王様戦隊キングオージャー × ブルーアーカイブ   作:ガッチャ!ヘリオスキング

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セリカを奪還し、会議をしていた対策委員会たち。

結局のところいい案は出ず、夕飯を食べに柴関ラーメンへ向かった。

そこで出会った愉快な4人組と意気投合するが、その4人組は傭兵を連れてアビドスへ攻撃を仕掛けてきた。

その4人組の正体とは、『便利屋68』という不良集団だった!

対策委員会はピンチに置かれるが、ギラの変身やその他諸々の要素が上手く噛み合い、便利屋を退けた… とさ。



第4話 キング・インザブラックマーケット

 

便利屋68に勝利(?)した翌日、アビドスの住宅街でアヤネと会った。

どうやら、彼女は利息を返済する準備をしているらしい。

 

「あ…そうだ、昨日アビドスを襲撃した方々の情報が見つかりました、後ほど学校で確認いただけますか?」

 

そうアヤネが僕に言うと、「あー!先生だ!」と後ろから声が聞こえる。

 

振り返るとそこには1人の少女が立っていた。

その少女は、昨日柴関ラーメンで出会い、そしてアビドスを襲撃してきた便利屋68の、ムツキだ。

 

「ハーッハッハッハァー!違うな!俺様は邪悪の王!ギラ!」

 

「ならどっちでもいいや!…ん?隣にいるのは昨日ラーメン屋に居た、アビドスのメガネっ娘ちゃんだよね?

いやー、昨日はごめんねー!ちょっとやりすぎちゃったかなー?

でも悲しいけど、これ仕事だからねー!私たち、別にメガネっ娘ちゃんたちのことは嫌いじゃないよ?むしろ、好きな方だよ?

だから、仕事じゃない時こそ、仲良くしたっていいじゃん?ね?」

とムツキが言うと、アヤネは答える。

 

「な、なんですか!?いきなり馴れ馴れしく……それと、メガネっ娘じゃないです!奥空アヤネです!」

 

「あははっ!いい反応だね〜メガネっ娘ちゃん!…じゃなかった、アヤネちゃん!」

 

ムツキはそう言うと、僕の耳元で

いつか、暇になったら、便利屋に遊びに来てよ。アルちゃんもみんなも、歓迎してくれるよ?」と囁き、僕は

「ふ、ふん……この俺様に挑戦権を渡すとは、いい度胸だな……ハァーッハッハッハッ!望むところだ、討ち倒してやろう!」とだけ答える。

 

「それに、先生はアルちゃんにどこか似てるし…あはっ!」

 

「今、何か言った?」

 

「別になんにも言ってないよ〜!」

 

ムツキは妖しげな笑みを浮かべ、アヤネに向き直ると、再び口を開く。

 

「さて!そんじゃ私はそろそろ行くね!バイバ〜イ。アビドスのみんなによろしくね〜」

と言って彼女はここから去った。

 

「はぁっ!?ちょっと、待って下さい!まだ話は終わってな……」

 

アヤネが叫ぶも、ムツキは止まらず、どこかへ行ってしまった。

 

「なんなんだろう……あの子」

 

「わかりません……でも、また会うことになる気がします。

今の私たちはおそらく、あの便利屋のターゲットにされていると思うので……。」

 

「おぉ……」

 

僕は思わず溜め息を漏らす。すると、アヤネは続けて言う。

 

「でも……その時は、ギラ先生も一緒に戦ってくれますよね?」

 

「もちろんだよ!みんなのためならね!」

 

僕の言葉に、アヤネは嬉しそうな表情を浮かべる。

そして僕らは学校へと向かい始めたのだった。

 

─────

 

アビドスに着き、しばらくすると銀行員が利息を回収しに来た。

 

(え、ええー!?)

 

その金額、なんと利息だけで約800万。

僕はその金額を見て、思わず心の中で叫んでしまう。

アヤネが現金でお金を渡すと、銀行員は現金輸送車に乗り、帰って行った。

 

「……はぁ、今月もなんとか乗り切ったねー。」

 

ホシノが安堵しながら言うと、シロコがアヤネに

「完済まで、どれくらい?」と聞く。

 

「そうですね……あと309年返済なので…今までの分を入れると……」

 

到底返済できなさそうな年数だ。僕のいた孤児院が可愛く見えてくる。

 

「言わなくていいわよ、気が遠くなるわ……どうせ、死ぬまでに完済できないんだし……」

 

セリカが遮るように言うと、アヤネは

「そ、そうならないためにするのが私たちなんですが…」と突っ込む。

 

「ところで、なぜカイザーローンは現金でしか受け取らないんでしょうか?」

とノノミが疑問を口にすると、アヤネも

「さ、さぁ……?どうしてでしょうか?」と首を傾げる。

 

「うーん……例えば、現金で受け取った方が信用できるからとか?」

 

僕はとりあえず思いついたことを口にしてみる。

 

「…………。」

 

「…シロコ先輩?」

 

現金輸送車の方をずっと見つめているシロコに、セリカが問う。

 

「あの車は襲っちゃダメよ。…コラ!計画するのもダメよ!」

 

「むう……。」

 

セリカが言い、シロコがメモを取り始めると、再び付け足す形でセリカが怒りながら言う。

 

シロコは不満げな表情だ。なぜそんなにも銀行強盗へのこだわりが強いのだろう……

 

「…ま、とりあえず教室に戻ろうよ、そんで何かしら案を出そー。」

 

「…それもそうですね。」

 

ホシノが言うと、みんなは一斉に教室に戻る。

 

─────

 

教室に戻ると、みんなは席に着く。するとアヤネが口を開く。

 

