短編・中編まとめ   作:ayasaki

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素敵に無敵に大胆不敵に行こう 日本シリーズ

上段より振り下ろされる攻撃に、タカはバットを振りぬく。

そして敵の得物とバットがぶつかり合い、火花が散る。

力比べとなる鍔迫り合いの状況となり、タカは歯を食いしばりながら力を込める。だが敵も同様に力を込めるので、拮抗状態となり時間だけが過ぎようとしている。

しかし、それはタカにとって危険な状態だった。

今は出撃しているメンバーは少なく、敵はメンバーの数より多い。

ならば手の空いている敵が拮抗状態となったタカを狙って攻撃すれば、一巻の終わりである。

それがわかっていてもタカは、鍔迫り合いを止める事は出来ない。力を緩めればそのまま倒される。かといってすぐに敵を倒せる程の時間が無いのだ。

そのことにタカは焦り、心の中で舌打ちする。

そして尚も力を込めてくる敵を睨みつけて、無理矢理鍔迫り合いを終わらせる方法に出ようとした矢先、状況が劇的に変化を告げた。

「はっ!」

烈風のような声が響いた。

そして鍔迫り合いをしていた敵が真っ二つに切り裂かれた。

「ふむ、大丈夫かタカ?」

タカを助けたのは女性。薙刀と軽装の防具を装着し、戦を愛す戦姫。

本来は千姫と呼ぶが、戦好きが知られる事により、戦姫と呼ばれる女性。

「ん、助かったありがとう」

「礼を言われるほどの事ではない。この状況で味方が減るのは更に厳しいからな」

そう言いながら、近づいてきた敵を薙刀で屠りながら戦姫は言った。

「まあ、それはそれか。でもそんな戦も好きなんやろ?」

「うむ、だが今はそうも言ってられん」

体勢を立て直したタカはその台詞を聞きながら、バットを構えなおす。

「今ナナス殿が城内の要員に緊急出撃をさせようとしているところだ、其の間は私とタカが中心となって持ちこたえねばならない」

「どれくらい?」

「5分」

「……きついな、他のメンバーも軒並み撤退せなあかんような疲労具合や」

先程召喚鉱石を手に入れた後に、予想以上の敵が出現した為に、出撃していたメンバーは幾人かが耐え切れずに離脱していったのだ。

この状況で5分は厳しい、それでもやらねばママトトが落ちることになるのは絶対防がねばならない。

「タカ、私が敵を引き付けるから、お前はとにかくブッ飛ばしをしろ」

其の言葉を戦姫は言った後、タカの返事も聞かずに敵の渦中に突っ込んだ。

「な!」

その行動にタカは驚くが、しかし同時に戦姫らしいと思いながら自分の義務を果たす事を考える。

今はとにかく時間稼ぎと戦線の維持。ならばママトトから戦力を分散させて倒されないようにすれば戦姫の行動は愚ではない。

敵の渦中に突っ込んだ戦姫は、暴風の様に薙刀を振り回し、自らも遠心力を利用して回転しながら敵を切り裂いていく。

タカもそれに合わせて怯んだ敵をバットでブッ飛ばす。

しかし、それでも敵の数は中々減らずタカと戦姫の体力ばかりが消耗していく。

「ああもう! 援軍はまだか」

いらつく心のままにタカはぼやく。

だがそのぼやきが一瞬の隙となってしまう。

「タカ!」

戦姫が叫び声を上げる。

其の瞬間、タカはバットに衝撃を受けて吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「ぐあ!」

バットから伝わる衝撃の為、怪我になるほどではなかったが体力を著しく持っていかれる。それでも即座に立ち上がることがタカは出来なかった。

そしてタカが立ち上がろうとして前を向いた時、敵がタカに向かって得物を振り下ろそうとしている。

(あ、やば)

心の中で呟き、それでも防御しようとした時、予想もしなかったことがおきた。

いきなり敵の得物に甲高い音が鳴り、そして敵の胴体に何かが突き刺さったのだ。

タカはその瞬間を逃さず、立ち上がって間合いを空けてバットを構えなおしながら、敵の状態を確認しようとした時、

「誰だ、貴様は誰だ!」

モンスターの集団の中で知能が高い敵が、上を見ながら言ったのだ。

それに釣られてタカは視線の先、ママトト城壁を見る。

「モンスター達! その悪事、ここで終わりです!」

(この口上は! まさか)

「悪鬼彷徨う現の闇を! 払うは月影…我、上弦なりっ!

