僕は彼女の食用肉   作:李さん

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第12話 事前確認は重要

 

小学校2年生の春休み。

僕は近くの山の山中にて、個性の実験をしていた。

家の地下の訓練場では、実験が出来ない力を使うためだ。

そして、目の前の大きい2つに割れた岩をみて

 

「やべぇ~マジで出来てしまった。」

 

と、遠い目をしながら(つぶや)いた。

今までは人の力や筋肉、骨格や骨密度では出来なかったが、このあいだのカルタ大会にて、愛支(えと)の個性を食らって、ひょっとしたらと思いつき、地下で訓練を重ねていたが、流石に全力を出すと家壊れるんじゃね?と思い、今日は近くの山に来ていた。

結果、ネタ技と思っていても、いざやってみると思いの外の威力にビビっていた。

コレ完全に変身?変体?変異?ヤバい、どれが該当するかわからないが、愛支の力を合わせたら原作再現出来るのではと、思いつつ、いざやったら土台だけだが本当に出来てしまった。

マジで出来てしまった。

ヤバいと思いつつも本当に出来てしまった。

しつこいと思うが出来てしまったんだよ。

 

これ、マジで僕死ぬんじゃね?

 

うん、忘れよう。

 

しかしこれを使う時は考えないとな。

モドキの力で理性は残っているし、自由に解除できるのだが、元がアレだからな~

何時僕が死んでしまうかは解らないが、ネタの原作では、継承した時点でいずれ死亡確定なので、僕に適用されたら残りの寿命はあと………………

まぁ、ネタの原作の力がホントに有るのか?僕に適用されるのか?今現在では全く不明ではあるが、万が一を考えて全力は使わないに越したことはないかな?時既に遅しかもしれないが、本当に杞憂であれば良いなと、強く願うのであった。

そんな懊悩をしている僕の体を、山間を抜けてきた風が通り、木々をザワザワと揺らす。

春風特有の強風が、何処からか花の香りを運んでくる。

春だ、僕たちも小学校2年生だ。

今年も穏やかな一年であればいいなと、僕は空を見上げて思うのだった。

 

 

 

★★★閑話休題(しんがっきだ)★★★

 

 

さて、小中学校で、一年毎にクラス替えをする学校がほとんどだが、我が私立黒革小学校は3年生の時に、一回だけクラス替えをする。

これは以前話した、カリキュラムに付いていけない人が居て、転校する事が一番多いのが2年生の後半らしく、3年生に上がるとクラス毎の人数に偏りが生まれてしまうから、その調整の為にするそうだ。

酷い時だと、クラスの中で1人を残して全員転校してしまうと言うこともあったそうだ。

 

かく言う我がクラスも、もともと32人居たクラスメイトも半分以下の15人に減ってしまっている。

1クラスとしては少ないが、教師の普段の態度を見るに問題なしと思っているのだろう。

まあ、教師よりも生徒の方がかなり参っている子が多かった。

一年生で仲良くなった子が突然転校してしまった子が多く、いつまでも暗い雰囲気を醸し出していた。

特に女子にその傾向が多く、僕自信としてはカウンセリングが必要なんじゃないかと思うのだが、専門家でもないのに、声に出して良いのか判断が付かなかった。

一方で芳村愛成(えっちゃん)糸井蜘蛛子(くもこちゃん)は僕達以外に友人は居なく、三人とも問題なく進級出来たので、他のクラスメイトと比べると平常運転だった。

まあ、寂しい交遊関係と言えばそうだが………

 

ポヤポヤした雰囲気の えっちゃん に蜘蛛子ちゃんが抱きついてじゃれているとこを、僕が見かけて、蜘蛛子ちゃんが突っかかってくる。いつもと変わらない日常が有った。

 

正直、僕は油断していたのだろう。

 

何時もの日常は簡単に変わるものだと、僕は忘れていたのだ。

 

 

 

 

 

★★★★★★

 

 

 

 

 

僕は昼休みの食事は、何時も えっちゃん と食事を摂る。

他の食べ物を えっちゃん が摂らないようにするためだ。

 

朱善さんお弁当や僕の渡すグミ以外を摂取してしまうと、えっちゃんが嘔吐してしまうし、最悪は………まぁ、愛支が居る今現在はその心配は皆無だと思うが………一応、普通の食べ物を食べるふりをする訓練を、今年から始めてはいるけど、とにかく大変よろしくない。

