王様戦隊キングオージャー × ブルーアーカイブ 作:ガッチャ!ヘリオスキング
ギラは深い眠りから覚めると、『連邦生徒会』を名乗る少女『七神リン』と出会う。
更に、『ジェラミー・ブラシエリ』、『カグラギ・ディボウスキ』の2人の仲間とも再会した。
紆余曲折あり、ギラは居合わせた『早瀬ユウカ』、『羽川ハスミ』、『守月スズミ』、『火宮チナツ』の4人を指揮し、暴れる不良たちを止めつつ、『シャーレ』の建物に向かう… とさ。
「さあ、正義の鉄槌を下してあげましょう。」
ハスミがそう言うと、手に持った狙撃銃を発砲する。
狙撃銃ということもあって、威力は高く、一撃で不良の武器は破壊される。
「善良な市民を襲うとは……到底許せることではありませんね!」
「スズミはあそこの密集してる子たちを倒せるかな?なるべく傷つけすぎないようにね!」
「はいっ!分かりました!では…」
スズミは何かを取り出す。その手に握られていたのは─
「皆さん、できる限り耳か目を塞ぐ、あるいはどこかに目を逸らして下さい、これは痛いですよ!」
「え、耳か目?」
僕は急いで耳を塞ぎ、スズミから目を逸らす。
すると彼女はその取り出した何かを不良目掛けて投擲し、ほんの一瞬だけ、周囲に眩い光と轟音が広がる。その投擲したものとは、閃光弾だった。
「なんだ!何も見えねえ!」
「うおっ!?急に耳が!?」
不良たちは突然の出来事に混乱状態に陥る。
かく言う僕も、耳がキーンとしてしょうがない。
「今ですっ!」
スズミは不良たちに向けてアサルトライフルを乱射し、ものの見事に不良たちの武器のみを的確に狙い撃ちし、不良たちは丸腰になる。
「ふふっ!結構長く戦ってると言うのに、なんだか調子がいいわ!
これも先生がいるからかしら!……さあ!不良たちよ、今ここで謝罪をするなら見逃してあげても─」
「何言ってんだこのデカ太ももが!黙ってろ!」
ユウカは不良たちに謝罪を呼びかけようとするも、不良たちはそんなのお構いなしに彼女に飛びかかっていく。
「ちょっ!?だ、誰がデカ太ももよ!?もう!絶対に許さないんだから!」
ユウカはムキになって反撃しようと、飛びかかってきた不良を蹴っ飛ばそうとするも、今更ガタがきたのか、外れてしまう。
そんな、どこか冷静さを欠いていたユウカに僕は
「ユウカ、落ち着いて!相手の煽りに乗っちゃ駄目だ!」
と制止する。
「…ハッ!そうでした、先生!…しかし1人でこの量は…」
彼女は正気を取り戻し、再び不良たちに目を向ける。
…だが、その不良たちの数は、だいたい10人くらいはいた。
ただでさえ消耗している彼女に対しては多すぎる。
「…それなら!チナツ、支援を頼む!消耗してるユウカを回復させることとか出来るかな!?それと、スズミ、ハスミ!2人はユウカのカバーに回って欲しい!」
「はいっ!」「任せてください!」
2人はすぐに動く。が、不良たちによって行く手を阻まれる。
「おおっと!お前だけは通すわけには─」
しかし、次の瞬間不良目掛けて糸のようなものが発射され、それで全身が拘束される。そして、その糸を放ったのはそう…
「ギラの指示もなく行動してしまったが…まあ、このくらいのアシストならいいだろう。」
ジェラミーの手から放たれた糸だ。
「おお!ジェラミーありがとう!……って、なんで普通に前に出てるの!?ダメだって!」
「まあまあ、そう焦るなよ、ギラ先生。
俺のおかげでこの子たちも傷つかずに止められたんだ、いいだろう?
