ニューヨーク跡地。
ゴジラはその地を気に入った。
荒廃したビルの中心地でゴジラは眠っていた。
そこは、もはや市街地ではなかった。
放射能と死だけが包む町、そこを異形の寄生虫たちがいきかっていた。
先ほどのギドラ族との若造の殺し合いはそこそこダメージを受けた。
いつものような本番は出せないだろう。
その地にやって来たものが二体いた。
一体は怪獣コング。
そして、もう一人はコングの巫女アナ。
「やるのね?」
アナはコングをみつめた。
コングは首を縦に振った。
「逃げるなら今しかないわよ」
コングは一蹴した。
『今更逃げ場などない』
コングはアナに目をよせ聞き返した。
『お前こそなぜここに来た』
アナは冷静に返した。
「私はあなたのそば以外に生きる場所を知らない。今更米軍と馴れあうのも無理よ。奴らに見つかれば私は一生実験台。そんなのは嫌よ」
コングは驚いた。
昔この娘は赤ん坊だった。
この娘の母はコングの先代の巫女。
彼女はソ連時代に連れてこられ、ロシア時代に謎の病にかかり死んだ。
それ以来、親代わりになる科学者が代替わりで変わった。
だが、コングは常に傍にいた。
コングはこの孤独な娘の親兄弟の代わりになる事をその日決意した。
それが今では立派な大人だ。
『成長したものだな、アナ。昔のお前は赤子であった。それが今では俺以上に、傑物になっている』
アナも決意していた。
もうどこにも行き場所がない。
恐らくGフォースは彼女を狙うだろう。
その前に、やることをやっておきたい。
「コング」
『なんだ』
アナはコングを見据えた。
真っすぐな目で。
「あなたが死ねば、私は死ぬ。だったら私も一緒にあなたのそばで死なせてちょうだい」
『……わかった。もう何を言っても聞く耳はもたんのだな』
コングはゴジラをみつめた。
『では、いくぞ!』
コングは全身の電気エネルギーを胸に溜め込み大きくさせた。
筋肉が膨張し固くなっていく。
そして、彼はドラミングをした。
ドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!!!!!
ゴジラはその音に気が付くと、起き上がった。
すると、エンパイアステートビルの近くに何かがいた。
ゴジラはその相手に見覚えがあった。
黒い毛むくじゃらの守護神はそこにいた。
彼は右腕を銀色に輝く義手をつけていた。
破壊神は起き上がり、呆れた目をぶつけた。
またこいつか、いい加減しつこいヤツだと……いわんばかりに。
グルゥ……。
コングは歯ぎしりをした。
どうやら、このゴジラは、自分を完全な格下と思っているようだ。
だが、あの時とは違う。
コングは手元にあった斧を置いた。
ドごンンンンンンン!!!!!!!!
地鳴りが響いた。
ゴジラは、その武器をみて何かに気が付いた。
そして、瞳の無い白目を大きくした。
我は見覚えがある。
覚えがある。
この道具……。
ゴジラは記憶を張り巡らせた。
今から何万年も前、このゴジラが若い頃このコングと同族が使用していた。
この斧はゴジラ族の背びれを使用した物だ。
ゴジラは小さな怒りの感情が浮かんでいった。
コングはゴジラの感情がわかった。
怒っている。
『アナ、安全な場所に逃げろ』
「わかった。コング……」
『なんだ』
アナは笑顔をみせた。
「今まで、ありがとう」
コングは逃げるアナを見送った。
そして、彼女が消えると宿敵をみつめた。
宿敵ゴジラは怒っている。
コングはもう一度、ドラミングをして獅子のような咆哮をあげた。
グガああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!
それは挑発だった。
ゴジラは、それに対してさらに大きな怒号をあげた。
グアアああああああああああオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオンンンンンンン!!!!!!!!!!