それを防止するために、僕は可能な限り えっちゃん の側に居るようにしている。

………蜘蛛子ちゃんには胡乱な目を向けられているがね。

ただ、先日に蜘蛛子ちゃんにも えっちゃん が特定の食べ物しか食べられないと伝えてあり、協力も得られているから、余程の事は起きないと安心していて、蜘蛛子ちゃんが居るのなら少し側を離れても大丈夫だと、高をくくっていた。

後に考えたら今の状況がすごくよろしくない事に思い至ったが、時既に遅し。

クラスメイトが減っており、蜘蛛子ちゃん存在があり、愛支もいて、油断している僕。条件としては揃いすぎていた。

 

それは新学期が始まって1ヶ月が経った頃だった。

今日もお昼に、僕と えっちゃん と蜘蛛子ちゃんでお弁当を食べていた。

 

僕とえっちゃんのお弁当はハンバーグ弁当で蜘蛛子ちゃんはサンドイッチだ。

因みに僕のは普通のご飯つきのお弁当だが、例の如く えっちゃん は特別製だ。ご飯の材料?知らない方が良いと思います。

てなわけで、普通に和気藹々と食事をしていたが、急に校内放送がかかり

 

『ぴんぽんぱんぽ~ん………生徒の呼び出しをします。2ーAの肉丸襦袢くん。至急職員室に来てください。』

 

「襦袢が呼び出されるなんて珍しいね。何かしたの?」

 

「ん~………何も心当たりがないな~。」

 

じゅうくん、せんせい待ってるから行ってきたら?

 

何だろうと首をかしげつつも、取り敢えずは行ってみるかと、弁当に蓋をして席を立つ。

 

「ん、行ってくるから蜘蛛子ちゃん、えっちゃんの事よろしくね。」

 

「良いから早く行ってきなさい。」

 

いってらっしゃい

 

教室を出て職員室の扉をノックする。

 

「失礼します、肉丸襦袢です。」

 

扉を開けて職員室を見回すと、担任である先生(女性3○歳独身彼氏募集中)が片手を上げて

 

「肉丸くん、此方です。」

 

と、僕を呼んだ。

 

「肉丸くん、君に電話です。」

 

先生は、近くよった僕に受話器を渡すと、受け取ったのを確認して通話を押した。

 

「もしもし、肉丸襦袢です。」

 

『もしもし、襦袢か?パパンだよ。』

 

「パパン?学校に連絡なんて、急にどうしたの?」

 

『すまんな、今日、帰国予定だったのだが、急に予定が入ってな。すまんが後1ヶ月は帰れそうにない。なので、ママンが帰ってくるまでそのまま芳村さんの家にお世話になってくれ。朱善さんにはパパンから連絡したから。』

 

「そっか、うん、解った………でも、それだけの事で学校に態々連絡してこなくてもよくない?携帯にメッセージとか送っておけば………」

 

『ハッハッハ、パパンの世代は、若者の流行の対応にはついていけないのだよ。』

 

「………それ、威張れないからね。」

 

『とにかく、ママンが1週間ほどで帰ってくるから、それまで家の事は頼んだぞ。』

 

「ん、りょーかい。」

 

話終えて受話器を置く。

 

「肉丸くん、もう大丈夫なのですか?」

 

「はい、先生ありがとうございます。」

 

「お父さんは何と?」

 

まあ、一応担任だからな。聞かないわけにはいけないか。

 

「暫く家に帰れないそうです。なのでお隣の芳村さんのお家にお世話になれと」

 

「そうですか」

 

「ご心配を(じゅうくん!)?!」

 

愛支?!どうした!

 

(緊急事態だ、直ぐに教室に………)

 

愛支が言い終わる前に、先生に一礼して職員室を後にする。後ろから「廊下を走るな!」と声が聞こえたが、あえて無視する。

急いで教室に駆けつけると、クラスメイトの女子が えっちゃん の名を呼ぶが聞こえた。

そちらに目線をやると倒れている えっちゃん を発見する。

直ぐ様駆け寄り、えっちゃんに呼び掛ける。

 

「えっちゃん!愛成(えな)!!」

 

僕が呼び掛けると同時に蜘蛛子ちゃんも駆けつけてきた。

 

「えなちゃん?!どうしたの?!」

 

蜘蛛子ちゃんが心配して、えっちゃん頭を抱く。

 

