王様戦隊キングオージャー × ブルーアーカイブ   作:ガッチャ!ヘリオスキング

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便利屋68と共に、天雨アコ率いるゲヘナ学園の風紀委員会と戦う対策委員会。

苦戦を強いられるが、青天の霹靂と言うべきタイミングに、アコを止めるため、風紀委員長の空崎ヒナ、そしてリタ・カニスカが現れる。

更に何故か不在だった小鳥遊ホシノもそこに加わり、風紀委員会は攻撃する理由がないとして撤収。

ギラは何故リタがゲヘナにいるのかという話と、カイザーコーポレーションがアビドスの砂漠にて何か企んでいる、という話を聞かされ、別れた後、カグラギと俺……ジェラミーに今日あったことを報告した… とさ。



第7話① アビドス砂漠の謎 前編

 

風紀委員会と相対した後日、早朝に僕、セリカ、アヤネの3人で大将のお見舞いに病室へ来ていた。

 

「お見舞いに来たよ、大将。体の方は大丈夫?それに、柴関ラーメンが……」

 

「やあ、セリカちゃんにアヤネちゃん、先生まで。こんな早朝からありがとう。

大丈夫大丈夫、少し擦りむいた程度だ。それに、お店のことも大丈夫。

そろそろお店も畳む予定だったし、それが早まっただけだ。

……あっでも、バイトできなくなっちゃうな、ごめんよセリカちゃん。」

 

「そういう問題じゃ……って、店を畳むの!?」

 

セリカはそう、大将の言った事に驚く。

 

「ああ、ちょっと前から退去通知を受け取っていてね。」

 

「退去通知?あれっ、アビドス自治区の所有者ってアビドス高校にあるんじゃ……」

 

「……そうか、ここにいる君たちは知らないのか。」

 

大将は、僕たちの知らない事を話し始めた。

 

「確かに、何年か前まではアビドス高校が自治区の所有者だったんだが……アビドスの生徒会が借金を返せなくて、建物と土地の所有権がカイザーコーポレーション?だかに移ったんだ。」

 

「そんな…でも、そういう事なら……ギラ先生、セリカちゃん。」

 

アヤネはそう、僕とセリカに向けて言う。

僕らは疑問を浮かべていたが、その疑問はすぐに解消された。

 

「2人は先に学校へ戻っていて下さい。

私は確認したいことがあるので。ちょっと別のところに寄ってから学校へ帰ります。」

 

「え?あ、うーん…まあ、よく分からないけど私も一緒に連れてって!」

 

「そうですか…それなら先生は教室に戻っていてください!私たちもすぐに戻りますので!」

 

「…分かった!僕も学校で待ってるよ!」

 

勢いよく話が進んで、セリカとアヤネとは一旦別れることになった。

僕はアヤネに了承し、退室しようとする。

 

「あっ、そうだセリカちゃん、ちょっと待ってくれ。

お店のところに大量の札束が入ったカバンがあったんだけど……何か知ってるかい?」

 

だが、大将がセリカを引き止める。

 

「えっ!?そ、それは……」

 

そのカバンは間違いなく、僕らがブラックマーケットの闇銀行に行った時に置き忘れたカバンだろう。

置き忘れた位置は確か、アルと話していた場所だったはず。届けてくれたのかな?

 

便利屋からしたらわざわざそんなことするメリットなんてないけど……

まあ、あのアルのことだから「私たちのケジメは私たちで付けるわ!」みたいな理由で返してくれたんだろう。盗んだものだけどね。

 

「…そのお金は、お店の再建のために使ってください。」

 

「!?」

 

どう解釈するのが正解かなんて分からないけど、アルたちならそうする、と都合よく解釈してそう言っておいた。

 

「お、おお?…まあ、そういうことなら、お言葉に甘えさせてもらうよ。」

 

大将は返事に困ってそうだったけど、とりあえず了承してくれたようだ。

 

「さて、それじゃあ行こう、セリカちゃん!」

 

「うん!どこで何するのかは知らないけど……先生、また後でね!」

 

「ああ、またね!」

 

2人とも一旦ここで別れて、僕は学校へ戻った。

 