コングは思わずその圧力にのけぞりそうになった。
だが、踏ん張った。
そして、足元に置いた斧を持つと大きくジャンプしながら降りかかった。
ゴジラは、長い尾をつかうと鞭のようにはらった。
バチいいいいいいいいいイン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
コングは思わず地面に倒れた。
激痛が広がっていく。
やはり、コイツは強い。
だが、コングも強くなっていた。
あのアフリカの密林の地にたどり着くまで、コングは世界中を回って怪獣と闘っていた。
あの頃とは違う。
義手から大電流が響いた。
それはコングの肉体をより強固にさせていった。
ゴジラは鋭い牙をとがらせた口を近づけた。
コングは斧を振るった。
すると、ゴジラは焦ったように口をのけぞらせた。
『動きはのろいくせに反射神経は鋭いな』
コングは斧を取り出し、みつめた。
彼はようやくゴジラの弱点をつかんだ。
そして、再び斧を振るいゴジラの胸元にとびかかった。
ゴジラは、それを避けようとした。
攻守は逆転した。
コングは、喜んだ。
だが、それは束の間だった。
ゴジラは、その大きな足を延ばしてコングの顔面を押すように蹴り飛ばした。
それはコングの顔面に見事に当たった。
コングの顔面に当たった蹴りはコングの顔面を揺らした。
ゴンッ……。
嫌な音がした。
コングは地面に倒れた。
彼の世界は揺れて一つの物が複数に見えるほどの衝撃を受けた。
地面に倒れたコングはその時斧を手放してしまった。
ズシィイイイン…………!!!!!
地響きが聞こえた。
なんとかしないといけない。
コングが困惑する中、ゴジラはまじまじと迫ってきた。
そして、コングがようやく斧の近くに来た瞬間だった。
シュゴおおおおおおおッ!!!!!!!!
コングは何かに気が付いた。
足だ。
その足はコングの腹部を蹴り上げた。
腹部に激痛が走った。
コングの体は浮かび上がった。
そして、3000m先の場所まで吹き飛ばされた。
人類の守護神は悶絶しながら、苦痛を抑えた。
ゴジラは、それに気が付くと尾をのばしていた。
地面に倒れ無言でのたうちまわっていたコングだが、巨大な尾がこん棒のように振り下ろされていると気が付いた。
そして、焦って避けた。
ズシいいいいイイいいイイン!!!!!!!!!!!!!!!!
巨大な尾が振るっている。
地割れがおきていた。
地割れは大きくなっていき、コングはよける事で精一杯だった。
その時、アナがいた。
「助けて!!!」
彼女が地割れに呑まれそうになっている。
コングは彼女をつかむと急いで手に取った。
そして、大きく飛び上がった。
その時だった。
宿敵は目を白く怪しく輝かせた。
そして、口にエネルギ―を溜め込むと軽い熱線のレーザーを浴びせた。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
コングはこの音が死と破壊の光線であることがわかった。
焦ったコングはすぐさまかけだした。
そして、超高層ビルのがれきの山々を器用にふみながら、ステップをとり逃げていった。
「ぎゃあああああああああああ!!!」
「うわああああああああああああああ!!!」
人々の悲鳴が聞こえる。
ゴジラは弱い人類が次々に犠牲になるのを、愉しんだ。
冷酷無比な怪獣王は、口から吐く光線の方向を少し曲げた。
すると、コングの踏み台にしようとしていた高層ビルのがれきにあたった。
うがああああッ!!!!!
巨猿族の生き残りは姿勢を崩した。
そして、地面に倒れそうになった。
だが、コングはアナを庇い彼女を抱き寄せた。
アナもコングの胸の毛に捕まった。
どごおおおおおおおん!!!!!!
コングは地面に倒れた。
アナは無事だった。
『遠い場所に隠れろ』
「嫌だ、あなたのそばにいたい」
ズシいいいいイイいいイイン!!!!