「誰か先生を呼んできてくれ!」

 

「えなちゃん!しっかり!死んじゃやだぁ!」

 

蜘蛛子ちゃんが、かなり錯乱しているが、さすがと言うべきか えっちゃん に負担が掛からない様に抱いている。その取り乱し様を見てみて、混乱した頭が冷静になったのは助かった。

えっちゃんの意識がない。

呼吸が浅く、左手首の脈を確認すると脈も早い。………ん?左腕に何か出来てる。これは………

何が原因だと周りを見渡す。

えっちゃんの周りに、僕と蜘蛛子ちゃんの他にクラスメイトの女子が2人。その内1人は小さく可愛いラッピング袋を持っていて、その中にはクッキーが数枚入っていた。

まさかと思ったが、僕は冷静になるよう努めて、一部始終を見ていた愛支に問いかける。

 

(愛支、何があった?)

 

(小袋を持ったクラスメイトが愛成にクッキーを渡して、ソレを愛成が食べてたら気を失った。)

 

クソ!人肉以外を食べたのか………

だが待てよ?

 

(愛支、食べたのはクッキー1枚だけか?)

 

(うん1枚だけだよ。)

 

クッキー1枚だけ?確かに喰種は人肉以外を消化すると身体(からだ)に異状をきたすが、微量であれば気絶する程の異状はでないはず。

原作の【東京喰種(トーキョーグール)】でも、直ぐに吐き出せば問題ないはず。

えっちゃんが特別なのか?

 

 

浅い呼吸………

 

 

腕のできもの………

 

 

食べたクッキー………

 

 

………クッキー?

 

 

原材料………

 

 

 

………小麦?

 

 

 

まさか?!あり得るのか?そんなまさかがあるのか?!

【東京喰種】ではそんな描写は無かったが、そうと考えれば説明がつく。とにかく救急車………いや違う! えっちゃんには違う!不味い、先に異物を吐き出さなければ!

 

「蜘蛛子ちゃん、えっちゃんを左を下にして寝かせて!」

 

「解った!」

 

僕は直ぐ様自分の机にある鞄から、水筒を取り出しつつ、再び愛支に問いかける。

 

(愛支、他に愛成の体に異変はないか?)

 

(腕に発疹が出来ている………え?まさか)

 

(多分な)

 

(あり得ないと言うか、喰種(グール)にそんな事があるのかい?!しかも愛成がクッキーを食べてから15分もたってない。体に吸収される処か消化もされてないはずだよ?!)

 

(愛守(えり)さんの個性を忘れたのか?)

 

(?!………吸収)

 

(愛成の個性は芳村家と岩塚家の集大成だ。当然消化能力も)

 

(ママさんの個性を少しは受け継いでいると………)

 

えっちゃんは、今まで食べて咀嚼(そしゃく)し、味を感じたものは直ぐに吐き出していた。

だが、周りに溶け込むために、食べる振りをする訓練を今年から始めていたのが、完全に裏目にでた。

味を感じすに嚥下(えんげ)してしまったのだろう。

水筒を手に取り、えっちゃんの側に駆け寄る。

 

「蜘蛛子ちゃん、愛成の顔を上に上げて!」

 

「解った。」

 

(愛支、水を飲ませる。)

 

(その後吐かせるんだよね?解った、サポートする。)

 

水筒の中の水を飲ませるが、このやり方は間違っている。本来であれば、安静にして直ぐに救急車呼ばないといけないが、愛成の場合は別だ。普通の医者に見せる訳にもいかず、さらにクッキーが全て消化されて体内に吸収されてしまうと、最悪の事態が起きてしまう可能性がある。

350mlの水筒の中身を全部飲ませると、愛成が咳をし始めて、状態を起し、地面に両手を付けて嘔吐する。

 

「ケホ!ケホ!」

 

「えなちゃん!」

 

「だ、大丈夫だよ、くもちゃん。ありがとう。」

 

「(右目に赫眼が、愛支か?!)………身体の異変は?」

 

「発疹と、脱力、気分の悪さ、それ以外は無し。呼吸と脈拍、心臓は私の個性で誤魔化した。吸収したヒスタミンはどうしようもないからそのままだよ。」

 

「了解、今、母さんと愛守さんにメッセージを送る。掃除はやっておくから、先生が来るまで横になっていろ。(愛成の意識は?)」

 