「それでは、全員揃ったみたいなので……

とりあえず、2つの事案について、みなさんに説明いたします。まず、昨日の襲撃事件についてですが……。」

 

アヤネが話を始めると、みんなは真剣な表情で聞き始める。

 

「今回の襲撃は、ゲヘナの便利屋68という部活によるものです。

まあ、戦闘中にしょっちゅう名乗っていた上、なんならゲヘナの制服も着ていたので今更かもしれませんが……彼女たちは、ゲヘナの中だとかなり有名な不良集団とのことです。」

 

アヤネが言うと、セリカは「え?そうだったの?」と驚く。

 

「はい……ゲヘナの風紀委員会や生徒会も手を焼いているそうです。話を戻すと、便利屋68は頼まれたことはなんでもやるというサービス業者で、リーダーで社長を自称している陸八魔アル、室長の浅黄ムツキ、課長の鬼方カヨコ、平社員の伊草ハルカの4人で形成された部活……もとい零細企業です。」

 

「へぇー、ちゃんと階級があるんだ。なんか面白そうな人たちだね。」

 

ホシノが言い、ノノミも「まぁ!社長さんだったんですね、すごいです☆」と反応する。

 

「あくまで、「自称」なので……それと、今はアビドスのどこかに潜んでいるようです。

今朝も、浅黄ムツキさんと会いましたし……」

とアヤネが言うと、シロコは「ゲヘナでは起業が許可されてるの?」と問う。

 

「いえ、そんなことないと思いますが……まあ、勝手に起業したのでしょう。

彼女らはかなりの非行を繰り返しているそうですし。

そんな人たちに狙われている今こそ、もっと気を引き締めないと行けません!

迎え撃って、洗いざらい情報を吐き出して貰いましょう!」

 

アヤネが憤慨したような声色で言うとホシノが

「アヤネちゃん、たまに謎のエンジンかかる時あるよねー。」と呟く。

 

「はっ……!す、すみません!つい熱くなってしまいました……」

 

アヤネは熱くなりすぎたことを謝る。そこまでムツキに弄られたことが悔しかったのか……

 

「熱くなるというより、何か深い憎しみのようなものを感じたわ……何かあったの?」

 

「いえ、別に……はいっ、この話は終わりです!そろそろ次の話に行きましょう!

次はセリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!」

 

アヤネは図星だったのか即座に話題を変える。

 

そしてアヤネの言ったことを要約すると、その時の戦闘で使われた兵器は既に生産中止された物であり、それを手に入れるには『ブラックマーケット』と呼ばれる危険区域に潜入し、不正な手段で入手するしかない……とのことだった。

 

「ブラックマーケット……ですか……」

 

「はい、そして、便利屋68もブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしているとのことです。

もしかしたら、その2つの出来事にも関係性があるかもしれません。」

 

「なるほど……つまり、ブラックマーケットに行って、それらを調べにいこう、ってことね。」

 

「その通りです!」

 

「よし!じゃあ、ブラックマーケットに向かおう!」

 

僕が言うと、みんなは「おー!」と返す。

そして、僕らはブラックマーケットに向かうことになったのだった。

 

─────

 

「ここが、ブラックマーケット……。思ったよりも、賑わってるのね……

せいぜい、市場程度の規模だと思ってたけど……。」

 

「うへ〜普段私たちはアビドスにばっかりいるからね〜。学区外は変なところも多いんだって〜。

アクアリウムっていう、ちょーどデカい水族館もあるんだとか。」

 

驚くセリカに対しホシノが言うと、ノノミが「そうなんですか!今度みんなで行ってみたいですね〜。」と返す。

 

「うん、そうだね。……でも、ブラックマーケットは危険な場所なんだよね?なら、気を引き締めて行こう。」

 

僕が気を抜かないようにしよう、そう言うと、

 

タタタタタタ!

 

前方から銃声が鳴り響く。戦闘中だろうか?

 

「うわっ!?な、何!?」

とセリカが驚くと、シロコが冷静に言う。

 

「銃声……誰かが、追われてるようにも見える。」

 

するとホシノは銃を取り出しながら答える。

 

「ふーん……なら、助けにいこうか?」

 

「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」

 

シロコの予想は的中し、そう叫びながら逃走する金髪ツインテールの少女と、それを追う不良少女2人組がいた。

 

「逃すかっ!大人しくしろ!」

 

不良少女の1人がそう言うと、アヤネから通信が入ってくる。

 

『あの追われている人の制服は、トリニティの生徒さん!?なぜ、ブラックマーケットなんて所に……とりあえず、今はその人を助けましょう!』

 

アヤネの言葉に従い、僕たちは彼女たちの間に割り込むような形で、2人組と対峙する。

 

「君たち!そこまでだ!」

 

僕がそう言うと、2人はこちらへ視線を向ける。

 

そして、追われている少女が僕の方へ走ってきて、「わ、わぁー!すみません、どいてくださーい!」と叫び、あまりにも咄嗟のことに僕は避けきれずにぶつかってしまう。

 

「痛っ……!?」

 

すると僕は今まで、人とぶつかった時とは比べものにならないレベルの激痛に襲われるが、堪えながら少女を受け止める。

 

「い、いたた……ご、ごめんなさい、大丈夫でしたか?……あれ、この人、ヘイローがない!?」

 

少女が言うと、追っている2人も「なにィっ!?」と驚く。

 

「…えっと、今なんで追われているかを教えてくれる?」

 

とりあえず僕は問うと、追手の1人が答える。

 

「あぁ?そいつは、トリニティの生徒だろう!?トリニティは、このキヴォトス内でいっっちばん金を持ってる学校だ!だから、そいつを捕まえて、身代金を巻き上げてやるんだよ!」

 

それを聞いたシロコとノノミがすぐに無言で2人の方へ駆け出し、それぞれに関節技を掛けた。

 

「がっ!?」「ぐっ……」

 

2人は痛みで悶絶する。

そして、シロコとノノミは2人を地面に寝かせると、こちらへ戻ってくる。

 

「悪人は成敗しないと、ですね☆」

 

「……これで、大丈夫?」

 

2人が言う。ちょっとやりすぎじゃないかな……

 

すると少女は、困惑しながらも

「あ、ありがとうございました!皆さんがいなかったら、学園に迷惑をかけてしまうところでした!