高らかに響き渡る声、美しく凛凛しく覇気の篭った声が聞こえる。その声にタカも戦姫もモンスター達も注目してしまう。

「想破上弦衆、閃忍。ハルカ、見参!」

(超昂ヒロイン来たー!)

 その口上にタカは衝動的に喝采したくなりそうになるが、さすがに戦闘中なので抑える。

「モンスター達! 世界平和を願い、邁進するママトトの行動を妨げようとする非道の悪事…許す裁き、もはやあり得る筈も無し。我が背に負いし月影に代わり、忍の技にて砕きます!」

 言い終わると共に、ハルカが城壁から飛び降りる。

そしてまるで小太刀のような苦無を逆手に持ち、モンスター達の集団に突っ込み始めた。

「雷針撃!」

ハルカが言葉を紡いだ瞬間に、雷が迸り攻撃を食らったモンスターが倒れる。

それを見て、タカもモンスター殲滅に最行動しはじめる。

そしてハルカの登場により、場の流れはママトト側に傾く。

「ぶっ飛べー!」

「は!」

「穿! 四門五月雨!」

タカ、戦姫、ハルカの声が出るたびにモンスターが殲滅されていく。

5分後、モンスター達は殆ど壊滅状態となり、戦姫とタカは援軍となるPT達と交代で撤退。ハルカも召喚された直後に戦闘となったので同時に撤退となった。

この後、タカ・戦姫・ハルカは食堂へと向かい改めて自己紹介をする。

「んじゃ改めて自己紹介。タカと言います。援護してくれてありがとうございます。おかげで乗り切ること出来ました」

初対面であり戦闘の助けもあり、タカは敬語で話しながらハルカに頭を下げた。

「千と言う。皆からは戦姫と呼ばれる。先程は助かった、礼を言う」

「鷹守ハルカと申します。これから共に戦うのです。おきになさらないで下さい」

ハルカはそう言いながら、穏やかな笑みを浮かべる。

「助けてくれたんやから礼を言うのは当たり前ですって」

タカもハルカの笑顔を見ながら、やはり美人だなと思いながら返事する。

「その通りだな。だがこういうところを見るとタカも常識はちゃんと持っていたんだな」

「失敬な、俺かて常識は普通に心得てるわ」

「普段の行動が行動だからな」

「真面目にする時と、ふざける時を分けてるだけや」

「とてもそうは見えんが」

「ひど! 俺の心は傷ついた!」

「なら、その傷口に塩を塗りこんでいいか?」

「更にひど! それが人の台詞か!?」

 おふざけを入れながら、タカと戦姫は言い合いをするがタカは半分楽しんでいる。

「あ、あの喧嘩はよくないです」

しかしタカと戦姫の言い合いに、おふざけと判らなかったハルカが戸惑いを見せながら仲裁しようとする。

「ああ、ごめん。置いてけぼりにさせてしもうた。安心して、喧嘩してるわけじゃないから」

タカはハルカの方に顔を向けて、安心させるために言う。

「あ、そうなんですか。少しびっくりしました」

ハルカは胸に手を置きながら言った。

その行動でタカの視線がハルカの胸元に行ってしまうが、タカはとりあえず視線を逸らして考えないようにした。

ただでさえ人気女性キャラであり、誰々は俺の嫁と言いたくなるような女性が出てるため、タカの理性はガシガシ削られている。

そこで性欲を刺激してしまう場所を見てしまえば、タカは本能に負けてしまいそうになるのである。時には押し倒したいと考えてしまうタカとしては結構必死だったりする。

いくらモニターでHシーンを見ていても、実際に目の前に存在しているのとでは全然違うため、普通に服着て立っているだけでも本能を刺激されることがあったりする。

だが実力行使してもそう簡単に成功する事は無いと、タカも理解しているがそれはそれだったりする。

「そういえば先程の口上なんだが、いつも実行しているのか?」

戦姫がお茶を少し飲んだ後に、ハルカに質問を投げかける。

「はい、私の世界でもノロイ党という悪事を働く集団がいるんです。そしてその集団は人々の暗い感情を糧にしようとしています。そこで私達上弦衆が防ぐために、あの口上で人々の心を守ろうとしているんです」