音がする。
ゴジラだ。
コングとアナは目を見合わせた。
黒い巨大な足が迫ってくる。
『では、逃げ続けろ。足を止めるな! 行け!!!!』
アナは言われてすぐさま駆け出した。
彼女が逃げるのを見届けたコングは、ゴジラに目を向けた。
コングは怒りの歯ぎしりをした。
ふと義手にエネルギーが溜まっていくのがわかった。
そして、体中の電気エネルギーを義手のビーストグローブに溜め込んだ。
ゴジラは口から放つ光線をまた放った。
コングは義手を使い、電気エネルギーを溜め込み巨大なフォースフィールドを張った。
ジジジジジジ‥‥!!!
巨大な電子音を立てながらフォースフィールドは広がった。
それは、ゴジラの微弱な熱線程度ならばはねのけることができたようだ。
ゴジラはいったん熱線を吐くのを辞めた。
そして、次にさらに強い高レベルの熱線を吐いた。
コングの義手も、それに反応しフォースフィールドの威力を強めた。
それは、徐々にゴジラの熱線を押していった。
だが、コングも頭に汗をかいていた。
これ以上は無理だ……だが、押しているのであれば。
ウガあああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!
獅子のような咆哮をあげると、フォースフィールドは一気に衝撃波にかわりゴジラを吹き飛ばしていった。
グギャああああああああああああッ!!!!!!
ゴジラは悲鳴を上げ横転した。
想像以上のパワーだったことにゴジラは驚いた。
それはコングも同じだった。
コングは、その時敵が背を向けていることに気が付いた。
今こそ好機。
コングは思考を張り巡らせた。
コングはその時、何かを思い出した。
ロシア軍の基地にいたとき、兵士たちがみていたプロレス。
そこで、大型のレスラーが小型レスラーの脚を使み回転して放り投げていた。
人間はこれをジャイアントスイングと言っていた。
出来るのでは……。
コングは電気エネルギーをフル稼働させながら義手に全力を込めた。
そして、ゴジラの尾をつかんだ。
ゴガアアアアああああッ!!!!!!!!!!!
コングは全力を込めた。
彼の剛力は、義手に搭載された電気の影響で何倍にも膨れ上がっていた。
そして、回転し遠心力をつけて持ち上げた。
グガああああああああああああッ!!!!!!!
ゴジラの体は宙に浮かんだ。
90万トン以上あるゴジラの体は宙に浮かぶと地面にたたきつけられた。
コングは大きく息を吐いた。
こんなに重い物は初めてだ。
素手の状態だったら持ち上がることはできなかった。
だが、この義手ならできるようだ。
だが、コングは甘かった。
怪獣王は起き上がり、身を震わせるとコングを睨んだ。
コングは素早く動いた。
攻撃の手を緩めるわけにはいかない。
そして、義手の二の腕にあたる部分にエネルギーを溜め込んだ。
義手は赤く光っていた。
コングはまたロシア人たちがみていたプロレスを思い出した。
巨大な二の腕をあてるラリアット。
それをマネた。
『くらえっ!!!!!』
ドガあああああああああああッ!!!!!!
コングラリアットはゴジラの首に突き刺さった。
そして大きく吹き飛ぶと、地面に背中から倒れた。
ズシいいいいイイイイいいイイン!!!!!!!!!!
地鳴りがする。
コングは、息を粗くした。
こんなに重たい物はそうそうない。
息を粗くすると、ゴジラをみた。
『やったか……?』
だが、ゴジラは生きていた。
何事もなかったように起き上がると、白い目で睨んだ。
ダメージはなかった。
コングはゾッとした。
思わず肝を冷やした。
ゴジラは先ほどコングが先ほど、投げた尾を使うと、コングの胴を締め上げようとした。
コングは焦って避けようとした。
だが、ゴジラの尾の動きは素早く、大蛇のように忍び寄り巻き付くとコングの首を背後から締め上げた。
ぐうウッ!!!!!
コングは首に巻き付く尾をほどこうとした。
しかしほどけることはなかった。
ゴジラは睨んだ。
白い目が輝くと、ゴジラは尾でコングの首を絞めあげたまま空中高く持ち上げた。
グガあああああああああああッ!!!!!!!!!!