さ、御託はいいから行ってきな、2人とも。ユウカが待っているだろ?」
「はい!行きましょう、ハスミ先輩!」
「……本当に自由ですね。」
ジェラミーの指示にスズミは動き出し、ハスミも渋々と言った様子で動き出す。
「あれ、思ったより早いじゃない!でも、今の私ならこの程度1人でも余裕だけど!」
「ユウカ、慢心しすぎるとまたさっきのようなことになり得ます。なるべく気を配ってください。」
若干調子に乗ったようにも見えるユウカに対してハスミは釘を刺す。
ユウカは恥ずかしそうに
「わ、分かってるわよ!そんなことより、あいつらが逃げていくわ!追うわよ!」
と話を切り替え、不良たちを追って、僕たちもそれについて行く。
─────
そうして、不良たちを追っている内に、シャーレの部室のすぐ近くに辿り着いた。
そこで、リンから通信が入る。何やら、この騒ぎを起こした犯人が分かったそうだ。
『─で、その犯人というのが───』
リンは少し溜めたあと、口を開く。
『狐坂ワカモ。彼女は『百鬼夜行連合学院』で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒の1人です。
過去に似たような事件を幾つも起こしていた危険人物です。気を付けてください。』
(この騒動を起こしたのって、さっき言ってた脱獄した7人の中の1人だったのか…!)
なんて考えていると、カグラギが何かに気づいたのか、
「む…ギラ殿、接敵のようですな。皆様、戦闘準備を。」
と警告をする。
確かに、耳を澄ましてみると、微かに銃声が聞こえて来た。
「そうだね。とりあえずここは…シャーレの部室に向けて進み続ける!」
『はい!』
4人が返事をすると、街の中心に密集している不良たちもこちらに気づいたのか、弾丸が僕ら目掛けて飛んでくる。
『先生、その障害物に隠れていてください。敵の数は─7人ですね。
…!気を付けてください、狐坂ワカモがいます!』
チナツが通信越しに僕へ伝えると、ワカモが直々にこちらに向かってやってくる。
「フフ……連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと。」
狐の面を被ったその少女は、仮面越しであるにもかかわらず、邪悪な笑みを浮かべているように見える。
(あれが、狐坂ワカモ……)
僕はその邪悪な姿に思わず唾を飲み込む。
ハスミたちもワカモの姿を捉え、それぞれ戦闘態勢へと移行する。
「さあ、始めるとし─」
「止まりなさい!狐坂ワカモ!」
ハスミがワカモのセリフを遮る。
「ほう……?なんでしょうか?」
「あなたを捕らえます、ワカモ。」
ハスミはワカモを睨みながら堂々とそう言う。
そんなハスミにワカモは余裕を見せつけるかのように話しかける。
「捕らえる?……フフ、私をですか?トリニティの生徒にしては、面白い冗談ですね。」
「冗談などではありません。あなたは指名手配中の脱獄者です。見逃す訳にはいきません。」
「ふふっ……まあいいでしょう、私はここまで、あとは任せます。」
「待て!」
僕たちがワカモに向かおうとするが、不良たちによって阻まれてしまう。
「…この子たちを振りほどいてシャーレの方へ直行しよう。」
僕は3人にそう伝える。
「ええ、そうですね、先生。」
「はい!行きましょう!」
「承知致しました。では、参りましょう。」
3人は僕の言葉に反応し、不良たちを蹴散らしながら進んでいく。
「てめえら!邪魔すんじゃねえ!」
不良たちは必死になって応戦するも、僕らはそれを物ともせずに3人と共に先へ進んでいった。
─────
僕たちは不良たちを跳ね除けながらシャーレの建物の入り口まで到着する。しかし─
「なんだ!?この音は!?」
突如、轟音が周囲に響き渡る。
そして、僕らの前に巨大な影が立ち塞がる。その立ち塞がった影の元とは─
『あれは…気をつけてください、巡航戦車です……!』
(せ、戦車!?キヴォトスって、ここまで物騒なの!?)
