短編・中編まとめ   作:ayasaki

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ランス城の子供部屋関連の食券イベントは凄くほっこりします。
あと、パットンがランスから止まり木状態と言われた、食券イベントとかもよかったですね。


時の流れの寂しさと幸せ(ランスシリーズ)

「では今後はこの条件で進めていくことにいたします」

 シャングリラの1室で行われている交渉。

 互いに用意された誓約書に署名を行い、今後の友好を願う意味も込めて握手という行動に移る。

 これがお互い大人程の身長であれば、その工程は少し手を伸ばすだけで済むはずである。

 しかし、シャングリラ側の代表は……中身は大人、見た目は10歳児以下の身長しかないリセットであった。

 その為、傍から見れば子供が精いっぱい背伸びをしている微笑ましい図柄にしかならなかった。

 会談終了後、書類仕事を行う仕事部屋に戻って特注の子供机に座るリセット。

「リセットお嬢様。お疲れ様です」

 一緒に働くカラーの子からの言葉に、リセットは笑顔を向けながら答える。

「ありがとう。時間はかかったけどようやく仲良くできたね」

 リセットにとって今回の相手は、いつもより達成感のある相手ともいえる。

 以前までは反魔王ランス勢力であり、それまでは魔王の子であるリセットとしては話し合いのテーブルにさえついてくれることが無かった相手だったのだ。

 しかし、魔王ランスはいなくなり、その功績を果たした子供達。

 結果として、反対勢力は態度を少しずつ軟化させ、またリセットの根気強い説得により、世界全体が少しずつ良き方向に向かっている。

 その成果が先程の会談であり、リセットにとってはそれが嬉しいのだ。

「さて、あとは今後も仲良くするためにも予想されるトラブル対策考えないとね」

 ルンルン気分になるリセット。その証拠に足元はリズムよく弾んでいる。

「……リセットお嬢様。まずは休憩を取ってください。

 ここ10日程はお休みを取られておりませんでしたでしょう。いくら夜は休まれているとはいえ、お体に差しさわりが出てしまうかもしれません」

「そうかな? 別に疲れた気はしないんだけど」

 冒険していた時と比べれば、別にそこまで疲れている意識はリセットに無い。

「……。あ、そうそう。先程エールさんがリーザスから」

「ちょっとだけ休憩してくるね!」

 その瞬間、まだまだ初々しい関係と言える為、リセットは最優先でエールに会いに行くのである。

「休憩を進めたとはいえ……リセットお嬢様羨ましいです。でもリセットお嬢様がうまくいけばエールさんはシャングリラに住むはず。

 そうなれば私達も……うふふふふ」

 カラーにとっては一夫一妻という考えは無いし、リセットを一番大事にしているエールはカラー娘達からの好感度は高い。

 しかし……将来的にエールの子種を狙っている娘達はたくさんいるのである。

 

 

