宇宙戦艦ヤマト2202 二次創作編   作:アドリアドリア

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奇襲された第11番惑星へと向かうヤマト、だがその前にはコスモダート・ナスカ率いるガトランティスの前衛艦隊が待ち構えていた。遂に、地球とガトランティスが本格的な戦火を交える。


第六話「踏み潰される日常」

帝政ガトランティス本星〈白色彗星〉内部の帝都ゴレムに大帝玉座の間を持つ天守閣はある。彼らを知っている数多の星間文明は、移動式クエーサーの内部に彼らがどう住んでいるのか全く想像し得なかった。

そんな荘厳な玉座の間に待機するは、帝国丞相シファル・サーベラー、帝国兵部総議長デギス・ラーゼラー、直轄軍総帥ゼスター・ゲニッツであった。彼等が仰ぎ見るのは偉大なるガトランティスを統べる長、〈大帝〉の座に就くズォーダー朝第5代目大帝であるガイレーン二世。彼は戦士らしい強靭な体で仁王立ちし、ホログラムに映し出されたテレザート星に向け語りかける。

 

「テレサよ、我がガトランティスは貴様の呼びかけた地球に攻撃を仕掛けることを決定した。貴様も我が意思のままにある宇宙の一部だ、私に逆らわずに素直に服従されば地球が直ちに蹂躙されることもなかっただろうに。そうは思わんか」

「この宇宙、いえ、全ての宇宙は何時如何なる時も大いなる愛で満たされています。愛が、大いなる愛が必要なのです…」

「愛だと?フハハハ、面白いことを言う。人が求めるは闘争の心、戦いを求める心なのだ。その人の心を具現としたのが、ゼムリアより下賜された戦の方舟をコアとした彗星都市帝国なのだぞ」

 

この世の真理を説かんとするテレサに対し、ズォーダーは嘲笑を以て説法の返事となした。

 

第11番惑星、かつてのガミラス戦役でガミラスが兵站基地として開発を進めていたが冥王星基地の壊滅で放棄された基地である。この星にはガミラス側の記録では彼等が到達する前から複数の遺跡が確認されており中には数億年前のものもあるという。ここ数年で大いに発展した宇宙考古学の中の一部の教授は太陽系に計算上、存在が示唆されているという1000年に一度地球に接近する惑星に何かのヒントがあると主張する者もいるが、その惑星の存在自体が不明な以上、なんとも言えないのが現状であった。

ちょうど時期的にはクリスマスであり、街中は地球同様にイルミネーションやデコレーションされた宇宙モミの木、或いはサンタクロースの偶像で溢れていたが、そんなことに構わず宇宙考古学者の一人であるロバート・レドラウスは必死に遺跡の調査を続けていた。そして軍から調査隊への派遣として、空間騎兵隊第七連隊第三中隊に所属する永倉志織ほか数名が当てられていた。

 

「教授さん、今日も発掘作業なの?そんなに急がなくてもいいだろうに」

「いや、惑星ラーメタルは2220年に地球に最接近するんだ。それまでに出来る限りのことを解明せねばならんのだよ…」

「そもそも、その惑星って存在するかどうかもよくわかってないんでしょ?」

「絶対にある!1週間前に私が発見した石板にはその惑星の名がしかと刻んであった。あの文明は古代アケーリアスが宇宙に最初にばら撒いた先史文明のうちの一つ。間違いない、間違いないのだ…」

「はぁ…」

 

レドラウスは血眼になって発掘を続ける。その熱量が敬服に値すべきなのは確かなのだが、永倉にはどうも遺跡の良さがわからなかった。その時、妙な光点が上空に見えた気がした。何かと思っていると、徐々にその形が明らかとなってきた。それは地球のものとは異なるが、確かに航空機であった。そして、軍用機であった。確か、以前聞いたガトランティスとか言う連中のであろう。間もなく、彼らは多数のミサイルによる爆撃を敢行してきた。

 

「な、なんだ!?」

「敵襲だわ。教授さん、早く!」

「あ、ああ…!遺跡が、貴重な遺跡が!」

 

自身の命より破壊の危機に晒されている遺跡の方の心配をするレドラウスであったが、永倉はそんなこと構わずに叫ぶ彼を抱えて避難を始めた。

 

