僕は彼女の食用肉   作:李さん

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第??話 愛成+αの成長

 

 

……ん

 

暗い闇のなかから誰かの声が聞こえた。

 

え…ん

 

最初は小さく聞こえてくる声。男か女かもわからない声。

 

え…ちゃん

 

段々と、その声はハッキリと、明瞭に聞こえてくる。少し高い声。女性か?子供か?

 

えなちゃん

 

それは愛成を呼ぶ声だった

 

愛成(えな)ちゃん」

 

ハッキリと鼓膜を振動させ届く声。

誰かが私を呼んでいると 愛成 は意識を覚醒させてく。

 

愛成(えな)ちゃん」

 

再度の呼び掛けに、うっすらと眼を開けて見ると、正面に白い人影が見える。

 

「んむぅ~」

 

寝惚けている頭を。身体を起こすことで覚醒へ持っていく。

まだ、本調子ではないが先に周りを見渡す。

 

「ふにゅ、ココドコ~?」

 

目を覚ました愛成が見たのは灰色の部屋だった。

全てむき出しのコンクリートで覆われた部屋。

窓もなく、ただ壁と同じくコンクリートで出来た天井で、天井の中央には蛍光灯が1つだけ。

大きさは八畳から十畳くらい。

調度品は少なくて、今 愛成 が座っている黒い装飾の無いソファーと目の前に居る白い影が座る、体育館とかにあるような組み立て型の椅子が1つ。

 

なぜここに居るのかと、愛成は思う。

自分は自室のベッドで寝ていたはずだ。

周囲を粗方見回した後、正面の人物に焦点を合わせる。その人物には顔がなかった。

いや、顔とおぼしい所が包帯で覆われていた。

それだけではない、全身が包帯で覆われていたのだ。辛うじて目の部分は包帯に覆われてはいないが、黒く伽藍堂の様にみえる。紫のフード付きのワンピースと首に花柄のスカーフをしていて、年頃は愛成と同じくらい7~8歳位か?たが愛成はそんなことより気になることがあった。

 

「あなたはだーれ?お怪我しているの?」

 

お怪我をしているの?と愛成がそう聞くと、目の前の人物は体全体で笑を表現するかの様に体を震わせていた。

 

「アハハハハ、愛成ちゃんは優しいね。ダイジョーブ!お怪我はしてないよ。私は………そうだな、正義の味方ならぬ、愛成ちゃんの味方だ~!」

 

「みかた~?ヒーローじゃなくて?」

 

愛成は首を傾げて疑問を答えると、包帯の人物は手を叩き

 

「そうそう、ヒーロー!そう、ヒーローだよ。」

 

「そうなの?お名前は?」

 

「愛成ちゃんの好きに呼んでいいよ。」

 

「ヒーローなのに名前がないの?変なの。んーそうだな~………ハナちゃん!お花のスカーフしてるからハナちゃんでどう?」

 

「おぉう、なんか黄色いイモムシ見たいな名前だね。茶色い鼻でも付けようかな?」

 

包帯の人物は自分の鼻を触りながら、クネクネと体を左右に揺らす。それを見た愛成はよっぽど面白かったのだろう、口を大きく開けた笑った。

一通り笑って冷静に成ったのだろう。

愛成は灰色の室内を見回しながら包帯の人物に問いかける。

 

「ねーねー、ハナちゃん。ここは何処なの?」

 

「此処はね、私のお部屋だよ。」

 

「ハナちゃんのお部屋なの?」

 

そう言われ、愛成は調度品の無い部屋を見て

(さみしいお部屋、だけど)

寂寥感(せきりょうかん)を覚えつつも、何処か温かみを感じていた。そう、まるで自宅のお店である【あんていく】の様な空気を感じていたのだ。

 

「うん、良いお部屋なの。」

 

「アハハハハ、お世辞は良いよ。さみしいお部屋だろ?」

 

「正直そう思うの。でも、私は嫌いじゃないよ?」

 

「そう?」

 

「うん!何でなのか、お家の空気の様な気がするの。」

 

愛成がそう溢すと、包帯の人物『ハナ』は、包帯に覆われていても、微笑んだとわかった。

 

「お家のって【あんていく】?」

 

『ハナ』が【あんていく】の名前を出すと、愛成は誇らしげに笑顔になった。

 

「知ってるの?!」

 

「えぇ、知ってるよ。煮凝り料理が絶品のレストランだよね。」

 

「そうなの!パパのお店なの。」

 

 

「そうなんだ、話を聞いて一度食べたいと思っていたんだ~」

 

「とっても美味しいの!」

 

「そうかー、んーもし愛成ちゃんとお友だちになったらいつか食べられるかな?」

 

『ハナ』は頤に右手の人差し指を当てて、期待するように呟いた。

それに対して愛成は悲しそうに言う。

 

「ごめんなさい。パパに聞かないとわからない。」

 

悲しそうな愛成に対して両掌を愛成につきだし、慌てたように

 

「あわわわ、そんな悲しそうな顔しないで、料理を作っているのはパパさんだよね、聞かないとわからないよね、ごめんね変なこと聞いちゃって。」

 

「ううん、私こそごめんね。」

 

申し訳なさそうな愛成を見た『ハナ』は、プルプルと小さく震え、その後 愛成 に飛び付いた。

 

「愛成ちゃんホントに良い子!」

 

両手を 愛成 の首に回しハグをする。包帯越しだが頬をスリスリとすると「くすぐったい」と言いつつも、『ハナ』をほどく様子はなく、逆にハグをし返す愛成。

一頻りハグをして満足したのか、『ハナ』は、愛成の両肩を持ち、目線を合わせた。

 

