「ひとーつ、チームの日本一を願っては応援し」
タカは敵に向かい、すれ違いざまにバットで叩く。
「ふたーつ、タイトルを取得することに願いを込め」
だが、一撃で沈まなかった敵が反撃してくるがタカはひらりと回避。
「みっつ、東の兎をぶち殺すことを背中に刻む」
もう一度、バットでぶったたいて、一時の行動を停止させる。そして、
「阪・神・優・勝!」
願いと怨念と怒りと歓喜の感情を重ね合わせながら、敵をアッパースイングで星にした。
「うし、今日も絶好調♪」
タカは満面の笑顔でバットを左肩に担ぎながら言った。
「なんべんやっても、実際に敵をバットでアーチできるのは楽しいな。でも、アーチ以外で楽しむネタ欲しいなあ」
同じネタではいつかマンネリになるなあと思いながら悩むタカ。
そう思いながら、
「さて次はどいつや」
次の獲物を探すタカ。
そして、次の獲物を見つけた瞬間、
「あ、女の子モンスターかー。うーん」
タカの目線の先には、メイドさんがいた。
無論敵であるから、問答無用でブッ飛ばすべきなのであるが、心情としてはやりにくい。
ついでに普通に可愛いので余計やりにくい。
これが通称いやなやつだと、ケツバットをプレゼント必須がタカの常識。
「でも、躊躇したら熱湯ぶっかけられるしなあ」
一度背後からティーポット一式をぶつけられたタカとしては、二度と御免被る攻撃である。
しかも、攻撃の仕方はドジッ娘メイドバージョン。
タカ同様突っ込み満載な攻撃である。
迷ってる間にメイドさんもタカに気付いたようで、何故か笑顔でタカに突撃してきた。
しっかりと両手には熱湯入りのティーポット一式。
「……レオに任して逃げるか」
魔物使いレオパルドは最近召喚された異世界勇者。
色々な女の子モンスターを従えてるので、ある意味男性一同からしたら一番の憎たらしい敵かもしれない。
「でも、其のうち女の子モンスターやからて四の五の言うてられへんような状況もあるやろうしなあ。どないしょ」
異次元穴だと、女の子モンスターしか出ないステージがあったことを思い出すタカ。
「俺、理性保てるかな?」
どっかの鬼畜は可愛いければ何でもOKだが、タカとて男。
外見が良ければ基本嬉しいし、性格も好みなら恋人にしたいと思うのは男のサガ。
人外でもよっぽど外見が気持ち悪くなければ、タカとしては付き合えると思っている。
しかし現実だとタカが働いてる会社で働く若い女は、基本がブランド狂い・礼儀の欠けた女・仕事は責任転嫁のどれかで、どんなに外見綺麗にしてても人間として相手にしたくなかったりする。
「とりあえず、男の子モンスターぶちのめして今日のノルマこなすか」
その後、タカは豚と骸骨と毬藻みたいな敵をホームランしておく。
そうこうするとタカが戦っている間に、敵の出現が減ってきたのでママトトが前進していく。
そうすると前方に宝箱が見えてきた
「お、宝箱」
偶に何故宝箱があるのか疑問に思ってしまうが、元はゲームということでタカは深く考えない事にしている。
宝箱・異世界勇者召喚用鉱石の回収はナナスが作成したキッズのみゅうでないと出来ない。
しかし、みゅうというキッズは戦闘用でないので、メンバーが守らなければならないのだ。
其の為、戦闘用でないキッズが出撃した時には、守備陣形を組むのがセオリーなので、
「陣形が出来たらキッズのみゅうの出番か。守らなあかんからノルマは一旦無視やな」
他に出撃しているメンバーも同様に思ったのだろう。宝箱までの進路近くにメンバーが集まる。
タカもそれに習い、みゅうの進路を確保しようとする。
そこにタイミングを見計らっていたであろうナナスが放送。