ゴジラの怒りの咆哮が上がった。
600m周囲のがれきが一瞬で崩れた。
それはトドメを刺す合図だった。
やがて、ゴジラの尾はコングをつかんだまま、地面にたたきつけた。
ズシいいいいイイいいいいイン!!!!!!!!!!
コングは思わず地面に倒れた。
強い。
あまりにも強い。
ゴガッ……。
背中に激痛が走った。
ココはゴジラに以前折られた場所だ。
コングはなんとか立ち上がり、態勢を整えようとした。
だが、ゴジラは近づいていた。
コングは、それを見つめ睨むと義手にエネルギーを溜め込んだ。
そして、ゴジラの顔めがけてハンマーパンチのように拳をぶち当てた。
があああああああああああああああああああン!!!!!!!
義手なので痛みを感じない。
素手でやればコングの腕の骨が折れていただろう。
コングのパンチを受けて、ゴジラは少しのけぞっていた。
だが、反撃はすぐにきた。
ゴジラはその腕を使い、掌を信じられないスピードでコングの顔面に降りかかった。
コングはよけようとしたが、避けることができなかった。
ゴジラの掌は、コングの顔に再び当たった。
ゴジラの張り手だ。
その張り手はコングの頭蓋骨を揺らした。
ジ────────────────────────ン!!!!
耳鳴りがする。
頭蓋骨がゆれる。
吐き気がする。
先ほどの蹴りとは倍以上の物。
コングは激痛のあまり、気を失いそうになった。
ハア……はあ……はああ……。
コングの全身に汗がわきたつ。
強い。
彼は、近づくゴジラをみつめたまま、そのまま意識を失っていった。
ゴジラはコングをみつめた。
やはり、この程度か。
トドメを刺してやろう。
ゴジラは背びれを光らせ、青白い光線を浴びせようとした。
その瞬間だった。
何かの声がする。
ゴジラがみつめると、そこには米軍の戦闘機がやってきた。
彼らはミサイルを放った。
フロンティアミサイルだ。
グルウうううううううううううう!!!!!!!!
ゴジラは、怒りに震えた。
小さき者どもめ、復讐か。
彼は、海に浮かぶ『小さき者の船」をみた。
米軍の艦隊がそこにいた。
ゴジラは、気が逸れた。
艦隊のリーダーである提督は、ゴジラが反応していることに気が付いた。
「よし、撃て撃て!!!!!!!!」
すると、米軍の艦隊からは以前の仕返しとばかりに山のような量のミサイルがふってきた。
それだけではない複数のバンガーバスターもきた。
ゴジラの体を突き刺したバンガーバスターは炸裂した。
だが、ゴジラはコング以上に弱い彼らに怒りをぶつけるように、熱線を吐いた。
それは、一瞬で数隻あった戦艦を飴細工のように溶かしては破壊していった。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!」
米軍の提督は悲鳴を上げた。
ゴジラは一瞬で米軍の戦艦や空母を焼き尽くした。
邪魔者が入ったことにいら立ったゴジラが、コングを振り返った。
すると、そこにコングはいなかった。
怒り狂いゴジラは探した。
ヤツはどこだ、どこにいると。
その時だった。
センパイアステートビルの跡地から、コングがでてきた。
その手には斧があった。
彼は身を隠していたのだ……。
コングは、大きくジャンプをして飛び上がっていた。
ゴジラは熱線を放ち、コングを撃とうとした。
だが、コングの斧はゴジラのエネルギーを吸収した。
そして、ゴジラの首に斧を振り下ろした。
ザクッ!!!!!!!
斧がささった。
手ごたえがあった。
ぐぎゃああああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおおおんん!!!!!!!!!!
ゴジラは悲鳴を上げていた。
その時、破壊神の首に痛撃が走った。
今まで全く感じたことのない痛撃。
そして、コングは全力をこめて、そのまま振り下ろした。
ガチいいイイいいいいいいいいイイいいイイン!!!!!!!
音が響いた。
巨大な衝撃波が怒った。
そして、地面は大きく地割れを起こすとクレーターができていった。
どごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!
