「キヴォトス」それは"彼にとっての"実験場。   作:永外 観時

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お待たせしました、お待たせし過ぎたかも知れません。









第25話

5月6日 午前6時 スピリット・オブ・マザーウィル内部 居住区 寝室

 

ジリリリリリリリ!

 

6時に鳴るように設定しておいた目覚まし時計が、けたたましい騒音を撒き散らしながら鳴る。

 

「……あぁ……」

 

目覚まし時計を設定しておきながら、その騒音でイラついてる男、ケンジが目を覚ます。

 

「……うぅん……」バン

 

目覚まし時計を止め、二度寝しようとするが、こんなこともあろうかと、あらかじめセットしておいた2つ目の時計が鳴り始める。

 

ジリリリリリリリリ!

 

「…はぁ…もう…」シュル

 

ケンジが布団から出て、時計を止めてからリビングへと向かう。

 

「アンジェラ、シャッターを開けてくれ。」

 

《了解しました。》ウィィィィーーン

 

ケンジが、サポートAIであるアンジェラに命令を出し、外部からの覗き見及び狙撃を防止するためのシャッター開けさせる。

 

そのままキッチンへ進み、顔を洗ってから、朝食とコーヒーを用意する。

 

「……」モグモグ

 

「アンジェラ、何か報告することはあるか?」ズズ

 

《特にこれと言ってありません、あるとしても08(ゼロハチ)艦隊が海賊に攻撃されたので、全艦撃沈したことしか。》

 

「そうか、あんなバケモノ艦隊に喧嘩を売るとは、もはや尊敬するよ。」モグモグ

 

「敵戦力はどれくらいだった?」

 

《旗艦として重巡一隻、軽巡二隻、一等駆逐艦五隻、単縦陣で08艦隊の進行を妨害するように突っ込んで来ました。》

 

「なるほど、08艦隊側の損害は?」

 

ホーエヘシュインディヒカイト(快速)級駆逐艦に、グローセスクリークシフオントカノーネン(大艦巨砲)級巡洋戦艦の敵艦を狙った砲撃が誤って1発命中し、一隻が小破しました。》

 

やっぱ名前長えな……なるほど、小破ならその内修復されるだろう、でアンジェラ、敵艦隊の奴らはどうなった?」

 

《あの状況では、圧死か焼死か爆死か溺死でしょう、少なくとも戦闘終了後しばらく敵兵を捜索していたようですが、何も見つからなかったようです、おそらくは()()かと。》

 

「まぁそんな物だろう、ただ今回の運が悪かったみたいだな。」

 

その後もアンジェラに昨晩起こったことや、他の組織から諜報した情報なども知らせてもらいながら朝食を摂る。

 

そして朝食を食べ終わり、出発の準備をする。

 

(次の戦闘は、セリカが誘拐された時だ、たしかセリカはトラックの荷台に居たよな、そもそもあの誘拐事件ごとなくすことも出来るが、そのあとが予想できないからな、やめておこう。)

 

(それで車か、最適な兵器は………もういいや、面倒臭い、あれ持ってくか。)

 

適切な兵器を選び、食料や医薬品、また別に運用するつもりの個人運用兵装(オーバードウェポン)を用意し終わり、今度は移動手段を準備し始める。

 

(移動方法は……まあ今日はゆっくりしたいし、適当に作った極超音速ステルス光学迷彩輸送機でいいか。)

 

ケンジ製のマザーウィルの甲板は、本家のマザーウィルを載せても有り余る広さを誇っているため、全長約100m、全幅約25mほどの輸送機など、ゴミクズにすぎないのである。

 

「アンジェラ、ヒュソクター*1を用意してくれ、それで出る。」

 

《分かりました、直ちに用意します。》

 

数分後

 

ケンジは居住区を出て、最上段甲板の根本辺りにいた、高度は約4500m、風も強いし気温もマイナスを平気で下回っている、マザーウィルの唯一の欠陥である。

 