戦車と言う言葉に驚く暇もなく、その戦車はこちらへ砲撃をしてくる。
「あ、危ないっ!この……先生、離れて!」
ユウカが僕を戦車から遠ざけようと、砲撃の射線に割り込み、その攻撃を防ぐ。
「ユウカ!」
「私は大丈夫よ!それより、早くシャーレの中へ!」
とユウカは言うが…
「うわぁっ!」
戦車からの砲撃が、僕らに襲いかかる。
「くっ……!さ、さあ!先生!シャーレへ!」
戦車を懸命に抑え込みながらユウカは僕に向かってそう言う。
…だが、こんな所で逃げるというのは、僕にとってあまりいい判断とは思えなかった。
僕はシャーレへ駆け出すのを思い留まり、ユウカたちのいる場所へと走り出す。
「な……!?何をやっているんですか!先生!」
「─先生、危険です!」
そんな僕を、彼女ら3人が引き戻そうとするが─
「…そうか!ギラなら今でもできるか!」
とハッとしたように、ジェラミーが言う。
「へ?一体何の話を─」
「すぐに分かります。今は、ギラ殿に任せましょう。」
カグラギはジェラミーの言葉に同意するように頷く。
「クソっ、一体何が始まるってんだ!」
「早く撃て!何をするかは知らねえがやられる前に潰せば─」
不良たちは、困惑しつつも進行を再開しようとするが─
「何!?戦車が動かねえぞ!キャタピラに糸が絡まってやがる!」
「さあ、ギラ。お前さんの生徒たちにも見せてやれ。お前さんの超変身を。
俺の糸も強度にゃ限界があるんだ、早くしないと俺たち皆ペシャンコだよ?」
ジェラミーは手から糸を発射しながら、僕にそう言う。
「分かった…! …………ハーッハッハッハッハッハァ!恐怖しろ!そして慄け!俺様はギラ!邪悪の王、そして、このキヴォトスを変える先生となる男だ!」
僕は邪悪に笑いながら、腰に帯刀したオージャカリバーを抜刀する。
そして、鞘の中央にあるクワガタの顎を模した赤いレバーを倒すと、
"Qua God!"
そうシステム音が鳴り響き、刀身が赤く光る。
そのバックにはシンプルながら荘厳な音楽も流れだす。
僕はオージャカリバーを構えて
「王鎧武装!」
そう叫び、再び赤いレバーを倒した後、オージャカリバーを天に掲げる。
すると、僕の身体が琥珀のような宝石に包まれる。
そしてゴッドクワガタことクワゴンのビジョンが僕を包んでいた宝石を砕くと光が溢れ出し──
You are the KING! You are the,you are the KING!
クワガタオージャー!
光が晴れると、僕の姿は赤色の鎧を身に纏い、クワガタを模した戦士の姿へと変身していた。
この赤い鎧の姿こそが、『クワガタオージャー』だ。
「ギラ先生…!?」
「一体、何が?」
「あんなギミック、私たちミレニアムの技術力を以てしても再現は困難よ!一体どういう仕組みで……」
ユウカたちは僕の姿を見て驚愕し、口々にそう言う。
「もうじき俺の糸が限界だ…ギラ、決めろ!」
「ああ、分かった!」
僕はそれに頷いて、オージャカリバーのトリガーを数秒間押し、
オージャチャージ!
とシステム音がなった後にレバーを3回倒す。
そして刃を戦車の方に向け、再びトリガーを引く。
「喰らえ!オージャフィニッシュ!ハァァァァッ!」
そう叫ぶと、刀身にエネルギーが溜まる。そして、戦車の方へ駆け出して─
オージャフィニッシュ!
「おりゃぁぁぁぁぁッ!」
システム音がなると同時に、横へ一閃する。
すると、戦車は斬られ、爆発を起こす。
「ふぅ……やったか?」
僕は安堵し、その場で変身を解除する。
不良たちも僕たちに怖気付いたのか、戦車に乗っていたのも含めて全員が逃げ出したようだ。
─というか、あの爆発をモロに食らって逃げ出せれるくらいにはピンピンしてるって、ジェラミーの言う通り本当に身体の構造、というか耐久力諸々が違うんだな……。
しかし、そんな余興に浸っている暇もなく─
「いや……まだ終わっちゃないみたいだ!」
ジェラミーがそう言うと、爆風の中から狐の面を被った少女が姿を現す。
その少女とは、もちろん──
「狐坂ワカモ……!」
ハスミはワカモを睨みつけながらそう言う。
「ふふ……残念ですが、今はあなたたちには用はありません。
そう、生徒の方々とは。わたくしが用があるのは、あなたたち連邦生徒会の人間だけです。」
とワカモはこちらに鋭い視線を送りながら言う。
「ほう。私たちにですか。連邦生徒会によって指名手配中のあなたが、連邦生徒会所属の私たちに、一体何の用が?」
「ええ。あなたたち─特にそこの、赤いメッシュの入った方。」
