短編・中編まとめ   作:ayasaki

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HELLSING題材にして、この御方出さなかったら私自身が許せんw


夏草や兵どもが夢のあと(ヘルシング+ドリフターズ)アーカード

 歩く。

 その度に私の足元で血飛沫が弾かれる。

 そして私が次の一歩を進める為に足を上げれば、その足元には最早大地に残った血液は存在しない。

 走狗、人間、亜人、異形の命が私の中に吸い込まれていく。

 焼け焦げた死体からは嗅ぎ慣れた懐かしいにおいがする。

 頭蓋骨が砕かれ、杯に溢れ出るほどまでに撒き散らす赤。

 狂気に侵されながら、狂喜の表情で串刺しにされた狗。

 懐かしい見慣れた風景を見ながら、私は口を開く。

「国破山河在 城春草木深 感時花濺涙 恨別鳥心驚 烽火連三月 家書抵萬金 白頭掻更短 渾欲不勝簪」

 私の膨大な過去の中で見てきた風景を思い出しながら、私は私自身が紡ぐ言葉では無い。

 ある意味滑稽な詩を呟いた。

「何の為に戦い、何の為に自分の全てを賭け、何の為に敵を殺す。

 それすら分からぬ愚者もいれば、ただ己の愉悦の為に殺す。

 世界が違おうとも、結局のところやることは変わらない。

 くだらない、私に何を求めたか分かりやすいが実にくだらない。

 世界を壊す? 間違いを正す?

 結局のところ永遠など存在しない。

 ならば貴様らがやっていることは自己満足にしか過ぎない。

 今はいつか一粒の欠片として未来へと繋がるが、誰も彼もが振り返り気付く事は無い。

 そこに何があるかと問えば、誰もかれもが答えることは出来ないであろう。

 コギト・エルゴ・スム。

 気は済んだか!?

 愉悦を望むのならば己の中に閉じこもり、そのみすぼらしい股座を開いたままで逝け!」

 言い終えて私を呼び出したEASYに、私は銃を発砲した。

 だが弾丸がEASYに当たる事はなかった。

 EASYの前方には、まるで防弾ガラスの様な物質が突如として現れて、私が発砲した弾丸を防いだのだ。

 そして盾が消えると共に、EASYは周囲に火球を出現させたのだ。

 だが呼吸は乱れ、右腕からの出血で動きは遅い。

 しかし私を悪魔のように睨みつける目だけは、些かも微塵も衰える事はない。

「廃棄物、廃棄物、廃棄物!