がしかし、ケンジの周囲は常に服に付けられた温度調整保持機能によって体感気温15度に保たれているので、寒くはないのだろう、でも風は相殺するとは出来ないことはないが、面倒臭いのでやっていない、つまり、ケンジお気に入りのハンチング帽が、風に飛ばされてしまうかも知れないのだ。

 

「やっぱり風強いな。」ビュオオォ!「やべ!帽子!」ガシ

 

油断し切った体に強風が走り抜ける、ケンジは咄嗟に腰を低くしながら、帽子を右手で押さえつける。

 

「危ッブネ。」(一応替えのヤツはあるが気に入ってるからな、なるたけ長く使いたい、早く行くか。)

 

右手を帽子に添えたまま前傾姿勢を取り、一気に輸送機へ近づき、既に開いていたドアへ駆け込み、すぐにドアを閉める。

 

「ふぅ、暖房は……別にいいや、早く行こう。」

 

搭乗口からすぐ右隣のコックピットへ移動し、機長席に座る。

 

「よっこらしょっと、ベルトは〜……」カチャカチャ

 

腰に一本、胴に一本、右腰から左肩のベルトと、左腰から右肩のベルトを装着する。

 

「よし、メインシステム起動、光学迷彩起動。」

 

機体を格納庫から出す工程で既にエンジンは動いているので、光学迷彩を起動する。

 

〔メインシステム起動、生体情報スキャン………適合、おはようございます、好奇ケンジさま、命令を承認、光学迷彩を起動します。〕

 

ケンジの生体情報をAIがスキャンし、命令を承認する、エンジンで発電した電気がバッテリーに蓄電され、バッテリーから電力が供給される、その電力を使い光学迷彩を起動する。

 

「各種計器に異常はなさそうだな、予定航路上に特に大きな嵐はなし、ふむ、久しぶりに良いフライトが出来そうだな、こんな良い日だ、ゆっくり行ってもバチは当たらんだろう。*2

 

気象レーダーによれば、航路上に大きな雲はなく、なんならアビドス周辺は快晴のようだ、これは良いフライトが期待出来るだろう。

 

「全エンジン離陸推力へ上昇、離陸開始。」

 

マザーウィルにはカタパルトもあるが、今回は使わないようだ。

 

5つあるエンジンの異常な推力により、すぐさま離陸可能速度へ到達する。

 

V1(離陸決心速度)に到達、機体に異常無し、ローテート(機首上げ)。」

 

操縦桿を引き機首を上げる、そうすれば自然と尾部も上がりマザーウィルを去って行く。

 

『ポジティブクライム、良い感じだな、じゃあ行ってくるよアンジェラ、マザーウィルは任せた。』

 

《はい管理人、マザーウィルはお任せください、では、ご武運を。》

 

アンジェラに別れの挨拶を終え、まずは巡航高度の高度15kmを目指し、上昇して行く。

 

数分後、既にミレニアム領空を抜け、高度15kmをマッハ3で巡航していた。*3

 

「降下地点までは、あと1時間17分くらいか、意外と長いな、まぁいいや、こんな時間も貴重さね。」

 

その後は新兵器の開発、改良をしたり、折角の快晴の日なので、窓から空や地上を見下ろしたりして時間を潰していた。

 

約1時間後  ゲヘナ領空内 

 

約4000kmの空旅も終わりを迎えようとしている、まもなく降下地点、ケンジは輸送機から降りる準備をし始める。

 

「そろそろ降下地点か、降下装備に着替えないと。」

 

輸送機から降りると言っても、アビドスには放置された廃屋が大量にあるせいで滑走路となるような場所がないのだ(少し行けば砂漠があるが、目的地までが遠くなる、ならワープすれば良いじゃないかって?その通り。)、廃屋群に着陸しようものなら、それはもう不時着、いや、墜落とも言えるかも知れない、機体強度的には余裕だが、取り返しのつかない事になったら面倒臭いので、HALO(ヘイロー)降下と言う形で降りようとしているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2029年 5月6日 AM7:52 アビドス上空 高度4万9000フィート

