僕は彼女の食用肉   作:李さん

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誤字報告多謝

誤字が多いのは休憩時間にスマフォで書いているので、それが原因だと思う。大変申し訳ない。

今回は殆ど説明回


第9話 あなたのなまえ

 

 

「あついわね~」

 

「ホントな~」

 

本日は夏休みの最終日

えっちゃんから召集を受けて、【あんていく】の窓際のテーブル席で、蜘蛛子ちゃんとお茶をしていた。

僕がアイスコーヒーに対して蜘蛛子ちゃんは100%オレンジジュースを啜っていた。

クーラーが効いてはいるが、暑いのか黒い少しウェーブのかかった長髪をポニーテールにしている。

ちなみに、蜘蛛子ちゃんの今日のファッションは白いノースリーブワンピースだ。

 

それにしても、僕の誕生日会のプレゼントのファインプレー以降、土下座して「蜘蛛子さま!ノートの件、ありがとうございましたぁぁ!」と感謝して以降、蜘蛛子ちゃんの態度も緩和されて普通に話すくらいは出きるようになっていた。

 

「そういえば、あんた宿題おわらせた?」

 

「もち、最初に9割終わらせた。」

 

「9?………なに?」

 

「殆ど終わったてこと。後は日記くらいだ。」

 

「そう………むずかしく言う事ないじゃない………

 

すまん、バッチリ聞こえてる。小学一年生には難しかったか。反省。

そしてわざと聞こえない振りをして、アイスコーヒーを一口飲んで、外をみる。

 

「えなちゃん、来ないね。」

 

「そうね~」

 

「何のようかな?」

 

「あぁ、恐らく誕生日会の事じゃないかな?」

 

「ふーん、だれの?」

 

「えっちゃんの」

 

「ふーん………いつ?」

 

「9月9日」

 

僕がえっちゃんの誕生日を教えると、対面に座っていた蜘蛛子ちゃんが左手を僕に向けて、糸を出した。

その糸は僕の襟を掴んで引き寄せた。

ちょうど、僕の首を絞めるように引っ張り

 

 

 

「な・ん・で・お・し・え・な・い・の・よ・こ・の・ば・か!」

 

 

 

「ちょ!まって!ごめ!だっから!ゆするのっ!やめれ!こひ!りばす!る!」

 

テーブルに足をかけて糸を引っ張り、ガクガクと上下に揺すってくる。

貴女結構個性を器用に使いますな。そして、テーブルに足を掛けるのはやめなさい。

 

「ちっ!こうしちゃいられないわ、この後プレゼントよういしにいかなきゃ………!」

 

「ぜー…ぜー…さ、さいで…」

 

糸から解放され、膝をついて一息つく。

見上げると、相変わらずテーブルに片足を乗せてる蜘蛛子ちゃんの背中には燃え上がる炎の幻影が見えた。

何度も言うが、テーブルに足をかけてはダメだよ。

 

そうこうしてる内に、お店の奥からえっちゃんがやって来た。

 

「おまたせー!」

 

「えな!」

 

小走りで走ってきたえっちゃんを確認すると、ソコからは早かった。

【あんていく】の厨房との仕切りに糸をかけて自分自身を引っ張り、えっちゃんに飛び付く蜘蛛子ちゃん。

店内を蜘蛛糸でジップをするのは止めなさい。

危ないでしょう!

 

「えな!じゅばんから聞いたよ、来月誕生日なんだって?どうして教えてえくれないのー」

 

「えー!じゅうくん言っちゃったんた。」

 

恐らくサプライズで誕生日会に招待をしたかったのだろう、ほっぺを膨らませて、プンプンと怒っていた。

ごめんとえっちゃんをなだめながら、落ち着かせた。

 

「じゅうくん、次は気を付けてね!」

 

「悪かったって。それで、蜘蛛子ちゃんを招待するの?」

 

「そうだった、くもちゃん!今週の土曜日、私の誕生日会をするので、くもちゃんも一緒にどうかな?来てくれると嬉しいな。」

 

「もちろんいくわ!」

 

即答かよ

 

まあ、蜘蛛子ちゃんらしいか。

 

「良かった、場所はここ【あんていく】だよ、夕方5時から始める予定だよ。」

 

「へえ、【あんていく】にしたんだ。あ、だからさっき厨房に行っていたんだな。」

 

「うん!その日は予約取ってないからお店の貸し切りにしてくれるって。」

 