その頃、攻撃を察知した第3中隊中隊長の斎藤始は外洋防衛の任に当たる第8艦隊司令部の長官室の元へ走り込んだ。こういうのは基本は連隊長以上のものがやるべきだろうが、現在の第七連隊隊長はかつて、月面での戦闘の際に土方が自身らの救助を後回しにしたことに対して強い恨みを持っていた為に連隊の本部を異なる場所に置いていた。その為、土方のもとに直で連絡を入れるのは司令部近辺に配備されている斎藤だったのである。

 

「くそ、おやっさん!ガミ公とは別の敵がやってきやがった!」

「騒ぐな、分かっている。俺は他中隊に直ちに命令を出す。お前は自分の中隊に集合をかけろ。まずは民間人の退避だ。急げ」

 

土方はやはり落ち着いて的確な指示を出していた。

 

「了解した!直ちに中隊に命令を出す!」

「ちょうど哨戒艦隊がケンタウリ要塞に向かっていた隙を突かれた…救援が来るのは簡単ではないな」

 

その頃ヤマトは波動エンジンをコマの如く激しく回りながら第11番惑星へと急行していた。

 

「第11番惑星近海に到達」

「総員に告ぐ、これより本艦は第11番惑星の地上部隊の援護及び民間人の救出を行う。総員、第一種戦闘配置!」

 

古代の合図とともに艦内では乗組員が慌ただしく走る。加藤ら航空隊の面々が航空機格納庫に向かった時、彼らは隠れるように艦内に乗り込んでいた。

 

「ちょっと待て、飛田に古屋!」

 

古屋貴、飛田夏樹。2人共に加藤ら教導隊の教え子であり、航空機操縦の成績は上の中くらいであった。なぜ、彼等がここにいるのか全く理解できなかった。

 

「へへへ、加藤教官に気づかれちゃいましたか…」

「あんた等、どうやって来たんだ!」

「そりゃあ、複座型のコスモタイガーなんですから銃座にこっそり乗り込めば後は教官が運んでくれただけですよ?」

「俺も同じく、沢村教官のに乗り込んだだけですよ」

「ったく、呆れた野郎どもだ…」

 

加藤はため息をつき、現状を他のメンバーにも伝えた。予想通りではあるが、彼らはひとり残らず笑っていた。

 

「ええ?あいつらも来てたのか。全く、この破天荒ぶりはどこの誰に似たんだか…」

「まあ、うちらの背中見て育ったんだからこうもなるよな。なら、しっかりこっちでも手厳しく行こうぜ」

「まずは形式ばかりの説教がいいかと」

「おぉ〜、山本教官はこれまたお手厳しいこと」

「まあいい、帰ってきたらとっちめてやる!それまで正座でもして待ってろよ?」

 

そう言うと彼らは無重力空間の格納庫の中、次々とコスモスワローのコックピットに乗り込む。

 

「俺等をとっちめる為に、しっかり帰ってきて下さいよ?」

「古屋、お前に訛った野次を飛ばされなくったって必ず帰ってくるぜ?」

「ちょっと、訛ってなんかねえっすよ」

 

福島出身の沖田十三に憧れて、同郷で生まれ育った者として国連宇宙海軍への入隊を志した古屋だが、元々は砲術の道を志していた。だが、加藤らに出会ったことで航空科への道を選んだ彼にとって教官は尊敬そのものであった。大抵はこう軽い言葉や態度で接してはいるが、教官が飛び立ったとなればヤマトに付いてきてしまうくらいに尊敬されていることに、加藤も気づいていた。

 

「へっ、そうはいっても付いてきてくれるのは少し嬉しいな」

 

加藤がコックピットの中でぼそっと呟く。航空隊の面々に、久しぶりの実戦ゆえに血が滾らぬ者はいなかった。

 

そんなヤマトを帝星ガトランティスの第7艦隊ゼイーラ星系方面軍はしかと観測していた。旗艦〈ガーグルム〉の司令室(陣)では、方面軍大都督であるコスモダート・ナスカが

 

「陥落も時間の問題だな」

 

と戦況に満足している中、参謀が入室して参った。

 

「ナスカ大都督!ご報告であります!」

「何か?」

「本艦の櫓の観測にてテロン艦一隻接近を認む。恐らく例のヤマッテとかいう艦かと…」

「ヤマッテ?小癪な、叩け!我らが足がかりに近づけてはならん!」

「はっ」

 

ナスカの司令が下り、間もなくナスカ級からデスバターター攻撃機がヤマトを目掛けて重々しく飛び立つ。

 

「12時の方向、1.0光秒のところに敵航空機隊、急速に迫ってきます」

「南部、丁重にやっていくぞ」

 