─────

 

アビドスの校舎に着くと、ノノミと遭遇。彼女は校舎の掃除をしてくれていた。

 

「あっ、ギラ先生!思ったより早かったですね☆」

 

「おはようノノミ。そっちも、こんな朝早くから掃除をしてくれてたんだね。」

 

「はい、私もなんだか、じっとしていられなくて………それより、大将は大丈夫でしたか……?」

 

「ああ、身体の方は大丈夫そうだったよ。」

 

「そうでしたか、良かったです!今度は私もシロコちゃん、ホシノ先輩と一緒にお伺いさせてもらうとしましょう。」

 

「……でも、『身体の方は』ということは、それ以外に何かがあったのですか?

セリカちゃんにアヤネちゃんも一緒にいたのに、戻ってきたのがギラ先生1人というのも気になります。」

 

「それを話すのはまた後で、かな。とりあえず今は教室に戻らない?ずっと外で話すのもあれだし。」

 

「……そうですね。それじゃあ、向かいましょう。」

 

そして、僕とノノミは教室へと歩き出す。

 

「……思えば、ギラ先生がいらっしゃった頃から、急激に色んなことが変わった気がします。」

 

「…どうした、急に?」

 

ノノミは歩きながら、話し始める。

僕にはそれが不思議だった。

 

「…良くも悪くも私たち…いえアビドスの状況は変わり続けてきています。

それの全てに先生が関係してる、とまでは行きませんが……

少なくとも、前よりかは格段にいい状況だと言えます。

なのに……次から次へと、今まで以上の問題が私たちの前に立ちはだかって……。」

 

彼女はそう、不安な表情で言う。

 

僕は過去のアビドスを知らない。けど、彼女の言うようにここ数日間で、色んな事が変わったのは一目で分かる。

 

ヘルメット団を退けたと思えば、便利屋68にゲヘナ学園風紀委員会、更にはカイザーコーポレーションなど…

 

僕が思っていた以上にこの学校は深刻な状況に立たされている。

次に新たな敵が現れるのは時間の問題だ。…でも──

 

「──ハーッハッハッハッハァーッ!ノノミよ!その気持ちは理解する!

しかし、まだ弱音を吐くときでは無い!

これからもカイザーのような脅威はアビドスに襲いかかってくるだろう!

だが、俺様は邪悪の王!この地に脅威をもたらす者とっての邪悪の王だ!」

 

こんな状況だからこそ、諦めてはいけない。少しでも良い方向に進むように足掻かないとダメだ。

僕は勇気づけようとして、そう彼女に言った。

 

「……先生!ありがとうございます!そう仰っていただけると、心強いです。」

 

ノノミはそう返事をした。不安の表情が晴れ、安堵の表情を浮かばせながら。

 

「ただ……無理はし過ぎないようにしてくださいね。」

 

「…ああ、もちろんだ!」

とノノミと会話を交わしていると……

 

「…ノノミに、ギラ先生。」

 

そう声をかけてきたのは、サイクリングから帰ってきたであろうシロコだ。

彼女は自転車から降りて、僕らの方へと駆け寄ってくる。

 

「あ、シロコちゃんも早かったですね。」

 

「うん……ホシノ先輩は?」

 

訝しげに、シロコはノノミに問いかける。

 

「ホシノ先輩なら、また学校のどこかで昼寝の途中かと……。」

 

「……そっか。」

 

ノノミの答えに、素っ気なくシロコは返す。

 

「………先生、大将の容体は?」

 

「身体の方は大丈夫だったよ。…ただ、それ以外に問題があって……まあ、みんなが集まったら教えるよ。」

 

「…うん、分かった。じゃあ、先に入ってるね。」

 

彼女はそう言ったあと、凄まじい勢いで校内に駆けていき、教室へと向かって行った。

慌てている…というより、焦っているのか?