 

降下実施点(リリースポイント)に接近中……降下10分前……機内減圧中、マスクを付けてください。〕

 

「言われなくとも…」スッ

 

AIに酸素マスクを着用するように指示され、指示どうりにマスクを着け、しっかりと固定する。

 

〔降下5分前、機内の減圧完了しました、酸素供給状態を確認します………酸素供給量正常、降下可能と判断、後部ハッチを開きます。〕

 

電灯の光しかなかった機内に、後部ハッチが開かれたことにより、徐々に朝日が入り込んでくるが、マスクに付けられた光量自動調節機能により眩しくは見えず、大気の濃さが高度によってよく違うことが分かる紺色の空、そして青空と遥か遠くの地平線の下に見えるゲヘナとアビドスの街々が美しく思える。

 

(こんな俺でも、この景色が美しいと思える心はまだあるんだなぁ…)

 

〔外気温度を測定、摂氏マイナス57度。〕

 

〔降下2分前…起立して下さい。(スタンドアップ)

 

〔計算上、時速241km(150マイル)で落下します、可能性は限りなく低いですが、風速冷却による凍傷に注意してください。〕

 

「はいよ、分りましたと。」

 

〔降下1分前です、後部に移動してください、酸素装置(ベイルアウトボトル)作動。〕

 

「これが記録に残る世界初のHALO(ヘイロー)降下になる………かは知らないが、たしかC&CがHALO降下やってたよな、ここまで高高度ではないと思うがね。」

 

〔降下10秒前…スタンバイ、最終確認………全て正常、オールグリーン。〕

 

〔降下準備…カウント…5…4…3…2…1…

 

 

 

鳥になってきて下さい、幸運を祈ります。〕

 

「あいよ。」フラ

 

ハッチのギリギリに立った状態から、前傾姿勢となり、約60度ほど傾いたと同時に軽く地面を蹴ってから一気に膝を曲げ、頭から落下して行く。

 

全身の力を抜き、クルクルと回りながら6秒ほど経過した時、背中を丸め膝を抱えて体育座りのような姿勢になり、回転数を上げる(特に意味はない。)、そして3秒ほど自由落下し、頭部が空を向き、視線が地平線を向いた時、手足と背中を伸ばし急降下していく。

 

約5分後

 

高度は約15000mから一気に落ち、約1000mに差し掛かろうとしている。

 

高度計が1000を切った瞬間、自動的に落下傘が開き徐々に速度が落ちてゆく、既に降下地点への誘導は済んでいるのでそのまま真っ直ぐ落ちて行く。

 

速度が落ちたとは言え、そのまま着地すれば足の骨を折るので、五点着地で着地する。

 

ドサッ クルリ スタッ

 

「ふぅ、スリル満点!やっぱタマンねぇわ。」

 

降下装備を脱ぎながら「高度15kmからのHALO降下なんてやったことある人間は居るのだろうか?もし居たらその人はその時どう思ったのだろうか?」と考えながら集合場所であるホテル前のすぐそばまでワープする。

 

フッ スタ

 

ワープしてすぐ前にあった分かれ道の左側をクリアリングするかのように覗き見る。

 

するとおよそ50m先のホテルの前に先生が立っていることを確認できたので、スマホを取り出して起動し、先生からの『"じゃあまた明日ね、おやすみ。"』から止まっているモモトークにこちらから文章を書き込む

 

(『おはようございます、間も無くそちらに着きます、こちらから見えたら手を振るので、気付いたら振り返して欲しいです。』で良いか。)

 

書き込んだ文章を送信し、5分ほど経った後、路地の角から出て、先生に向かって手を振る。

 

すると先生も手を振り返しながら、走って近づいて来る。

 

「おはようケンジくん!元気?」

 

「えぇ?まぁ…はい、ボチボチですかね。」

 