古代は砲塔で直接指揮を取っている南部に命令を直ちに伝える。

 

「了解。主砲、三式弾装填。方位+7度、上下角+30度」

「撃ち方ぁはじめ!」

 

48cmの巨砲から放たれた実弾は間もなくかち、かちという音とともに宇宙を照らす。兜蟹は間もなく跡形もなく燃え尽きる。

 

「もう一度だ、てぇ!」

 

更に10機ほど落ちるが、それでもなお臆することなく突っ込んでくる機体もある。そんな彼らには無数のパルスレーザーが歓迎する。だが、敵は中途半端に攻撃した後に撤退を開始した。

 

「敵航空機、撤退していきます!」

「このタイミングでの撤退は妙だ…周辺の警戒を厳に!」

 

古代の指示するまでもなく、レーダーに巨大な艦影の反応が現れる。しかも複数であった。古代が双眼鏡で観測すると、今までのガトランティスでは見たことのない完全な新型艦であった。艦首は横に倒した剃刀のように平べったく、何段も重ねた艦橋はまるで重箱であった。

 

「敵、大型艦3隻接近!」

「だ、大戦艦だ!」

「落ち着け南部。主砲をショックカノンに切り替え、照準はお前に任せた。良いな?」

「了解!主砲、方位マイナス5度。上下角プラス3度」 

 

ヤマトの主砲は人の手先のように細やかに動き、しっかりと狙いを定める。

 

「方位修正プラス0.2」

「照準よし」

「発射!」

 

ショックカノンは間もなく、敵大戦艦の表面に到達。どんぴしゃりと当たりどころが良かったらしく、敵艦は間もなく真っ二つに折れた。敵も回転砲塔で応戦はしてくるが如何せん射程が短いらしく届いてくる気配はない。ヤマトはそのまま、残り2隻もあっさりと平らげた。

 

「どうやらガトランティスの新型艦の様だな。司令部には後でデータを送信しておこう」

「そうですね、真田さん。島、このまま敵を平らげ…」

「待て」

 

そこに割り込んできたのは例のオブザーバー、クラウス・キーマンであった。

 

「我が大ガミラス民国としては、第11番惑星の邦人救助を優先して頂きたい」

「君はオブザーバーだ、発言権限はないと思うが」

 

真田は副長として規律通りにキーマンに道理という物を教える。だが、彼は外交官。そのへんに関しては真田と同程度には上手であった。

 

「古代艦長代理、あなたならどう反論するか教えていただきたい」

「あ、え…」

 

だんまりとした古代を島が横でため息をつきながら軽く鼻で笑う。どうやら、本音としては救助に行きたいのではなかろうか。

 

「了解。艦長代理の意思のもと、本艦はオブザーバーであるクラウス・キーマンの要望を受け惑星に駐在する邦人の救出を行う。小ワープで第11番惑星上空にちょうど一気には行けないか?」

「その気になればできるけど、ちょっとでもミスしたら地面にめり込むぞ」

「構わない。艦載機もいたんだ。さっきの戦艦が惑星を包囲している艦隊の全てとは思えない」

「了解、とりあえずやってみるか」

 

古代の無茶な要求にも島はため息一つでどうにか対応し、暫くもするとヤマトは空間をこじ開けて第11番惑星へと小規模なワープを敢行した。

第11番惑星は相変わらず激しい空襲を受け、地上の市街地や軍施設に被害が出続けていた。

 

「Bブロック被弾、消火不能!」

「隔壁閉鎖しろ、急げ!」

 

無慈悲にもシャッターは閉じられ、生きることを許されなくなったものは酸素のないことに藻掻き、業火に殺されるのだ。

 

「待ってくれ、まだ俺がい…あ…」

 

また一つ、この宇宙から命が消える。

 

「中隊長!Cブロックも被弾、火災発生!どうしますか!」

「シャッターを閉鎖しないと!」

 

狼狽える部下に対し、斎藤は怒鳴りながらも適切に指示を出す。

 

「馬鹿野郎!cブロックではまだ生き残って戦っている奴もいるんだ!総員、装甲服を着ろ!急げ!」

 

だが、装甲服を着用すると同時に空を見ると何やら先程より小型の何かが妙なものを撒き散らしていた。隊員の一人が双眼鏡で観測する。

 

「隊長、陸上部隊が攻撃してきます!!」

「なにィ?」

 