 

「……なんか、変じゃないですか?」

 

「確かに、どこか焦りを感じさせるような……」

 

「気のせいだといいのですが…私たちも行きましょうか。」

 

「…ああ。」

 

─────

 

校内に入った瞬間、どこかからドンッ!と大きい音が聞こえる。

僕らがその音の元と思われる教室へ向かうと……

 

「うへ〜何のことを言ってるのか、おじさんにはよく分からないな〜……?」

 

そんな声が聞こえる。その声の主は、紛れもなくホシノだろう。

それより前の会話は上手く聞き取れなかったが。

 

そして教室を少し覗いてみると、シロコもいる。

彼女は普段とは人が変わったように、ホシノを問い詰めていた。…いつも以上に不穏な空気だ。

 

「……嘘つかないで。」

 

「嘘じゃないって〜……ん?」

 

覗かれていたことに気づいたのか、ホシノとシロコの視線がこちらを向くと、僕らは覗くのをやめ、教室の中へ駆け出し、2人に聞き出す。

 

「ホシノ先輩!シロコちゃん!?どうしたんですか!?」

 

「な、何があったの?」

 

「ん、その……。」

 

シロコはノノミと僕の問いかけに少し口ごもりながらも、口を開く。

 

「……ホシノ先輩に、用があるの。悪いけど…2人きりにして。」

とシロコは僕たちにこの教室から立ち退くように言う。

 

一方、当のホシノは黙り込みながら、シロコを見つめている。

……もしかすると、ホシノはなにか隠しごとをしているのかもしれない。

 

「うーん、それはダメです☆」

 

しかし、ノノミは会話の流れを断ち切るかの如く、楽しげにそう返す。

 

「対策委員会に、『2人だけの秘密♡』みたいなものは許されません。なんと言っても、運命共同体ですから。…ですので、きちんと状況の説明もしてくれない悪い子には……」

「お仕置き☆しちゃいますよ?」

 

「う、うーん……。」

 

シロコはノノミの圧に押され、たじろぐ。

その時、狙っていたようなタイミングで、ホシノが口を開く。

 

「……えっとねえ、実は、おじさんがこっそりお昼寝してたのがバレちゃったんだよね〜。

おじさんもここ最近ちょ〜っと寝すぎだったかも。

今に始まったことじゃないと思うけどね〜。

そんなに怒るなんて、シロコちゃんは真面目だな〜。…まあ、そろそろ集まる時間だし?行こっか〜。」

 

「え?あ、ちょっと─」

 

彼女は話を終えると、勢いよく駆け出し、教室から移動する。

…そこまで急ぐ程のことでも無いし、どことなく誤魔化しているようにも見える。やはり、なにか隠し事をしているのか?

 

「…………。」

 

シロコも何か言いたげな顔をしているが、ホシノと同じように教室から移動。

今、この教室には僕とノノミの2人だけとなる。

 

「……ノノミは、どう見る?」

 

少しの沈黙のあと、僕はホシノたちが去った後を見つめたままのノノミにそう聞くと、少し考えるような様子で、彼女は僕に問い返す。

 

「先生も、ホシノ先輩が変だと思いますか?」

 

「うん、まあね。まるで、隠し事をしているようだった。別にそれ以上模索するつもりは無いけど。」

 

「誰しも言いたくないことなんて、一つや二つくらい、持っていることでしょうしね。

……私たちも行きましょうか、先生。そろそろみんな帰ってきているかもしれません。」

 

「そうだね、ここでずっと話すのもだし。」

 

そして僕ら2人はこの教室から退室、いつもの対策委員会の教室へ移動した。

 

─────

 

「うへ〜……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

さっきの軽い修羅場を経て、今この教室には非常に気まずい雰囲気が流れている。

誰も口を開かず、それは僕も然り。何を話せばいいんだろう……

 

そう考えていると、廊下から2人分の足音が聞こえる。セリカとアヤネが帰ってきたんだろう、なんとも悪いタイミングに……

 

先輩たち、大変!!コレ見て!