「エールちゃん!」

「リセット姉!」

 部屋を出てから近くにいたカラー娘にエールの居場所を聞いたリセット。

 そこからは小さい歩幅ながらも急いで移動して、愛しのエールの元へ来たのだ。

 抱き着いてみれば、エールの体は前の時より少し筋肉質になっているのがわかる。

 リーザスでザンスを相手したり、リーザス軍で軍隊経験をしていたこともあり、レベルもあがっているのであろう。

「ん~♪」

 しかし、エールの表情を見れば幸せそうにリセットを抱き締めてくれているので、いい時間を過ごしてきたこともわかるのであった。

 ただ同時にちょっとした違和感もあった。

「……エールちゃん背が伸びた?」

 自分も少し成長したので、抱き着いた時に当たる場所は変わっていたのに、また下がっていた。

「うん、毎日ザンス兄との模擬戦やリーザス軍で体を動かしてたから、食事量が増えちゃったんだ。

 ……軍隊経験もさせてもらったから、周囲の食事量にもつられたせいか、体重も身長も少し増えた」

 確かにエールはまだ10代半ばを過ぎた年頃の為、成長期でもある。

 しかし、リセットからしてみればちょっと複雑になってしまう。

「それと魔物退治もやってたから、最近になってレベルも310を超えたんだ。とはいっても聞いた話だと父さんは400越えらしいからまだまだだけどね」

 リセットとの交際を正式にランスに認めさせる目標があるとはいえ、どんどん逞しくなっていくエール。

 恋人としては頼りがいが出てきて嬉しいのだが、精神的にも肉体的にも差がついていきそうな気がしてしまう。

 だがお姉ちゃんとしてみれば、やっぱり可愛い弟に対してお姉ちゃんぶりたいものである。

「そっか、でも頑張り過ぎちゃ駄目だよ。なんだかんだ言ってもお父さん私達には優しいよ。

 いざとなったら家族全員でお父さん囲んじゃえばいいから」

 ……ランスが聞いたら多分、リセットがどんどん黒くなっていくと嘆いている事であろう。

「天真爛漫で天使のような姉が、にこやかな笑顔でどぎついことを言う件について」

 恋は人を変えてしまう。

「それでエールちゃん。今後の予定は?」

 リーザスに行って収穫があったとはいえ、ランスを真正面から殴る目標にはまだまだである。

 その為、シャングリラで鍛錬するだけでは、エールの為にはならない。

 しかし、エールとの時間を出来るだけ取りたいリセットとしては絶対に聞いておきたい事でもあった。

「うん、次はヘルマンに行こうと思ってるんだ。

 体捌きはザンス兄にも言われたのもあるし、日光さんも使いこなせてない。

 JAPANの乱義兄やダークランス兄に相手してもらおうにも、忙しそうだしね。

 それでヘルマンに行けば、体術教えてくれるパットン伯父さんに刀を使うヒューバートさん。

 それにレリコフ・ヒーロー・ハンティ伯母さんもいる。

 そこで鍛えてもらおうと思ってる。あと、場合によってはホーネットさんのところに行くのもいいかな」

「……結構長期間になりそうだね」

「定期的にはシャングリラに戻るし、ちゃんと手紙も出すよ! リセット姉にずっと会わないなんて僕が耐えれません!」

 予定を聞く限り、数か月以上はシャングリラに帰ってくるのが厳しそうなので、リセットの気分は落ち込みそうになる。

 それを察したのか、エールは会いに戻るし、ある意味長距離恋愛嫌だと言ってくれる。

 つまりはそれだけリセットの事が大事で、本来ならば離れたくないと語ってくれているのだ。

 しかし、

「お姉ちゃんもついていきたいなあ」

 リセットの本心はエールと常に一緒にいたい。

 恋人になってからまだ数か月しか経ってないので、まだまだ初々しい恋人気分である。

 となれば一日中イチャイチャしたいが、精神的には立派な大人なリセットとしては仕事を投げ出すことなど出来ない。

 我がままを言えば、エールも暫くの間は喜んで付き合ってくれるだろう。

 しかし、エールの頑張っている姿を見れば、それに甘えすぎてしまうのも良くないと理解しているからリセットとしては応援したい。

 将来的には二人の為でもあるのだから。

「僕もそれが出来るならそうしたいけどね」

 エールはエールでリセットの仕事が、世界中の外交でどれだけ貢献しているかは分かっているから、無理にシャングリラから引き離そうとは思っていない。

「まあ、今日明日で出発する訳じゃ無いし、パステル母さんともおしゃべりしたいし」

