「はい、エールちゃん。あ~ん」
満面の笑顔のリセットがエールの口に唐揚げを持っていく。
「はぐ、うん美味しい」
「えへへ、美味しいか。よかった」
その言葉でまたリセットがニコニコする。
エールはお返しとして、同じように唐揚げをリセットに差し出す。
「あーん」
恋人としてならば傍から見れば間違いなく、バカップル認定するであろう。
しかし、リセットの見た目から仲の良い兄弟と見るほうが正しくもある。
そしてエールとリセットはちょっとした公園で今日はデートしている。
砂漠のシャングリラと言えども、草木が生い茂っている場所は存在する。
前はペンシルカウという森と言える場所に住んでいたカラーとしては、草木の無い場所というのは落ち着かないこともあるし、食物を育てるのも大事なので、一部は農業も行っている。
であれば少しはのんびりできるような自然環境もあり、ちょっとしたデート場所にもなるのであった。
「ぐぬぬぬぬぬ。親としては嬉しいはずだが結局あやつの息子~」
そしてそんな二人を不承不承認めたが納得しきれていないパステル。
「はいはい、恋人の逢瀬を邪魔しちゃ駄目よ~パステル」
「ふむ、この調子なら問題なさそうだな」
「後はリセットの体型だけか」
モダン・ビビッド・フルも見ているが、直に退散するのであった。
食べ終わればそこからはいちゃいちゃすべく、エールはリセットに膝枕をする。
「むー私もエールちゃんに膝枕したいのに」
「僕もリセット姉に膝枕してほしいけど、頭って意外と重いんだよ?」
さすがにリセットが膝枕するには太ももの長さも足りない。
「いいもんいいもん、いつかナイスバディになった時に、エールちゃんに何でもしますって言わせるんだから」
「その時は全力でお願いする」
そうなった暁には、エールにとっては仰向け、横向き・うつ伏せどれになっても天国としか言いようが無い光景が広がっているので、絶対にリセットに大人体型になってほしいのである。
今のリセットはエールにとっては一番可愛くて一番愛おしくて、一緒にいるだけで幸せな気分にしてくれる恋人であり姉でもある。
しかし、そこは男の子。
勿論えっちい事もしたいのである。
リーザスでオーブ入手の時に、女の子モンスターの胸を揉んだ時は気持ちよかった。
シーフィードの時はチャンスでもあったが、長田君の迷ってる時間にレリコフとなし崩しに探検で終わってしまった。
今では惜しい事したと考えるエールだが、本当の意味で女性を意識するようになったのはリセットに恋したことで、性欲に目覚めたと言ってもいい。
冒険に出る前までは母と生活していただけだし、母にそういうエロを感じたことも無い。
冒険に出てからは、あくまでも兄弟だし、志津香とナギは父の愛人? という認識だった。
その中でザンスとスシヌの許嫁とかで、兄弟でも有りと分かった。だがウズメ・深根はそういう気持ちにはいっさいならなかったし、どちらかというと愛でる感覚になっていた。
レリコフの場合、お尻に犬の尻尾が見えた気もした。
結果、エールは初恋をしたからこそ、女性をそういう目で見るようにもなった。
「でもお父さんみたいにはならないでね」
「むしろどうすれば父の様になれるの?」
「……四六時中女の子の事ばかり考えて、欲望を撒き散らす?」
「無理」
「だよね」
ランスの生き方はある意味男らしいし、男のロマンを実践しまくった豪傑ともいえる。
その列伝を聞くだけでも、有り得ない偉業を何度も重ね、ランスの為に用意されていたかのような舞台がランスの歩いてきた場所にある。
後世にランスの歴史を記すときが来れば、まさしく英雄物語として語られていくことだろう。
但し、ランスの人柄は確実にずれていくことであろう。
寧ろそのまま書かれるほうがイメージを壊れたと非難されるかもしれない。
世界中の美女・美少女とヤルことが原動力。
男は殺す・女はヤル・ブスは死ね。
