「キヴォトス」それは"彼にとっての"実験場。 作:永外 観時
「よし!建物の入り口まで到着!」
ブオォォォォン!
「…… うん?この音は……」
(確か今回は巡航戦車が応援で来るはずだったよな?戦車は背面装甲と底面装甲、上部装甲が薄い、でも薄いと言っても30mmくらいはあると思うんだよなぁ…だがハスミの30口径の徹甲弾で正面装甲を貫けて、俺のM2の徹甲弾で背面装甲を貫けない訳がない、余裕だ。)
「気を付けて下さい、巡航戦車です!………」
「そう言えば巡航戦車が居るともいってたな、フフ、倒し甲斐がある奴が来たじゃないか。」
彼は遮蔽物に隠れながらM2を撃つが、神秘による身体強化を耐久力に振っていないため耐久力は元のままである*1、でもまだ死ぬ予定はないため、空間湾曲式防弾バリアーを遮蔽物から身体が出ている部分に張る。
「クルセイダー1型………!私の学園の制式戦車と同じ型です。」
「おそらくブラックマーケットに不法に流通した奴だろう、そしてPMC流れたのを不良達が頑張って買ったんだろうな、可哀想に、きっと価格も吊り上げられたんだろうな。」
「まぁでもブラックマーケットに出回ってる商品は大抵ガラクタだ、コイツもそうだろう、それに壊しても不良くらいしか困らないだろうからな、容赦は要らない。」
(あ、ワカモがシャーレの中に入ってった、待ってろよぉ〜、すぐ追いついてやるからな。)
(俺はどうするか、なんとかして戦車の後ろに回りたいが………戦車の視界であるスコープを壊せば行けるな。)
彼は戦車に備え付けられているペリスコープを探して撃つ。
(ヨシ、今のうちに後ろに回って!)ダッ!
彼が遮蔽物から飛び出し、戦車の背後へと回る、そしてあらかじめ徹甲弾に入れ替えてあったM2を少し神秘を込めて背面装甲へと同時射撃する。
ズドドドドドド!
すると見事に全弾が背面装甲を貫通し、神秘的融合消滅反応*2を強制的にさせる、するとまるで榴弾のように弾頭が炸裂し、その破片が動力系を破壊する、これで車体は動かすことはできなくなった、つまり戦車の中に居る不良達はもう逃げれないと言うことだ。
「さあ〜て、鉄の棺桶に閉じ込められた子達も潰してあげようかぁ〜」
彼が戦車のハッチに向かって登って行き、ハッチを開けようとしゃがもうとしたとき、突然勢い良くハッチが開く。
「クソ、何をされt、あ」「あ、ちょうど良いや、
どうやら動力系を破壊した犯人を見つけようとハッチを開けたら、丁度その犯人と
「ヨシ、それじゃあ、兵士諸君、任務ご苦労、さようなら。」
「ちょ、ちょっと待って!」「嫌だ!」「助けて!」
「問答無用」ズドドドドドド!
彼はハッチの穴に向かってM2を機銃掃射し、戦車兵達を気絶させる、だが全員倒し切れていない可能性があるので戦車の中へと入り、気絶した不良達をもう一度撃ち、確実に征圧する。
そして彼はハッチから頭を出し、先生達に戦車を確実に征圧したことを知らせる。
「先生、戦車は完全に征圧しました、中にいた兵士も全員気絶させましたよ、安心してシャーレへ向かいましょう。」
"うん、ありがとうね、ケンジくん。"
「そこまでではないですよ…」(なんか恥ずかしいな、さすが将来数々の生徒をたぶらかしてる人なだけある。)
「着いた!」
「はい。」
『シャーレ部室の奪還完了、私ももうすぐ到着予定です、建物の地下で会いましょう。』
"ユウカ達はここで不良達がまた攻めて来ないか見張っててね、"
「先生、ちょっと待て、まだ中に敵が居るかもしれないだろう?俺が護衛する。」
"そっか、そうだね、心配してくれてありがとうね、ケンジくん。"
「死なれたら困るからですよ…」
"えへへ…"
「まずは地下室から見てみましょうか。」キイィィィ
「うーん……これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも……
「……あら?」
ワカモが入ってきたケンジ達に気がつく、ケンジはM2の銃口をワカモに向け、今にも発砲出来るようにトリガーに人差し指をかけている、一方で先生は呑気に挨拶をしようとしているようだ。
"こんにちは!私はシャーレのアヅマ先生!先生って読んでね!"