「良かった、それじゃあ早速行こっか!」

 

「まぁ…そうですね、行きましょうか。」

 

結構元気な先生に圧倒されながらも、アビドス校舎まで歩き始めた。

 

移動中は特に会話を弾ますことも出来ずに、何処かに向かっているセリカに鉢合わせる。

 

「う…な、何ッ…!?」

 

セリカが嫌そうな顔をしながら、こちらを睨む。

 

"おはよう、セリカ。"

 

「な、何が「おはよう」よ!馴れ馴れしくしないでくれる?」

 

「それに私、まだ先生のこと認めてないから!」

 

「あとアンタもね!」

 

「あぁ、俺のことか?別に俺はそれでも良い、ただ下された命令をこなすだけだ。」

 

「何なのコイツ、気色悪い…」

 

「まぁ良いわ、それにしてもこんな朝っぱらからのんびりうろついちゃってさ、ホント良いご身分だこと。」

 

"セリカちゃんは、これから学校?"

 

「な、何ちゃん付けで呼んでるのよ!?私が何しようと先生には関係ないでしょ?」

 

「朝っぱらからこんな所うろちょろしてたら、ダメな大人の見本みたいに思われるわよ?」

 

軽蔑するような目でセリカが先生を見る。

 

「じゃあね!せいぜいのんびりしてれば?私忙しいから。」

 

"学校に行くなら一緒に行かない?そうすれば道にも迷わないし。"

 

「学校に行くなら一緒に行こうって……あのね、何で私がアンタ達と仲良く学校に行かなきゃならないワケ?」

 

「それに悪いけど今日は自由登校日だから、学校に行かなくても良いんだけど?」

 

"それなら、学校に行かないなら何処に行くの?"

 

「何処に行くかって………そんなの教える訳ないでしょう?」

 

「じゃあね、バイバイ。」

 

セリカはこの状況からさっさと出て行きたかったのか、一方的で口早に喋り、砂埃を立てながら走り去って行ってしまった。

 

"あ、ちょっと待って!ケンジくん、追いかけるよ"」

 

「いや、別に俺は関係ないでしょう?先に学校行ってますよ。」

 

"まぁ、それでも良いけど…道分かるの?"

 

「えぇ、昨日の夜にバッチリ覚えましたから。」←嘘

 

「ほら、早く行ったら良いんじゃないですか?もう結構遠いですよ。」

 

"え?あ!本当だ、じゃあねケンジくん!学校で会おうね!"

 

「そっちこそ見失って迷子にならないで下さいよ、探すのは俺なんですから。」

 

"うん、分かった!じゃあね!"

 

わざわざ走るのが面倒くさいが故に先生と別れたが、ここから歩きでアビドスに向かうのもダルイためワープで移動する。

 

「行ったか……行くか…でも歩きは…じゃバイク……は音出るからヤダな……んもぉメンドイなぁ、ワープで良いや。」

 

「一応、出口付近に誰か居ないか確認しておくか……………………誰も居ないな、跳ぼう。」ヴォン

 

ヴォン「…誰も居ないな?じゃあ適当な廃屋の中で時間潰すか。」

 

ケンジはワープしたことによって発生した時間的な不都合*4を解決するために、廃屋で今後の計画を立てながら15分待つと言う手段を取ったのだ。

 

ケンジはワープしてすぐ左に建っている空き家に入り、二階へと上がろうとする。

 

ギギイィィィ「砂埃が酷いな、アレルギーが出なけりゃ良いが。」ザッザッ

 

「あっとそうだ、ちゃんと痕跡は消しとかないとな。」パッパッ

 

足跡やドアを開けた痕跡が残っていたら、シロコやホシノなどには気付かれると思い、出来るだけ自然な形になるように跡を消す。

 

「よし、こんなもんで良いだろう………にしても俺は何でさっきから虚無に向かって喋り続けてるんだろうなぁ?お前ら。」

 