「ありがとうじゅうくん(気絶しているが異状は無し)」

 

愛支の言葉に一安心と胸を撫で下ろす。

そして辺りを見回して、件のクッキーを持っているクラスメイトを発見、声をかける。

 

「キミ、そのクッキーは手作り?」

 

「あ、あっ、あの、その、ごめんなさい、わたし………!」

 

自分が、何かとんでもない事をしてしまったと、恐慌をきたして震えるクラスメイトの女の子。

その子に「だいじょうぶ」と声をかけ

 

「わかってる。えっちゃ………芳村さんと仲良くしたくて、一生懸命作ってきてくれたんだよね?」

 

僕の問い掛けに、涙を浮かべながら頷く彼女。

 

「に、肉丸くん。芳村さんはだいじょうぶなの?」

 

「うん、大丈夫だよ。ただ、見ての通り体調は悪いから、今日は早退かな。」

 

そう答えつつ、アプリのルームで愛守さんとママンに説明すると、直ぐに迎えに来てくれるらしい。

ママンも主張先から直ぐに戻ってくるらしい。栃木県だから三時間で戻ってくるそうだ。

あ、そうだ

 

「そのクッキーを貰っても良いかな?」

 

「え、その」

 

「大丈夫。ちゃんと芳村さんにキミの事も伝えておくから。」

 

「でも、私のクッキーを食べて倒れちゃったし………」

 

「そうよ!」

 

僕がクラスメイトと話していると、急に蜘蛛子ちゃんが割り込んできた。

 

「襦袢!何でえなちゃんは急に倒れちゃったのよ?!私トイレ行っていて何が何だか………いったい何があったのよ!」

 

ん~と、どうしよっかなぁ?

ホントの事を言っても良いが………

 

「蜘蛛子ちゃん、このあいだ えなちゃん は特定の食べ物しか食べられないと言ったの覚えている?(愛支、無理しない程度でフォローを頼む。)」

 

「覚えているわよ。クッキーが食べてはいけないの?」

 

「正確には【小麦粉】だね。」

 

くもちゃ……ん、ん"ん"………くもちゃん

 

「………ぷっ」

 

「えなちゃん!大丈夫?!

 

うん、大丈夫。私が悪いの。

 

おーい、芝居するならちゃんとしろよ~。個性で炭素から炭粉(たんぷん)を精製し掃除をしながら聞いていたが、愛支の大根っぷりに、思わず噴いてしまったが、周りは違和感を感じてなさそうだ。

 

あのね~私~小麦アレルギーなの。クッキー1枚だけなら大丈夫って思って食べちゃったの~こんなことになるなんて~思ってもみなかったの~だから~私が悪いの~

 

そう、えっちゃんが意識を失った理由。

十中八九【アナフィラキシーショック】で間違いないだろう。

喰種(グール)】が食物アレルギーなんて聞いたことがないが、基本人肉食主義の喰種の皆様で、普通の人の食べ物を食べたがる喰種など居らんから、可能性としてはあり得るのかな?

そう考えると、【東京喰種】の芳村功善や、恋愛脳(パイセン)の努力はハンパ無いと思う。

………そろそろ話を現実に戻そう。

いろいろ突っ込みたい事は沢山ある。

目の前で周りに説明しているえっちゃん(エト)

何でお前が表面に出てきてんだ?とか、

えっちゃんがクッキー食う前に止められたやろ。

等々、言いたい事が沢山あるが、先にコイツの演技について

 

 

 

 

こ・れ・は・ひ・ど・い

 

 

 

 

(取り敢えずお前はもうしゃべるな。)

 

(ヒドイ!言われたからやったのに)

 

(大根役者にしても程度があるわ!おまえ後で えっちゃん 謝れよ。)

 

(なんでぇ?!)