ゴジラはそのクレーターの中に堕ちていった。
地下深くにはマグマがあった。
そのマグマの中に、ゴジラは呑まれた。
はああ……はああ……はあ…………。
コングは粗く息をした。
この斧はここまでの威力があるのか。
ポタポタ…………。
コングの肩に水がかかった。
雨が降っている。
巨大な類人猿の王は、のそのそと歩きながらそこを去ろうとした。
あやつもあそこまでいけば、地面に落下しているだろう。
コングはそう思った。
流石に頭蓋骨が痛い。
コングは、頭蓋骨にひびがある事に気が付いた。
頭痛が激しい。
コングはゆっくりと歩いた。
雨はひしひしとコングの体を濡らしていった。
その時だった。
ズシィいいいいイイいいイイン!!!!!!!
轟音がした。
コングは、背中に悪寒を感じた。
彼は立ち止ると、振り返った。
そこには立っていた。
黒い岩肌。
白い目。
巨大な龍、ゴジラ。
コングはその姿に完全なる恐怖を感じた。
まだ生きていた。
ふと、コングは、みつめた。
『……‥‥!!!!!』
コングの斧は、ゴジラの首を越えて、胸に深々と突き刺さっていた。
本来であれば首がちぎれてもいいはず。
否、それだけではない。
胸に刺さっていた。
首・肩から胸に至るまで斧は刺さっていた。
だが、心臓の鼓動だけで斧の動きは止まっていた。
『バケモノの中のバケモノだ‥‥」
コングはあまりの強さに驚愕した。
ゴジラは尾を使い斧をつかんだ。
そして、コングの最強兵器を軽々と、へし折った。
その目には書いていた。
今のは痛かったぞと……。
コングは呆然とした。
腰が引けた。
首にできた傷の影響で熱線は吐けない。
だが、それは楽に死ねないということだ。
ゴジラの膂力を持って、なぶり殺しにされる。
コングは義手を使い5本の指から電撃を放った。
その光線はゴジラに当たったが、電撃を吸収して背びれに電撃は吸い込まれて行った。
ウガ……ウガ‥‥。
コングの胸に恐怖が浮かんだ。
自慢のコングアックスでも、ゴジラを殺すことは不可能。
彼は、勇気を奮い義手を使い巨大なフォースフィールドを覆った。
その小細工に怒ったゴジラは咆哮をあげた。
グオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああンンンンンン!!!!!!!!!!
フォースフィールドは破れていった。
そして、巨大な咆哮の衝撃波にコングは吹き飛ばされて行った。
コングの体は、吹き飛んだ。
その時彼は気が付いた、このゴジラは熱線がはけなくなっても強いのだ。
ウゴおおおお‥‥。
うめき声をあげながら、コングは何とか地面に起き上がった。
ふと、脇を観た。
アナがいる。
彼女は激しいダメージを受けすぎていのか、気絶していた。
『アナ……!!!!』
コングは彼女を庇った。
ゴジラは近づいている。
『そうだ、俺はこいつを倒すと誓った。……怯えていられない」
コングは胸にドラミングをした。
決意をした。
ゴジラは歩行を止めた。
そして、コングを迎え撃とうとした。
『行くぞォ!!!!!!!!!!!!!!』
コングはナックルウォークをしながら、肩をいからせた。
そして、巨大なショルダータックルを食らわせた。
ゴジラはケガもあったのか、少し地面に倒れた。
コングはマウントポジションにたった。
やがて、彼はゴジラの顔めがけてパンチを放った。
ゴン!!!!!!!!
義手が響く。
ゴジラの体に痛撃が走る。
二発目を放った。
ドゴン!!!!!!!!
義手が少し割れ始めている。
やはりこいつはタフだ。
だったら、それならばコングは全身の電気エネルギーを溜め込みゴジラの顔にトドメの一発をはなった。
ズガあああああああああああああああああああああああああああああン!!!!!!!!!!!!