部下の双眼鏡で斎藤もしかと確認した。なるほど敵の揚陸艦が次々と戦車を地上にばら撒いているではないか。だが、斎藤はそれを見て、寧ろにやりと笑いすらした。

 

「へっ、地面の上での戦いならこっちのもんよ。通信ブロックに集まれ!いよいよ決戦だ!」

「おーっ!」

 

だが、事はそう上手く進むものではない。敵はその射程を生かしてこちらの基地に攻撃を仕掛けてくる。ガミラス戦役時の艦艇の主砲をサルベージし、要塞砲として転用していたがそれらは尽く破壊されてしまう。

 

「チっ、こうなったら敵を引き付ける!第一、第二小隊は俺に続け!他の連中はここを死守しろ!永倉、行くぞ!」

「了解。皆、急いで来な!」

 

外は地獄であった。蛮族の攻撃で民間人の家は崩れ、うめき声と火の燃えるぱちぱちという音は空襲警報のけたたましい音でかき消されていた。

 

「うわぁ!」

 

瓦礫に隠れて倒そうとするも、対歩兵戦闘車を前に次々と隊員は撃たれる。

 

「ちっ、くそったれ!」

 

その時、斎藤は青い肌の少女が近くの崩れた家から必死に何かを引っ張り出そうとしているのを見た。恐らく、この惑星のガミラス側の開拓者なのだろう。

 

「何してんだ嬢ちゃん、早く逃げっぞ!」

「お兄ちゃんが、お兄ちゃんがおててを出してる…助けなきゃ…」

 

妙なことを言っている、と思って斎藤が少女をさっさと抱えようとすると確かにそこには「手」はあった。確かに手は出ているのだが、この独特の鉄臭さや瓦礫の位置から察するに生存は期待できるものではなかった。

 

「ねぇ…」

「大丈夫だ、お兄ちゃんは必ず後で来てくれる、な?今は嬢ちゃんだけでも逃げるぞ!」

「いやだ!ヤマトが助けに来てくれるもん!その時にお兄ちゃんといっしょににげるもん!」

「…ヤマト?」

「お兄ちゃんがね、前にずっと向こうのお星さまに住んでたときから行ってたの!『ヤマトが来たらどんな悪い敵もやっつけるんだ』って。そうでしょ?」

 

あの艦だ。月面で〈キリシマ〉に収容された時、遠目に見たあれだ。2199年末に民間人の暴徒弾圧を抗議しに司令部に乗り込んだ時に帰還の旨を聞かせてきたあの艦だ。

 

「…ああ、そうだ。間違いねぇ!でもな嬢ちゃん、ここにいたらヤマトが来る前に死んじゃうかもしれねえ。後でお兄ちゃんも必ず助けるから逃げよう、な?」

「やくそく?」

「…ああ、約束だ」

「ありがとう!」

(こんな嘘、優しくもなんともねえだろうな…)

「永倉、済まねえ。民間人がいる、少し救助してくるから臨時で指揮をとってくれ!」

 

あいよ、と永倉は返事した後に、あんたのそういうバカ正義さは悪くないよ、と呟いた。

 

斎藤はせめて、暗くなる顔は見せまいとそっぽを僅かに向きながら彼女を抱きかかえて全力で走り出した。だが、多少物陰に隠れたところでどうにもなるはずがない。2人はただ、廃墟が増える惑星の地表を見るしかなかった。

 

(この嬢ちゃん一人を生かすことですら苦労してんだ…みんなを助けるなんて端から無理だったのか…)

 

斎藤が諦めかけていたその時、

 

「おい、あれ…」

「すげぇ!奴が来たぞ!」

 

ちょうど彼らの上空を歪ませて現れた巨大な影、それは紛れもなく地球の船だった。

 

「ようやく近くで拝めるのか、ヤマト…!」

 

その巨砲から青白い光が放たれるとともに先程までに猛虎の如く暴れていた蛮族の戦車は蠅のように叩き潰された。

 

「艦底部、艦対地ミサイル発射準備よし」

「発射ぁ!」

 

四方八方にミサイルの噴煙が飛び散るさまを真正面から見たならばまるで天使であっただろう。次々と地上の戦力を粉砕しながらヤマトは地上へと迫っていった。

 

「おおい!」

「ありがとう!!!」

 

空間騎兵隊の面々は次々とヤマトに手を振り謝意を伝える。斎藤に担ぎ上げられたその少女―イリィ・ポジェット―も大きく手を振り続けていた。

 

