書いてきたそうだ。

……こういうのって、不平等すぎません?きちんと全員がいるところで説明して欲しい。……まさかそれも含めて成績評価対象とか言いませんよね?さらに言えば、クラスポイントとか導入されていませんよね?

 

夏休みに無人島とか行きたくないよ……

 

ひと通り説明し終えた平塚先生は組んでいた腕をほどき、改めて机の上にある俺の作文を拾い上げる。

 

「というわけだ。で、この期間に遅刻をしたものにはそれなりの反省が必要なので、反省文を提出するのだが……生憎、君に作文を書かせるとなぁ……」

 

結局、自分がどういう立場にいるのか現状は理解でき、ここに呼び出された理由も把握したところでテンプレのように出てきた「反省」の2文字。

「反省文を書かせる」なんてよくある話なのだが……って、先生。何で急に笑ってらっしゃるのでしょうかねぇ?

 

「なんだね。この作文は。『青春とは嘘であり悪である』とは……。確かに、目を引くな。この出だしは。ぷぷっ。中二病丸出しではないか」

「は……はぁ」

「ただ、このセンスは買ってやってもいいぞ。しかし……『砕け散れ』って……ぷぷぷ。あー。おかしい」

 

え?何なの。急に。俺の作文を褒めてくれていたの?貶したの?そもそも先生。中二病って。

……Oh.My Bestが……

 

「しかし、残念だよ。比企谷。君は確か、1年次の現国で成績は10段階評価で10だったな」

「まぁ。国語は得意なので」

「君は言葉の使い方を間違えているよ。『青春』には夢や希望という前向きな意味が含まれている。それぐらい知っているな」

「一応は」

 

……何が言いたい。この先生は。

 

「ただ、この作文からは後ろ向きで希望を感じられない。これこそ『自分なりの前向きさを表現した』というご都合主義というのだが、どうかね?」

「……」

「更に付け加えるなら、『嘘』という言葉を使うということは人を騙すために使う言葉だ。この内容の文末から考えればこの場合『幻影』や『儚い』などの言葉を使った方が、後半部分で『夢が破れた』ことで『砕け散る』という言葉が引き立つのではないだろうか。それに『逆説的に青春を謳歌してない者が正義』というが、この矛盾の多い君の定義のどこに『義』があるのかね。説明してみたまえ」

 

急に何なの?この先生。ここまで巧みに言葉を使われたら反論できないよね。生徒相手にここまで理論攻めかよ。

 

「というわけだ。君に作文を書かせてもまだ反省が期待できない以上、別の形で奉仕活動を命じる」

「あの……意味が分かりません」

「なに。作文については今年度いっぱい待ってやる。もう少し実体験から得られた『語彙力』を身につける必要があると判断したまでだ。その方が君の書く文章は読み手に強烈なインパクトを与える。なお、これは先の反省文に関する代替措置と生活指導の一環とも受け取ってくれたまえ」

「なんで急にそういう方向にまで話が進むんですか」

「忘れたのかい? 先週から我が校は時間厳守を目標とした朝のHR強化週間だ。君はそれに1度も参加していない以上、それなりのペナルティが発生する。ほら。ここにもそう記載されているのだが」

 

な……なんだと。1時間目に間に合えばいいんじゃなかったのかよっ。俺の知らないところで、こんな社畜スキルを向上するためのイベントが実施されていたとは。というか、生徒会が主催したとか。何なの?うちの学校の生徒会は。この学校を社畜スキル養成機関にでもしたいの?

 

「ただ、君の作文には面白みを感じる。うがった見方だがな。というわけで、ついてきたまえ。罰として今年度中ずっと掃除をするのも嫌だろう」

「その奉仕活動というものが何か分からない以上、比較できないんですが」

「1年中掃除よりましということは保証するよ。では、ついてきたまえ」

 

……解せぬ。

 

 

***

 

先生の後ろを付いていくこと、5分だろうか。いつの間に校舎感を移動して特別棟へと来ていた。そもそも特別棟の教室は部活動に使用するためにあるため、帰宅部の部長兼エースである俺には縁もゆかりもない。そのためか、妙に新鮮なのだが、窓の外から聞こえてくる声がやかましく、とても不快だ。

 

「ここだ。少し待っていたまえ」

 

廊下を歩き続けると、何も変哲もない教室で先生が止まってドアをノックする。どうやら、ここが目的の場所のようだ。

どうせ、ここまで辺鄙なところにある教室だ。資料室のように荷物が溜まっているのだろう。それを種類別に集めたり、壊れた備品はゴミに出したり……とここでやらされることと言えば事務的な何かだ。となれば、俺は自分を機械か何かだと思えばいい。目の前の作業に集中しよう。

 

「すいません。もう少し待っていただけますか」

「ああ。了解した」

 

教室の中から女子生徒の声がする。ということは、どうやら女子生徒と一緒に作業するのか?