「ん?僕?」
ワカモが僕に指を指し、そう言う。
「ええ、あなたです。あなたの持つ、その剣。どういった仕組みなのか、そんなことはどうでもいいです。─ただ、憎き連邦生徒会の人間の所有物など、壊さずにはいられません。」
ワカモは僕の持つオージャカリバーを憎らしげに睨みつけながらそう言う。
「え?それって─」
僕が言いかけた途端、ワカモがこちらへ急接近し、彼女の銃にカスタムされた短刀で斬りつけて来た。
「うわぁぁっ!危ない!」
僕はそれを間一髪のところでかわす。
「フッ、中々いい反応ですね。ですが、次からはこうはいきませんよ。」
ワカモが余裕そうな表情で言う。
「このままでは先生が!─なら!」
とユウカは手に持っていた2丁の銃を構え、ワカモに向けて発砲する。
が、その銃弾もまた、素早い身のこなしでかわされてしまう。そして─
「では……さようなら。」
ワカモは短刀を僕の首目掛けて振りかざす。
「く……っ!わかった、受けて立つよ!」
僕はその短刀を、オージャカリバーで受け止める。
「ほう……やはりあなたは、ただ者ではなさそうですね……!」
「ああ……まあね。でも─」
僕はそう返すと同時にワカモを押し返し、後ろへ飛び退く。
そして、オージャカリバーのレバーを2回倒し、再びクワガタオージャーへ変身する。
「─今は君を止めることが先決だ!ハァァッ!」
僕はオージャカリバーを構えてワカモに斬りかかる。が、
「やりますねえ。…しかし、甘いですねえ。」
ワカモは短刀でそれを受け止め─そしてそのまま僕の剣を弾き返す。
「…では、ここで死んで貰いましょう。」
そう言って、ワカモは再びこちらへ急接近し、発砲。
僕はそれを避けるため、回避行動を取るが、その先にいたワカモが短刀を振りかざす。が──
「おやおや。若き女子がそんな物騒なものを振りかざして─」
とカグラギがワカモの短刀を受け止める。
「その態度は頂けませんねえ?」
そう言ったワカモをものともせずにカグラギはその掴んだ短刀を捻り上げ、銃のみをワカモの手から解放する。
「くっ……!」
ワカモは銃を取ろうとするが─
「おっと!そうはいかないよ?」
カグラギの背後からジェラミーが糸を放ち、銃を遠くに弾き飛ばす。
「クッ……!貴様らっ─!」
「はっはっ、お前さん……一人で俺らをどうにかできるとでも思ったのかい?」
「く……!少し侮りすぎたようですね……。」
ワカモはそう言うと─僕とカグラギに蹴りを入れる。
「ぬ……ッ!」「ぐぁっ!」
僕たちは後ろに吹き飛び、倒れ込む。
「……次に会う時までに覚えておくんですね。今は、あなたたちを倒している暇は─」
ワカモがそう、言った時──
「…!?ワカモ、危ない!」
「…?なんですか、敵に警告ですか。随分と舐められたものですね。やはり、ここで殺してしまっても──ん?」
ゴゴゴゴゴ……と何かが崩れる音がし、ワカモはそちらに向き直す。
そこには、先ほどの激しい戦闘でダメージを受けたであろう、ビルが倒れてきている。そして、それは─
「な…先生!今すぐ逃げましょう!このままではあなたも下敷きに─」
ユウカがそう叫ぶが、次の瞬間ビルはワカモを巻き込んで倒れてくる。
僕はジェラミーが放った糸に引っ張られたおかげで下敷きにはならなかったが、咄嗟に
「─ッ!ワカモ!」
と叫び、倒壊したビルの瓦礫の中に向かう。
「せ、先生!待ってください!」
ユウカが引き止めようとする声が聞こえるが、構わず瓦礫の中を進む。
「ワカモ!どこにいるんだ!?いるなら返事をしてくれ!」
「ぐ……ぅ……ッ!」
瓦礫の中からワカモの呻き声が聞こえ、その瓦礫からワカモが這い出てくる。
しかし、着用していた狐の面は割れており、素顔がさらけ出されていて、頭からは多量の血を流している。
「……っ!ワカモ!」
「先生!いけません、ワカモは犯罪者ですよ!?」
「そんなの関係ないよ。目の前に助けられる命があるんだ、見捨てることは出来ない!」
僕はそう言ってワカモに駆け寄る。
「おい!無事か!?すぐに安全な所まで運ぶから─」
と僕がそう言いかけた途端、
「……。随分と馬鹿らしいんですね。敵に情けをかけるなんて。
……ですが、その甘さが命取りになるんですよ。」
ワカモはそう言って、僕を突き飛ばそうとするが、非常に弱々しかった。
僕は、そのワカモを受け止める。
「ワカモ。僕はこれでも、今日就任したばっかだけど、腐っても先生なんだ。
君がどれだけ悪い子だったとしても、見捨てられやしない。」