文面だけ見ればどう考えても、どう誤魔化そうとしても、どう好意的に解釈しようにも、外道で鬼畜としか言いようが無いのであった。
しかし、偉業だけを抜き取れば本当に……本当にランスの歴史は人類史上最高の英雄と誰しもが認めるしかないほどであることも事実であった。
「事実は小説より奇なり?」
「時には真実を知らない事の方が夢を見れることもある?」
「塞翁が馬?」
「覆水盆に返らず?」
「禍を転じて福と為す」
「毒を以て毒を制す」
「英雄色を好む」
一部しっくりくるが、父親に対して酷い言いようである。しかしそれがランスでもある。
またランスだと、逸話に事欠かないので話題としても盛り上がりやすい。
ただし一部人間にとっては、心労のネタにしかならない。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」
「それは国に認められた錬金術師さん」
どこかで誰が豆粒かと吠えてるかもしれない。
「お嫁さんがたくさん欲しいから騎士となる」
「逆に清々しいからいいのかなあ」
だんだん趣旨がずれていってるが、こういう会話が何となく繋がっていき、阿吽の呼吸を楽しむのも恋人になった二人の日常になっている。
そしてある程度リセットが膝枕を堪能した後は、今度はエールの好きなくっつき方をする。
リセットに座ってもらい、エールは後ろからリセットを抱き締めて、リセットの肩に顎を乗せるのだ。
こうするとより密着できて幸せな気分になるし、リセットの匂いや感触を全身で感じれて気持ちよくなれる。また首筋に顔をうずめたり頭に顎を乗せたりと、複数のやり方を楽しめるのでエールは気に入っている。
「ん~♪」
エールご満悦。
「くすぐったいよー♪」
リセットとしては犬猫みたいに喜ぶエールはいいのだが、頻繁にエールが顔を動かすのでこそばゆい。
しかし、エールはあくまでもリセットにしかこういうことはしないので、恋人としての優越感みたいなのもあったりする。
「でも本当にエールちゃんは変わったねえ。出会った時は少し気難しそうにも思えたけど」
「最初は楽しみでもあったけど、緊張してたから」
「頭の上に色々な物載せるのに?」
「喜んでくれると思う物は置いたよ?」
特にランスの頭にピロピロ貝を置いた時は、大喜びされた。
「お姉ちゃんは反応に困りました」
エールなりに親愛の気持ちを込めたやり方であったが、今後は控えたほうがいいのかもしれない。
「それはそうとリセット姉」
「なあに?」
「背のびた?」
前回抱き締めた時より、顎をのせる角度が微妙にずれていたので、エールはそう思った。
すると、リセットは振り返って、にぱ~と無邪気な笑顔で答えてくれる。
「1.5センチ伸びました!」
「おお!」
リセットにとってはこれは快挙である。
10年以上伸びなかった身長が、遂に遂に成長の兆しを見せてくれたのだ。
どこかで無意識にランスが正気に戻った時に、自分がすぐにわかるようにと姿をそのままで維持しようとしていたのかもしれない。
しかし、もうその必要は無くなった。
そして恋人も出来て、本当の意味で大人になっていくという準備が整ったと言う事であろう。
「ふっふっふ、この調子なら数年後にはナイスバディになるはず!」
「期待してる!」
ちょっと興奮気味になっているエール。
いつの日か、お姉ちゃんを本当のお嫁さんにする日は近いのかもしれない。
しかし、ナイスバディになるまでエールが我慢できるかは定かではない。
そうして二人はいちゃいちゃしながら、デートを満喫する。
次の日からは、またエールは父に認めてもらうために強くなること。
リセットは外交官として、世界中が仲良くなるために邁進する。
互いに頑張りながらも、家族を大事にするのであった。
微笑ましかった? 羨ましかった?
私は二人とも可愛く思ってくれるように書きました。
羨ましいと思った人は挙手せよ。