装備やAIの設定難しいだろうけど、エアレイダー好きなんで少し寂しい。
転生。
最近よくあるお話にされて、大概は異世界でハーレム築くんだーとかいうどうでもいいお話が多い。
偶に違う世界もあるが、基本自分だけ特別な能力が無いと許されない。
で、上記みたいな内容を何故自分が言うかというと、
「……ゲームは大好きだけど、この世界に転生したいかと言われて喜ぶやつはいないと思う」
『次のニュースです。EDFは来月228基地にて親善イベントを開催するそうです』
どう考えても地球防衛軍の世界です。
……何で転生先が地球規模で逃げ場のない戦場なのさ!
蟻に食われて死ねと!?
酸に溶かされて死ねと!?
光線で消されろと!?
蜘蛛の糸に斬られて死ねと!?
それが嫌なら兵士になって戦えと言う事ですか!?
その兵士でも殉職だらけなんですけど。
「っふ、現実を見るか」
体育座りして夕焼け見ながら、諦めて死ぬしかないのかなあ。
いや、一応生き残れる可能性は僅かながら残ってはいる。
だが、しかしそれは本当に僅かながらである。
うん、まあゲームやりこんだ身としては理解しているのだ。
それはゲーム主人公であるストーム1の傍に行くことである。
常に最前線で戦っていて、敗戦状況からひっくり返す人類の代表者でありワンマンアーミーを超える英雄さん。
……一応他の候補は作戦本部に所属するとかもあるが、無線だとあれだけど超エリート集団なんだよね。あれでも。
普通に地球規模の軍隊纏める司令部がエリートなわけがないわけだ。
……いくら転生してても少しくらいのアドバンテージで超エリート集団の中に入れません。
うん、まあ前世の経験もあったし機械関連は好きなので大型トラックやフォークリフトとかの免許は取ってはいた。
またドローンとかも面白いなあと思って、スマホで撮影したこともあった。
そして何よりもビークルを操作できれば、自分の身を守れる可能性が高くなる。
「やるかあエアレイダー」
そんな消極的な理由と身の保身を考えた結果、自分はEDFに入隊するのであった。
ちなみに半年生き残れば5000万くれるそうだが、生き残っても使える場所は既になくなっているわ!
そして地球防衛軍の世界通りプライマーは攻めて来るのであった。
そして自分はストーム部隊と共に最前線。
「もうやだあああああああ! 無理! 皆頑張ってー! あ、パワポとガード設置したから自分の周り来て―」
「よし、効果範囲内に固まれ。エアレイダー空爆要請は!?」
「今やってますよ! 9時方向にフォボス。
ビークルももう少しで到着予定です」
軍曹の指揮の元、皆の援護で目まぐるしいエアレイダー。
そして、そんな自分なりに頑張ってるところで、
「ストーム1! 出過ぎだ! 戻れ!」
我等人類の代表者であり、ワンマンアーミーが敵陣に単身突っ込む。
「だああああ! 数えきれん敵の中突っ込まないでー!」
「大将だからなあ」
「だがあいつがいてこそ成り立っている作戦だ。援護しろエアレイダー!」
泣きたい。嘆きたい。でも離れたら死ぬ。
とにかくストーム1の突っ込んだ場所にFZ-GUN投げて援護だ。
ゲーム中でどんだけNPC達見殺しにしていたか。すまんNPC。
「ラ、ライフベンダーあと3個です」
ゲーム以上に価値が桁外れに上がった命綱の体力回復装置が頼りなくもある。
でもそれ以上にストーム1と離れる方が洒落にならない。
「まったく、ストーム1といると退屈しないな」
「まったくだな死神。だが……嫌いじゃない!」
うん、ゲーム中でも頼りにしていた(囮)ストーム3と4が言う。
「教授~、もっと強い武器頂戴。
長距離から一撃で倒せて、安全に狙えて、攻撃範囲広くて耐久力の高すぎるビークルプリーーーーーーズ!」
「エアレイダー、喋ることで平静を取り戻すのはいいが手も動かせ!」
「やってますよ。もう少しでビークル来ますから、そしたら突撃しますよ!」
ゲームでもよくやってることである。
ビークル乗って敵陣突撃して、耐久壊れて死亡もお約束だけど。
「ああ! 色気たっぷりの巨乳美女とイチャイチャして現実逃避してえ!
ゲームしてえ! 美味しいもの食いたい―! もうレーションやだあああ!」
エアレイダーは知らない。
このストームチームで唯一エアレイダーとして参戦している彼も、他の部隊からは人外認定されていることを。
支援・援護・補助・要請を一手に引き受け、司令部に我儘を言いまくってストームチームの装備を必死に充実させているのだ。
そして……あくまでも人類の代表者はストーム1と思っていることで、自分はあくまでもNPC同然と考えていたことを。
そんなエアレイダーをストーム1が全面的に頼りにしていることを知らない。
戦果という点では派手ではないが、ストーム1にとって心の拠り所となっていた仲間達。
そんな守ってくれると思い込んでる戦友達を毎回必死に生き残らせようとしていたと言う事を。
3年後……。
「弾丸がああ。燃料がああ。
うう整備するドローン多すぎてもうやだあああああ!
ああデプスちゃんだけが俺の癒し」
「エアレイダー! 侵入者だ! 出撃するぞ」
「ふっざけんなー!
こちとら2轍してんだぞ!
人手不足理解してるからって整備1人でやってんだぞ―――!」
そんなこんなでエアレイダーは働き続ける。
死なない代わりに過労死が鼻で笑うレベルで働くエアレイダーであった。
ループ7週目。
「いかそうめん・たこ焼き・ゲソ天ぷらが食える気分じゃなくなったよ、こんちくしょう!」
「ホタテに醤油垂らして食うのも美味かったものだな」
エアレイダーの言葉にストーム1が応える。
「チーズバーガーに思いっきり齧り付くのが最高だったんだ」
ループ8週目。
「最初の戦闘終わってひと段落したら豪遊するぞこらー! 女っけを寄越せー」
「……エアレイダーは今日も元気だな」
「最初はそのテンションについていけなかったが、もう慣れてしまったよ」
ループ9週目。
「今日も最前線。明日も最前線~♪
もう顔を上げ―笑えー我等も共に逝こう~」
「デプスに頬擦りするのはいいが、プルートもいいものなんだぞ?」
「開発した武器が役立ってるのは嬉しいんだが、君達最近はっちゃけすぎてないか?」
ループXX週目。
「生き残るって何だっけ?」
「プライマーを全て滅ぼすまでさ」
「君達がいるからこそ、そして愛する妻がいるからこそ、私は戦い続けれるのさ」
そして、正確に数える事もしなくなったループの中で、
「……ようやく終わったんだな」
「……ああ」
「……ありがとう。君達がいたからこそ成し遂げられたんだ」
そう、いつの間にかエアレイダーは自分も代表者を支える存在になるために転生したんだと実感していた。
でも、自分はただ転生しただけの矮小な人間であり、そして原作を知っているだけで大した力になれると思っていなかった。
だけど、生き残るために必死になっている間に戦友達との絆。そしてストーム1・教授との間に確かな信頼関係が芽生えていた。
だから、ずっとストーム1の傍で戦い続けてきた。
愚直に一心不乱に地球を守るために戦い続けるストーム1を支えるために。
「なあストーム1」
「なんだエアレイダー?」
「地球って綺麗だな」
「……ああ」
この星で生まれた命たちに乾杯しよう。
俺達の故郷はここにあるんだから。