「だから──僕は君を助けるよ。そんな顔をしないで。折角の可愛い顔が台無しだ。」
僕がそう言うと、ワカモは顔を少し赤らめながら、少しの間黙り込む。
「…じゃあ、着いてきて。今回は見逃すよ。…でも、今度はもうこんなことしないでね。…ワカモ?」
「……はっ!わ、分かりました。……先生、あなた様には敵いませんね─」
ワカモは何か小さな声でブツブツ呟いていたが、よく聞こえない。
「え?な、何か言った?」
僕はそう尋ねるが、
「い、いえ!何も!」
と、ワカモは何故か慌てていた。
「そ、そう。ならいいんだけど……。とにかく、今は安全な所に行こう。僕の背中に乗って。」
僕はワカモの前で背を向けてしゃがみ込む。
「は、はぁ……では遠慮なく……。」
ワカモは少し申し訳なさそうに僕の背中に乗っかる。
「よし……じゃあ、出発するよ。しっかり掴まっててね!」
僕はそう言うと、ワカモを抱えて瓦礫を破壊し、道を切り開きながら走る。
─────
「ここまで来ればその怪我でも歩けるよね。」
僕はワカモにそう言って、地面に降ろす。
「ええ……しかし、先生。」
「……どうした?どこか痛むところがあるの?」
「あ、いえ。ただ御礼をしたくて。ありがとう御座いました。ワカモを、こんな私を助けて頂いて─」
と、ワカモが僕にそう礼を伝える。
「大丈夫だよ。それに、僕もやっと先生らしいことが出来た気がするし。」
「い、いえ。ワカモこそ─」
「あ……そういえば自己紹介がまだだったね。僕は、ギラ・ハスティー。今日から先生のお役目を仰せつかってる。」
僕はそう、ワカモに自己紹介をする。すると─
「はい。ワカモは存じています。先程は見苦しいところをお見せしてしまい……申し訳ありませんでした。ギラ先生。…それに、素顔も見られましたし…///」
とまた頭を下げられる。最後の方はよく聞き取れなかったけど。
「……とにかく!もうこれ以上長居は無用です。今日の所は帰ります。では!」
ワカモはそう言って、嵐のような勢いでその場から立ち去る。
「あ……ちょ、ちょっと……まあ、今はみんなの所に戻ろう……。」
僕はそう言うと、ユウカたちの元へ戻っていった。
─────
瓦礫の山から抜け出すと、空の色が若干暗くなっていた。
思ったより、時間がかかっていたらしい。
「先生!遅いですよ!」
その証拠に、ユウカから怒鳴られてしまった。
「ご、ごめん……ワカモに手こずっちゃって…逃げられちゃった。」
僕は謝罪する。
『自分から前線に出た挙句、いくら相手が生徒とはいえ敵に情けを与えて、その上で逃したのですか……次からはそのようなミスは犯さぬように、お願いしますね。』
そう、リンから通信が飛んでくる。
「う……は、はい……。」
「…さて、シャーレの中に入りましょうか。連邦生徒会長殿の持ち込んだ物、とやらを確認しに行きましょう。」
『私も、もうすぐ到着します。建物の地下で会いましょう。』
「ああ。」
僕はそう返事し、シャーレのオフィス内へ入っていった。
─────
そうして、シャーレオフィスの地下で待っていると、
「先生、お待たせしたしました。」
と言って、リンが姿を現した。
「ここに、連邦生徒会長さんが置いていった物があるんだよね、リン。」
僕が問うと、リンはタブレット端末を取り出す。
「はい。それがこのタブレット端末─その名も、『シッテムの箱』です。受け取って下さい。」
(シッテムの箱…?見たことのあるような……でも、そんな記憶思い出せない……)
その端末に対し、どこか既視感を感じてたが、恐らく気のせいだろう。
なんて考えていると、リンが続けて何やら不穏なことを言う。
「……しかし、この端末はあまりにも不明点が多くて─」
「不明点……というと?」
「誰が作ったのか、どういう構造なのか、など色々ありますが…1番の問題は、いくら試しても電源が点かないのです。」
「へ?つまり動かせないんじゃ……」
僕はリンの言葉に驚きを隠せない。
「あくまでそれは私たちが試した結果です。連邦生徒会長曰くこの端末はギラ先生の物であり、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。」
「つまり、僕ならできるかも、ってこと?うーん……でも、本当に僕がこの端末を操作できるのかな……。」
「まあ、物は試しです。やってみてください。邪魔にならないよう、離れていますね。」
「……分かった。やってみるよ!」
僕はそう意気込んで、『シッテムの箱』を起動させる─!