ふぇぇ……。ただでさえ、人付き合いが苦手なのに、その上、女子と関われと。最初からハードモードかよ。

 

「お待たせしました。どうぞ」

「すいまない。失礼する。ちょっとわけがあって人を連れてきた。時間は大丈夫か」

「はい。それに……人ですか。」

 

先生はドアをゆっくりと空けると半身だけ教室に入り、中にいる人間へ何やら説明している。

 

「よし。比企谷。入りたまえ」

「……うっす」

 

いよいよ教室に入ると、ホワイトボードやバランスボール。簡易ソファーにパソコンなどがあり、どうにも自分とは相いれない雰囲気が漂う内装になっていた。

 

……あのポスターはなんだ?この前出たばかりの悪役令嬢系もののラノベのポスターだよな……。その隣は流行りの悪魔と契約するアニメのポスターだし……。

 

俺の視線が壁に向くと、そこには有名なアニメ作品のポスターが貼ってある。どう見ても、いち個人の趣味としか思えない。ただ、俺が驚いているのはそこではない。今、この教室にはこの様子からはとても似つかわしくない人物が立っていた。

 

人に興味のない俺でも知っている。彼女は校内でも有名な人物。学業は優秀で1学期中間テストから総合成績1位をキープし、品行方正で真面目を絵にかいたような人物である。それこそ、現在は生徒会にも所属するぐらいの真面目な人間。

 

常に眼鏡を光らせる彼女の名は『中川菜々』

 

同じクラスだが、当然、一言も交わしたことない彼女が目の前にいる。どういう経緯でここにいるかはわからないが、彼女も少し困惑した表情を浮かべている。

 

「先生。比企谷くんがここに来た理由は……」

 

おっとー。流石は生徒会副会長様だ。どうせ、誰も俺の名前を知らないと思っていたが、名前を間違えることなく正しく言い当てるとは。おめでとう。八幡検定10級は合格だ。

 

「あぁ。彼はこの同好会のヘルプ要員だ。まぁ、仮入部ってところだな」

「「はいっ?」」

 

待って、待って。いつの間に俺が仮であっても入部に?俺と彼女の驚愕の声がシンクロすると何やら嫌そうな顔をする中川とは対照的に生き生きとした表情をする平塚先生。

……アンタ。一体何を考えてるんだ。

 

「さて。比企谷。君には先ほど説明したが、そのペナルティとしてここでの同好会活動を命じる」

 

いやいや。確かに罰を受ける理由はありますが、それで部活に仮入部とは言え、些かやり過ぎじゃありませんかね?

 

「なぁに。私は生徒会の監督者でもあるのだが、訳あってこの同好会の顧問も担当している。現在は部員が1名なのだが、そこにいる中川が時々、ヘルプで手伝っているただなぁ、中川1人では大変なので、君には中川の手伝いをしてもらうことにした。異論、反論、抗議、質問、口応えは認めない。とはいえ、仮入部期間までの話だ」

 

……なるほど。期限付きというわけか。「仮入部」としたのもこれが理由なのだろう。となれば、筋は通っているわけか。とはいえ、異論など一切受け付けないとは何とも横暴な……。

と、少しだけ怪訝な表情を浮かべるや否や先生から冷たい視線が飛んでくる。

……こっわ。はい。スイマセン。そもそも俺がちゃんと登校していれば何も問題なかったわけですね。仰る通りです。

 

「しかし。先生。急に言われましても……」

「なんだね? 人の手が欲しいと言っていたのは君だろう?」

「そうなんですが……」

 

中川はチラチラとこちらを見ながら先生と話を始める。それこそ、俺がここに連れてこられたことから仮入部に至るまでを改めて説明するのだが、その説明の中でGWがどうとか、夏がどうとか、スケジュールとかエントリーとか良く分からない言葉が飛び交う。それらのワードに俺の脳内は対応しきれない。

 

だってさ。忘れていませんか? お二人とも。そもそも、ここは何をする同好会なんですかねー。それにしても、先生はやたら『若手』って強調しているし。まぁ、先生はこの職場では若手でしょうけど……。

 

「おい。比企谷。今、なんか私に失礼なことを考えていなかったか?」

「いえいえ。滅相もございません」

 

ふへぇ……。唐突になんなの?この先生。今、中川と話をしていたよね。なのに、急にこちらに。まさか、エスパーなの?頭の中を読めるなんて。これがニュータイプの性能というやつか。

 

「しかし、先生。いきなり増えても困るのですが……」

 

先生の説明が終わった後、中川が今なお困った表情を浮かべながら返答する。

 

「大丈夫だ。比企谷は刑事罰に問われるような事はしない小悪党だ」

「違うでしょ。ただの常識的な判断ができるだけですよ?」

「こ……小悪党ですか」

 

おい。中川。少し納得した表情を浮かべるなよ。先生は自信満々な顔をしないでください。

 

「それに、彼のような人間を変えられないようでは、本気は伝わらないだろうな。別にいつまでもいるわけではない。新年度が始まったばかりでは中川も生徒会活動で忙しいから、人手が欲しいと言っていたではないか。だから、こうして見つけてきたのだぞ?」

「仰りたいことは分かります。ですが、それは昨年までの話で、この同好会は……」

 

中川は困惑した表情を浮かべるのだが、それは何か裏があるような表情だった。

 

「確かにそうだな。でも、最後まできちんとやり通したまえ」

 

先生からの強い視線に中川は諦めたのか、下を向いてため息をつくと、顔を上げて俺の方を向き、頭を――

 

「……そういうことならば。比企谷くん。短い間になりますが、宜しくお願いします」

 

……下げないで欲しかったな。意地でも入部拒否を貫いて欲しかった。そしたら、俺の有意義な放課後エンジョイライフが守られたのに。

 

「まぁ……ようわからんが。なんだ……その。よろしくな」

「はい。ご迷惑をお掛けします」

 

中川は俺の方へ身体を向けると頭を下げるので、つられてこっちも頭を下げた。なんだかよくわからん状況になる。

俺ら2人のやり取りを見ていた先生は大きく頷くと、にこやかな表情を浮かべては「後は任せた」と颯爽と部屋をでて行ったわけだが……。

 

そもそも詳しい説明もされていないんですけどねー。これからどうなるんでしょうかね。

 

 

 

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