 私が用意した全てを崩壊させた。

 たかが廃棄物の分際で、私の世界に干渉するんじゃないわよ!」

 遊戯を行う時に、自分の思い通りにならなかったことに対する癇癪を起こす子供。

 しかしそれは何も知らない子供だからこそ許される行動。

 だが目の前の存在がそれをやれば、それはただの醜悪な精神の露呈にしかならない。

 最早私にとって狗にも劣る存在でしかない奴など、即座に殺すだけ。

 ただ元の世界に帰るためにも、記憶だけは奪う事を私は決定した。

 私はそれだけを行動の原理として、EASYの命と記憶を貰うために行動を開始する。

 火球が私の周囲を飛び回り、私を燃やし尽くそうと飛来する。

 だがこの程度の熱で、風量で、私の行動が止まるわけが無い。

 拘束制御術式を解放する価値も無い。

 一足飛びに間合いを詰め、EASYに鈎爪のように指を曲げた右腕を振り下ろす。

 しかし、私の攻撃をEASYはまたもや盾を使って防いでしまう。

 防がれた反動で右手が原型をとどめないほどに砕け散る。

だが即座に右手を再構築し、そのまま握り締めて、再度盾を私は殴りつけた。

「なっ!」

 既に何度も私が体を再構築しているのを、その阿呆な目で見ていたのにまだ驚愕するEASY。

そして盾が砕け散った瞬間、

「あぐっ!」

 EASYの首を左手で声を出す事も出来ないほどに、呼吸がまともに出来ないほどに締め付けた。

「囀るな、神を気取った魔術師。

 遊戯であるかのように命令する。

 お前はお前である限り、それが秩序であるかのように死に続けていろ」

 言い終えると同時に、今度こそ私はEASYの腹を右腕で貫いた。

 拘束したEASYが苦悶の表情を浮かべる。

 そこには私の眼前に憤怒の表情を浮かべていた時とは、比べるべくも無い死に怯えた命があるだけ。

 最早児戯にも劣る。

 そして私はただ終わらせた。

 喰らうという作業を。

 それを終えた私は、記憶を動機を原因を因果を理由を原理をEASYより知った。

「くくくくくははははははは!」

 ああ、闇夜に向かって自らの笑い声が響き渡る。

 勝利を確信しながらも、更なる確信を得る為に私を用意したのだ。

 そして結果として勝利は私の手によって掻き消された。

 お笑い種だ、私を制御できると勘違いした。

 滑稽だった。

 だがその中でも私の関心を引いたものがあった。

 それは紫というものが用意する漂流者。

 歴史に名を連ねた者達を呼び出して廃棄物達と戦わせるということ。

 この世界など私にとってはどうでもいいが、人間の兵と戦える。

 知らず知らずのうちに、私の口は釣りあがり、目元の筋肉が歓喜を表すかのように動く。

 そして右手中指で眼鏡のズレを修正し、左手は握りこぶしを作ってしまう。

「いいだろう、EASY。

 世界など知った事ではないが、漂流者には煌びやかに病的に惹かれた。

 ならば私はこの世界で唯一無二の廃棄物となってやろう。

 個にして群、軍にして一兵士。

 レギオンのように、終末の騎士のようにラッパを鳴らしてやろう。

 漂流者よ、紫よ、世界よ。

 お前達の敵は此処にいる。

 間違いを正したいのならば、廃棄物を倒したいのならば来るがいい。

 化け物は―――此処にいる」

 さあ今を紡いでいこう。

 そしてこの世界に化け物の存在を謳ってやろう。

「丈夫はおらぬか 兵はどこじゃ

 丈夫おるなら いざこれへ

 兵おるなら さあここに

 我と遊べよ 力を比べ

 もしも真の丈夫ならば

 もしも真の兵ならば

 我の首をばとってみよ!」

 でなければこの世界は私の手によって滅びを、急速に火急に尚早に訪れるぞ。

 

 

 

 そして漂流者が遂に私と対峙する。

「きさんが国だというなら、奪るまでよ!

 きさんが城だというなら、壊すまでよ!

 きさんが鬼だというなら、戦うまでよ!

 きさんが敵だというならば、――命奪るまでよ!!」

 島津豊久が確固不抜の意志で、私の眉間に銃を向けながら言った。

 人間が化け物である私に言ったのだ。

 化け物を倒すという目的を持って告げた言葉。

 ならば化け物である私が言う言葉は、化け物らしく、人間に挑ませよう。

 高らかに発声し、射殺すように見つめて、島津豊久の眉間に銃を突きつける。

「ならば私を奪ってみろ人間!

 貴様が私を殺すというのであれば、私の全てを殺しつくしてみろ!

 死の河を埋め尽くし、領地を燃やしつくし、城壁を打ち砕き、城に入り込むがいい。

 死に怯えながらにして死に闘争を挑み、他者と争いながらにして己の力を認識する。

 己の全てを出す事に恐怖を覚え、そして出した時にその快楽に酔いしれるか?

 酔えぬというなら更に上乗せしてみろ人間。

 そうすれば、眼前の化け物を倒せるかもしれんぞ?

 さあ、闘争を始めよう。

 活目し、渇望し、喝采し、終わりまで見届けれるのは誰だ?

 見届けたいのならば化け物と人間の謳われてきた物語のような結末を再現してみせろ! 人間!」

 悪魔は、魔王は、化け物は、人間に倒されなければいけないのだから。

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