─────
…
Connecting To Crate of Shittim…
システム接続パスワードをご入力ください。
(…………パスワードは…………)
そんなもの、僕は知らないはずである。
だが、脳裏に謎の文章が浮かび上がってきた。
僕はそれが浮かんできた瞬間、無意識の内にその文を打ち込んでいた。
……我々は望む、七つの嘆きを。
……我々は覚えている。ジェリコの古則を。
持続パスワード 承認。
現在の接続者情報はギラ・ハスティー、確認できました。
『シッテムの箱』へようこそ、ギラ・ハスティー先生。
生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステム 『A.R.O.N.A』に変換します。
─────
気がつくと、僕は崩壊した教室のような場所に転送されていた。
その教室では、1人の女の子が机にうつ伏せで居眠りしている。
『くううぅぅ……Zzzz……むにゃ、カステラにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクのほうが………くううう……Zzzzzzz……』
その女の子は、とても気持ちよさそうにイビキを立て、寝言をぼやいていた。
(もしかして、この子が『A.R.O.N.A』?…それなら、悪いけど起こさなきゃ…。)
『…えへっ……まだたくさんありますよぉ……。』
僕は寝言を言う少女の身体を揺らし、起こそうとする。
何回か揺らしたり声を掛けるのを繰り返してはいるが、中々起きない。
『…おーい、起きてる?……』
と、僕が声をかけると、その少女は目を覚ます。
『はぇ?…ありゃ、ありゃりゃ……?あれ…あれれ!?せ、先生!!いつの間にっ!!?』
『い、いやぁ……お、おはよう……?』
僕はそう少女に挨拶を返す。
『ここに入ってきたっていうことは、まさか、本当にギラ先生……?!』
『そ、そうだけど…君が、A.R.O.N.A?』
続けてそう問うと、慌てた様子で
『そ、そうでした!自己紹介からですね!私はアロナ!
この、『シッテムの箱』に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!
やっと会えました!私はここでずっと、ずーっと先生のことを待っていました!』
とアロナは言う。僕はそれに対し詫びる。
『居眠りしちゃうなんて、随分と待たせちゃったみたいだね。』
『う……それは申し訳ありません。で、でもたまたまですから!
普段はもっとしっかりしていますからね!』
『うん。よろしくね、アロナ。』
『はい!こちらこそです!これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!』
そんな挨拶を交わしていると、
『あ、そうだ!ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います♪』
『生体認証?』
『そうです♪指紋認証の類いだと思って頂ければ大丈夫です。
…少し恥ずかしいですが、手続きだから仕方ないんです。こちらに来てください。』
アロナは僕に手招きをし、僕が近づくと人差し指を出して、
『さあ、この私の指に、先生の指を当ててください。』
と言ってくる。僕はそれに応えるように、
『う、うん……こう?』
アロナの指に、人差し指を当てる。
『うふふ。まるで指切りして約束するみたいでしょう?
これで画面に残った指紋を目視で確認します!
安心してください、時間はそれ程かかりません!』
と、アロナが解説をしている間、僕は思わず唾を飲み込む。
もし間違っていたらどうしよう……
『うーん………よく見えませんが………まあ、これでいいですかね?