しかも、こっそり抜け出してきたので、問題を起こしたら……これ以上は想像しただけでも恐ろしいですね……。」

と言う。……さりげなく、何かとんでもないことを言っている気もする。

 

「…あ、あの、ヘイローがない人、しかも男の人じゃないですか!

現実では初めて見ました!あなたは一体……?」

 

少女は僕に問いかけると、ホシノが少女に言う。

 

「んー…まあ、別の世界から来た、ギラ・ハスティー先生だよ。」

 

「え、ええ!?せ、先生、あの噂の先生なんですか!?」

と少女は驚く。僕はとりあえず、名前を聞く。

 

「うん、まあ……とりあえず、君の名前を聞いてもいい?」

 

「あ!す、すみません!私の名は、阿慈谷ヒフミです!よろしくお願いします、えっと、ギラ先生!…で合ってますかね?」

 

「うん、それでいい!よろしくね。ヒフミ!」

 

「で、ヒフミちゃんはなんでこんなところにー?トリニティのお嬢様がブラックマーケットなんて、危なっかしくなーい?」

 

「あ、はい!実は…探し物がありまして……『ペロロ様』というキャラクターの限定グッズなんですが、現在は通常の方法で買うことは不可能なんですが、ブラックマーケットで取引されてるらしく……。」

 

彼女はそう言うと、背負ってる特徴的なデザインのキャラクターを象ったリュックサックから何かを探している。

 

それにしても、どんなキャラクターなんだろう。

よく分からないけど、もっふんみたいな感じだろうか?

 

……まさか、彼女の背負ってる鞄のと同じキャラクターなのか?……この、ちょっと可愛いと言うには若干不気味なデザインの……。

 

そんなことを考えていると、ヒフミが「あ!これです!」と言い、リュックからその『ペロロ様』を出す。

 

「見てください!ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、このぬいぐるみを!

限定生産で、100体しか作られていないんです!ね?すっごく可愛いでしょう?」

 

そうしてヒフミから出された物は……そのまさか、可愛いとはあまり思えないようなリュックサックのキャラクターだった。

……もっとこう、もっふもふで可愛いデザインを想像していたんだけど……

 

この『ペロロ様』は目の方向がなんか…こう正常ではないというか、ちょっと不気味だ。舌が出ていて、その口にはアイスがぶち込まれている。

 

「お、美味しそうにアイス食べちゃってるねぇー……ペロロ様ってアイスクリームが好きなんだねー」

 

ホシノが普段からは考えられないほど引き気味に言うと、ノノミが

「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん、可愛いですよね!私は………」

と言い、それからヒフミとノノミはモモフレンズトークを始め、完全に2人の世界に入ってしまっていた。

 

「ごめん、ちょっといい?質問なんだけどー……モモフレンズって?」

 

ホシノが問うと、ヒフミは答える。

 

「モモフレンズとは、このペロロ様をはじめとした可愛らしいキャラクターたちのブランドです!様々なグッズや、映画も展開されているんですよ!最近、キヴォトスでとっても流行ってるんですよ!それだけでなく………。」

 

ヒフミがモモフレンズについて語り始めると、ノノミもそれに乗っかかり、再び2人でモモフレンズについて語り始めた。

 

「あー……これは長くなりそうだねー」

 

「そ、そうだね……」

 

僕らは、そんな2人の会話に圧倒されていた。

 

「…あっ!すみません、つい夢中になってしまって……まあ、そんな感じで、グッズを買いに来たら、先ほどの人たちに絡まれていたんです。…ところで、皆さんはなぜここへ?」

 

ヒフミが言うと、僕は答える。

 

「まあ、ヒフミとだいたい同じかな。僕らもブラックマーケットに探し物があってね。」

 

僕が言うと、ヒフミは興奮気味に

「そうなんですか!では皆さんも私と同じ目的ですね!」

とテンション高めに言う。……どこかしらズレてるけど。

 

「うん、まあ……探し物をしてる、という目的ならそうだね。」

 

「まあ!じゃあ、皆さんも同じなんですね!同じ目的なのでしたら、ここで皆さんとご一緒した方がいいですよね!」

 

「う、うーん……」

 

ヒフミの勢いに押されていると、シロコが口を開く。

 

「うん。その方がいい。」

 

「お!シロコちゃんからそう言ってくるなんて珍しいねぇ〜?」

 

ホシノが言うと、通信からアヤネが

『皆さん、大変です!今、四方から大量の武装集団が押し寄せて来ています!!』

と言うので、周囲を見渡す。

 

「いたぞ!やつらだ!」

「今度こそ、捕まえてやる!」

 

などと言いながら、四方八方から武装した集団がこちらへ向かってきている。

そして、そのうちの2人はさっきヒフミを追っていた2人組だ。

 

「……うわっ、いつの間にか囲まれてる!」

 

「ああもう、みんな話すのに夢中になりすぎだよぉ〜」

 

「というか、なんで私たちがこんなのに絡まれなきゃいけないのよ!もう!」

 

