「いくで、パットン。これが俺の友情と努力のサポートや!」
「おう、その友情と努力無駄にはせん!」
先ほど、バットでぶったたき、行動停止した敵に対し、タカはあらん限りの力でバットをぶん回した。
「俺の夢と友情よ! 男のロマンを叶えるためにぶっとべー!」
バチコ―――――――ン!
そして、敵は待機していたパットンの頭上6m位の場所に飛んでいく。
「おっしゃ、いくぜ!」
パットンはタカが飛ばした敵を目で追いながら、身を少し沈ませた。
そして、足に誰から見ても判るほどの力を込めて、飛んだ。
「うおおおお」
そのジャンプした勢いのままに、敵を空中でキャッチしたパットン。
そして、手早く敵の足を片方ずつ手で掴み、脇下に両足を差し入れ固定する。
「食らえ、必殺パットンドライバー!」
「貴方たちは何やってるんですかー!」
城からナナスの的確な突っ込みが抜群のタイミングで流れた。
「何て、突っ込み満載プロレス?」
「プロレスは知りませんが、真面目に戦ってください!」
「失敬な、真面目に戦ってるけど超人並に動けるんやで。余裕あったら普通は出来へんと諦めてる技を男としてはやらんわけにはいかんのや!」
ドゴ――――――ン
「お、ええ音したな。さすが俺の見込んだ男や、パットン」
そういいながら、タカは腕組みして何度も頷く仕草をした。
「……何で、イデヨンはこの人を勇者と認定したんだろう」
声を聞いているだけで、タカはナナスがさめざめと泣いている景色が思い浮かぶ。
しかし、ナナスに告げる一言は、
「でも、ナナス君。イデヨン作ったの君やで?」
「……」
とりあえず、ある意味とどめの台詞を送っておく事だった。
その後、今日のノルマ分の戦闘を終わらせたタカはヒーローと交替で城に戻った。
「うし、今日もよー働いた。メシ食うか」
其の足でそのまま、食堂に向かう事にする。
作り置きしてあるバイキング方式の色取り取りのメニューに目を配らせるタカ。
ここの料理は結構美味しいので密かにタカは楽しみにしている。
「んー、小腹空いてる程度やし、間食位の量にしとくか」
そう言いながら、タカは中皿に五種類のオカズをそれぞれ二口で食べきれる量を載せた。
「さて、食うか」
異世界で何度目かになる食事に、嬉しさを感じながらタカは食おうとした矢先、
「ん? タカ。あんた今からメシなの?」
不意に呼ばれたタカは、声のする方向に向きながら一口食べた。
「ほへ? ミュラひゃん」
「口に食べ物入れたまましゃべるんじゃない!」
間髪入れずに怒られた。
「すんません! 私がわるうございました」
ミュラの剣幕にタカは即座に謝る。
「まったく、食事が嬉しいのはわかるけど、行儀よくしなよ」
「はい」
タカは素直に返事して、口を拭いた。
「まあ、あたしも食べようとしたとこ、声掛けて悪かったね」
「別に気にしてないで。ミュラさんも食事?」
「いや、あたしは出撃の前に軽く水飲もうと思っただけだよ」
「ああ、次出番なんや」
「そういうこと、少しずつイデヨンで異世界勇者が増えてきたけど、元からいるあたしらが一番頑張らないとね」
「最古参の一人やしね。ミュラさん」
「最古参は余計だよ。異世界勇者に負けていられないからね」
「女性やのに、男前としかいえません」
タカとしても、ママトトをプレイした時に一番お気に入りのキャラだったりする。
「さて、んじゃ行ってくるよ。邪魔して悪かったね」
「ええよー、ミュラさんやったらいつでも大歓迎やで」
「あははは、あんたが来てからナナスも元気だしね。あんまりいじめるんじゃないよ」
「いじめてないで。男の浪漫をやったらナナス君が突っ込んできただけや」
「はいはい」
そう言って、ミュラは食堂から出て行った。
そして、タカも食事を再開しようとした矢先、
「タカさん、すいません。ヒーローがやられました。緊急で再度出撃願います」
「……メシお預け?」
「戦線維持のため、早急に出撃願います」
「ふふふふ、俺の楽しみ奪うか。モンスターごときめ」
タカはそう言いながら、立ち上がる。
そして、一口しか食べれなかった皿のオカズを名残惜しそうに眺める。
「この恨み晴らさでおくべきか」
不機嫌丸出しの顔になりながらタカは出撃ルームに向かう。
十分後、
「俺のバットが光って唸る。食い物の恨みを晴らせと轟き叫ぶ!
食らえ、人間三大欲求ライナ―――!」
「ですから、真面目に戦ってください!」
今日も今日とて、ナナスはタカに突っ込みを繰り返すのであった。