「ちょっと先生、アイツはさっき聞いたワカモですよ、隠れてください。」
「あら、あららら………」
「おいワカモ、悪いことは言わない、今すぐここから出ていけ、抵抗は考えるな、さっきのようになりたくなければな。」
「………」
「あ、ああ……」
「し、し……」
「し?どうした?何か言え。」
「失礼いたしましたー!」ダッ!
ズドドドド「おい!抵抗するなと言ったはずだ!」ズドドドド
ワカモは先生を見た瞬間動きが止まり、恍惚とした声を出す、そして大きな声を出しながら地下室の出口、つまりケンジ達がいる方向へ猛スピードで向かってくる、もちろんケンジはそれを抵抗と見なし、射撃するが当てれずに*4ワカモの逃走を許してしまう。
「クソ、逃したか、まあ良い、7囚人の捕縛などいつでも出来る、良かったなワカモ、シャーレの奪還が第1目標で。」
"まあまあ、そんなに怒んなくても良いじゃん"
「いや、まだまだ自分の力不足を感じただけですよ。」
「お待たせしました。」
「………?何かありましたか?」
"ううん、大丈夫。"
「あぁ、そうだな、何もなかった。」
「……… そうですか、ここに連邦生徒会長の残した物が保管されています。」スッ
「……幸い、傷一つなく無事ですね。」
リンがさっきワカモが投げ捨てたタブレット端末を拾い上げ、先生へと差し出す。
「………受け取ってください。」
"タブレット端末………?"
「はい、これが連邦生徒会長が先生に残した物、'シッテムの箱'です。」
「ふむ、一見ただのタブレット端末に見えるが………連邦生徒会長がわざわざ先生に残した物なんだろう?普通のタブレットではないはず…」
「ええ、ケンジさんの言う通り、一見普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。」
「連邦生徒会長は、この'シッテムの箱'は先生の物で、先生がこれでタワーの制権を回復させられるはずだと言っていました。」
(変だな、失踪する前に言ったんだろう?まるで自分が失踪することを知っているかのような………考察のしがいがあるな。)
「私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも.………」
"………"
「……」
(それとも何なんだ!?言えよ!?)
「……… では、私はここまでです、ここから先は、全て先生にかかってます。」
「邪魔にならないよう、離れています。」
"………" ポチッ
先生がシッテムの箱の電源ボタンを押す、すると画面が青く鮮やかに光る(ケンジには見えてない)、するとよく分からない英文が表示される*5、しばらくすると英文が消え、日本語で「システム接続パスワードをご入力ください。」と表示される。
"………パスワードは………"
先生は何故か脳裏の思い浮かんだ文章を入力する。
"………我々は望む、七つの嘆きを。………我々は覚えている、ジェリコの古則を。"
入力が完了すると、新しい文章が表示される、「………。接続バスワート承認。現在の接続者情報はアヅマ、確認できました。」そしてさらに文が更新され、こう表示される「シッテムの箱へようこそ、アヅマ先生。」また文が更新される、「生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。」
「もう良かったかな?おーい!先生!大丈夫かー!」ユサユサ
「やっぱりか、先生の意識をシッテムの箱に移してる………俺の技術力でも出来そうだな、やるつもりはないけど、あぁ、あとそうだ、あとで「存在偽証」でシッテムの箱にログインできるか試してみるか。」
彼が先生の体を強く揺さぶったり、耳元で呼んでみたりしたが何の反応もない、ただの屍のようだ、それよりもケンジが最近創った能力「存在偽証」対象の身体データを完璧にコピーし、見た目と存在そのものを偽れる能力、内面は変わっていないので言葉遣いやクセでバレる可能性もある。
5分後
ウイィィィィーーーン! パチパチ パッ!