それは決まった。
そして、地割れが起き巨大なクレーターができた。
コングの渾身の一撃は、ゴジラの顔を傷つけた。
破壊神の血しぶきがコングの目の中に入った。
ドゴォオオオオオオッ!!!! ドゴォオオオオオオッ!!!!
コングはそれでもやめなかった。
何度も何度もゴジラの顔に義手『ビーストグローブ』を使用したパンチで殴った。
思いっきり何度も何度も。
地響きが起き、地割れが起きクレーターが深くなっていった。
そのクレーターは地下2000mまでに及んでいた。
そのクレーターの真ん中でゴジラとコングはいた。
ッゴゴゴゴゴゴ‥‥!!!!
コングのパンチの余波で地震が起きた。
ビルのがれきが崩れていく。
かつて世界最大の街であったニューヨークの跡地は徐々にクレーターと化していた。
だが、とうとう限界がきた。
コングは気が付いた。
義手が壊れていた。
表面は崩れ、ひび割れていた。
指はねじ曲がっていた。
コングはそれに気が付いた。
かすかに残ったかつての二の腕の傷跡にゴジラの血が染みた。
はあ、はあ……はああ……。
コングは粗く呼吸をした。
無我夢中で殴りまくった。
もはや、顔面も残っていないだろう。
彼は宿敵から離れた。
コングはゴジラをみた。
ゴジラの歯が砕けていた。
血は噴き出していた。
ゴジラの顔面は砕けていた。
骨は飛び散り、頭蓋骨は砕け、脳味噌の一部や白い眼球が飛び出していた。
『……やったか。とうとう終わった』
彼が安堵したその瞬間だった。
‥‥ビクッ!!!!
コングに悪寒が走った。
彼が振り向くと、そこには立っていた。
ゴジラは……まだ生きていた。
彼の驚異的な再生能力は、頭蓋骨を修復させ眼球を修復させた。
脳味噌もより大きくなっていった。
コングはその異様な光景に恐怖を感じた。
ゴジラの再生能力、その異常さ。
彼の想像以上の物だった。
隙ができたのを察したゴジラは素早くコングの肩に食らいついた。
再生したゴジラの牙はコングの肩に深々と突き刺さった。
グギャあああああああああッ!!!!!!!
コングの肩に激痛が広がった。
やがて、ゴジラはコングの肩を噛みついたままクレーターから地上に放り投げた。
何でもないように軽々と顎の力だけで持ち上げ放り投げた。
コングは地下2000mの高さから投げ飛ばされた。
やがて、彼の体は空中高く浮かび上がり大気圏近くまで達した。
雲がみえた。
そして、そのまま陸上に落下していった。
ドぉオオおおおおおおゴンッ!!!!!!
コングは地面から起き上がった。
彼が、地面に着地するとそこもクレーターとなっていた。
すると、肩から胸にかけての肉がそぎ落ちているのがわかった。
骨はむき出しになっている。
ゴジラは、放り投げると同時に食いちぎっていたのだ。
ぐうう‥‥。
コングはうめき声をあげた。
激痛すらもうしない。
すると、そこにゴジラも陸地に来ていた。
ゴジラの再生された白い目は大きく見開いていた。
その目には敬意があった。
破壊神は熱線を出せない。
頭部の傷は再生していたが、斧によってつけられた首についた傷は残っていた。
本来ならば、これほどの強敵は敬意をもって熱線で殺す。
しかし今は、できない。
ゴジラは尾を使いコングの首を絞めあげた。
そして、大きく持ち上げた。
コングは血を吹き出し、悶えながら苦しんだ。
ゴジラは尾の先で締め上げたコングを堂々と持ち上げた。
米軍艦隊の生き残りたちは、その様子をみて絶望した。
「ああ、ああ……コングが殺される‥‥」
やがて、ゴジラはコングの首を絞めあげると圧迫していった。
そして、その時がきた。
…………ゴキぃッ…………!!!!