「そ、そうですね……でも、なんで私まで……?」

 

「よ、よくわかんないけど、今は迎え撃つよ!みんな!」

 

僕はみんなに戦闘態勢に入るように伝える。

 

「じゃあ、一緒によろしくねーヒフミちゃん。」

 

「え、私もですか!?」

 

ヒフミが驚く。そりゃいきなり仲間にされたらね……

 

「まあ、ここに居合わせたんだし、とりあえず手伝ってよー」

 

ホシノは言うと、ヒフミも覚悟を決めたようで

「……わかりました!皆さんの力になります!」

と言ってくれる。

 

そして僕らは四方八方から来ている武装集団と交戦することになったのだった。

 

「よし、じゃあ、いくよ!」

 

「はい☆」「了解!」「おっけー。」「はい!」「ん。」

 

5人はそれぞれ戦闘態勢に入り、ヒフミが銃を構えて言う。

 

「それでは、いきます!」

 

「おらぁ!!観念しやがれェ!!!」

と、スケバンがヒフミに銃を向けて叫ぶ。

 

すると、ホシノがその銃を殴って弾き飛ばす。

そしてそのままそのスケバンの腹部に蹴りを入れる。

 

「ぐあっ……くっ……てめぇ……!!」

 

スケバンはホシノを睨むが、ホシノは怖い顔で

「ま、大人しく捕まってもらおうかな〜?」と言う。

 

スケバンの相手をしていると、別方向からも

「いたぞー!こっちだー!」

という声が聞こえる。どうやら増援の様だ。

 

「増援か……ノノミ、シロコ、そっちは大丈夫?なら、こっちを手伝っ─」

 

僕が言うと、ヒフミがそれを遮るように

「─いや、ここは一旦退却を選びましょう。…みなさん!それ以上戦っちゃだめです!」

 

そう叫んだ後、僕らを近くの廃ビルに連れて行く。

 

「ちょ、ちょっと、なんでよ!ここまで来て引き下がるわけには……!」

 

セリカが言うが、ヒフミは

「ここで騒ぎを起こしたら、ここを管理してる治安機関に見つかってしまうかも知れません!皆さんも、お尋ね者になってしまうのは避けたいでしょう?」

と警告する。

 

『……ここはブラックマーケットに詳しいであろうヒフミさんに、従ってみませんか?』

 

僕らはアヤネの言葉に従って、一旦退くことにした。

 

─────

 

「ふう……ここまで来たら安心ですね。」

 

僕たちはヒフミに連れられ、路地裏から歓楽街に逃げ込むと、ヒフミは一息つく。

 

「ねえ、ブラックマーケットについて詳しいっぽいけどさー、どんなところがあるのー?」とホシノが問うと、ヒフミは答える。

 

「はい!ここは、連邦生徒会の手が及ばないエリアのひとつで、ここ専用の金融機関や治安機関があるほどです。それに、様々な『企業』がここで利権争いをしているとか。」

 

「こんな場所にも、銀行や警察がいるの!?」

 

「間違いなく、違法だよね〜。」

 

セリカとホシノが言うと、ヒフミは頷きながら

「はい。そうです。…特に、治安機関は危険です。絶対に、関わるのは避けた方がいいです……。」

そう言うと、ホシノがなにかを思いついたように言う。

 

「よし、決めたー。ねぇ、ヒフミちゃん、さっき助けてあげたじゃーん?だから、捜し物、手伝ってよー。」

 

「……へ?つまり…」

 

「要はここら辺の案内をして貰おうってことでしょ?もちろん、ヒフミが嫌ならいいけど……」

 

「……わ、分かりました!役に立つかは分かりませんが、できる限りお手伝いさせていただきます!」

 

「わーい、やったぁ。」

 

「ありがとうございます、ヒフミさん!」

 

「うん。ありがとう。」

 

「じゃ、さっさと行っちゃおー。」

 

「そうですね!行きましょうか!」

 

そうして僕ら6人はブラックマーケットの調査を始めるのだった。

 

─────

 

「し、しんどい…もう、何時間歩いたんだろう……」

 

僕は掠れた声でそう呟く。

 

あれから数時間、僕たちはブラックマーケットの様々な場所を調査した。

しかし、何も成果は得られず、ただ歩き回っているだけだ。

 

そして今、僕たちは休憩のために小さなたい焼き屋台に訪れていた。

ノノミは僕たちの為に屋台へたい焼きを買いに行ってくれてる。

 

「はー……もう疲れたよぉ……」

 

ホシノが言うが、シロコは休むことも無く、難なく歩いていた。

 

「ん…みんな、だらしない。私は、まだまだいける。」

 

「あ、あはは……シロコさんはすごいですね……」

 

「みなさーん、たい焼き、買ってきましたよ〜!☆」

 

ノノミは買ってきた大量のたい焼きを紙袋から取り出して言う。

 

「お、気が利くねー!じゃあ早速食べよー」

 

ホシノが言うと、みんなも賛同し、それぞれがたい焼きを受け取り、食べる。

 

「おいしい!」

 

「うん、美味しい!」

 

「ん、頂きます。…うん、美味しい。先生、食べる?」

 

シロコはそう言うと、一口食べたたい焼きを僕に差し出してくれる。

 

「え?くれるの?」

 

僕がそう問うと、シロコはゆっくりと頷く。

 

「あ、ありがとう……じゃあ、頂くよ……」

 

僕はたい焼きを口に運ぶ。中にはとても甘い、クリームが入っていた。

口の中でとろけるような、優しい甘さだ。

 

「うん!うまいね!」

 