 ここでエール失敗する。

「……お母さんより恋人であるお姉ちゃんを優先するべきじゃないのかな?」

 女としては、恋人からは一番優先してほしいのに、そこで将来の義理の母とはいえ違う女を言うのは下策である。

 ちょっとだけ不満な気分を言うのくらい許してほしい。

 それを察したのだろう、エールはやばいと思ったのか焦りだす。

「あ、そうだ。それとリセット姉にお土産もあるんだよ」

 慌てて鞄を開けて中から取り出したのは小さな小瓶。

 同時に6本程の細長い木の棒を見せてくれる。

 それを見たリセットは、その小瓶の中身をすぐに思いついたのか、顔を近づけてみる。

「最近リーザスで流行っているフレグランスオイルって言うルームグッズなんだ。

 店舗だと数十種類もあったから迷ったんだけど、この香りならリセット姉気に入ると思って買ってきたんだ」

「わあ! エールちゃんありがとう!」

「好みにもよるけど微かに香りを楽しむなら、木の棒を1.2本だけ小瓶に挿しておけば4カ月くらいは楽しめるって店員さんに聞いたから」

「うん、早速お部屋で使ってみるよ」

 プレゼントを貰えたことで現金だが、上機嫌になるリセット。

 実際リセットから見ても、フレグランスオイルそのものをプレゼントに選んだのは結構センスがいいと思う。

 男性だと花とかが定番だが、貰った後に枯れるまでの手間や、枯れた後の寂しさとかもある。

 装飾品だと好みに合わなかったら、微妙に使う機会が無いし、保管していても勿体無く思ってしまうこともある。

 その点こういう消耗品なら手間いらずで邪魔にならない。

 また好みでなくとも、そこまで目立つ物ではないので使いやすいのだ。

 ただ、エールが本当に選んだのだろうか?

 何となく気になるところなので、リセットは探りを入れてみる。

「でもこういうの選ぶところだと、お店入りにくくなかった? 家具屋さんや雑貨店でも売ってるけど、こういうの女の人が集まる場所だし」

「あ~うん。正直ちょっと恥ずかしかった。実際このフレグランスオイルのことはチルディ母さんが教えてくれたんだ。

 化粧品・装飾品・花とかも勿論考えてたんだけど……最初は恋人相手でも無理に背伸びせずに日用で使う消耗品を選ぶ方が、喜ばれる可能性高いって。

 買い物で一緒に選んで奇麗な思い出にするのもいい男の条件ですわよって。

 ただチルディ母さん、父さん相手だとそんなロマンチック期待できなかっただろうしなあ……」

 途中からチルディの事を考えて、哀愁漂わせながらもあっさりと白状するエール。

「お父さんだしねえ。狙った女の人を落とす時は何でもありだったから。

 っと休憩時間そろそろ終わりだった!」

 エールとならいつまでも一緒にいたいが、仕事も仕事で大事なリセットは気持ちを切り替える。

「そっか、なら手伝うよ。そうすればリセット姉の仕事早く終わるよね?」

「いいの? 疲れてるのに」

「うん。僕もまだリセット姉と一緒にいたいから」

 その言葉に自然と顔がにやけてしまう。

 やっぱり好きな人と一緒の時間を過ごせるのは幸せな事だから。

 それから二人は一緒に仕事部屋に戻り、リセットの仕事を補佐してくれるカラー娘達と共に書類仕事をする。

 リセットにとっては慣れたものだが、エールは資料作成やファイル整理が主である。

 人手を必要とする仕事だけなら、エールでも問題無いが正式な誓約書や契約となると任せる事はさすがに無理がある。

 だが、リセットと補佐するカラー娘達にとってはエールがいるだけで嬉しいので、仕事に対するやる気が上がっていつもより少し早く仕事を終わらせることが出来るのであった。

「今日のお仕事終了ー!」

「お疲れさまー」

「リセットお嬢様、エール様お疲れ様でした」

「少し時間余っちゃったねー。良かったら皆でお茶しよっか?」

 ご飯の時間にはまだ時間もあり、仕事終わりのリラックスタイムということでリセットは提案する。

「いいね、僕も欲しい」

「では、お茶うけの準備してきます」

 それからはエールのリーザス生活を聞きたがるカラー娘達や、エールとリセットの今後を茶化したりザンスをネタにした話題になっていく。

「ザンス様かー。偶にシャングリラに来てくれた時に拝見することはできましたけど、かっこいいですよねー! ランス様やエール様も勿論かっこいいですけど、ザンス様のあの傲岸不遜ぶりに振り回されてみたいです!」