鈍い音が広がった。
コングの体がブランと下がった。
死んだ。
守護神コングは首の骨を折られ、死んだのだ。
やがて、事切れたコングの死骸をゴジラは造作もなく放り捨てた。
ドサッ‥‥!!!!!
コングの死体はかつて金融街があった場所に捨てられた。
雨が降っていた。
雨はコングの死を悼むように降り注いでいた。
「ああああ……やられちまった」
「なんてこった……」
ニューヨークの生き残りたちは絶望した。
その中継をワシントンのドローンで見ていたピーターも同じだった。
「アナ……」
ピーターは、うつむいた。
彼女も死んだ。
そうに違いない。
奇しくもその予想は当たっていた。
アナは地面に倒れていた。
人類の希望は砕かれた。
ゴジラには勝てない。
やがてニューヨークに、豪雨が降り注いだ。
そして、それとともに大きな雷があがった。
ドゴッ!!!!!
雷鳴がした。
やがて、天神ゼウスの怒りを表すような雷が降り注いだ。
ズガッ!!!!!!!!!!!!!!
雷が落ちた。
天はコングの死に荒れ狂うように荒れていた。
雷の一部がゴジラに降り注ぐと、ゴジラはそれをエネルギーにした。
ゴジラは背を向けた。
宿敵は死んだ。
その時だった。
ピカッ!!!!!!!
天が光った。
また雷が落ちる。
ドガッ!!!!!!!
とその時だった。
その雷はコングの死体におちた。
まるで雷がコングの死体に吸い寄せられるように落ちた。
『……‥‥ッ!!!!!! :』
目が覚めた。
守護者は目覚めた。
コングの全身に電撃が走った。
彼の体が治癒していった。
コングは起き上がっていた。
全身の電気エネルギーを溜め込んでいた。
それだけではなかった。
ゴジラの血を浴びたことで、ゴジラ細胞も吸収していた。
その時、彼はゴジラの力も得ていたことに気が付いた。
体が徐々に黒い岩肌に浸食していく。
ゴジラのうろこが、コングの腕に生えていく。
否それだけではない。
皮膚はおろか、肉体の節々にゴジラ細胞のような物が生えていった。
コングがよみがえったことでアナも起き上がった。
起き上がったアナは全身から何かエネルギーが溢れているのを感じた。
全身に走る電撃を感じた。
「わかる、これは圧倒的な生命エネルギー!!!!」
それはコングも同様だった。
体内に宿ったゴジラ細胞。
これが、コングの体内にあった電気エネルギーを加速させていった。
コングの体は膨れ上がった。
失ったはずの片腕は再生して、光輝いていた。
これがゴジラ細胞の軌跡だったのだ。
コングの生命エネルギーは、その腕に集中した。
グルゥッ!!!!!
睨みながら、ゴジラが近づいてきた。
コングは睨んだ。
ゴジラはコングめがけて熱線を放った。
だが、コングは腕をかかげた。
ブシュウうううううううウッ!!!!!!!!
ゴジラの熱線のエネルギーが、コングの片腕に入ってくる。
ゴジラ細胞は溢れるエネルギーをコングに溜め込んでいった。
破壊神は目を見開いた。
自分の攻撃が、吸収されていることに驚いていた。
『こやつのエネルギーを吸収している……』
コングは自分でも驚いていた。
そして同時に、思い出した。
ジェームズ・コナー。
あの若者の言葉。
『どんな奴でも腹を殴ればいい』
コングは全身の生命エネルギーをこめた。
その生命エネルギーはコングの生命をすり減らしていった。
ゴジラ細胞はやはりコングの体になじまない。
これは毒だ。
コングの生命をすり減らす毒だ。
だが、それでもよかった。
たった一瞬だけでもいい。
勝利をもたらすためには‥‥。
『これで最後だ。さらばだ、我が宿敵よ』
コングは全身のエネルギーを右腕に溜め込んだ。
やがて大きく地面を蹴り飛び上がった。
ゴジラの腹めがけて踏み込んでいった。
そして……。
ズガごオオオおおおおおおおおおおおおおおおおオオン!!!!!!!!!!!!!!
