破壊神ゴジラvs守護神コング   作:井上ああああ

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一応前話からは1ヵ月近くすぎたことになっています。


第九話 終わりの始まり

アメリカ、フロリダ州エバーグレーズ国立公園

 

ここでは、日夜コングの手術が行われていた。

片腕を失い、背骨が砕けていたコングは長い間ずっと意識を失った状態だった。

上海で惨敗したコングは、沖縄米軍基地にまるで水死体のように流れてきた。

一時は死亡すらも疑われていたが、再検証の末呼吸がある事から生きていることがわかった。

科学者たちは普通の生命体なら死亡する傷でも生きているコングのタフさに驚いたが、それ以上にそんなタフなコングを追い詰めたゴジラへの恐怖が強かった。

 

 

3週間前にゴジラにコングが負けた。

そのニュースは世界中に走った。

それと同時に中国の複数の都市部が壊滅的被害を受けたことも出回った。

世界中は5年ほど忘れていたゴジラの衝撃にゆれていた。

 

 

 

アナの病室を訪れていたジェームズは、窓際に映るコングの手術をみてふと考えていた。

 

 

 

科学者チームはコングに義手をつけ、背骨を強化アーマーで包むことが提案している。

そして、それはほぼ完了しあとはコングが目を覚めるのを待つだけになっているようだ。

 

 

 

そして、ジェームズとアナが中国に捕まっている間に物事は進んでいた。

コングはアナを失い暴走し、マイアミを襲撃したらしい。

その後中国にいきわたりスカーキングと交戦した。

恐らくは暴走してしまった自分に辟易したのか、アナを求めていたのだろう。

ジェームズはアナを守れずともに誘拐された事、コングを暴走させた遠因を作った事などを問われ降格処分が決定した。

 

 

しかし、かれにはそのようなことはどうでもよかった。

問題はアナだ。

 

 

 

守護神であるコングと巫女。

その関係性はジェームズにはわからなかった。

今やコングもその巫女であるアナも眠っていた。

ジェームズはアナのベッドに近づいた。

 

 

 

「可哀想にな、コング…腕が食いちぎられちまったらしい。」

 

 

 

アナに話しかけた。

彼女は植物状態になっている。

目を覚まさない。

 

 

 

「俺は何か嫌な予感がするんだ。俺はコングもお前も失いそうだ。」

 

 

 

ジェームズはアナの頭に自身の頭を密着させた。

 

 

 

「悔しいよ…アナ。これも俺がお前を復讐の道具にした報いなのか?アナ…。」

 

 

 

その時だった。

ドアが開いた。

 

 

 

メアリー・パク博士がいた。

ジェームズは彼がアナを施設で軟禁しようと提案していたことを知っていた。

 

 

 

「今更何の用だ。」

 

 

 

ジェームズはメアリーを睨んだ。

だが、彼女はやきもきしながらとある書類を手渡してきた。

 

 

 

「あなたには、これを読む必要があると思うの。」

「!?」

 

 

 

ジェームズはメアリーの手渡したファイルを開いた。

そこには驚くべき内容が書かれていた。

彼の知らないところで、計画は進んでいた。

 

 

ジェームズの上司であり、ここの責任者であるマクドウェルは米中露で結成された国連特務機関の設立を考えている。

それは「Gフォース」というものだった。

マクドウェルはそこのリーダーとなるようだ。

 

 

 

「マクドウェルがリーダーに…!?」

 

 

 

ジェームズは次のページを開いた。

 

 

 

そこに書かれていたのはコングを外骨格で覆い、サイボーグ怪獣に変化させることであった。

強化された特殊アーム、そしてウイグルで見つかったコング族の斧。

これらを使用することで、怪獣対策専用のサイボーグ怪獣としてコングを使用するという計画だった。

特に特殊アームは古代文明が接触していた宇宙人の金属スペースチタニウムを使用し、強化したものだった。

これは、放射能エネルギーを吸収し、電気に変換するものといわれていた。

このサイボーグ怪獣こそがGフォースの主戦力となるというものだった。

 

 

それだけではなかった、ゴジラの骨とゴジラ細胞をベースに生み出したロボットで生み出したゴジラ型ロボットもある意味ではコング以上の戦力になるというものだ。

 

 

 