ケンジはこちらを認識しているようだが、この文章は見れていないようだ、幾ら最強の能力があろうとも作者に歯向かうことは許されない、いや、出来ないのだ。

 

「きっと俺が喋ってる「」の間に天使の声的なのが挟まってるんだろ?そうだな…例えば……「作者に歯向かうことはできない。」とかか?如何にも俺が小説家なったら書きそうななろう系小説だな、まぁ…自覚してるよ…俺が操り人形(パペット)なことは、ほら、今の操り人形の上にパペットかマリオネットって振り仮名が出ただろ?ハァ……最悪だよ、やることなすこと全〜部予定調和なんだからさ。」

 

「どうせこんなに俺を喋らせてるのも文字数稼ぎなんだろ?サイテイなヤツだな。」

 

オマエモナー

 

「ブーメランってか?ハッ!お互いに罵倒し合って小学生か俺らは?まぁ、学力が小学生並みなのは否定しないがね。」

 

「読者のお前らもこんな展開冷めるだろ?こんな「創造」とか言う能力なんて、なろう系のテンプレじゃねえか、しかも登場人物が現実世界側のお前らにガンガン話しかけるなんて嫌だろ?しかも俺のことだから文章や展開、設定もヘタクソだし、初めて小説書くクセにやたら難しいことするなんてさ、正直に感想欄で言ったらどうだ?無名で仲が悪くなって来たコンビ芸人のコント並みにつまらんってさ。」

 

「確かに俺は能力を授けてくれた作者には感謝してるよ、だがそこだけだ、今みたいに俺を思うがままに操って()()()()()をさせようとしてるのは普通に人格を疑うよ、ま確かに「主人公は苦しませるためにある。」とか言われてるが、それがコッチ側から分かってたらお前に反抗するのは当然だろう?俺だって()()()()()はしたくない………したくない……………否定しきれないな、だって俺はさ……

 

「…もう良いだろ?十分文字数は稼げた筈だ、それに伏線も貼った、十二分さ。」

 

確かに1300文字ほど稼げたしここで切ろうか、読者もあまり1つの展開が遅すぎると飽きてしまうからな。

 

「サッサッと展開進めてくれよ?俺も限界あるんだから。」

 

「さて、早くカイザー主任……じゃなくてえぇっと〜……………あそうだ理事だ理事、カイザー理事。」

 

「早く試作兵器の実戦データ収集も兼ねてカイザーフルボッコにしたいんだよなぁ〜、まぁでもそのためには……」

 

あまりにも考えることに集中しすぎて時間を確認することを忘れていた彼は、左腕に着けている70〜80代くらいのお爺ちゃんが着けてそうな銀色に輝く時計を確認する。

 

でも連射力上げるなら1発当たりの火力がな………あ、今何時だ?えっとぉ?……8時33分か、丁度15分経ったな、行くか。」ザリ

 

何かを考えていると時間が過ぎるのは案外一瞬なもので、窓越しに誰もいないかを見下ろしたり、校舎に居るメンバー達に見られていないかなどをよく確認したのち玄関から外へ出る。

 

ガチャ「素速く出て、何事もなかったかのように校舎へ歩くと……バレてないな?」

 

「流石にアイツ(先生)も来てる頃合いかな?まぁアビドスのメンバーとは何も喋らないつもりで来たし、なんか聞かれたら嘘吐いて誤魔化すか。」

 

「そもそもあんなにキラキラした女子達の間に俺が入って、まともに喋れる気がしないからな……ずっと俯いて脳内で設計図でも書くか。」

 

大きな独り言をしているうちに彼は、正門をくぐり、昇降口を過ぎ、階段を上り、対策委員会室の目の前まで来ていた。

 

(話し声が聞こえるな、声的にホシノ、シロコ、ノノミ、アヤネか、先生の声は聞こえないな、まだ来てなかったか。)

 

そう考えながら扉を3回ノックしたのち扉を開けて中へ入る。

 