「アヤネちゃんの分も残してあげてくださいね〜」

 

ノノミがここにいないアヤネを気遣うが、当のアヤネは『大丈夫です、ノノミ先輩!私はこっちでお菓子とかつまんでますし…。』と言って断る。

 

「そう?それなら、いいけど……」

と言って、僕たちはしばらくここで休憩を取った。

 

─────

 

たい焼きを食べながら、僕らは捜している兵器についてヒフミと共に調べていたが……

その兵器の情報は、ブラックマーケットに精通してるヒフミにも分からないらしい。

 

「ダメですね…全く見つかりません。ここまで来ると、何かしらの組織に意図的に隠されてるのかもしれません。でも、ブラックマーケットでここまで徹底して隠し通せるなんて、不可能です……。

ブラックマーケットの方々は最早開き直って悪事を行っているので…例えば、あの闇銀行とかはいい例ですね。」

 

ヒフミは周囲をキョロキョロ見渡し、何かを見つけると、それに指を指し、そう言った。

 

「闇銀行……?」

 

「はい。このブラックマーケットの銀行でも最も大きな銀行の1つです。

聞いた話、キヴォトスでの犯罪の盗品があそこに流されているとか……」

 

「そんな所があったなんて……」

 

「様々な犯罪で得た財貨が、違法な兵器へと変えられてまた他の犯罪へ使われる……

負のスパイラルが続いてるんですね。」

 

「……ふむ。私たちは、殆どアビドスにしかいなかったから分からなかったけど…現実は思っていたよりも、汚れたものなんだね。」

 

そう決して明るいとは言えない話をしている時、突如アヤネから通信が入る。

 

『お取込み中失礼します!そちらに、武装した集団が接近中!』

 

「アヤネ!分かった!」

 

「ほーんと、しつこいなぁ〜。」

 

「よし、行くよ、みんな!」

と僕はみんなへ言う。しかし、

「あれは…マーケットガードです!隠れてください!」

 

ヒフミが言うと、僕たちはヒフミに従い、近くの狭い路地に逃げ込んだ。

 

「この辺りを捜索していますね……ここはマーケットガードの支部があるんです……」

 

「なら、見つかったら面倒くさいことになるんじゃ……?」

 

「うん。だから、ここでやり過ごすしかないねー。」

 

それからしばらく、マーケットガードの動向を見守ることにした。

 

マーケットガードは現金輸送車の護送をしていたが、停車し、中から銀行員が出てくる。

その銀行員を見るや否や、アビドスのみんなは驚いている。

 

銀行員が闇銀行に入ると、ヘルメットを被った闇銀行の行員と何か会話をしていた。

何を話しているのかは聞き取れなかったが、銀行員の方が何かの書類にサインし、会話を終えると車に戻り、そのまま去って行った。

 

「あの銀行員……毎月うちに来て利息を受け取ってるカイザーローンの銀行員じゃない!

しかも車もカイザーローンのだわ!どうしてここに!?」

 

セリカが驚いたように言うと、ヒフミがさらに驚愕したような顔で、

「か、カイザーローンですか!?」と言う。

 

「知っているのか!ヒフミ!」

 

「は、はい!カイザーローンは……あの悪名高いカイザーコーポレーションの運営する悪徳金融業者です。

罪には問われませんが、犯罪スレスレグレーゾーンな事をやっていることで、トリニティの『ティーパーティー』にも目を付けられてるとっても悪い人たちです!」

 

(ティーパーティー。確か……トリニティの生徒会だったっけ?それに目をつけられるって、よっぽどだぞ……)

 

「アビドスの皆さんはもしかして、カイザーローンから融資を……?」

 

「そうだね。まあ、借りたのは私たちじゃないんだけど。」

 

「この話を理解するためには、今のアビドスの状況を説明しなければならないんだよねー。

結構長くなっちゃうけど。」

 

ヒフミの問いにシロコが言うと、ホシノは笑って言う。

 

「─って、そうだ。アヤネちゃん、さっきの現金輸送車の走行ルート、特定できるかな?」

 

『はい。善処してみます。………申し訳ありません、ダメですね。全てのデータがオフラインで管理されてるようです。そのせいで、全く見つかりません。』

 

「うーん、それは困ったね。」

 

ホシノが困っていると、シロコは何かを思いついたように目をパッと見開き、みんなの前へ出てくる。そして、

「なるほど…だいたいわかった。私たちは返済するとき、いつも現金でしか返せなかったけど…

それは現金輸送車を経由して、ブラックマーケットへ流すため。

まあ、それは必ずしもそうとは言えない。…というか、そうであって欲しいけど。

そして、それを確認するにはさっき銀行員がサインしていた集金記録。

それを確かめる。でも、それは今、銀行の中にある。

……それなら、やることは1つだね。」

 

シロコはいきなりそう言うと、何かを取り出す。……あれ、こんな場面、前も見たぞ?