やれやれ、相変わらず芳村夫妻は愛娘に甘いな。

まあ、そんな二人だからこそ好感が持てるというものだ。特に僕以外の友達を連れてくると言うのだから、その嬉しさは殊更だろう。だが、その反面料理など気が抜けないからプレッシャーば半端ないと思うが。

なんせ、えっちゃんと蜘蛛子ちゃんで食べるものが違うのだから。

えっちゃんと蜘蛛子ちゃんがキャッキャッ言いながら楽しそうに話しているのを尻目に、僕は一人厨房に向かい、芳村夫妻に話しかける。

 

「お疲れ様です。えっちゃんの誕生日、蜘蛛子ちゃんの件、大丈夫ですか?」

 

声を掛けると、二人とも夕方のディナーの仕込みをしていた。

朱膳さんは寸胴をかき回していて(フォン・ド・ヴォーかな?)愛守さはボウルを片手にミキサーをかけていた。【あんていく】の自家製マヨネーズを作っているのかな?

 

「ああ、襦袢くん。お疲れさま。」

 

此方を一瞥して声を掛けると、ドサッとザルと袋に入った皮付きのじゃがいもをこちらによこした。

 

………手伝えと?

 

まぁ、やりますが。

厨房に襦袢用と書かれた包丁立てから一本取り出し、これまた襦袢用と書かれた椅子に腰掛け、ゴミ箱の前で、じゃがいもの皮を剥き始めた。

 

「それで、蜘蛛子ちゃんとの誕生日会、どうするのですか?」

 

「一応、考えてはある。本格的なコースを出そうと思っている。この時に愛成には簡単なマナーを覚えさせようと思う。」

 

コース料理か!

 

なるほど、考えたな。要はえっちゃんの食べるものを、他の人に食べさせなければ良いと言う事か。

まさに逆転の発送。

更にマナー教室ならば、不用意に食べさせあう事も回避できる。

そう、食事中だけ気を付ければ良いのだ。

 

「それは妙案ですね。講師は愛守さんが?」

 

その質問に、愛守さんが答えてくれた。

 

「いいえ、(ひとえ)さんにお願いするわ。」

 

ママンか、なるほど。

辣腕弁護士で、政界の要人とも付き合いで食事会をでるのと、パパと結婚するまでは、良いとこのお嬢様の出なのでマナーは完璧だ。講師としてこれ以上の人は早々居ないだろう。

 

「素晴らしい。後は蜘蛛子ちゃんがどう思うかですね。」

 

「当日は蜘蛛子ちゃんだけと言うことは無いだろう。恐らく、蜘蛛子ちゃんのお母さんも一緒に来るだろう。先日話したが、結構、教育熱心な方なので、マナー教室と聞けば賛成してくれるだろう。」

 

あー、あの人か。夏休みの時に蜘蛛子ちゃんの家にえっちゃんと遊びに行った時に話した。

赤毛のアメリカ人のお母さんだ。

名前は【糸井・メアリ・パーカー】さんだ。

明るい性格肝っ玉カーちゃんで横幅も結構肝っ玉な感じの人だった。(日本語はペラペラだ)

蜘蛛子ちゃんもメアリさんも、物凄く気が強く、母娘(おやこ)でしょっちゅう喧嘩していた。

 

………うん、現実から眼を反らしたい。

そう、【糸井・メアリ・パーカー】さんなんだよ。

そして蜘蛛子ちゃん、アメリカ国籍も持っていて、アメリカでの名前が【マリア・パーカー・イトイ】

そして、蜘蛛子ちゃんのお祖父さんの名前。

うん、ご本人様でした。しかもアメリカでヒーローとして活躍中。

この世界は一体どこのユニバースなんですかね~?

え?お祖母さんの名前?いや、その、へ、並行世界でお祖父さんの代わりにヒーローに成ってた人って、言えばわかりますかね?