「サイボーグ!?」

「そうよ。」

「そんなことがあっていいのか…?」

「最後まで読んで…時間がないから早く!」

 

 

 

ジェームズは次のページを開いた。

彼の手指が震えた。

彼は怒りで震えていた。

 

 

「なんだよこれ…!!!!!」

 

 

 

そこにはアナの写真があった。

そして、予想図も書かれていた。

彼女脳内にマイクロチップを植え、洗脳手術を施すものだった。

つまり、彼女を洗脳しサイボーグ化したコングを戦わせるというものだった。

さらに、彼女のクローンを量産することも計画されていると書かれていた。

 

 

 

「ふざけるな…!!!!こんなのふざけるな!!!!!!」

 

 

 

ジェームズはメアリーをみた。

 

 

 

「お前はこんなの許すのか!!!!」

「私だって許せないからあなたに渡したのよ!!!ちゃんと最後まで読んで!!!」

 

 

 

 

 

ジェームズはまだあるのか…と心の中で毒づいた。

そしてページをあけた。

そこには、マクドウェルと中国政府のやり取りが残っていた。

 

 

マクドウェルは、ジェームズの上司はずっと彼を見張っていた。

そして、アナとジェームズが孤立する状況を見越し、中国軍に連絡をしていたのだ。

また、マクドウェルはスカーキングの発する電波でコングが暴走することも計画に入れていた。

最初からコングをサイボーグ化させようとしていたのだ。

 

 

 

「こんなの…嘘だろ…。」

 

 

 

ジェームズはさらに最後のページを開けた。

そこには、紅靈と握手をするマクドウェルの姿があった。

そして、全裸になったジェームズの写真も。

そこには書かれていた。

 

 

『こいつを追い出す。』

 

 

 

全てマクドウェルが書いた画だった。

その通り、シナリオ通りに動いてしまった。

ジェームズはショックのあまり、ファイルを落としてしまった。

彼の心に失望、それ以上に後悔がにじみでた。

 

 

 

「あ、ああ…そんな…ああ…。」

 

 

 

 

ジェームズはうわごとのように後悔の言葉を羅列した。

上層部は中国と結託し、俺を追い出そうとしていた。

それなのに…俺は…。

 

 

 

「…じゃあ、俺はただの人形だったのか!?」

 

 

 

メアリーは彼以上に深刻な表情をしていた。

 

 

「そうよ、マクドウェルは最初から中国と結託していたのよ。いいえ彼だけじゃない。この国の軍の上層部全体が中露と和解して、国際特務機関を設立するためにあなたとアナ、コングを犠牲にしようとしていたのよ。私は、それに気が付かなかった!!なのにアナを監禁しようなんて…!!!」

 

 

ジェームズは彼女と目が合った。

 

 

 

「どうしよう!!」

「わからない、どうすればいいの…?」

 

 

 

 

そんな時だった。

 

 

 

パァン!!!!!

 

 

 

銃声が響いた。

それは、メアリーの頭に当たると、彼女の脳味噌をぶちまけた。

メアリー博士だった物体は痙攣しながら息を絶えた。

 

 

 

 

「!!!?」

 

 

 

ジェームズは彼女を射殺した相手を見つめた。

それは、マクドウェルだった。

 

 

 

 

「ジェームズ・コナー…。」

「…マクドウェル!!!!」

「お前は知らなさ過ぎたな、若者。さあ、その小娘を渡せ。」

 

 

 

 

ジェームズはマクドウェルを睨んだ。

アナを手に入れようとしているんだ。

そして、彼女を自身の都合のいい玩具に変えようとしている。

 

 

 

 

「…アンタは…とことん見下げた男だ。」

「そうかもしれない。」

 

 

 

マクドウェルは銃を向けている。

ジェームズは腰に銃を隠していた。

それをとった。

マクドウェルはそれをみると、別の手で無線をとった。

 

 

 

「私だ、ジェームズ・コナー元・中尉がメアリー・パク博士を射殺した。私は彼女に説得するように言っていたのだが…どうやらもつれてしまったようだ。警備兵を呼べ!今すぐこいつを拘束しろ!」

 

 

 

マクドウェルはジェームズをみてニヤと笑った。

ジェームズは腸が煮えくり返りそうになった。

 

 