突然何処からともなく駆動音が聞こえ、蛍光灯が少し点滅したあとしっかりと点く。
「制御権を取ったか、あとちょっとだな。」
2分後
扉越しにリンの声が聞こえる、何やら誰かと電話をしているようだ。
「…… はい、分かりました。」
カチャ「サンクトゥムタワーの制権の確保が確認できました。」
「これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね。」
「あぁ、そうだな。」(お前らがしっかりと機能すればの話だがな。)
「お疲れ様でした、先生、ケンジさん、キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。」
「ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく。」
「それではシッテムの箱は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。」
「……あ、もう一つありました。」
「着いてきて下さい、連邦捜査部「シャーレ」をご紹介いたします。」
「ここがシャーレのメインロビーです。」
「長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね。」ガチャ
バタン「そして、ここがシャーレの部室です。」
(やっぱりシャーレって設計おかしいよな?全面ガラス張り、ド真ん中に通路、これだけでもおかしいのにまだまだある、設計者は何考えてたんだ。)
「ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう。」
"私はこれから何をすれば良いの?"
「………シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない……という強制力は存在しません。」
(ずいぶんと杜撰だよなぁ……まぁこの杜撰さは必要不可欠なんだけど。)
「キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です………。」
「面白いですよね、捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした。」
(適当に命名したんだろう、もしくは何か理由があって………連邦生徒会長の謎も興味深いな。)
「つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い………ということですね。」
(普通は1人の人間に圧倒的な権力を持たせたら暴走するもんだけど、そこに関しては「先生だから」って言う絶対的な信頼があったんだろうな。)
「………」
「………本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。」
「私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません。」
「今も連邦生徒会に寄せられてくるあらゆる苦情………支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど………」
「もしかしたら、時間が有り余っている「シャーレ」なら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね。」
(簡単に言えば「ダルイ仕事全部押し付けるから頑張ってね。」か、すごいな、この3行をこんなに圧縮できるとは。)
「その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください。」
「すべては、先生の自由ですので。」
「それではごゆっくり。必要な時には、またご連絡いたします。」ガチャ バタン
「フッ、よく言う、要するに「メンドイ仕事全部押し付けるから全部やってね。」だろう、偉そうに言いやがって。」
"そんなこと言わないであげて、リン達もしっかり頑張ってるし、生徒のためになれるんだから。"
「よく言えばですよ、何にでも表裏やメリットデメリットはありますから。」
「………」
"………"
彼はキヴォトスに来る前から会話が苦手だ、一対一の会話はなおさら苦手だ、しかも相手は女性、非常に気まずい。
"あ、そうだ、ケンジくん、シャーレの部長になってみない?"
「随分といきなりですね、それで………シャーレの部長ですか…」
"別に絶対じゃないから、嫌なら嫌って言ってくれれば良いよ。"
「そうですね………まだ少し考えが纏まりませんから、この件は保留でも良いですか?」
"うん、全然良いよ、気が向いたら私に話しかけてね。"
「あ、でもシャーレに所属してなくても仕事を手伝うことは出来ますか?」
"う〜ん……本当はダメだと思うけど、ケンジは特別ってことにしとくね!"
「そうですか、ありがとうございます。」(これで先生の過労死は防げそうだな。)
「それじゃあそろそろ入口へ戻りましょうか、ユウカ達が待ってる。」
"そうだね、行こっか。"
「ええ、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻したことを確認したわ。」
「ワカモは自治区に逃げてしまったのですけど………すぐ捕まるでしょう。私たちはここまで。」
「あとは、担当者に任せます。」
「お疲れ様でした、先生、ケンジさん、先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?
"みんな、お疲れ様。"
「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください、先生。」
「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります、ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください。」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?先生、ではまた!」
ケンジ以外の生徒達が、別れの挨拶を済ませて、それぞれの学園へ帰って行く。
「俺は別に何処かに所属してるってワケじゃないんで、ずっと暇してます、何か困ったことがあったら呼んでください、こちら連絡先です。」
彼はまるで新品のようなスマートフォン*6を差し出し、先生はシッテムの箱を差し出して、キヴォトスにおけるL◯NE的なアプリである、モモトークの連絡先を交換し合う。
「それでは、また会う日まで。」
"じゃあ、またね、ケンジくん。"
ケンジは先生に背を向けマザーウィルに向けて歩き出す*7、そして先生はケンジに向けて手を振る、ケンジはそれを見越して右手を軽く上げて、別れの挨拶を終える。
「俺がやるべきことは、まだ残ってる。」
一方既に別れたユウカ達はこんなことを考えていた。
(あのケンジ(って言った人)と言った方、そう言えばヘイローが(なかったわね)ありませんでしたね、それなのに(あんなにも強いだなんて)あれほどの強さとは………彼は一体…)
その日の深夜
彼がシャーレの前に居る、シャーレを見上げてみるとまだ灯りが付いている部屋がある、まだ誰か居るのだろうか?