衝撃音が響いた。
巨大な一撃をゴジラの腹部めがけて、放った。
ゴジラの体はコングの全生命エネルギーをかけた一撃は突き刺さった。
コングの全身のエネルギーを溜め込んだ一撃は腹を貫き、胸をささり先ほどコングアックスを止めたゴジラの心臓を貫いた。
やがて、それはゴジラの背中を突き破った。
ドおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオン!!!!!!!!!!!
そして……巨大な衝撃がおきた。
それは全米を巨大な地震で包み込んだ。
全米が揺れていた。
ゴジラは何とか心臓を再生し、その溢れる生命エネルギーの全てを吸収しようとした。
電気・熱・呪怨・魂・毒・二酸化炭素・感情すらも吸収するできるのだ。
これも無理がないわけではないはず。
ゴジラはそう思い、エネルギーを吸収しようとした。
ダメだ!!! 無理がある!!!!
抑えられない。
吸い込めない、
身が揺れていく。
震えが止まらない。
ゴジラは焦った。
何とかこのエネルギーを抑え込まねば。
しかし、コングの圧倒的な正の生命エネルギーはゴジラの体を突き刺した。
ゴジラには食えない希望のエネルギーが溢れていった。
ゴジラは震えた。
それは恐怖だった。
今まで感じたことのない圧倒的な生命エネルギー、否それだけではない。
だが、身が揺れていく。
震えが止まらない。
圧倒的な死を決意した、決意の精神エネルギー。
これにゴジラは耐性がきかなかった。
踏ん張ろうとした、ゴジラだったが、徐々に足に力が入らなくなっていった。
グギャあああああああああああああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおオオン!!!!!!
ゴジラの体は浮かび上がった。
身長500m全長1200m体重90万トン以上の巨体が耐えられなかった。
ゴゴゴゴゴゴゴ‥‥!!!!!
地表が裂けていく。
岩盤が浮かび上がり、大きなクレーターを消し飛ばしていく。
巨大な閃光がゴジラを包んでいく。
彼の体でも抑えられない、ゴジラ細胞でも吸い込めない圧倒的な正の精神エネルギーはゴジラを包み込んだ。
ドごオオオおおおおオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そして、大きな轟音とともに、ゴジラは吹き飛んでいった。
ゴジラの無敵のゴジラ細胞でも抑えることができなかった。
黒い破壊神は塵となって消えていった。
コングの勝利だ。
雨が消えていった。
太陽が差し込んでいる。
コングは全生命をかけた一撃を出したのか、疲れ切っていた。
やがて、黒い毛は白髪にまみれていった。
流々としていた筋肉は痩せ細り、骨と皮だけになっていった。
コングは倒れた。
轟音が響いた。
コングは仰向けに倒れた。
心臓の鼓動が消えかけていく。
ゴジラ細胞の不死身の力は、コングの細胞とはあわず、その超能力があるのも一瞬だけだったようだ。
「コング……」
アナが近づいている。
彼女も心臓を抑えていた。
コングにはわかった。
彼女も死のうとしている。
『アナ……』
「ああ、コング……ようやく勝てたのね。あの人の無念を晴らせたのね」
ジェームズのことか。
コングはうなづいた。
『そうだ、俺たちは勝ったんだ』
「ああ、コング……」
アナもコングの近くで倒れた。
彼女の生命エネルギーが消えかけている。
『これで、自由になれる‥‥ようやく』
「ええ、自由よ」
コングとアナは天をみつめた。
二体の体は徐々に力を失っていく。
太陽がさしていた。
暖かい日の光に支えられたまま、二体は微笑み合った。
そして、コングの指にアナは触れた。
「あなたこそ、本当の世界の王よ。……あなたこそキングコングだわ」
コングは微笑んだ。
やがて、そのまま命の電気エネルギーが消えていくのがわかった。
アナもそれと同じ頃に消えていった。
事切れた二体の勇気と愛情が、ゴジラを打ち破った。
少なくともその日はそうだった。