クジラと細かい設定は気にしない、いいね。
途中でネタ切れして辞めました。
ランス10アフターif
RA歴16年1月。
魔王ランスが人間に戻り、世界に平穏が戻った翌年のことである。
魔王の子達は王族、また世界の重要人物であるため、正月は忙しい。
しかし、家族が集まって新年を祝うのは当たり前であるが、さすがに立場を優先せねばならないことも多々ある。
だが、ただの家族として新年会に集まるということを大事にするのは魔王の子達にとって楽しみにしている出来事でもあり、今回は特に弟のエールという家族が初めて新年会に参加する。
なのだが……そのある意味主役と言えるエールは生傷だらけであった。
「……話は聞いていたけど、エール大丈夫かい?」
JAPAN国主であり、エールの兄でもある乱義が心配そうに聞いてくる。
「体中痛い……でもこれは乗り越えるべき壁」
しかしエールにとってはこの程度の痛みなど、兄弟達と共に魔王ランスとやりあった時と比べれば大したことではない。
だが今後も生傷は増えるであろうし、相棒である長田君は役に立たない。
兄弟やお義母さん軍団を頼るのも有りだが、まずは自分の力でやらねばならないことであった。
「いや、それよかお前どんだけ無茶苦茶やりやがったんだ。騒動起こった場所見たが一種の観光名所みたいになってやがるし」
「話聞いた時は納得もしたけど、ナギ姉大爆笑してた」
ザンスと深根も話に加わるが、その表情は何を言えばいいやら困っている表情であった。
「男にはやらなければならないこともある」
「しゅくん~。それでも無謀としかいいようがないでござる」
「エ、エールちゃん。話せばわかってくれるよ」
エールにとっては大事な事だが、ウズメ・スシヌも無理と言い切る。
だが、
「止めないで、あの父の顔に全力の一撃を叩き込まねばならない」
「……はあ。魔王でなくなったとはいえ、あの父上と殴り合いするか」
そう、それはある意味人騒がせな親子喧嘩の結果であった。
切っ掛けはたった一つの出会いからであった。
「エールちゃん、私が貴方のお姉ちゃんのリセットだよ」
魔王ランスを倒す為に、兄弟に会いに行くために、そして冒険をする為に、最初に出会った姉はとても優しくて可愛くて、そのリセットの笑顔はエールの心に中にスッと入り込んでいった。
「えへへ~」
それから一緒に旅していき、他の兄弟達と一生の思い出となる冒険を重ね、最後には父を救うことが出来た。
そして、兄弟達と別れていく時も、最後まで一緒にいてくれた。
いつでも会いに行こうと思えば会える。わかってはいても先日までは毎日顔を合わせ、同じ飯を食い、共に困難を乗り越えてきた。
だから、別れる時はとても寂しくてレリコフの様に泣きそうになったりもした。
それでも最後に他の皆とは笑顔でまたねと別れていったというのに、エールはリセットと別れる時に衝動的にリセットを抱き締めてしまった。
「エ! エールちゃん」
そう、その時になってエールはリセットを姉としてだけでなく、女性として好きと言う事を自覚したのだ。
「リセット姉、大好きだよ」
カラー特有の尖った耳に囁く。
「あ、あうあうあう」
エールの態度が違うのはリセットだからすぐにわかったのだろう。同時に本当に女性として告白されたことで真っ赤になっていた。
「で、でも私はお姉ちゃんだよ?」
「関係ない。ザンス兄もスシヌ姉も兄弟」
そう、家族を引き合いに出すなら、実例を提示する。
「お、お姉ちゃんこんな体だからえっちいこと出来ないよ?」
「なら、大人になるその時まで待つ」
「もしかしたら一生このままかもしれないよ?」
「なら、どうにかする」
「えとえと」
「僕のお嫁さんになってください」
「……ぴ」
「ぴ?」
「ぴゃあああ……」
エールの怒涛の押しにあっさりとオーバーヒートして意識を手放すリセットであった。
「で、そこからはクルックーさんに報告して、許可貰ったら押しまくって姉さんあっさりと陥落……ね」
ミックスがいつもの呆れた顔で言うが、エールにとってはいざとなったら頼りになる妹である。
「うん、そしてシャングリラでパステル母さんに結婚前提のお付き合いさせてくださいと報告もした」
「……その場面がありありと想像できるね」
「エール兄ちゃん。どうだった」
生真面目すぎて、将来はげそうな乱義が溜息をつく。
そしてレリコフは目をきらきらさせながら続きを促す。
「問答無用で呪いかけられそうになった」
『だろうね』
兄弟全員の言葉は一致するのであった。
「でも、イージスさんやサクラさんも協力してくれるし、お婆ちゃんたちは諸手を上げて祝福してくれたんで、パステル母さんも陥落間近」
「それも容易に想像できちまうなあ。あの婆ちゃん達クソ親父もそうだけどエールの事も気に入ってるし」
ダークランスも勿論気に入られているのだが、恋人がいるダークランスにカラーの娘たちを進めてきてはいない。
「そう、残る障害は父のみ」
「リセットお姉ちゃんの体型は?」
「なんとかする」
いざとなればミラクルやミックスに、またホ・ラガやメリヌの杖を改良するなど方法はあるはずと考えているエール。
しかし一番の問題はというと。
「んで、あの親父をどうやって納得させるってんだ?」
そう、皆の父親であるランスであった。
「父上がリセットを特に可愛がっているのは知ってはいたが……息子相手にここまでするとは思わなかったよ」
「シィルさんが必死に止めようとはしてたんだけどよー。例え息子だろうとゆるさーんって大暴れ。
仕舞いにはリセットさんがま~たビンタして、正気に戻したけどそれでも駄々こねまくるわ、あれを切り落とすーだとかもうしっちゃかめっちゃかよ」
長田君がその状況を説明してくれる。
「んでまあ最終的にはリセットさんを嫁にしたければ、この俺様を倒してみろ! ってあんたはいつの時代の親父だよっていう状況に」
「……もしかして私の時も同じようなことになるのかなあ」
スシヌが自分の時の事を考えているようだが、エールからしてみればザンス以外が想像できないし、そうなったらザンスも同じようになるかもしれない。
「いや、あのクソ親父の事だ。世界最強である俺様が負けるわけがない。となればエールがリセットと結婚することも無し。そうなればリセットが大きくなる必要性も無いとかだろう。
最後には負けてやるなんて殊勝な事考えてるわけがない。断言できる」
そう、あの天上天下唯我独尊。何様俺様ランス様と声高らかに言い切り問答無用の無敵っぷりを発揮する父の考えなどお見通しとばかりに、家族皆で頷くのであった。
「で、実際にどうするんだい? 僕は兄としてならエールとリセットなら賛成だしJAPAN国主としてもAL教とカラーの結婚は将来的にも良い影響を齎してくれると思うよ」
「俺様としてはお前がリーザスに来ねーのは納得いかねえが、リセットのとこなら納得してやるよ」
「以下同文。エールちゃんとリセットお姉ちゃんなら嬉しい」
乱義・ザンス・深根が続く。
その答えにエールは嬉しくなるが、まずは自分の力で認めさせねばならない。
「皆ありがとう。でもまずは」
『まずは?』
「隙見つけてぶん殴ってくる」
やはりエールにもランスの血は引き継がれていた。
そして、
「父と喧嘩か。俺も参加するぞ!」
そこだけ聞いていた元就であった。