こ、これ以上は危険な気がするのでやめよう。

未来の僕に期待したい。

 

「襦袢くん、マナーの方は大丈夫かい?」

 

「嗜む程度には」

 

「そうかい、でも7歳でそれはすごいと思うよ?」

 

それは前世と含めアラフィフですので。

 

「あ、そうだ。愛守さん」

 

「なにかしら?」

 

「少し聞きたいのですが………」

 

 

 

 

 

 

★★★閑話休題(じゃが芋剥きました)★★★

 

 

 

 

 

 

その日の夜、何時ものように勉強をしていると、案の何時もの奴が話しかけてきた。

 

(じゅうくんこんばんわ)

 

「おう、こんばんわ」

 

今現在夜の9時、どうやらえっちゃんはこの時間に眠りに付いたそうだ。健康的で感心感心。

 

(ふむ、どうやら私の正体マジでバレてるようだね)

 

そりゃな、お前はえっちゃんの中のもう一人だろう。

 

(正解、あぁ、多重人格とかでは無いよ。)

 

知ってるよ。えっちゃん、元々双子だったって聞いてる、お前はその双子の姉妹だな。

 

(またまた正解。じゅうくん脳筋タイプなのに結構本質とらえてくるよね。)

 

脳筋言うな。だれが脳筋じゃだれが!

 

(私はね、愛成と視界を共有してるんだよねー、でね、じゅうくんと蜘蛛子ちゃんとの戦いをバッチリ見ちゃってんたよね。)

 

ギク、アレを見てたのか。

 

(蜘蛛子ちゃんが蜘蛛糸でぐるぐるに拘束されてる状態で、どう脱出するのかな~って見てたら体内の肉襦袢を強化して引きちぎるパワー技。これを脳筋と言わずになんと言う。)

 

あ、あれが一番効率が良いんだよ。

 

(よ!ぽっちゃりオールマイト)

 

そのネーミングはやめれ!未来の熱狂的なファン(あかぐろさん)に殺されてしまいそうだ。

 

(でも、その後の攻撃がいただけないな~。あれ口では『にくにくの~バズーカ!』って、誤魔化していたけど、あれってまんまし「ストップ、そこまで」あれ?ひょっとして、変な力使っちゃって別ユニバースからの介入恐れてる?)

 

警戒するだろ!蜘蛛子ちゃんの例も有るしな。

 

(そうね~見た目からしてあの世界の実(ひとつなぎの大秘宝)の力じゃないしね。)

 

誤魔化せば何とかなる………と、信じたい。

 

(別に良いじゃない、寿命なんて。愛成と子供作れば。喰種(グール)との子供問題なら私が何とかしてあげるよ?)

 

まぁ、お前実績あるもんな。

そうだよ、お前、胎児の時に死亡したのに、どうやって生き延びた?

 

(あぁ、死ぬ寸前に個性を愛成に使って融合したんだよ。)

 

………は?フュージョンしたの?

 

(残念ながらあの時の愛成とはフュージョンのポーズが取れなかったからね、私の個性は【偏食】と名付けた。人の食事に関することの好き嫌いをコントロール出来る個性だよ。)

 

なるほど、だから愛守さんは煮こごりしか食べられなかったのか。

 

(愛成の赫子はかなり特殊でね。じゅうくんも、もう気付いていると思うけど、この会話も愛成の赫子の力を使っているよ。あの時、愛成の喰種の生存本能なのか、愛成は赫子を使ってママさんと同調していたんだよ。それにより、ママさんのあらゆる感覚を喰種と同じにしていたんだよ。)

 

だから愛守さんは普通の食べ物を食べられなくなっていたのか。吸収という個性があるのに、食べられなくなるなんておかしいと思ったんだ。

しかし、えっちゃんの赫子そんなことも出来るなんて結構万能だな。

 

(これも例のシステムの一寸した応用だよ。)

 

そのネタは止めなさい。ご本人来ちゃったらどうするの?噂をすれば影だよ。

 

(それって、もとネタ三国志だっけ?しかしパパさんがあの時に、牛肉の煮こごりを持ってきてくれてのは天啓だと思ったよ。)

 

なるほどな、漸く合点がいった。それまでえっちゃんに個性を使って自分が捕食のの対象に成らないようにしていたのか。

そして、愛守さんの危機を悟って対象を愛守に移した。

空腹の喰種の直ぐとなりに美味しそうな肉があれば、あとは言わずもがなか………

 

(正解。あの時は痛覚はまだ無かったけど、チャットづつ喰われる恐ろしさが有ったよ。また死んじゃうのかと絶望もしてた。)

 

御愁傷様。………ん?でも、お前個性【偏食】なんだよな?今の状況を説明するのは無理じゃないか?

 

(そこに気付くかい。)

 

うん、で?その真実は?