 

それまでに流れていた沈黙を切り裂くかの如く、セリカは勢いよくドアを開け、教室に入るなりそう叫んだ。

 

アヤネも慌てたように、教室に入ってくるなり

「アビドス自治区の関係書類を持ってきました!」

と大声で言う。だが──

 

「……。」

 

「……。」

 

「……な、何、この雰囲気?」

 

あいにく今はそんな空気ではない。アヤネはそれを察して、問いただしてくる。

 

「何があったんですか?」

 

「おかえり、2人とも。……それより、その書類を見せてくれないか?」

 

「……うん、ただいま?…って、そうだった!とんでもないことが分かったの!」

 

どう説明するか迷ったが、とりあえず今はその書類のことが優先だ。

 

「まさに、衝撃の事実です。皆さん、まずはこれを見て下さい!」

 

そう、アヤネから差し出された資料を見てみると……

 

「ん〜、これって……地図?」

 

「はい、直近までの取引が記録されてる、アビドス自治区の土地の台帳……『地籍図』と呼ばれるものです。」

 

「土地の所有者を確認できる書類ですか?でも、そんなもの見なくても、土地は当然私たちアビドス高校が所有しているのでは……。」

 

ノノミがそう疑問を口にすると、それを待っていたと言わんばかりに、セリカが返す。

 

「そう!私もさっきまでそう思ってた!でも違ったの!」

 

「午前中にお見舞いに行った時、大将から話を聞いたんです。

柴関ラーメンなど、このアビドス自治区の殆どが…私たちの手から離れていました。」

 

「えっ!?……どういうこと?アビドス自治区がアビドスの所有じゃないって、そんなわけ……。」

 

ホシノは至極当然の反応を示す。

僕だってあまり理解できていないし、それは他の皆なら尚の事だろう。

彼女は慌てて資料をめくっていく。

 

「な……これって、カイザーコンストラクション……

つまり、カイザーコーポレーションが今のアビドスの所有者って事!?」

 

「…はい、そうです。もちろん、柴関ラーメンもです。

大将曰く随分前から退去命令が出ていたので、もうお店を畳むのは既に決められていたそうです……。」

 

「………。」

 

教室は再び沈黙に包まれ、皆納得のいかない表情で資料を見つめている。

特にシロコはその怒りが表情に出ていて、今にも資料を破り捨ててしまいそうだ。

……正直、僕もそうしてしまうかもしれない。

 

「……既に砂漠となってしまった、本来のアビドス高校本館と、その周辺数千万坪の荒れ地。

そしてまだ砂漠化が進んでいない、市内の建物や土地まで……。

所有権が渡っていないのは、この校舎と、周辺の一部の地域だけでした。」

 

「でも、こんなこと普通はできるはずがありません。……一体誰が、こんなことを……?」

 

「……アビドスの生徒会、でしょ。」

 

ホシノはノノミの疑問に、知ったような口でそう答えた。

…いや、ホシノが1年生だった頃まではアビドスの生徒会は残ってたそうだし、知っててもおかしくはないか。

 

「そうか…資産の議決権はその学校の生徒会にあるんだよね。だからこんなになっちゃったんだ……。」

 

「……はい、その通りです。取引の主体は、アビドスの前生徒会でした。

ですので、アビドス生徒会が2年前に無くなってからは取引が行われていません。」

 

「こんな大ごとに、ずっと私たちは気づかないまま……。」

 

「それぞれの学校の自治区は、学校のもの。

余りにも当たり前すぎて、気づくことが出来ませんでした。

私が、もっと早く気づいていたら……。」

 

「……それは、アヤネちゃんが気にすることじゃないよ。

これはアヤネちゃんが入学するより前、というか対策委員会ができるよりも前のことなんだから。」

 

「知ってるの、ホシノ先輩?」

 

「うん。一応、最後の生徒会の副会長だったから。…まあ、殆ど名ばかりの生徒会だったんだけど。

そもそも最後の生徒会って言っても、新任の生徒会長と私の2人だけだったし。

…その生徒会長ってのが、本当に無鉄砲で、校内でも随一のバカでさー。私だって、今以上に嫌な奴だっただろうなー。

…何もかもがめちゃくちゃだったよ、ホント。」

 

「校内随一のバカが…?何それ、どんな生徒会よ……?」

 

セリカは信じられないといった表情で、ホシノに聞く。

……まあ、確かに、あのホシノが「バカ」と形容する人物だ。相当だろう。

 