 

どんな大根も、演じればたちまちブリ大根にしてしまう大女優(だいだいこん)である芳村愛支(隻眼の王)はお帰りください。

 

そうこうしてる内に、クラスメイトに呼ばれた先生が、漸く事態を把握して えっちゃん(エト) に駆け寄り声を掛ける。

 

「芳村さん、大丈夫ですか?動ける?」

 

はい、動けますが、気分が悪いです。

 

「すいません先生。事情があり、僕から芳村さんのお母さんに連絡させて貰いました。迎えに来るそうなので、おそらく早退になります。」

 

愛支、あの気持ち悪い演技やめたんだ~

炭粉で吸い取った吐瀉物を手持ちの袋に入れて、地面に残った黒い炭汚れを個性を解除し消していく。これでキレイになった。後は過酸化水素等で消毒できれば最高なんだが、そんなの学校には置いてないと思うから何も言うまい。

報告しがてらその仕上がりに満足している僕を見て、先生は苦虫を噛み潰したような顔をして

 

「肉丸くん、事情は学校側も把握しているからソレは良いですが、行動に移す前に私に報告をしてほしかったですね。」

 

御尤(ごもっと)も。

一応 えっちゃんの事情は一部を除き、学校側に伝えてあるし、有事の際には僕から連絡する様に取り決めがされている。

取り決め通り連絡したのだが、緊急事態と思い、気が逸っていたのだろう。クラスの責任者である担任の先生を、すっ飛ばして連絡するのは良くないのは確かだ。

先生にごめんなさいと謝り、「次からはその様にしてくれ。」と注意された。

 

「先生。芳村さんのお母さんが来るまで、芳村さんを保健室のベッドに寝かせたいのですが、良いですか?」

 

「そうですね、許可します。芳村さん、自分の足で保健室に行けますか?」

 

はい

 

「先生、保健室まで芳村さんに肩を貸したいのですが良いですか?」

 

「許可します。次の授業は多少遅れても構いません。」

 

「ありがとうございます。えっちゃん、行こう。」

 

えっちゃん(エト)に肩を貸しつつ、教室を出る。

保健室まで行く間に、愛支に今後のことについて話しかける。

 

「まさか、小麦アレルギーとは………」

 

流石に私も予想外だったよ。蜘蛛子ちゃんもトイレで居なかったから止められたのは私もだけだったのに。ふがいない。

 

「違うな、強いて言うのであれば僕が………やめよう。今回の件については、誰も悪くはない。ただ、間が悪かった。そう考えよう。」

 

そうだね。後で愛成に注意喚起をしなきゃね。知らない人からの貰い物を食べちゃダメでござる~………てね。

 

「そうだな、あとパッチテストもしなきゃな。」

 

しかし、悪い事ばかりではない。

えっちゃんの事情を、簡単には説明しやすく成ったのは、不幸中の幸いと言うべきか。

保健室につき、養護教諭に事情を話し、えっちゃん(エト)を寝かせる。

 

(あ、愛成が起きそう。)

 

(了解、寝とけ。)

 

えっちゃん(エト)が横になって目を閉じると、数秒後に再び目を開ける。横から えっちゃん の顔を覗くと、愛支と違い両目に赫眼が現れていた。覚醒時に赫子を使って、周囲を確認したのだろう。僕は「えっちゃん」と声をかけ、えっちゃんも僕の存在を確認して、赫子を解いたのだろう。両目の赫眼を解いて黒目に戻っていた。

 

じゅうくん

 

えっちゃんは、左に立つ僕に向かって手を伸ばしてきた。

僕は両手で伸ばした左手を優しく握った。すると、えっちゃんの目から大きい涙が溢れてきた。

 

じゅうくん………ひっく………じゅうくん………

 

何度も何度も僕の名前を呼びながら、小さく嗚咽する。

 

「えっちゃん、泣いちゃってどうしたの?僕はここにいるよ。」

 

ひくっ………えっく………わかんないの。でもこわいの……

 

「そっか、頑張ったね えっちゃん。」

 

訳もわからず気絶しちゃって、怖くなっちゃったのか。僕は手を繋いでいる片手を外して、えっちゃんの頭を優しく撫でる。

 

「大丈夫。怖いことは無いよ。もう大丈夫。」

 

ひっく………みんなに………会えなくなるの………やだよぉ………うえぇぇぇぇん!

 

ついには号泣となり、僕のお腹に抱きついてきた。

そうか、漠然と自分が死んじゃうと思って怖かったのか。

死………その単語を考えて、僕も えっちゃんの死に恐怖していたのを、自覚した。確かに、1つ間違えば えっちゃん は死んでもおかしくない状態だった。

そう考えると、背筋に冷たい震えが走る。

全く、つくづく自分自身も えっちゃん に依存してるなと、思い知らされた。

 

抱きついてきた え っちゃん を頭を撫でながら抱擁し、愛守さんが来るまで慰めていた。

 

 

 

 

 

 

大丈夫。キミは僕が………僕たちが守るからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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