「そもそもカッコいいって、何故そう思うの?」
前から気になっていた皐月のオートワード。
イチカは自分もやってみたいと思って、自分なりに文章を考えてみたのだが全然納得がいかなかった。
【俺の闇が囁いている。お前を倒せばその囁きは消える】
【この眼に映る貴様は、ただの壁にもならない】
……全然カッコよく感じられなくて、イチカはどうすればいいのかな~とカッコよくて面白いと思った好きな漫画を読み漁っても、解決策が思い浮かばなかった。
なので、手詰まり感を感じて、ログインした皐月に直接聞いてみた返答が、冒頭の言葉であった。
「え? 何となくだよ
「うん、出来ればその何となくってのを自分で明確に理解することが重要だよ。チカちゃん」
先生みたいに話してくれる皐月。
しかし、多人数を相手にする先生相手ではなく、自分を見て話してくれる状況なので、素直に受け入れやすい。
「んっと、文章が見たことも無い内容だったから、凄く印象的だった」
時折、素の自分が言うような言葉になっていることに、チカは気づいていない。
「つまり、新鮮さを感じたから、目を引いたってことになるね」
「それとクエスト開始場面とか、クエスト達成時にぴったりなオートワードだっと思う」
改めて考えてみると、皐月のオートワードは状況にあった台詞だった。
「それと皐月のキャラクリがそういうコンセプトだと言ってたから、そのキャラらしかった気がした」
そう、皐月のキャラを見てると、軍人服が基本・レンジャーメイン・凛々しめのキャラクリとキャラ設定がある程度できている。
その為、皐月がサブキャラを遣えば、皐月という人間は変わらないが、皐月というキャラではないと自然と思ってしまうのだ。
「……うーん、何となくわかったけど、どう言えばいいかわからない」
「いいのいいの。いきなり全部理解できるほうが、こちらも戸惑うから」
皐月としては、イチカの話し方やなりきりが甘いのを見ていれば、学生だろうなと当たりを付けている。性別までは確信を持っていないが、いい子であることに間違いはない。
「もう少しわかりやすく言うと、説得力があるかというのが大事なんだ」
「説得力?」
「そう、身近な例としてテトラちゃんを出そう。今テトラちゃんは必死になってエキスパを達成しようとしている。
では、例えばテトラちゃんがエネミーのパターン覚えたから、もう少しでクリアできますと宣言する。
では違う人で、エクス独極に挑戦もしていないのに、クリアなんてその気になれば楽勝。
さて、どっちの言葉が納得できる?」
前者を選択するのはわかっている。それでも言葉として明確に伝える皐月。
「テトラだな。だってあいつは最近凄く頑張ってるし、実際に色々な方法で挑戦してるんだぜ? なのに挑戦もしてないやつの楽勝なんて信用できるわけない」
実際にクリアできるかもしれないが、そこに信用される要素が無い。
「そういうこと、つまりこの時点で後者の人の言葉に、中身が無いというのをチカちゃんは理解してるんだ」
「……あ」
「中身が伴ってない言葉なんて、上っ面だけを掬っているだけで、その言葉の意味なんて理解できていないって事さ。
だから、どんなにカッコいい台詞を入れたとしても、そこには中身も無ければ説得力も重みも無い
何となく理解していた内容をが明確に理解できてくるイチカ。
つまりは、漫画やゲームでよくある【深淵が】・【俺の邪悪な意志が目覚める】だとかの台詞も考えていくと、PSO2の場合、ファントムクラスのキョクヤはどこに説得力があるのだろうとか。
「だから、PSO2のストーリーもラノベだとか単純だとか言ってるけど、何だかんだで頑張ってるのは見えてるよー。必死に説得力出そうとして一部空回りもしてるけどね」
「……う~ん」
「さてチカちゃん。カッコいい台詞を入れたいと言ったね?」
「お、おう確かに言ったけど、話聞いたら余計難しく思えてきた」
何だろう? ゲーム上とはいえ何となく皐月が邪悪な顔をしているように思えてきた。
「言葉ってねー。同じ台詞でも名詞が違うだけで、意味は大体一緒なんだよ。
でも、普段聞きなれない言葉だから新鮮にも感じて、かっこよく見えるってのはさっき言った通り。だ・か・ら近道はね……国語の勉強しようか♪」
「……え」
「特に漢字検定1級の漢字なんて、本当に凄いよー。でもそれ使いこなせたら凄くかっこいい台詞も出せるねー♪ さあ、お勉強を始めようか? チカちゃん」
チカちゃん女子中学生。勉強は大事と理解しているが、それよりもゲームしたい年頃です。