「惑星の司令部の状態が気になる。真田さん、我々はシーガルで司令部の方の観測及び生存者の救出を行います。機の操縦は自分が行います。救助隊のメンバーとしては…桐生、相原。あとは…そうだな…」

「古代、新米はどうだ?私が艦の指揮を執る以上、メカのことなら彼が何か役に立つかもしれない」

「なるほど、わかりました。ではこの4人で行ってまいります」

 

第2格納庫のハッチが開き、コスモシーガル〈503〉が発艦する。上空から見ても当惑星の被害が酷いのは明らかであった。数時間前までの日常は完膚なきまでに破壊され、よく見るとかつて人であった「物」とそれから流れる赤黒い液体もある。古代は助けられる人がいる可能性を考えながらも、今は優先すべきことがあると息を呑み急行した。

無論、司令部もまた爆撃の標的となっており、はっきり述べれば損壊状態にあるとみて間違いなかった。

 

「正直、生存者の人数には期待しないほうがいいなぁ…」

 

桐生がぼそっと本音を漏らす。古代はそんな言葉を無視して次々と内部へ進んで行く。暫く進むと厚い隔壁で閉ざされた通路へと辿り着いてしまった。どうしようにも、開けることは難しそうであった。

 

「あの…よければ、僕がやりましょうか…?」

 

そう提案したのは新米、彼によるとプログラムにアクセスして弄くれば開けられる程度のものだという。古代がじゃあ、頼もうと一任すると新米は手持ちの端末であっという間に速い速度で何かコードを打ち込み気づけば開けていた。

 

「新米くん、すごいじゃない!!」

 

桐生は新米があたかも旧知の仲であるかのようにヘルメット越しに頭を小突く。新米はあ、ありがとうございますと言いながらも困惑していた。

 

「いやぁ、優秀な新入りがいてよかったですねえ」

 

と相原も感嘆を漏らし、ひとまずの難所は突破した。更に奥へと進んていき、司令室へと到達する。通る通路は死体ばかりでこの部屋もあまり期待てきたものではないが、とりあえず扉を開けることとした。そして、古代の探し求めた男はそこにいた。

 

「土方教官!!」

 

生きているのか分からないほどに土方は気を失っていた。

 

「すみません土方教官、お待たせしてしまいました」

 

古代が揺すったことでようやく土方は意識を取り戻した。辺りを見渡し、次に自分の掌が動くのを確認した。そして次第に彼は落胆を顔に現す。

 

「よせ…私はどうやら死に損なったらしい」

「なんでそんな自暴自棄なんです。自分の知っている教官はそんなこと言いません」

 

古代は土方の肩を支えて脱出しようとするが、土方は古代の手を跳ね除ける。

 

「私に生恥をかかせる気か…!」

「もし教官が生き延びたこと自体を恥だと仰るなら、そういうことになります。教官、申し訳ありませんがどうか恥をかいてください」

「…全く、相変わらず頑固だ」

「それに、何が起きたのかを報告する義務もありますからね」

 

そうこう話して古代たちは元に来た道を戻ろうとするが、先を警戒して歩いていた桐生が大声を上げる。

 

「古代さん!天井が!」

 

先程まで無事であったはずの天井が崩落し、見事に道を塞いでいた。恐らく、先のタイミングで幾度か爆発があったのでその時に落ちたのだろう。

 

「回り道はないのか?」

「それが、他も…」

 

監視カメラの映像から分析した相原も肩を落として報告する。だが、また新米が声を震わせながらも提案する。

 

「よ、よければこれを使いますか?」

「これはなんだ?」

 

波動コアに似てはいるが、両端にはダイヤルが付いているその物体がなにに役立つのか検討もつかなかった。

 

「技術部が試験的に作ってみたダイナマイトです。波動コアをベースに強制的に暴走を起こすように少しいじった試作品で…噂ではこれにより強力な波動エネルギーか何かを浴びせることで機雷として使う方法も検討されているんだとか」

「そいつの試験は?」

「いえ、まだです…」

 

だが、土方は冷静に

 

「だが、それを使わねばどうしようもあるまい。君、使ってみるんだ」

 

と指示を下す。

 

「は、はい!」

 

他の者が物陰に退避したのを確認した後に新米は丁寧にダイヤルを回し、彼も同じく身を隠す。5,4,3,2,1。波動エネルギー特有の青白い光とともに壁は爆発四散し、見事に道がひらけた。

 

「や、やった…」

「よし、脱出する」

 

5人は急いでシーガルのもとに戻り、ヤマトへと帰投するのであった…

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