「あ、ケンジさんおはようございます。」

 

「おはようございます〜☆」

 

「ん、おはよう。」

 

「うへ〜おはよう〜」

 

「あぁ、おはよう。」

 

「ところでケンジさん、先生は一緒じゃないんですか?」

 

「あぁ、来る途中に黒見と鉢合わせてな、先生は黒見をストーキングしに行って、俺はそこで別れて来た。」

 

「そ、そうなんですか…あとで来るんですね、分かりました。」

 

「ねえねえケンジさん、せっかくですからお互いのこともっと知り合いましょうよ。☆」

 

「え?…あ、あぁ別に良いが…何を話すんだ?使ってる銃のカスタムとかアタッチメントとかか?」

 

「えっと…そうじゃなくて、好きな物とか好きなこと、要するに趣味とかのことだと思いますよ、ケンジさん。」

 

「え?…あ、あぁ!そうだったなアy、奥空!こう言う時は大体趣味を語り合うとこから始まるよな?そ、そうだなぁ…趣味…」

 

彼は会話という物が苦手なのだ、別に出来ないと言う訳ではないが、今まで20年ほど生きてきた中でも趣味について誰かと語り合うなんてことは殆どなかったのだ、ましてや女子4人組と狭い密室で話すなんてことは一度もしたことがない悲しい小中学時代を過ごしてきたのだ。

 

「じゃあまず私から言っちゃいますね☆ モモフレンズです!☆」

 

ノノミがカバンから出っ歯の犬と思われる人形を出す。

 

「モモフレンズ…聞いたことないな、で、この犬みたいなのはなんて名前なんだ?」

 

「この子は、ミスター・ニコライと言って私の1番好きなキャラなんです!どうです?カワイイでしょ?」

 

「ふむ……まぁ、良いんじゃないか?他には?」

 

「その前にケンジさんの趣味が聞きたいです☆」

 

「え?あぁ、そうだったな、趣味…………………………………………戦…闘…か?」

 

「ん!銃は何を使ってるの?M4A1?AK-12?それともSCAR-L(スカーエル)?もしくはHK416?」

 

「ちょっとシロコ先輩!そんなにガッツかないで下さいよ、ケンジさんが困っちゃいますよ。」

 

「そうですよ〜、一回落ち着きましょうね〜シロコちゃん☆にしても趣味が戦闘とは…でもあの時も率先して戦おうとしてましたから、確かに?」

 

「あぁ、恥ずかしながらな、それで使ってる銃器か、M2ブローニングだな。」

 

「ん、すごく細身だけどリコイルをちゃんと受け切れてるの?どうやって撃ってる?腰撃ち?」

 

「あ〜正確に言えばM2をプルトリガーに改造したのを2丁持ちだな、リコイルは受け切れてる、力に関しては自信があってな、アンタらと比較しても劣らないくらいには強い自覚はあるよ、試し撃ちで100m先の50cm四方のターゲットを撃ったこともあったが外してはなかったな、点数は酷かったが。」

 

「ん!ねぇケンジ、手合わせしてもらっても良い?あっ、でも銃は何処にあるの?」

 

「え?あぁ…」

 

(マズイな、ここで手袋からM2出したら怪しまれるだろ、あぁクソ、こう言う時に不便なんだよなぁ…)

 

「えー、邪魔になるかと思ってさっき別の部屋に置いてきたんだ、ちょっと待っててくれ、今取りに行って来る。」

 

ケンジはソファから立ち上がってドアへ向かい、ドアを開けようとする。

 

が、ドア越しに誰かの声が聞こえて来る、その声の主と思わしき人は階段を上り、この部屋の前までやって来る、どうやら息切れしているようだ。

 

「上官のご到着みたいだな。」

 

ケンジはドアから手を離し、ソファの元座っていた場所に再び腰を下ろし、その臀部がソファの布に触れたと同時にドアがゆっくりと開かれる。

 

ガラガラガラ

 