「うへ〜、正直な所、おバカさん2人が集まっただけだったからね。

なんの間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって……

いやー、あの時はあちこちに行ったり来たりだったねぇ。

ほんっとバカみたいに、なんにも知らないままさ……。」

 

「ホシノ先輩……」

 

「私なんてさ〜、 ちょっとばかし強かっただけなのに、『暁のホルス』なんて呼ばれてて……実際はそれだけで中身のない嫌なヤツだったのに。」

 

「ま〜、そんなこともあってさ。その生徒会長は『学校をより良くしたい!』って、ずっと言ってたよ。

…でも、生徒会長が語る願望は、いっつも非現実的な、夢物語としか思えないような話ばっかり。

だから私は、生徒会長に反発してばっかりだったよ〜。

さっきも言った通り、1年生の頃のおじさんはすっごい嫌なヤツだったから、余計にね……。」

 

ホシノは悲しい、というよりは辛そうな表情で、でもその気持ちを押し殺しながら笑顔で話しているように、僕は見えてしまった。

まるで、自身の過去に後悔し、己を戒めているようにも。

 

……そう考えると、普段はのんびり屋でいるホシノの姿に、若干の不気味さすらも覚えてしまう。

本来はそんなキャラじゃなかったのかもしれない、楽しんでいるように見えて苦しんでいるのかもしれない。

けど──

 

「……それでも、それはホシノ先輩が責任を感じることじゃない。

昔の事情は知らないけど、実際に生徒会が解散になった後……アビドスに対策委員会が出来たのは、間違いなくホシノ先輩のおかげ。」

 

「……へ?」

 

「確かに、ホシノ先輩は怠け者だし、色々とはぐらかしてばっかだけど、肝心な時には必ず、誰よりも前に立ってる。」

 

「そうです。セリカちゃんが行方不明になった時、真っ先にギラ先生に助けを求めたのもホシノ先輩でしたし……。」

 

「そうそう、そうやって私を──って、そうだったの!?私、初耳なんだけど!?教えてくれても良かったじゃない!」

 

今のアビドスには、ホシノにとって、心から通い合える仲間がいる。

その仲間たちは皆後輩、つまりは守るべき者たちでもあるけど。

 

幾ら傷付いて、不安を感じたとしても。彼女にとっての守る理由、それがあるから、ホシノは今もこうして、いつもの調子でいられるのだろう。

 

「……うへ〜、そうだっけ?よく覚えてな──」

「ホシノは、いっつも必ず、絶対に先陣を切る。

だから、他の皆……シロコやノノミ、セリカは安心してそれに着いていけるんだと思う。」

 

「うぇっ?ちょ、そんなこと言われても……。」

 

僕が即座にホシノの言葉を遮って言うと、彼女は困惑げにも、恥ずかしげにも見える表情で、戸惑いを隠せていない。

 

「ホシノ先輩は色々とダメなところもあるけど、尊敬はしてる。」

 

「それって褒めているの?そうじゃないの……?」

 

「ちょ……ど、どうしちゃったのさ、皆!?急にそんな青春っぽい台詞を……!

おじさんこういう雰囲気、ちょっと苦手なんだけど!?」

 

彼女はそう、いつもの調子で誤魔化すように言う。

……けど、目が少し泳いでいるし、顔も少しだけ赤らめている気がする。

やはり普段言わないことを言われて、照れくさいのだろう。

 

「……や、なんとなく、言っておこうかな、って思って。」

 

「え、えぇ………。」

 

シロコのふわふわした答えに、ホシノはやはり、困惑気味だ。

まあ、シロコのこの感じはいつものことだし、僕もあまり気にしてはいない。

 

「………あの。なんかいい感じの雰囲気になっていますが……。」

 

教室が和やかな空気に包まれる中、アヤネの一言でその雰囲気は打ち消される。

……完全に忘れていたけど、今は会議中なんだった。

 

「……では、話を戻しましょうか。」

 

─────

 

そうして、今は『何故アビドスの前生徒会はカイザーに土地を売ったのか』という話の最中だ。

ノノミがそのような事を言って、ホシノがそれに対し、口を開く。

 