 

「ホシノ先輩、ノノミ、セリカ、アヤネ、ギラ先生、そしてヒフミ。何をするか、分かるよね?」

 

「…あー。あれかー。なるほどねー?」

 

「おお!そうですね!あの方法なら!」

 

「え、ちょちょちょっと!もしかして!もしかしてだけど…」

 

『…こんなところで、騒ぎを起こしたら、それまでですよ…』

 

「シロコ、まさか、まさかね?……え、本当に?」

 

シロコは僕らの言葉に答えるように、

「うん。そのまさか。」と言い、取り出した覆面を被る。

 

「ほら、みんなも。」

 

シロコの言葉に、他の3人も懐から覆面を取り出し、被る。

 

「………そうよね、もう、ここまで来たなら……」

「とことん乗ってやるわ!!!」

 

普段はツッコミ側に回ることの多いセリカも、今回はその場のノリに乗ってしまった。

というか、これ覆面つけててもアビドスは5人しか生徒いない訳だから制服でバレるんじゃ……

 

「ほら、ギラ先生の分もあるよ。念の為、作っておいた。」

 

「僕のため、って言われてもなあ……」

 

「あの、邪悪の王?の姿をイメージした。……結構、作るの時間かかったんだよ。

…受け取ってくれる?それとも、やっぱり……迷惑だった?…邪悪の王様。」

 

シロコは上目遣いで問う。その手には、赤と黒を基調とした色合いの覆面が握られていた。そのデザインは、クワガタオージャーそのものだ。

 

「……ククク、ハァーッハッハッハアーッ!良いだろう!この邪悪の王、ギラ・ハスティー!その作戦、乗ってやろうじゃないか!その覆面を、俺様に寄越せぇ!」

 

もう、ここまで来たなら乗るしかない。というか、僕はこれでも対策委員会の顧問なんだ、乗らない訳には行かない。

僕は邪悪の王になりきると、シロコがまるで従者のように、

「仰せのままに。」と返し、覆面を僕に渡す。

 

「ま、全く話についていけないです……その『まさか』って、なんなんでしょうか?

少なくとも、まともな計画ではなそうですけど……」

 

ヒフミがそう、冷や汗をかきつつ問う。察しが良いね、ロクな計画じゃない。

 

「それは、ね……」

 

「………銀行を…襲う。」

 

「……へっ!?」

 

ヒフミは驚きのあまり、変な声が出てしまっていた。

 

「で、でも!銀行を襲うなんて……犯罪ですよ!」

 

「相手は悪い銀行です!徹底的に、懲らしめてあげましょう!」

 

「えええっ!?ちょ、ちょっと、待ってください!」

 

ノノミの言葉に、待ったをかけるヒフミだったが、1度火がついた生徒たちは、止まらない。

 

「そ、そうだ、アヤネさん!アヤネさんなら…」

とアヤネに助け舟を求めるが、なんとアヤネも覆面を被っており、しかも

『ここまで来たらいくら制止しても聞く耳持たないと思いますし……もう、乗るしかないですね。』と半ば諦めていた。

 

「そんなぁ……私の味方はもう居ないんですかぁ……」

 

「…?私たちはヒフミの味方だよ。…覆面はないけど。」

 

「はい、そうです!ですが、1人だけ仲間外れというのは酷いです。というわけで、覆面の代わりにこの紙袋を……」

 

ノノミが即興でたい焼きが入っていた紙袋に2つ穴を開け、さらに大きく『5』と黒い太字のペンで書くと、それをヒフミの頭に被せる。

 

ちなみに、ホシノは『1』、シロコが『2』、ノノミが『3』、セリカが『4』、アヤネは『0』の数字が割り振られていて、僕は『K』と書かれている。多分、『KING』のKかな。

 

「ん、完璧だね。それじゃあ、行こう。みんな。」

 

「わ、私も参加しなきゃならないんですか!?銀行の襲撃に!?」

 

「そうだねー。約束したじゃん?今日は助けたあげた代わりに一緒に行動するって。」

 

「どのみち、悪いのはあいつらよ!そんな悪いやつら、いつかは滅ぶって相場が決まってるんだから誰が滅ぼそうが、いつ滅びようが同じ!さあ、滅ぼしに行くわよ!」

 

ホシノとセリカが強めの圧でそう言うと、ヒフミも納得したのか諦めたのかどっちかは分からないが、

「う、うう……!もうこうなったらどうにでもなれです!行きましょー!」

と言って襲撃を手伝ってくれることになった。

 

『では……覆面水着団、行きましょうか。』

 

アヤネが謎の名前を出す。僕らのチーム名だろうけど、覆面はともかく水着要素はどこにあるんだろう…?

 

「じゃあ、ギラ先生。何か言って。」

 

シロコが僕に振ると、僕は脳をフル回転させて考えた台詞を言う。

 

「え!?う、うーん……アーッハッハッハァッ!行くぞ!銀行強盗の時間だぁ!!」

 

「「「「「『おー!』」」」」」

 

僕らは一斉に駆け出し、銀行へ突入した。

 

─────

 

「なっ!なんだ!?銃声か!?」「突然、目の前が真っ暗に…!」

 

僕らの手によって突然明かりが消え、真っ暗になったことで、動揺する銀行員とマーケットガードたち。

ガードのうち数人は、シロコたちの手によって倒されている。

 

そして、照明が復旧した時には、覆面を被った僕たちによって銀行は制圧されていた。

 

シロコが「全員その場に伏せなさい!持っている武器は捨てて!」

と叫ぶと、銀行にいる人は驚き、僕らに視線を集める。

 

「はーい☆覆面水着団、参上です!」

 

「無駄な抵抗はやめて!下手したら殺しちゃうかもしれないから!」

 

『な…なんかノリで付けた名前が採用されてますが…まあいいでしょう。』

 

「ここまでは計画通り!じゃあ、リーダーのファウストさん、指示を願う!」

 

ホシノはヒフミに視線を送ると、ヒフミは僕のほうを向き、

 

「えっ?わ、私ですか!?」と慌てふためく。

 

「…あはは……もう、やけくそです……!早くじっとしてください…!」

 

ヒフミはもはや、この状況について考えるのを諦めたようだ。

というか、光が戻った時に気づいたが……

 

「あれっ?マスクつけててよく分からないけど…先生?それに、アビドスのみんなじゃん!こんなとこでなにしてんだろー?」

 