「愛成ちゃん!お友だちになろう!」

 

「ふえ?」

 

「お料理の事は残念だけど、それ以上に良い子の愛成ちゃんお友だちになりたい!………だめ?」

 

『ハナ』の提案に愛成は嬉しくなる。

今日初めての会った人物なのに、まるで家族のように感じる人物。母親でも父親でも、ましてや家族のような幼馴染みでもない、不思議な感じのする人物。でも嫌ではない、むしろ嬉しい。その感情の命じるままに愛成は満面の笑顔を浮かべ

 

「うん!」

 

と返事をするのであった。

 

ソコからは二人でソファーに座っていろんな話をした。

両親の事、幼馴染みの男の子の事、親友の事、いろんな話を 愛成 は『ハナ』に話し、『ハナ』は終始利き手に回って相づちをうっていた。

 

「アハハハハ、そっか、羨ましいな

 

「んぅ?何か言った?」

 

「ううん、何でもないよ。それで、どうしたの?」

 

愛成は楽しかった。こんなにお喋りが楽しいと思ったのは初めてだ。気が付くと愛成は喋り疲れて目がトローンと落ちそうになっていた。

 

「あらあら、お喋りしすぎて疲れちゃったかな?」

 

「う……ん。ねむいの」

 

「寝ても良いよ。此処にはまた来れるから。」

 

「うにゅぅ、『ハナ』ちゃんに………また会える?」

 

愛成の寂しそうな声に、『ハナ』は愛成の両手を優しく握り

 

「会えるよ?いつでも会える。君が望めばいつでも。」

 

「うん………また、会いに来るの。」

 

「何時でもおいで。………あぁそうそう、私の事は誰にも言ってはいけないよ。パパさんやママさん、特に ()()()()() には言ってはいけないよ。」

 

誰にも言わないよと愛成は返そうとしたが、眠気が勝ってしまったのか、その目は閉じられ体は隣の『ハナ』に凭れかかり、口からは小さな寝息が聞こえてきた。

 

「寝ちゃったか、良い夢を愛成」

 

『ハナ』が優しく 愛成 の髪を手櫛を撫でる。

やがて 愛成 の体が半透明になっていき、滲む様に消えてしまった。

愛成の髪を撫でていた『ハナ』の手が空を切る。

『ハナ』はその空を切った手を返して手の平を見つめ、何かを掴むかの様に握りしめた。

『ハナ』の手が、体が震え出す。

その震えを押さえるかのように、体を抱き蹲る。

何かを堪えるかの様に、爆発する何かを押さえるかのように。

 

「………あは」

 

蹲ったいた『ハナ』が顔を上げると、その喉からは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂ったかの様な笑い声が大きく響いた。

 

「やった!漸く!漸くここまで出来た!ながかったぁ~2年半、マジで疲れたでござるよ~私の個性は正解を知らないと意味ないから、しらみ潰しがホントにつらかったぁ~」

 

『ハナ』は両手を上にあげ、ん~と1つ伸びをしてコテンとソファーに横たわる。フーと深い息をして沁々と先ほどの 愛成 との会話を思い出す。

 

「愛成、可愛かったな。そして良い子だった。パパさんやママさんの教育が良いのかな?それとも じゅうくん の光源氏計画かな?どっちにしても、愛成が良い子なので、お姉ちゃんは嬉しいです。」

 

横になりながら、愛成の笑顔を思い浮かべる。

幸せそうだったな~と思う。優しい両親が居て、信頼できる親友が居て、そして自分を犠牲にして守ってくれる素敵な幼馴染み。

 

「良いよ、愛成は今の幸せを噛み締めていて。だって………」

 

『ハナ』はゆっくりと横に成っていた体を起きあげる。その様子は何処か楽しげな雰囲気がした。そして立ち上がり小さく

 

 

 

 

 

 

 

 

何処に落とし穴があるかわからないからね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ…ふふふふふふ…アハハハハ」

 

 

アハハハハははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははば!?ゲフッゲフゲグバァ

 

 

「ゲフゲフッ、な、慣れない三段笑いはするものではないね。お、終わり時がわからなかった。」

 

ゼーゼーと荒い息をついて、再びソファーに座り直す。

 

「ヌヌヌ~いくら赫者に覚醒したとはいえ、流石に理性の箍が簡単に外れてしまうのはどうなの私。」

 

反省反省と頭を右手でコツンと叩く。反省と言いつつもとても反省しているようには見えなかった。

 

「このままでは、じゅうくんと会ったとき、いろんな意味でパックリ食べてしましそうでゴザルよ。」

 

ジュルリと、口で擬音を出して口許を拭う仕草をする

 

「じゅうくんって年々、可愛くなって行くな。愛成使って意地悪しちゃおうかな~。好きな子に意地悪するオコチャマの気持ちが理解出来る。だってナナちゃいだもんw」

 

キャハっとイヤンイヤンと体を左右にくねらせる《ハナ》だったが、途端にその動きを止めて、天井を見上げる。

 

じゅうくん(ダーリン)に会いたいな~でも、そのためには 愛成 に退場してもらわないとダメなんだよな~。でも流石に家族だしな~そんな考えはナッシングでゴザル~。」

 

でもねと、『ハナ(エト)』の右目が赫く光る。

口許の包帯が割れて笑う様な形になる。

 

「もし、もしそんな事が起きたなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その体ちょうだい

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