 

 

 

ぶうううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

サイレンが鳴り響いた。

ジェームズは一瞬で英雄から国の敵となった。

 

 

 

 

 

 

「ああ、残念だジェームズ。お前は優秀だったのに…。ここでおしまいなんてな。うーむ違うな。そうだ、お前は私を殺そうとしたが、返り討ちにあった。そうしよう!そしてそのファイルも燃やしてしまおう!」

 

 

 

 

 

マクドウェルは銃の引き金を引こうとした。

だが、ジェームズが先だった。

彼はマクドウェルより先に銃を撃つと、マクドウェルの頭を貫いた。

醜い権力者は地面に倒れた。

ジェームズはそんな彼の亡骸に唾を吐いた。

 

 

 

そして、ファイルをとり上着に隠した。

やがて、アナを抱いた。

 

 

 

「さあ、行こう逃げるんだアナ!」

 

 

 

ジェームズは病室を走った。

警備兵たちの声が聞こえる。

彼は無視をした。

 

 

 

 

「アナ、一緒に遊園地に行こう…な?アイスクリーム食わせてやるから。」

 

 

 

 

ジェームズは走った。

やがて、自然公園内にある研究施設まできた。

科学者たちは怯えて逃げている。

 

 

 

「待て!!!!」

「ジェームズさん!!!どうして!!!」

 

 

 

警備兵が背後から近づいてきた。

その中には顔見知りのあるやつもいた。

だが、もう構わない。

ジェームズはアナを一旦落とすと、銃を素早く抜き警備兵を射殺した。

 

 

 

 

「お前たちすまない。」

 

 

 

 

ジェームズはふと、自然公園に立っていた緊急基地をみた。

もう彼はどこに戻る事もできない。

彼の近くにある男がきた。

スキンヘッドの黒人、ジェームズの友人ジャクソンだ。

 

 

 

 

「よお、兄弟。お前とは古い仲だよな。」

 

 

 

 

ジャクソンは銃を向けた。

ジェームズも銃を構えた。

 

 

 

 

「お前も知っていたのか?」

「何のことだ。」

「とぼけるな!」

 

 

 

ジャクソンは地面をみた。

そして笑顔になった。

 

 

 

「ああ、知っていたさ。でも俺はマクドウェルに逆らえなかった。だが、お前を助ける気でいた。お前が無事だったそれでいい。あのゴリラも女も知った事か。俺だけじゃないここにいる全てがそうだ。悪く思うな。」

 

 

 

ジェームズはわかった。

ジャクソンは、全部知っていた。

知っていたが、黙っていた。

ならば、彼らも同罪だ。

 

 

 

「…俺はお前を信じていたのに。」

 

 

 

ジェームズは引き金をひいた。

ためらわなかった。

幼い頃から避難所で育った親友。

最後の友達だったジャクソン。

その頭は銃弾とともに吹き飛んでいった。

 

 

 

それと同時だった。

 

 

 

バァン!!!!!

 

 

 

銃声がした。

ジェームズの体を銃弾が突き刺した。

 

 

 

 

「ぐ…!!!!!???」

 

 

 

 

ジェームズはお腹を抑えた。

 

 

 

 

「ぐあ……!!!!!!!!」

 

 

 

よくみると、窓際にいた別の兵士がスナイパーライフルを構えていた。

彼は後悔した。

気づけなかった。

あんなところにいるなんて…。

 

 

 

パァン!!!!!!!!

 

 

 

別の場所から銃撃がした

ジェームズの腹部をもう一度銃弾が突き刺した。

すると、それに続き何発何発も続いた。

気が付けばジェームズの全身を銃弾が突き刺した。

 

 

 

「うぐあああああ…!!!!!」

 

 

 

ジェームズは地面に倒れた。

草むらには血が流れた。

彼は地面を這いながら、何とか逃げようとした。

 

 

「ああ、なんで…なんで…あああ…!!!」

 

 

ジェームズは悔しさのあまり呻いた。

すると、倒れたジェームズを囲むように兵士たちがやってきた。

銃を向けている。

そんな時だった。

 

 

 

「アナ…!!!!」

 

 

 