「1人、知らない子もいるけど……。銀行強盗?さすがにロックすぎでしょ……。」

 

「も、もしかして…私たちを倒しに!?今からでも、遅くありません。返り討ちに…」

 

「………」

 

なんと、便利屋68の4人がいた。

ムツキは疑問を投げかけ、カヨコは冷静に状況を分析していた。

ハルカはアルに提案するも、アルは僕たちの方を見つめて、黙り込んでいる。

その瞳は、とってもキラキラしていた。

 

「そっちが何をしようと、私たちはここの構造や、セキュリティとかも全て、頭に入っている。」

 

僕の隣でシロコは目の前の銀行員に言うと、その銀行員へバッグに集金記録を入れるよう催促する。

 

「ど、どうぞっ!これでもかと詰め込みました!どうか、命だけは!」

 

しかし銀行員はなにか勘違いしていたらしく、バッグがはちきれんばかりに札束を詰め込んでしまった。

まあ、そう思うのは無理ないよね………というかこれ、僕たちが指名手配犯になっちゃうんじゃないか?

 

「あ……うーん…まあ、一石二鳥…でいいかな…。」

 

そして、シロコたちと僕は手際よく逃亡する。

 

それに対し、憤慨した銀行員は僕たちを捕まえるよう指示し、銀行から出たところの橋でマーケットガードからの襲撃に遭う。

 

「しつこいわね!道を開けなさい!」

 

セリカがマーケットガードと応戦しつつ、シロコも正確にガードたちを撃ち抜き、僕らは難なくガードたちを退ける。

 

橋を渡り切ると、ガードからのしつこい攻撃がだんだんと静まっていき、いよいよ見失ってしまったのか、攻撃は完全に途絶えた。

 

「早くここから出ないと、もうすぐ道路が閉鎖されてしまいます……」

 

ヒフミが危惧していると、シロコが「こっち、急いで」と手引きをし、それについて行くと、封鎖地点から抜け出すのに成功。

マーケットガードからの追跡も完全に振り切った。

 

「ふぅ…ここまで来れば、大丈夫よね…?」

 

「よし、作戦成功!シロコちゃん、例の物は?」

 

「あ…うーん、手に入れたは手に入れたんだけど…」

と、シロコはバッグの中身をひっくり返す。

 

……だが、その中には札束がぎっしり詰め込まれていて……。

 

もちろん、大混乱が巻き起こったのは言うまでもない。

 

─────

 

当然だが、あのお金は使わず、ノノミの手によって処分されることとなった。

 

セリカは心底残念がっていたが、ホシノの説得により、渋々処分に賛成した。

 

『……!!待ってください!何者かがこちらへ接近中です!

敵意がないので、マーケットガードでは無いようですが、この反応は……!』

 

アヤネの警告に僕が周囲を見渡すと、銀行でも見た顔がこっちへ向かって来ていた。

 

「…あれ、あの姿はもしかして…」

 

『便利屋の…アルさん!?』

 

僕らの方へ向かってきていたのはそう、あの便利屋68のアルだった。

後ろには、他のメンバーもいる。彼女は僕らに追いつくと、息を切らしながら

 

「ま、待ってぇ……」

 

いつものクール(?)な姿はどこへやら、弱々しく挨拶する。

それに対し、シロコたちは覆面を被ると、警戒しながら銃を向ける。

 

「……っ!?」

 

アルはシロコに銃が向けられていることに気づくと、敵意がないことを示そうとしたのか、両手を挙げていた。

 

「……お、落ち着いて!私は敵じゃないから!」

 

アルの言葉を聞いたシロコは僕らの方を向き、小声でみんなにアルをどうするか、相談し始めた。

 

「……みんな、どうする?…私は、逃がさない方がいいと思うけど……」

 

「んー、でも、敵意がない相手を倒すのも、後味が悪いと思うなー……」

 

「同感です。できれば見逃したいところですが……」

 

「そうね……ギラ先生の好きにしたらいいわ!」

 

「では、多数決で決定しますが、ギラ先生はどう思いますか?」

 

「いや、さすがに見逃すよ。」

 

僕の言葉を聞いた途端、シロコたちはすぐに銃を下ろし、警戒の構えを解く。

アルは僕の言葉を聞いて、安堵の表情を浮かべる。

 

「…で、用件は?」

 

「あなたたちにとっては、大したことではないかもだけど……。

さっきの銀行の襲撃……なんて見事な手際なの……。

ブラックマーケットの銀行を5分程度で攻略するなんて……。

あなたたち、見事なアウトローっぷりを見せてもらったわ!」

 

アルはそう言うと、続けて僕らのことを褒め始める。

 

「その手際、プロ以上ね!あっぱれよ!」

 

「……お褒めの言葉として受け取っておくけど、用がそれだけなら、私たちは行かせてもらうよ。」

 

シロコが帰ろうとするのを察したアルは、慌てて引き止める。

 

「あっ!ちょっと待って!せめて…名前を教えて!」

 

……彼女は何か壮大な勘違いをしてるっぽいが、僕たちの答えをアルは目を輝かせながら待っている。

すると、ノノミが前に出てきて、アルに名乗る。

 

「…私たちは、人呼んで『覆面水着団』です!」

 

ノノミは決め顔でアルに言うと、ヒフミも「あはは……」と苦笑いしながらもノノミのインパクトに押され、

 

「わ、私は……この覆面水着団のリーダーの『ファウスト』です……!」

 

ヒフミは今までが嘘のように、堂々と名乗りを上げた。

 

「覆面水着団に…ファウスト……か、かっこいい!いや、超かっこいい!

かっこよすぎるわ!あなたたち、とっても素晴らしい!