「出撃中の皆さん、みゅうを投入します。今はあまり余裕が無いため、みゅうの耐久力は低めです。申し訳ありませんが敵を絶対に近づかせないでください」
「っち、しゃーないか。ここ最近敵が強なって異世界勇者のLV上げんと厳しいからなあ」
タカもこの間、優先的とはいえようやくLV上げてもらったのでナナスの苦しい台所事情がわかる。
「とにかくブッ飛ばしでキッズに攻撃させんよう頑張るか」
だが、タカはかなり厳しいと感じていた。
ただのモンスターなら、対処は相応にできるのだが、骸骨のモンスターは突然回廊から出現するため、どうしてもキッズの守備が出来ないときがある。
そのため、普段ならキッズを出撃させる時は、最低一番傍にいる異世界勇者が駆けつけれる時間まで耐えれるようにしている。
しかし、今回ナナスが低めと言ったという事は、その時間さえも無いということ。
タカは骸骨が出現しない事を祈りながら、敵をブッ飛ばす。
「回廊の果てまで、芸術的なアーチしてこい!」
タカはバットでキッズに近づこうとした敵を即座にブッ飛ばす。
確実に殲滅よりも、キッズから離すことを目的とするため、確実な殲滅よりも時間稼ぎを目的としている。
タカもナナスから、まずは敵をキッズに近寄らせないようにして欲しいと言われている。
無論、殲滅できれば一番いいが、キッズが働ける状況に出来ればいいのである。
タカはノルマ以上の敵を倒して疲弊しながらも、毬藻な敵をなんとか行動停止に追い込んだ。
そして、宝箱に向かっているキッズを確認する。
「うし、キッズ、後もうちょっとで宝箱回収や」
確認したタカは安心しようとした瞬間、
「っげ! 骸骨」
その宝箱の眼前で骸骨が出現した。
だが、キッズは宝箱に向かって進むというプログラムの元に進んでいく。
到底間に合う距離ではない。
タカは焦った。そして先程行動停止した毬藻を見た瞬間、間に合わせる方法が出た。
「毬藻、骸骨に向かってぶっ飛べー! モンスタービリヤード!」
言葉のままに、タカは毬藻を弾丸ライナーにした。
タカの現在のあらん限りの力でライナーにした毬藻が飛んでいく。
そして今、まさにみゅうに向かって攻撃しようと突進していた骸骨に当たって、2体は吹き飛ばされた。
「おし、成功!」
タカは思わずガッツポーズ。
しかし、タカはガッツポーズのままに
「あら?」
間抜けな声を上げる事になってしまった。
骸骨が弾かれて、みゅうがその隙に宝箱回収は出来た。
だが毬藻が骸骨に当たった後、弾かれた骸骨と毬藻。
その2体がみゅうをカバーしようとした、タカ同様疲弊したままで走っていたメンバーに衝突したのだ。
ある意味、カウンター気味に攻撃を食らったメンバーはノックダウン。
二体と二人の死屍累々な状況が出来てしまったのだ。
「……えーと、やってもうた? 二人とも生きてます?」
「……」
「ごめんな。みゅうを守るためとはいえ、共倒れにしてもうたわ」
タカは倒れた二人に謝罪しながら、とりあえず毬藻と骸骨のとどめをしておく。
だが、其の間もノックダウンした二人の反応は無い。
「とりあえず、後で俺自慢のたこ焼き作るから勘弁な」
そう言いながら、タカは二人を城に回収しながら撤退した。
しかし、メンバーに謝罪したタカは思った。
モンスタービリヤードが成功した瞬間、物凄く楽しかった事に。
その後、タカの攻撃にモンスタービリヤードという技が入ったことは言うまでもない。
後書き
ゲームでブッ飛ばししながら、ビリヤードが思い浮かんだ。後悔はしていない。
そして、皆に聞く。
君は躊躇無く女の子モンスターを攻撃できるか?
私は躊躇無くお持ち帰りを選択する。