……はい、認証完了です!これで先生は、正式にこのシッテムの箱のシステムに接続されたことになります!』
『よ、よかった……間違ってたらどうしようかと……』
『ふふ。先生ったら、心配性ですね。』
『あ、あはは……』
少し面目ない気持ちだ。
そんな気持ちになっていると、アロナが僕に向かって言う。
『そうだ、今、キヴォトスで何が起こっているか、先生に教えて貰ってもよろしいでしょうか?』
僕はアロナに『連邦生徒会長が失踪してサンクトゥムタワーの権限がフリーになった』ということを伝えた。
『なるほど……先生の事情はだいたいわかりました。』
『そういえばさ…連邦生徒会長って、どんな人なの?』
『それについてですが……連邦生徒会長に関しては私でさえも、殆どの情報がわかりません。
彼女が何者なのか、行方も。連邦生徒会長を探すことの役に立てず、申し訳ありません。
……ですが、サンクトゥムタワーの問題は私がなんとか解決できそうです!』
『え、もうできるの!?…それじゃあ頼んだよ、アロナ。』
『お任せください!では、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください!』
彼女はそう言うと、何やら難しそうなことを呟きながら操作を行い、しばらくすると……
『……サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了……。これでサンクトゥムタワーの制御権を回収出来ました。サンクトゥムタワーは今、私の統制下にあります
。つまり今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!』
『そ、そうなの?じゃあ、その権限を誰か別のところ、例えば連邦生徒会とかに渡すこととかはできるの?』
アロナにそう問いかけると、彼女は
『うーん…先生が望むなら連邦生徒会へ移管できますが……大丈夫ですか?連邦生徒会に権限を渡しても……。』
と、僕に質問を返す。
『先生なら、そういうの無しで生徒と接した方がいいと僕は思うんだ。
僕のポリシーは『王様は国民全員を守って、民はみんなで手の届く大切な人を守る』。
これは先生と生徒の関係でも同じだと思うんだよね。
……それに、その権限が誰かに利用されたら嫌だし。』
『…分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!では!』
アロナがそう言うと、周囲から光が溢れ出し、それに包まれる。
─────
光が晴れると、僕はシャーレの地下室に戻っていた。
そこには電話をしていたリンがいて、通話が終了したのか、僕に労いの言葉を送る。
「お疲れ様でした、ギラ先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。
これで、連邦生徒会長がいた頃と同じように行政管理を進めますね。
…さて、ここで終わる前にもう1つあります。着いてきてください。
連邦捜査部『シャーレ』をご紹介いたします。」
リンはそう着いてくるよう促す。
僕はそれに着いて行って、かなり長い階段を渡り切り、シャーレのメインロビーに到達する。
「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね。
…あれ、鍵が空いてる?……ああ、既に来客者がいるようですね。」
彼女は言うとドアを開け、中に入っていく。
「え、来客者?」
僕はそう疑問を抱きつつも迷わずに入っていった。
「そして、ここがシャーレの部室です。─ところで、なぜあなた方が……」
部室に入ると、そこにいたのは─
「あ、あれ?ジェラミーに、カグラギ?もう来てたんだ?」
「ああ。ずっと待ってるのも暇だしな。ちょっとだけここの散策をさせてもらった。
それに、どうせ俺たちもここで仕事するんだろ?リンちゃん。」
「……まあ、そうですね。どうやって入室されたかは知りませんが、そんなのどうでもいいです。」
とリンはジェラミーに対しギリ怒ってないくらいの声色で答える。
というか、何サラッと鍵を開けてるんだろう……
「ところで。机の上にある書類を読んだところ、このシャーレという組織。
権限だけはあるようですが──目標などは、設定されていないのでしょうか。」
「その通りです。」
カグラギの問いにリンが答えると、彼女はシャーレの権限について語り始める。
「何かをしなければならないなどの強制力は存在しませんが、キヴォトスの全学園の自治区を自由に出入りでき、所属に関係なく先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です。
………連邦生徒会長がこんな組織を作った理由が知りたいですが……相変わらず行方不明のまま。
私たちは彼女を探すのに精一杯で、連邦生徒会に寄せられてくる苦情に対応する程の余力がありません。
