コングの死から数週間がたった。
アメリカ、テキサス。
国連裁判所。
ニューヨークやロサンゼルスを越えた経済の中心地となったこの地では国連本部とGフォースの本部があった。
この地でピーターはいた。
彼は不釣り合いなスーツをきていた。
今日ここに来たのはアナの遺言のためだ。
彼女が残した遺言。
それは、Gフォース設立のために犠牲になったジェームズ・コナーの名誉を回復すること。
そして、アナとコングの名誉を回復することだ。
今ここで査問委員会の結果報告が公表される。
Gフォースのリーダーである総司令官レオナルド・リッチモンド大元帥は若者を迎え入れた。
「入れろ。」
リッチモンドの直営の兵士たちは、重たい扉を開きながら若い青年を迎え入れた。
その周囲には、別の男たちが待機していた。
彼らはGフォースを管理する査問委員会。
委員会の人々は、ジッとピーターをみつめていた。
その中でひときわ大きな体格をした巨漢、レオナルド・リッチモンドは眼帯を通じてギロリとピーターを睨んだ。
「…キミが、ピーターか?」
「はい、そうでございます。」
そこには、アナが後生大事に持っていたGフォース関係のファイルがあった。
元々ピーターは、これをマスコミにリーク。
ここから騒動は拡散され、この査問委員会が開かれることとなったのだ。
リッチモンドはこの査問委員会の会長でもある。
リッチモンドはいぶかしげに書類を手にした。
「君が言いたいのは、こういうことかね。若者よ。このGフォースという組織はその誕生の背景には薄汚れた陰謀があったと。」
ざわざわとオーディエンスやマスコミ関係者が騒いでいた。
ピーターは息をのんだ。
そして、横を見た。
そこには弁護士と彼が相談した女性ジャーナリストがいた。
二人は首を縦に振った。
ピーターは勇気をためて、首を縦に振った。
「そうです。」
リッチモンドは眼帯を手に当てて考えこんだ。
「・・・・ふむ、私としてはこんなものはデマあるいは八百長だとおもっている。」
ピーターは絶句した。
他の人間もそうだった。
兵士たちは安堵した様子だった。
ピーターは地面をみつめた。
そして、絶望と後悔に打ちひしがれた。
しかし、リッチモンドの次の言葉は彼の想像をこえたものだった。
「・・・だが、若者よ。この情報は残念なことに事実に即している。」
ピーターは顔をあげた。
オーディエンスがざわついていた。
それだけではない。
Gフォースの兵士たちは落胆の声を出した。
無理もない。
全てはマクドウェルの陰謀に基づくものだった。
それがわかれば、落胆するだろう。
そして、リッチモンドをピーターをみつめた。
眼帯をした大元帥はしきりにうなづいている。
かれは別の書類を手渡した。
「これは中国政府が開示した書類だ。ここには、キミが手渡した報告書通りのことが書いておるようだ。時系列も一致している。ピーター、キミはどうやら正しい情報を持っていたようだな。」
リッチモンドは笑顔だった。
恐らく彼もこの組織の背景にある巨大な陰謀の過去に気が付き、それを排除したかったのだろう。
「したがって、私含めた査問委員会は…ジェームズ・コナー氏への名誉回復及び二階級昇進、ならびにアナ・マルティネスの名誉回復及びコングの名誉回復を行い、ここにすべての人々への謝罪を表明する。」
マスコミが騒ぎ立てている。
ピーターは胸をなでおろした。
ピーターは弁護士やジャーナリストたちを連れ、国連裁判所を後にした。
ピーターはプレスの取材を受けていた。
概ね「みなさんありがとうございます」というありきたりな言葉で返した。
そして、彼はホテルにうつった。
そこでは、弁護士であり彼の7歳年上の恋人であったジャライラ・ラミレスがいた。
彼女とは、ピーターが未成年の頃からの知り合いだ。
彼女の母が家族を失ったピーターの養母をしていた。
ピーターはアナに嘘をついていた。
どうしてもさびしかったピーターは16歳のある日、義姉ともいえるジャライラの誘惑を受け彼女と関係を結んだ。
「あら、ピーター・・・。」
ジャライラはピーターの背中にだきついた。
「今日のあなた、とってもカッコよかったわよ。ドキドキして…胸がおかしくなりそうだった。」
「そうか」
「ねえ、アタシをおかしくさせちゃったあなたにはとんでもない刑罰がくるわよ・・・さあ、二人でもっとおかしくならない?」
そして、年下の青年を誘惑しようとした。
ピーターは、ジャライラの手をつかんだ。
「・・・・・ごめん、ジャライラ。今そんな気分じゃないんだ。一人にしてくれ。」
褐色の女弁護士はフンと苛立ったようすで立ち上がった。
ピーターは窓辺を見つめた。
コングは命をかけて、ゴジラを倒した。
でも、それで倒れたのだろうか。
それで、怪獣騒ぎは落ち着くのだろうか。
彼にはわからなかった。
その頃、ガボン。
コングと関係を持ったグレートエイプの生き残りの一人であるメスは、ジャングルのなかにいた。
彼女のお腹は膨らんでいた。
その中には、コングの息子がいた。
彼女は、コングがもう死んでいることを知っていた。
それでも、彼女はお腹の子供のために強く生きると決意した。
グレートエイプの血を絶たせはしない。
ゴガアアアアああああああッ!!!!!!
子供を宿したメスのグレートエイプは雄たけびをあげた。
彼女はお腹にいる子供のためにも立ち上がった。
天は彼女の決意を諭すように、雷を落とした。
それを浴び、吸収し彼女は強くなっていった。
だが、それだけではなかった。
大西洋の奥深く。
それはいた。
圧倒的な正の精神エネルギーを受け、心臓が砕け全身がバラバラになったはずの『それ』は肉片を重ね合わせ徐々に再生していった。
そして、それは肉体を再生するに至った。
ドクン‥‥ドクン‥‥
心臓が深海の中で鼓動した。
主の復活を喜ぶ心臓はゆっくりと鼓動しながら、主の復活を喜んだ。
肉体はほぼ再生が完了した。
ゴジラは死んでいなかった。
コングの命を懸けた一撃も、ゴジラを一時的に死にいたらしめただけだった。
コングも人類もゴジラの再生能力を舐めていた。
例え、塵一つになってもそこからゴジラは再生する。
それは以前より強くなっていた。
さらに強くさらに大きくなっていた。
だれが、ゴジラを止められるというのだろうか。
白い目を輝かせ、破壊神ゴジラは海の中で微笑んだ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
11月あたりに本作の世界線を継承したメカゴジラ主人公の大規模連載作品を制作しようと思っております。
皆さんお楽しみに。