 

(簡単に言うと、私の個性【偏食】の本質は食事の好き嫌いではなく………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………「はぁぁぁ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「襦袢ー?どうしたのー?大声あげてー」

 

あ、やべ、騒ぎすぎた。リビングに届く程の大声を出してしまい、ママンがリビングから声をかけてきた。

ドアを開けて「ごめんなさーい、大丈夫、なんでもないよー」と返答し扉を閉めてベッドに腰掛ける。

 

フーっと一息つくと改めて元凶に声を掛ける。

 

「チート過ぎね?ソレ」

 

(我ながら同感に思うよ。)

 

覚めてるね~。だって下手すればAFO完封できるんじゃね?あ、でも天敵が居るか。あいつの存在に気付けば逆にAFO手がつけられなくなるのでは?

 

(そうだね、あの子の存在に気付けば、だけどね。)

 

しかし、それなら納得だ。融合したのは意識と個性だけ?

 

(脳と幾つかの臓器も融合している。愛成の知能指数が高いのはそれも影響している。)

 

それが本当なら、栄養とかは?

 

(4歳までは愛成のRc細胞を融合して取っていた。4歳からは愛成と共有している。愛成の燃費悪さはそれが原因。)

 

なら次は………ちょっと待て。いま聞き捨て成らないワードが聞こえてきたぞ。

 

R()c()()()()()()()()()()()()()

 

つまり、

 

(うん、拙者、半グールに成ってるでゴサル)

 

お、おまえ~、マジで?

 

(証拠は愛成の食事。4歳までは普通に食事出来ていたのは、私のおかげだ!つまり愛成は私が育てたも同然!)

 

あーそうか、グールたる所以はRc細胞の多さか。一般人レベルまでRc細胞を少なくすれば、普通の人と同じ食事が出来るのか。

あれ?でも食べられても栄養にならなくね………ってあぁ、おまえの個性か

 

(正解)

 

ん?でも途中でえっちゃん食えなくなってたのはどうしてなんだ?

 

(あーそれはねー、

 

 

 

 

 

 

間違えて赫包くっちった♪テヘ♡)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テヘはーと、じゃねーよ。え?なに?それが原因?

 

(うん、そう。それが原因で愛成の喰種の生存本能を刺激してしまって、人肉くいてー!って、状態になっちゃったんだよ~)

 

結局おまえのせいじゃねーか!おま、僕が居なかったらどうしてたんだよ。

 

(そっ、その時はその時だよ)

 

声震えてんじゃん。てか、マジてオマエ黒幕じゃん。

 

(まあ、半グールだしね。恐らく赫眼も片方だけだし、エトみたいに黒幕の素質アリかも?)

 

東京喰種の黒幕エト様じゃ無いけどな。

………そんな貴女に朗報です。

 

(うん?なになに?)

 

先ほど愛守さんに聞いてきて、貴女のお名前が判明しました。

 

(おぉ?!マジで?!)

 

元々双子だったから、名前二つ用意していたんだって。それでは発表します。

ドゥルルルルルル………

 

(ゴクリ)

 

あなたの名前は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

芳村愛支(よしむらえと)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………パドゥン?)

 

芳村愛支(隻眼の王)

 

(………マジで?)

 

マジで

 

(アイエェェェェェ?!ナンデ?!ナンデエト?!)

 

気持ちはわからなくもない。

 

(………ごめん、ちょっと私自身の赫子確認してくる。)

 

お?出来るのか?

 

(うん、結果によってはこのまま寝る。)

 

そ、そっか。その、無理せんでな?

 

(うん、おやすみ)

 

ああ、おやすみ

 

………

 

行ったか。

無理もない。突然貴女は芳村愛支ですと言われたらそうなるわ。

でもな、愛成ちゃんと一緒で、もし無事に産まれていたら、オマエも愛されて居ると思うぞ。

 

先ほどの愛守さんとの会話を思い出す

 

『もしもう一人が産まれていたらか、恐らく変わらないと思うな。最初の愛瑠(える)の事が有ったから、全力で愛したと思う。

 

私たちが愛が願い叶った美しい子で愛瑠(える)

私たちの愛で支え合い叶った子で愛支(えと)

私たちの愛し願って成った子で愛成(えな)

 

私たちの大事大事な子供たち。忘れることの出来ない私達の愛し子。』

 

不意に、汗が口の中に入った気がした。口の中に微かな塩味が広がる。

 

「暑いな。」

 

そのままベッドに倒れ込み今日は寝ることにした。

 

愛守さんの未来に光が差せばいいな。

 

 

 

 

 

 




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