アルビノの巫女は立っていた。

彼女は周囲を見つめた。

倒れる兵士。

そして、傷ついたジェームズ。

彼女はどれだけ世間知らずでも状況は把握できた。

ジェームズは、彼女の保護者はこの兵士たちに撃たれてしまったのだ。

 

 

 

「アナ…!!!!」

 

 

 

ジェームズはうめき声をあげた。

彼の上着には何かファイルがあった。

 

 

 

 

「…‥‥ジェームズ。」

 

 

 

 

アナはジェームズの元に駆け寄った。

 

 

 

 

兵士たちは銃を下した。

アナはコングの巫女。

確保するのであって殺害対象ではなかった。

 

 

 

 

 

「ジェームズ!!!」

 

 

 

アナはジェームズの頭を膝枕上に支えた。

彼女は何度も青年の頭に触れた。

 

 

 

「ああ、ジェームズ。ああ…!!!!」

 

 

 

アナは困惑した。

生まれて初めて感じる胸が落ち着かない感触。

これが困惑、そしてこれが悲しみか。

 

 

 

 

「アナよかった…生きていたんだ。」

「ジェームズ、しゃべらないで!!!!」

「アナ、ここから逃げるんだ。コングを連れて早く。」

 

 

 

ジェームズは起き上がった。

 

 

 

「ダメよ、まだ死なないで!!!遊園地にいってないじゃない!!!」

「ごめんよ、アナ…。」

「嫌だよ!!!ジェームズ!!!!!」

 

 

 

アナはその時、ようやくわかった。

私は彼が好きだったんだ。

愛おしかったんだ。

そのことにようやく気が付いた彼女は目から何かが出てくるのがわかった。

 

 

 

 

「ああ、これは…」

「それは涙だ、悲しいとでるんだよ」

「ジェームズ…!!!!」

 

 

 

ジェームズは上着からファイルを手渡した。

血にまみれたファイルが汚れていた。

 

 

 

「これを…持って行ってくれ。これが全てなんだ!」

 

 

 

アナはジェームズから手渡されたファイルをつかんだ。

 

 

 

「ジェームズ、わかった…。」

「アナ、お前とコングのやり方で人類を守ってくれ。俺のためにも…。」

 

 

 

アナはあふれ出る涙を抑えながらジェームズの唇にキスをした。

ジェームズはアナに抱かれながら、命の鼓動が枯れていくのを感じた。

悲しく混ざり合う唇と唇、それはようやく離れた。

 

 

 

「ありがとう、アナ…最後は君の胸の中で死ねて光栄だ。」

「愛してるジェームズ。」

「僕もだよ…。」

 

 

 

ジェームズはアナの頬を撫でた。

そして、そのまま動かなくなっていった。

事切れ、糸が切れた人形のようにジェームズの手は倒れた。

 

 

 

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

アナは大泣きした。

愛してくれた青年は死んだ。

愛情を向けてくれた青年は、彼女のために死んだ。

その事実が彼女は信じられなかった。

 

 

 

「今度こそ自由になれるって!!!!そう思ってたのに!!!!!!!」

 

 

 

草むらの中で転がりながらアナは大泣きした。

結局彼女に関わった人間はみんな死ぬ。

クラウディアもそうだった。

そして今回もそうだ。

 

 

「どうする?」

「今のうちに確保するぞ」

 

 

兵士たちはアナの感情を無視するように突き進んだ。

 

 

 

その時だった、悲壮な涙を流していたアナは立ち上がった。

そして、確保に向かおうとする兵士を睨んだ。

 

 

 

 

「ねえ」

 

 

 

兵士たちはアナを囲んだ。

そして銃を向け、360度を取り囲んだ。

今すぐでも確保できる状況だ。

だが、アナは怯えなかった。

 

 

 

「これがあなたたちのやり方なの?」

 

 

 

兵士はビクリと反応し止まった。

彼らは銃を向けている。

 

 

 

 

「私たちは…どんなことがあってもあなたたちを守る気でいたのに…」

 

 

 

 

アナは溢れる怒りで身を震わせた。

そして、目が赤く輝いた。

 

 

 

 

「これが、アンタらのやり方なのッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

アナは怒りの声をあげた。

その時、地鳴りがした。

それとともに、大きな腕がのびた。

それは、スペースチタニウム製の『ビーストグローブ』。

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ…‥‥‥‥‥。

 