「ふむ、そういうことなのか」

戦姫はハルカの台詞に納得している。しかしタカは違う事を考える。

(あれって、特撮モノのノリやからなあ。ゲームで聞いてるときは楽しかったけど、時と場所間違えたら物凄い恥ずかしいやろうな)

そんなことを思いながら、ついでとばかしにタカはハルカに聞く。

「ってことは、鷹守さんは結構口上の練習したんですか?」

「う、はい。部屋で練習しましたが最初は気恥ずかしかったですし、とちるのもありましたから」

ハルカの言葉に何となくその光景が思い浮かんだタカは、少し噴き出す。

「だが本番で間違えたら恥ずかしいどころじゃないな」

戦姫も少し口元を押さえながら言った。

「でも練習やから、とちるのも恥ずかしいのもええやろうけど、決めた時は物凄い気持ち良さそう」

「怪忍と戦う前準備でもありますから、気持ちいいとか考えてる暇は無いですよ?」

「勝利した後は?」

「……実を言えば少し気持ちよかったりします。それにタカマル様も労ってくださいますから」

「タカマル、想い人か?」

戦姫が直球ど真ん中ストレートな台詞をハルカに告げた。

「……はい。そして私が所属する上弦衆の次期頭領様です。とてもお優しい方です」

頬を染めながら、ハルカが嬉しそうに言う。

その表情にタカは萌えながらも、想像の中でタカマルをホームランしておく。

ついでにこの台詞で純愛系のルートに突入しているなと確信する。

「あ~う~。惚気聞いたせいで暑くなってきた。シャワー浴びてこよーと」

「そ、そういうのじゃありません!」

ハルカがどもりながら抗議するが、説得力は皆無である。

「ふむ、私は色恋沙汰はわからないが、顔を赤くしながら言ってもな」

「う、二人とも意地悪です」

「しかし、戦を始める前に口上を言うのはいいな。私は戦が始まるならば高揚するが兵士達を高揚するのに口上をするのも大切だからな」

戦姫がマイペースに強引に口上の事に話を戻して、自分も口上してみるのもいいかなと言った。

「あの~私の台詞聞いてますか?」

「鷹守さん、戦姫は基本マイペースやから、あんまり気にしないほうがいいですよ」

「今の行動を見た限り、それは理解できましたが……このまま思われるのも嫌なんですが」

「別にええんちゃう? 鷹守さんがタカマルって人が好きってのは事実でしょ? 後であんまり言いふらさんように言い含めればいいだけやと思うけど」

「あう、面と向かって言われると恥ずかしいのですが」

ハルカがそう言いながら、顔を下に向ける。

タカはその仕草に更に萌えながら、脳内カメラで保存しておくのは言うまでも無い。

「よし、これで行こう」

「ん? もう出来たん?」

戦姫が一度首を縦に振って声を上げる。

タカは出来るのが速いなと思い、返答を促す。

「うむ、私にピッタリな口上だ」

「兵士に向かって言うんじゃないんかい」

 やはりマイペースな戦姫。だがどんな口上をするのかなと思い、タカは少しワクワクしながら心待ちにする。

「諸君 私は戦が好きだ」

「って、それは口上違うやろ!」

タカ、刹那を越える速度で突っ込みを入れる。

しかし、戦姫は次の日の出撃前に本気でこれを行う。結果一部のメンバーが同調し、この後、ママトト内にて個人の口上を作るのが流行り、出撃前にやろうとする異世界勇者メンバーが出るのはまた別のお話。




没ネタ
「我が背に負いし月影に代わり、忍の技にて砕きます!」
「おし、決め台詞シーンゲット」
タカはそう言いながら、ハルカ達を尚もカメラで取り続ける。
「……タカさん、何故カメラを持っているんですか?」
ハルカがジト目でタカを見ながら言ってきた。
「ああ、これ野武彦さんのビデオカメラ」
タカはハルカの言った事に対して、軽く言い返して尚も取り続ける。
「そして何故私達を撮っているんですか?」
「無論、また鑑賞したいため」
 
 理由
やはり登場シーンが映えるのは下から見上げる光景のほうがいいと思い、横からビデオで撮るのは邪道に思えた。後、変身シーンも撮らせようかと思ったが、さすがにあれなので没。
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