彼は、シャーレに備え付けられている警報装置を回避するために、直接シャーレのオフィスに入れる扉の前にワープする、扉の磨りガラスから光が漏れている、外から見えていた部屋のようだ。
カチャ キィィィィ
彼がゆっくりと扉を開け、中を確認する、するとデスクの上にある大量の書類に囲まれながら寝ている先生の姿があった。
「バカだな。」
彼は無理に頑張った果ての姿の先生を見て呆れる、それと同時にシャーレオフィス内へと侵入し先生が眠っているデスクへと近づきデスクの上を少し探して目当ての物を発見する、「シッテムの箱」それが彼の目当ての物だ。
彼はシッテムの箱を起動しようとするのではなく、「存在偽証」を先生を対象に使用し、先生の背丈、体型、ありとあらゆる身体データをコピーして先生に成り変わる、彼の仮説が合っているならこれで成功するはずだ。
(すごいな、足元が胸で全く見えない、女性の身体ってこんな感じなんだな。)
彼は女性の身体に関心しながらシッテムの箱を持ち、こう言う。
「………我々は望む、七つの嘆きを。………我々は覚えている、ジェリコの古則を。」
『……』
『認証完了、シッテムの箱へようこそ、アヅマ先生。』
(ヨシ!上手く騙せた、このままアロナに接触してログイン権を作って貰おう。)
『先生!どうかしましたか?』
「ん"、あ"ぁ"ー、残念だがアロナ、俺は先生じゃない、ケンジだ。」
『あ、あれ?確かに先生だったはずなのにどうしてケンジさんが!?ど、どうやってログインして!?あとなんで私の名前知ってるんですか!?』
「簡単だ、先生に見せかけてアンタを騙しただけだ、名前は解析して調べた。」
『いつの間に解析されて………』
「アロナ、1つやって欲しいことがある、俺にログイン権を与えてくれ、それだけだ。」
『嫌です、不正ログインした人の言うことなんか絶対に聞きません!』
「アロナァ……そこを何とか頼むよ…この通りだ。」
『嫌なものは嫌なんですぅ!』
「はあぁ………アロナ、お前削除されたくないよな?削除されたくなければログイン権を与えろ、5分以内にだ。」
『そもそもこのスーパーアロナちゃんを消去できるほど貴方はハッキング出来ないでしょう!?』
「そうだな、1つ教えてやろう、俺が創ったコンピューターはお前の少なくとも100倍は高性能だろう、お前など容易に削除できる。」
『わ、分かりましたから削除だけは辞めてくださいぃ………ログイン権をケンジさんに付与します…』
「うん、君のような聞き分けの良い子は好きだよ、あぁ、あとこのことは先生には言わないでくれ、言ったら……分かるね?」
『わ、分かりました、絶対に言いません…』
「言ったね?それじゃ」ブォン
『うえぇん………」グス
彼はシッテムの箱から意識を放し現実へと戻ってくる、先生はまだ眠っている、心地良さそうだ。
(これで先生とアロナの会話が聞こえるはずだ………帰って寝るか。)
次の日
(やっぱりアロナに言い過ぎたかな?そもそも先生とアロナの会話を聞くことを目的としたことなのに、ログイン権を得られただけじゃ会話が聞こえる確証がない、なんならアロナの声の波長を解析して聞こえるようにすれば良かったじゃないか、完全に俺のミスだな、あとでアロナに謝っておこう。」
これにてプロローグは終わりです。
あと先生のビジュアルです。
【挿絵表示】
先生のビジュは完全に作者の癖で作りました。
※五百式全身メーカーで作りました。
※2024.9.6.追記 アビドス編開始まではしばらくお待ちください、現実が忙しいんです。