私のハートにクラックを入れちゃったわ!…私も、あなたたちに負けないよう、頑張るわ!」

 

アルはそう言って走り去る。どうやら、すっかり興奮してしまったようだった。

 

「ありがとう!絶対にあなたたちを忘れないわ!また今度、次は共に戦えるのを望んでいるわー!」

 

「じゃ、じゃあねー……。」

 

僕たちは彼女から見送られると、ヒフミも含めてそのままアビドスへと向かうのだった。

 

─────

 

その後、札束の入ったバッグを置き忘れた、というハプニングが起こったが、対策委員会の教室に戻り、集金記録をみんなで確認すると、とんでもないことが書かれていた。

 

それはなんと、カタカタヘルメット団に対し、『任務補助金500万円提供』という記録があったのだ。

つまり、カイザーローンはヘルメット団と繋がっていたということになる。

最近便利屋68から襲われたのもそれが関係しているのだろう。

 

「ここまで来ると、カイザーローンだけでなく、カイザーコーポレーション本社からも狙われているとしか思えません。」

 

「ええ。ですから、対策委員会でも、これからカイザーコーポレーションについての調査を進めていきましょう。

…ただ、今日はもう遅いので…明日、改めて集まりましょう。」

 

アヤネがそう言うと、僕たちは皆賛同し、その日はお開きとなった。

 

─────

 

その後、ヒフミに帰ってもらう。かなりの面倒ごとに巻き込んでしまったが、彼女は特に僕らを責め立てることも無く、むしろ感謝の言葉を伝えられた。

 

「ねえ、今度遊びに行ってもいい?それなら、みんなと一緒に行くからー。」

とホシノがヒフミに聞き、本人も

「はいっ、もちろんです!」と快諾してくれた。

 

「今日得た情報は、カイザーコーポレーションが犯罪者や反社会勢力と関係を持っている、という証拠になり得ます。

私、帰ったらこの情報をティーパーティーに報告します!それに、現在の皆さんの状況も……」

 

「ヒフミちゃん、悪いけど、それは遠慮させてもらうねー。

多分、ティーパーティーはそのこと知ってると思うし。

それに、そっちに知らせたところで何か打開策が出るわけでもなければ、かえって私たちがパニくるだけだと思うんだよねー。」

 

ホシノはヒフミの出した案に対し、そう答える。

 

「そ、そうなんですか?でも、なんでわざわざ見過ごすような真似を─」

 

「さあね、でも言えることは、世界はそんな単純じゃないってことくらい?

もし万が一、助けが来たとしても、サポートするって名目で問題を起こされようが私たちにはそれを阻止ことが出来ない。」

 

(…………。)

 

「…ホシノ、それは少し悲観的に考えすぎじゃないか?それなら、僕だって同じようなものじゃ………」

 

「……先生は、やっぱり大人だね。」

 

「へ?それって─」

 

「ううん、何でもないよ。私はね、他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー。

…『万が一』ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよー。」

 

僕はホシノに問いかけたが、当の彼女は今までとは比べものにならないレベルの剣幕でそう捲し立てる。

 

ホシノがホシノじゃないような、そんな恐ろしさすら感じるほどに。

 

少しの間沈黙が流れたが、その後は他愛のない会話を交わし、別れの挨拶を済ませると、ヒフミはそのまま帰っていった。

 

僕たちも今日は1度解散し、明日に向けてゆっくり休んだ。

 

(…やっぱり、なんかホシノが変だ。なんなんだ、この違和感は──?)

 

僕は話が終わっても、疑念を抱き続けていた。

 




なげーよホセ。それは画面の前の君だけじゃない、僕も思ったよ。

ブラックマーケット編は2パートに分けようと思ったけどどこで区切ればいいか分からんくなったんで1パートに纏めました。うーん、俺は馬鹿なのかもしれぬ

個人的に今回は申し訳程度に暁のホルス要素をギラに指摘させて不穏にしようとしてるのが恥ずかしい……くどいかはよく分からんけどくどく見えるからまあくどいんだろう……

それはそうと、もうすぐ今書いてるとこに追いつきそう……
その上、最近某アリスの好きな人権侵害コンテンツにハマり出したり、ドカメンのサービス開始したり、某音ゲーで最推しの限定が出てきたりとマジで「小説書いてる場合じゃねえ!」案件なんであんま書いてない(物書きの屑)

でも最近感想書いてくれる人が何人か出てきて嬉しい……ウレシイ……だから僕も頑張る……

というわけで次回!王様戦隊×ブルアカ!

ブラックマーケットでのいざこざの後、アビドスで長くは続かない平穏な時を過ごしていたギラたち!
が、突如市街地で謎の大爆発が発生!どこかへ行ってしまったホシノを除く対策委員会+ギラの5人は市街地へ赴く。

そこには、なんとあの便利屋68が!対策委員会は再び彼女らと戦う……と思いきや、ゲヘナ学園の風紀委員会が介入してくる!彼女たちの目的とは!

アビドス編 第5話(第8話) 「共同戦線、組めたら最強!」

「キングオージャーのキャッチコピーここで使うんか……」という疑問は無いはずの虚構だとしても、作者として答えなければならない。
まあ単純に思いつかんかっただけです。大丈夫よ、1回きりじゃない。

ほら、あるじゃない?終盤のサブタイトルで第1話とかのオマージュ入るやつ。(最近だとガッチャード27話とか)
それはそうとガッチャード最新話クソ面白かったですね

レインボーは空だけじゃない 胸にも架かるぜ どんなミラクルも起き放題 ユニバース・フェスティバル(PARTY P.A.R.T.Y. )
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