『……えー』

 リセット・エールにとっては大事な兄弟だが、女性相手だといざとなったらヘタレるザンス。

「そうそう、でもリセット様と話してた時のあの時折見れるツンツンしてるのに、優しい言葉も出るから女心刺激されます!」

「わかる! 一度でいいからお相手してほしいです! とはいえどもザンス様ならより取り見取りで選べるから私達相手にされそうになさそうです」

「でもザンス様はずっとスシヌ様にはアプローチしてるし、次期王様だから側室や妾としては狙えるんじゃないかしら?」

『……』

 目の前で指摘されたら、絶対に米神をぐりぐりしながら言葉で否定し、心の中では恥ずかしがること間違いなしであろう。

 だがある意味女性にとっては、そんなところもツボなのだ。

 恥じらい・照れ隠しにより表情の変化は、特に好意を持った異性から見れば結構来るものがあったりする。

 しかしリセットとエールからすれば、そんなザンスを想像したらちょと笑えて来る。

「……本当ザンス兄って残念。……まあ噂のせいもあるだろうけど」

「ザンスちゃんいい子だけど、リアさんやマリスさん大好きすぎるから比較されるだろうね。

 まあ好きになったら大事にしてくれることは間違いないよ」

「どっちかというと、本気の恋心で押されたらあっさり落ちちゃいそうな気がしてなりません」

「……そだね。まあその時はリアさんとマリスさんがきっちり見てくれるだろうから、悪い方向にはならないと思うけど」

 とは言えども二人にとっては、家族であるため気軽な気分で考えてしまう部分もあるのであった。

「どっちかというと乱義ちゃんや元就ちゃんのほうが心配になるかなあ」

「……元就……寧ろ死ぬまで恋愛考えないような」

 エールにとっては兄であるのだが、元就だと兄と呼ぶのも何か違うし、本人も兄と呼ばれたいと言ったことも無い。

「元就ちゃんだと……ウルザさんみたいな人のほうが安心できる気もしないでもないけど」

 あのランスでさウルザは上手く扱える時もあるのだ。同時にレベル的にも精神的にも強いので、強者には従順になる毛利家にはいいのかもしれない。

「ウルザさんが毛利家で猛威を振るう……?」

「まあ有り得ないけど、そうなったら乱義ちゃんの心労減るだろうね」

「うん。とは言えどももう世界征服とか考える必要は無いんだから、内政に専念できるんじゃないの?」

「そこは立場の違いかな。

 乱義ちゃんは国主として色んな事考えて、未来の危険に備えなくちゃいけないし、批判覚悟でも実行するのを求められるの。

 政って国の為にすることだけど、国民にとっては問題の解決が理解されないことも多いし、自国だけで物事を解決できないこともいっぱいあるから、外交も大事なんだよエールちゃん」