 

 

 

 

コングが目覚めたのだ。

コングは赤い目を輝かせていた。

アナと同様に…。

 

 

 

 

 

「コングだ!!!!!!」

 

 

 

 

兵士たちは逃げ出した。

コングの義手は伸びた。

300mの巨体は起き上がった。

 

 

 

 

 

「総員退避ッ!!!!!!退避せよ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

兵士たちは急いで逃げ出した。

コングは起き上がった。

そして、咆哮をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴガアアアアああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

コングの咆哮はフロリダ中に広がった。

それは巨大な電磁パルスになった。

巨大な咆哮とともに起きた電磁パルスはフロリダ中を停電させた。

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、あああああ・・・・・・・・あああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

ジェームズを撃った兵士たちは恐怖のあまり腰を抜かし、地面に倒れた。

そして、命乞いをした。

 

 

 

 

「待ってくれ!!!俺たちも命令だったんだよ!!!」

「そうだ、許してくれ!!!!!」

 

 

 

アナは冷酷に彼らを見つめた。

彼女はジェームズの亡骸を指で刺した。

コングは彼が死んだことに驚いた。

彼は指先をのばし、ジェームズの死骸をつついた。

 

 

 

コングはためいきをついた。

そして、彼に追悼をささげるように咆哮をあげた。

 

 

 

 

 

 

ぶるううううううううううううううううううううううううオオオおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

コングは追悼の咆哮をあげると、目から涙を流した。

そして、友人の死に嘆くとアナとジェームズの亡骸をまとめて掌で包んだ。

300mある髑髏島の王はふと、兵士たちを睨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

『お前ら如き、私自ら殺す価値すらない。』

 

 

 

 

コングは、義手で斧をつかんだ。

ゴジラの背びれで生み出した斧。

この武器を手に取り、奪いとった。

 

 

 

そして、コングは地面をけった。

その時発生して衝撃波で兵士たちは包まれ全身を砕かれ粉になり消えていった。

そして二人は姿を消していった。

 

 

 

この事を受けてか、コングを追跡するか否かで米軍内部で意見が二分した。

だが、既にそのような場合ではなくなっていた。

コングを倒したゴジラが動き出したからだ。

 

 

 

 

 

 

それと同じ頃

 

南極、氷に包まれた地球最後の未知の大陸。

その日、南極は歴史的な寒波が訪れていた。

 

 

 

そこではとある怪獣が眠っていた。

周囲を氷に満ちた場所で心地よく寝ていたのは、冷凍怪獣シーモだった。

 

 

 

シーモは絶対零度の皮膚をしており、周囲の場所を自在に氷で包む能力を持っていた。

白い装甲のようなうろこで身を包めたトカゲ型怪獣シーモは、ゴジラ族の迫害を受けこの地に逃げていた。

 

彼女はその能力を使用すれば、地球全体を氷で包み込むことのできる能力があった。

ゴジラ族において、極低温の世界はたった一つの弱点であった。

彼女を覗きほとんどのシーモ族は皆殺しにされ、彼女は最後の生き残りであった、

 

 

シーモは次元の裂け目から、その800mの巨体を揺らしながら怪獣たちの住む地球から、こちらの地球へと逃げ込んだ。

その時、彼女の意図することではないものの、こちらの地球では長い氷河期が訪れることとなった。

 

 

彼女はこちらの世界に住み、何万年という月日の中眠っていた。

彼女にとって数万年は数分程度のことなのだ。

 

 

 

 

 

 

しかし、彼女は目覚めた。

否、目覚めてしまった。

海からとてつもない脅威がせまってきていたのだ。

 

 

 

 

 

ギャアアあああああああああああああああッ!!!!!

 

 

 

 

シーモは悲鳴を上げ氷を突き破り目を覚ました。

そこへ、やってきた。

黒い破壊神、絶望と理不尽の竜王、ゴジラが。

 

 

 

 

シーモは怒り狂った。

そして、巨大な冷凍光線を解き放った。

白い冷凍光線はゴジラの体を瞬く間に氷漬けにしていった。

 

 

 

 

グアアあああああああああああッ!!!!!!!!!!!