そこで、時間が有り余っているシャーレ所属の皆さんになら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれません。」
語り終えた彼女は、
「それではごゆっくり。」
と言ってオフィスから退出した。僕たちも一旦シャーレオフィスを退出する。
─────
「ギラ先生、お疲れ様でした!先生の活躍はすぐにキヴォトス全域に広がるでしょうし、SNSでは既に話題になっているかもしれませんね!」
「いやいや、嘘偽りなくタワーの権限はただ端末を起動させただけだよ。
それに、みんなもお疲れ様。」
ユウカの労いの言葉に対し、そう返す。
「これでお別れですが、近いうちに是非、トリニティ総合学園に立ち寄ってくださいね、ギラ先生。」
ハスミも別れの挨拶をし、同じくトリニティ生のスズミからもぺこりと頭を下げられる。その後、2人は帰って行った。
「私も今日の事を報告しにゲヘナ学園へ戻ります。
ゲヘナに来て分からないことがあった時は、ぜひ訪ねてください。
なにせ、うちの学校は治安も悪く、立地も広いので。」
チナツもそう最後に言い、シャーレを去っていった。
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかもしれませんね!ギラ先生、また今度!」
ユウカはそう告げて、皆と同じようにシャーレから去っていった。
「それじゃあ…僕らもシャーレに戻ろう!」
「ああ!」「はい。」
僕の言葉にジェラミーとカグラギも頷き、僕らはシャーレに戻っていった。
─────
『あはは……なんだか慌ただしい感じてしたが……ある程度、落ち着いたみたいですね。お疲れ様でした。』
僕はまたアロナの教室へ行き、彼女と1日を振り返る。
『ああ、そうだね。アロナも、お疲れ様。』
『はい!でも、これからはもっと大変になっていきますよ?これから先生と一緒に、キヴォトスの生徒たちが直面している問題を解決していくのです……!単純に見えても決して簡単ではない、とっても重要なことです。』
『勿論だ!僕はキヴォトスの……生徒たちの頼りになる先生になる!』
僕がそう意気込むと、アロナも
『それではキヴォトスを、シャーレをよろしくお願いしますね、ギラ先生!』
と僕に語りかける。
『アロナも、よろしくね!』
『はい!それではこれより、連邦捜査部『シャーレ』として、最初の公式任務を始めましょう!』
─────
宇宙の片隅の惑星、チキュー。その星を治める6人の王たちは、学園都市『キヴォトス』へと飛ばされてしまった!
これは、キヴォトスの治安を守る王たちの物語でもあり、先生として生徒を導く王たちの物語。
そして、”大人”としての責任の物語でもある。
この物語にタイトルをつけるのならば──そうだな、とある少女の言葉から引用して──
青春の物語…ブルーアーカイブといったところか。
今回の話は、その中のほんの1節でしかない。
残った問題は……まだまだ山積みだな。
さて、次の話は──巨大な砂嵐によって砂漠と化した『アビドス』を救うため奮闘する5人の少女と、1人の男の話だ。
この章にもタイトルをつけるなら─『アビドス対策委員会編』かな?あまりにもストレートすぎるが…
それでは、お別れの時間だ。また会おう。
─────────────────────
プロローグ編 ─完─
くっっっっそ長くなったこと、毎週午前2時更新とか言いながら1時間遅刻したこと、単純に読みずれえこと、どれから謝ればいいかな?
「最後の突然ジェラミー視点(?)になったのはナニ?マジで理解を損ねてます!」
という方は多くいると思うので説明したいんですが…Vシネの結構重要なシーンの内容が含まれてるんですよね。見てない人もいそうだし、その中にはブルーレイ・DVDを予約して見るのを楽しみにしている方々もいるだろう、そのためネタバレになっちゃいそうなんで発送日の10月9日までは明かせぬ…たぶんその頃にはエタってそうだけど
せめてヒントをあげるなら……仮面ライダービルドの最終回です
分からないならビルド見てください、たまにガバいですがおもしろいですよ。(ダイマ)
ま、要するに章の終わりに必ずやる演出と思ってください
さて、キングオージャーの二次創作で仮面ライダービルドのダイマをしたところで、次回、王様戦隊×ブルアカ!
『シッテムの箱』に搭載されたAI『アロナ』の指示によって廃校寸前の弱小学園『アビドス高等学校』の危機に駆けつけるため、アビドスを目指したものの……あまりの広大さに迷い、疲労で倒れ込んでしまう。
しかし、その時、一人の少女が彼を助ける。
そこでギラを助けた少女は、アビドスの生徒だった!
アビドス編 第1話(第4話) 「邂逅!キングとアビドス!」
俺が数年後に恥ずかしくなって消してもテ○サとかTTFCでも見逃し配信はしない!
気になるんだったら今のうちに刷り込んどくんだな!では、また来週!