"はぁ…はぁ…おはよう…みんな…"

 

「おはようございます、先生。」

 

「おはようございますです、先生☆」

 

「ん、おはよう先生。」

 

「うへ〜、おはよう〜」

 

「おはよう、それで先生、何か収穫はあったかな?」

 

"あんまりなかったかな、バイトに行くとは言ってたけど、何処に勤めてるのかは途中で撒かれて分からなかったね。"

 

「なるほど、まぁ当然か。」

 

「うへへ〜、もしかしたら()()()かも知れないね〜」

 

「そうですね、()()()かもです☆」

 

「ん、きっと()()()に違いない。」

 

"あそこあそこって…何処のこと?"

 

「それは、お昼までお預けだね〜」

 

その後は、完全に先生やアビドス組のペースとなり、彼の入る隙間がないほどのマシンガントークをし続け、彼は話しかけられれば適当に誤魔化したり、嘘を言ったり、ちゃんと本当のことを答えたりするが、会話は続かず途切れ途切れな会話をし、その合間合間に脳内で新兵器の設計図と案を考えていた。

 

そして時間は流れ時刻は正午過ぎ、誰かの腹が鳴る。

 

グギュルルゥ〜〜

 

「チッ、クッソ。」

 

お喋りに夢中になっていた全員の注目が、音の鳴った方向に向けられる。

 

その視線の先にはケンジが居た。

 

「な、なあ、そろそろメシにしないか?ほら、丁度正午過ぎだし。」

 

彼は恥ずかしさを紛らわせたいのか、自ら話題を提供し、昼食を摂るように催促する。

 

(おかしいなぁ?年齢的には成長期は終わってるはずなのによく腹が減る、まぁきっと転移した影響によるサ◯エさん時空のせいなんだろうけどさぁ、こう言う時ホントやだわ。)

 

「そうですね、ケンジさんの言う通りです、丁度私もお腹が減って来てて…」

 

「そうですね、私もお腹がペコペコです☆」

 

「ん、私も。」

 

「うへぇ〜、おじさんもかなぁ〜」

 

"実は…私もお腹減って来てたんだよね…"

 

「じゃあこんな時は、()()()に行こっか〜」

 

「そうですね、()()()ならセリカちゃんも居そうです☆」

 

「ん、柴崎ラーメンだね。」

 

"柴崎ラーメン…聞いたことないなぁ"

 

「まぁまぁ、行って食べて見れば分かるよぉ〜、このおじさんが言うんだから間違いない。」

 

「じゃあ、早速行ってみましょうか〜☆」

 

 

*1
極超音速ステルス光学迷彩輸送機を英語にして、頭文字のみを読んだ物、いわゆる通称。

*2
メインブースター(エンジン)がイカれたりとか。

*3
極超音速の定義はマッハ5以上かららしいが、本来ならこの機体は少なくともマッハ100以上出せる機体なので(実際、シュミュレータ内でのテストでは秒速8000km(約マッハ2万3529)まで出た。)、如何にケンジがゆっくり進んでいるかが分かる。(注意! : ケンジにとっては、マッハ3は結構遅い方です。)

*4
この場合は、先生と別れた直後に1km以上離れたアビドスに一瞬で着いたことになるので、ワープかそれに近いことをしたことになる、そうすると疑われそうなので空き家で待つと言う手段をとったのである。




相変わらずヘッタクソな文章ですねぇ〜…

あ、あと新兵器の原案を私のご友人に言うと毎回毎回「やりすぎだろ。」と言われるのですよ、個人的にはちょうど良いくらいだと思ってるんですけどねぇ…

あとそうだ、ケンジの立ち位置って言うのはRPGで言ったら、エリア1のステージ3で出て来る主人公達に好意的な中ボスの狂人みたいな物です。

なろう系で言ったら、9話目で出てくるそこまで強くはない狂人的な立ち位置ですな。

まぁ、ここまで言ったらカンの良い君たちなら分かりますよね?
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