 

 

 

ゴジラは悶絶した。

体が動かない。

ましてや、彼ら一族が苦手にしている極低温の世界。

この若いゴジラは、この手の冷凍世界をまだ経験したことがなかった。

 

 

 

 

このままでは、ゴジラ細胞が冬眠状態になってしまう。

その隙にやられてしまえば終わりだ。

怪獣の王は生まれて初めて焦りを感じた。

だが、その焦りとは反比例するほどに、ゴジラの体は氷で覆われていった。

 

 

 

熱が奪われ、体の動きが取れなくなっている。

やがて、ゴジラは激しい睡魔に襲われていった。

そして、体は氷に覆われていった。

やがて、ゴジラは巨大な氷の塊になっていった

それは、天高く貫くほどの氷山となっていた。

 

 

 

 

シーモは好機ができたと感じた。

そもそもゴジラは極低温の世界は苦手といえども、馴れてしまえばゴジラ細胞で無効化にされてしまう。

この若いゴジラが絶対零度に対する耐性ができるまえに殺す必要がある。

ゴジラ細胞が機能を停止している間にトドメをささないとまずい。

そして、その尾の一撃でこの氷山ごとゴジラを殺そうかとしたその瞬間だった。

 

 

 

 

氷山が溶けていっている。

足元の氷が溶けていっている。

 

 

 

シーモは絶句した。

もう馴れてしまっている。

この若いゴジラは、成長速度が速い。

 

 

 

 

 

シーモは焦って追撃を放とうとした。

だが、遅かった。

氷山は溶けていった。

そして巨大な熱波のエネルギーがたちこめた。

 

 

 

 

 

 

グギャあああああああああああああッ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

ゴジラは氷山を突き破り上半身を乗り出した。

もう絶対零度への耐性がついた。

そして、その鋭い犬歯にまみれた口でシーモの首元を狙い食らいついた。

 

 

 

 

ゲぎゃああああああああああッ!!!!!

 

 

 

 

シーモは悲鳴を上げた。

首元に絶望的な痛撃が走っている。

そして、激しい熱を感じる。

 

 

 

 

ゴジラはそのまま、自身より巨大なシーモの体を持ち上げると南極大陸にたたきつけた。

 

 

 

 

 

 

ゴバああああああああああああああああああああああン!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

巨大な氷の大陸はヒビが入っていった。

その真ん中でシーモは倒れていた。

首元にできた傷は赤い血をドロドロと垂れ流した。

彼女は、この首元の傷が致命傷となっていた。

もはや長く生きることはできないだろう。

最後のシーモは、ここに絶命する寸前になっていた。

 

 

 

だが、ゴジラはそれだけでは済まなかった。

 

 

 

 

 

ゴジラの体から凄まじい熱のエネルギーを発生した。

南極大陸は徐々に溶けていっている。

そして、ゴジラの背びれは赤く光った。

 

 

 

シーモは、絶望した。

それは、彼女が故郷で観た一族を殺した熱線だったと気が付いた。

そして、それは彼女が観た最期の光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴジラの口から赤い熱線が放たれた。

それはすさまじい熱エネルギーを帯びていた。

氷に満ちた南極大陸は一瞬で巨大な高温と獄炎、そして衝撃波で破壊されて行った。

破壊神の放った赤い熱線は、シーモの体を貫くと南極大陸をたった数秒で破壊した。

 

 

 

 

 

これはオセアニア諸国・南米諸国に甚大な被害を与えた。

南極大陸を破壊したことで巨大な津波が押し寄せた。

ニュージーランド・リマ・マダガスカル・インドネシア・アルゼンチンといった様々な国が水没していった。

オーストラリアも市街地は水没した。

最初にゴジラが発見された日本でも被害は甚大であった。

世界中で20億人以上の人間が犠牲となった。

 

 

 

さらにこのゴジラの赤色熱線は、地底を貫通し地球のコアそのものは外れたものの、その周囲を大きく損傷させてしまった。

地球の折れ曲がったコアは世界各地で異常現象を起こした。

シーモの死骸は南極を貫き、その裏側ともいえるロシアシベリアの地下深く2000mでみつかった。

 

 

 

 

 

 

ある科学者はこの災害をこう表現した。

『セカンドインパクト』と。

世界の本当の終わりが、徐々に始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回更新は6月2週目になります。
また次回以降は第二章に突入します。
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