「ふむう」

 リセットは外交経験から乱義の立場も少しは理解できる。

 しかし、エールは個人として動いており、兄弟として話しているので、リセットの言葉がどこまで咀嚼できているか、納得できているかということである。

「一緒に冒険してた時はさ、ただ家族皆と一緒に過ごしたことが凄く楽しかったんだ。

 だからかな、会いに行けばいいって分かってても寂しいって思う時もあるんだ」

「うん、ただ毎日朝起きたら皆の顔が見えて、おはよう・お休みって言うことが出来た。

 でも今は手紙や魔法具とかで連絡は取れるけど、同じ場所にいる訳じゃ無い」

「冒険中の乱義兄とザンス兄の喧嘩も懐かしく思えたりもした」

「……うん」

「リーザスでは色んな人に凄く良くしてもらったけど、やっぱりどこかザンス兄といた時が一番心地よかったりもしたかな」

 少しエールの表情が暗くなっていくのが、リセットにはわかった。

 エールは冒険が始まるまでは、クルックーとの母子家庭状態だったのだ。

 しかし、冒険に出る事で腹違いでも大好きな兄弟に会い、同じ時間を過ごし同じ釜の飯を食い、父を救うことが出来た。

 その冒険の思い出が宝物であることに間違いないが、時間が経つごとに、もっと一緒にいたかったという想いが出て来たということに。

 それはエールが家族に対してもっと甘えたいという心なのだ。

 強くなってランスの顔を殴り、リセットとの交際を正式に認めさせる。

 その為の経験を積むために、各国に行くというのもある意味ばらばらになっている家族に会いに行くという口実になるということにも。

 でもリセットはそんなエールの心境は理解できる。

 リセットも産まれてから父親の事をパステルから聞いた時は、最低の人間と聞かされ、最初は掟に従い殺そうとした。

 しかし、ランスはそんなリセットを最初は動揺しながらも、最終的には親馬鹿と言われるほど可愛がってくれている。

 そしてあの魔人戦争で、人類一致団結の最中、リセットにとってその時に産まれていた兄弟と勢ぞろいする時期でもあった。

 今思えば不謹慎なれども、家族全員がランス城で一緒にわいわいとしていた最高の時間でもあったのだ。 

 あの時、どれほどリセットは赤ちゃんの兄弟に構っていただろう。

 暇さえあれば会いに行き、用意されたお乳を与え、下の世話も手伝い、抱っこしたりしたことが嬉しくてしょうがなかった。

 顔を覚えてくれて、自分が顔を出す度に、笑顔で手を伸ばしてくれる兄弟が可愛くて、どれだけ傍にいても面倒と思うことも無かった。

 だが戦争を勝利に導きながらも、最終的には魔王になるしかなかったランス。

 結果、リセットにとって大好きな時間は唐突に終わりを告げる事となったのだ。

 その時間が過ぎ去った時、リセットは寂しかった。

 ランス城の中で生活をしていれば、大好きな家族と当たり前に顔を合わせ、時には喧嘩しても仲直りするのも当日もしくは次の日にはできていた。

 それがどれだけ温かな時間であったことが、心が成長してしまった今だからこそ理解できる。

 だから、あの時リセットは言えなかった。父に会いに行こうと。

 兄弟全員の意見はバラバラだったけど、オーブを集め終えアメイジング城に行けるのに、ぐずぐずしていたのは、そんな時間が愛おしかったから。

 それでもいつか終わりを迎える時間でも、もう少しだけもう少しだけと甘えたかったのだ。

 今のエールはまさしくそれなのだ。

 しかし、これは時間でしか解決できないのもリセットはわかっている。

 例えどんなに仲の良い家族でも、いつかは自分の道を進むために離れてしまう。そしてその時に支えてくれるのがそんな時間の思い出であると言う事も。

 そして、そんなときに一番嬉しい事もリセットは知っている。

「エールちゃん、今日は一緒の部屋で寝ようね♪」

「……はい?」

『きゃーーーー』

 そう、ただ一緒にいればいい。

 リセットの発言にカラー娘たちが盛り上がるが、恋人でもあるし家族でもあるんだからリセットは気にしない。

 それにまだ幼児体型に近いリセットに、エールが手を出すことも無いと分かっているから問題ない。

「え、えと……いいの? リセット姉」

 エールは多分外聞を気にしているだろう。

「寝るだけだよ。気にしない気にしない」

 変に盛り上げずに言うほうが良いであろう。ここは姉として引っ張ってあげて甘えさせようとする。

「う、うん」

 ちょっとだけ顔を赤くするが、そこのところは信用してるし、エールだから大丈夫とリセットは考える。

「それじゃそろそろ時間だし、ご飯食べようか。明日はお姉ちゃんが作ってあげるね」

「あー、リセット姉のご飯は久しぶりだし楽しみだな」

「お母さんから教わった料理もあるよ。お父さんも昔はお母さんの料理食べてた時もあるから」

「母さんもお父さんに料理食べさせたことあるのかな?」

「あったと思うよ。冒険中は自炊するんだし、クルックーさんも定番料理食べさせてたんじゃないかな」

 各母親も好きだが、やっぱり産んでくれた母も大好きなのであった。

「とはいえども、お父さんが一番好きなのはシィルさんが作ってくれる、へんでろぱになるんだろうね」

「一度食べたいね」

「食べれるよ。お父さんは一生シィルさんを離すことは無いから」

「今後は弟かな? 妹かな? アーちゃんも可愛かったから、凄く楽しみ」

「そしたら皆で会いに行こう。シィルさんも喜んでくれるよ」

 大丈夫。

 リセットはエールに、大好きだよと言う気持ちを込めた笑顔を向ける。

 過去となってしまった大事な時間は戻ってこないけど、また幸せになれる時間は手に入れる事が出来る事を教えてあげることは出来るから。

「その為にも頑張ってねエールちゃん。お姉ちゃん待ってるから」

「うん!」

 そうして二人は仲良く部屋を退出する。

「……私達蚊帳の外」

「仕方ないよ。エール様はリセットお嬢様しか見てないから」

「い、今だけよ。ランス様の血を引いてるエール様なら、いつか私達にもチャンスがあるはず!」

「二人の世界いいなあ」

 恋は盲目。カラー娘達もちょっと寂しい。

 ランス、本人に自覚は無いが、障害としていい塩梅になるのであった。

 次の日、抱き締められたまま寝る事となったリセットが、エールの朝立ちに焦ったことは言うまでもない。

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