「うーん、私もしっかり関わってないからただの推測だけど……

ちゃんと学校の為を思って、色々と頑張っていた人たちだったんじゃないかなーって思ってる。

多分、最初は借金を返そうとして……って感じなんだろうな〜。」

 

「その時点で借金はだいぶ膨れ上がってたとはいえ、アビドスの土地に高値が付くこともなく……

繰り返し土地を売り続ける負のループに陥った、というところでしょうか。」

 

「……ちょっと待って、何よそれ。なんかおかしくない?最初からどうしようもないって言うか……。」

 

セリカはそう、納得のいかない顔で言う。

本当に彼女の言う通りで、ただでさえ多額の借金を抱えている上、土地は売れないわで、どんどん負のループに陥っていく。

……というか、カイザーローンの時点で『カイザー』じゃないか。

つまり………

 

「……アビドスは、悪質な罠に嵌められたのかもしれない。」

 

「悪質な、罠……?ああ、そういう事か…。」

 

「……?どういうこと?」

 

「セリカちゃん、私たちにお金を貸しているのは、なんて名前の悪徳金融か。覚えていますね?」

 

「うーん…………あっ、カイザーローン!」

 

アヤネにヒントを与えられたセリカは少し考えた後、すぐにその答えにたどり着いた。

 

「そう、つまり………。」

 

「アビドスにお金を貸したのも、カイザーコーポレーション。」

 

シロコがそう結論を出すと、他の皆も納得の行くような表情に変わった。

 

「と、言うことは……。」

 

「カイザーローンが、学校の手に負えないぐらいのお金を貸して、利子だけでも払ってもらう為に土地を売るよう仕向ける。」

 

「はい、きっと最初は、要らない砂漠や荒廃した土地でも売ったらと、甘言を弄したのでしょう。

どうせ砂漠と化した使い道の無い土地、その提案を断る積極的な理由も無く……。」

 

「その頼みの土地も安値でしか売れないから、土地を取られる一方で、アビドス自治区そのものがゆくゆくとカイザーの物になる。」

 

「カイザーはこれを狙って、だいぶ前から計画していたんだろうね、それこそ、何10年も前から……

それくらい、規模の大きな計画だったのかも。」

 

ここまで来ると、ただの金儲けでやっているとは思えない、土地を狙っているのかもしれない。

だがそれが本当なら、何故そこまでして、アビドスの土地を狙うのだろうか?

 

そう考えて見ると、昨日に会ったゲヘナの風紀委員長……空崎ヒナとの別れ際に

『カイザーがアビドス砂漠で何かを企んでいる』

ということを伝えられたが、これが関連しているのだろう。

 

「そうだ、昨日空崎ヒナって子と会ったよね?その子との別れ際に、伝えられたことがあるんだけど……そこから少し考察してみたんだ。」

 

僕はその事について、皆に話してみる。

 

─────

 

「…カイザーが、アビドス砂漠で企みをしている?そんな事、なんでゲヘナの風紀委員長が知っているんでしょうか……?

それに、どうして先生に伝えているんでしょう……?」

 

「ここまでがヒナから教えられた話で、ここからは考察も混じえて話すけど……

まず、カイザーはアビドスの土地を狙ってる。……これは、皆も予想出来てたと思うけど。」

 

「えっ、そうだったの?」

 

他の皆はうんうんと頷いていたが、セリカだけは気付いていなかったようだ。

 

「…で、問題はなんでアビドス土地を狙ってるか。実は、カイザーのアビドスでの動向を僕の友達に調べてもらったんだ。

その友達から得た情報によると……『詳しくは言えないが、宝探しをしている』らしい。」

 

「…宝探し……ねえ………。」

 

「宝探しの為に大量の兵士を率いてるらしいから、さぞ壮大な物なんだと思う。

……その宝が何か、それはまだわからないけど……。」

 

「それなら、実際に行って確かめてみればいいじゃん、アビドスの砂漠はうちの自治区なんだから!

何がなんだかわからないけど、この目で直接確かめた方が早いって!」

 

「……ん、確かに。」

 

「……いや〜、セリカちゃん良いこと言うねぇ。こんなに逞しく育ってママは嬉しいよ。泣いちゃいそう。ティッシュ頂戴。」

 

「ふふっ☆」

 

セリカがそう、いい感じの意見を言ってくれると、シロコはそれに賛同して、ホシノは少し棒読み気味にもセリカの事を褒めちぎる。ノノミはそれを、微笑ましそうに見ていた。

 

「な、何よこの雰囲気!?私がまともな事を言ったらおかしい訳!?」

 

「あ、あはは、そんな事は……ですが、セリカちゃんの言う通りです!」

 

「ああ、それじゃあ行こう、準備ができ次第、行こう。アビドス砂漠へ!」

 

「「「うん!」」」「「はい!」」

 

そうして、僕たちはアビドス砂漠へと向かう準備を進めていった。

 

─────

 

……皆が準備を終え、いざ出発だと言う時、僕はシロコに

『相談がしたい事がある』と呼び止められ、空き教室へ連れられる。

 

彼女のその手には、1枚の紙が握られていた。

 

「それで、相談したい事って?」

 

僕がそう聞くと、シロコは

『うん、これを見て欲しい』と、その紙を僕に手渡す。

 

…その紙には、衝撃的かつ、信じられない事が書かれていた。

当の書かれていた内容は──

 

「これって……退会届!?ええっと……対策委員会、小鳥遊ホシノ……!?」

 

僕は声を抑えつつも、驚きの声を隠せなかった。

シロコから渡された紙には、退会届と、名前が記されている。

 

ホシノは……対策委員会を退会するのか?

一体、何のつもりで?その後はどうするつもりなのか、誰がホシノの後を継ぐのか、それに……何故今になって退会するのか。

 

あまりの驚きと理解不能さに、そう考え込んでしまう。

 

「……ん。書かれてる通りの意味だと思う。先生以外には誰にも見せてないし、言ってもないけど……

そもそもバッグを漁った事自体、ホシノ先輩にはバレてる気がする。」

 

「……シロコは、どうしてそんな事を?」

 

「……ホシノ先輩があそこまで長い時間席を外すなんてこと、今までに無かった。

それに、風紀委員会からあんなに追い詰められるまで、先輩が来ないなんて。

先生も察してると思うけど……ホシノ先輩、何か隠し事をしてる。

それがどうしても気になって……先輩のバッグを漁ってみたら出てきたの。」

 

「そう、だったのか……分かった、とりあえず今は保留で頼むよ。一旦これは秘密にしておこう。」

 

「……うん。」

 

今はまだ、そっとしておく事しか出来ない。ホシノが何を考えているか、その真意はまだ確かじゃなくても、僕が解き明かしてみせる。

だから……まずは、対策委員会の皆とアビドス砂漠へ行くんだ。

アビドス砂漠に行けば、きっと何かわかるはずだから。

 




先週は更新なくてすまんかった(内容追記があったとはいえ)

こーんなクソみてえな更新ペースしているうちにブルアカアニメの完結から1週間経っちゃったよ……いや本当に、待っていた方、申し訳ありませんでした。

何度でも言いますがその待ち人がいると思っちゃうのは1種の自惚れなのかもしれぬ
でもそれが間違いならば待ち人を無礼ていると思われてしまう……。

というか今回、本来はタイトルや第6話の次回予告にある通り、アビドス砂漠でカイザー理事と出会ったところまではやる予定だったんですが……思いのほか会話シーンの筆が進んだんで、文が結構長くなっちゃったんですよね

という訳なんで2パートに分けます、②は来週までに出す

こんな駄文だらけの作品ですが、今回は結構気に入ってる回だったりします、ホシノの過去について触れて行くとことか。

それと今月はついにガッチャード&ブンブンジャーの映画が公開されるし、ウルトラマンアークも始まるし、仮面ライダーガヴの情報解禁も来たりと中々と特撮関連で熱い話題だらけですねぇ!

ブルアカもまさかの水着ヴァルキューレが来たし、僕は推しが配布で石を抑えられるしで本当に良いことだらけだワ

という訳で比較的関係ある話題に触れたところで、次回、王様戦隊×ブルアカ!
…は来週の②でお送りします、まあ2パート構成だからね、しょうがないね。
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