僕は彼女の食用肉   作:李さん

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第2話 僕の個性と彼女の個性

 

 

さて、この世界の事がある程度わかったから、今度は僕の個性の事を考えよう。

 

実は、もう僕は個性が発現している。

 

詳しくは、まだ検証中だが、取り敢えず

 

個性【肉襦袢(にくじゅばん)

 

と、名付けた。

 

まあ、簡単に言うと、自分自身のお肉を増やすと言う個性だ。見た目には判らない個性だから両親には伝えていない。

ヒーローに成らないのなら、このまま伝えずに無個性で通すのも有りかなと思っている。

ただかなり応用が効くみたいで、今現在でも筋肉を増やすことで、結構パワーが出るのが確認済みだ。

その場合、自分の体内と体の周りに筋肉の肉襦袢まとう必要があるが、土台の体の強化が出来れば出力は青天井になる可能性が………

おそらく、マスキュラーの上位互換に成りそうな予感。

あと、それに伴い、血流の操作ができそう…かな?

まだ検証中だが、そうなったらマジでチートに成りそうだが、ヒーローに成るつもりはない。

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

相変わらずママンを保育園で待っているが、お子様のパワーに保育士の皆様の目が虚ろになっている。

 

お疲れ様です。

 

僕は手がかからない子と認識されているのと、気配を消しているので、僕を放置して他の子対応をしているが、時たま自分にチラリと視線を寄越して確認をしている。その度にニッコリと笑って、手を振る。

そうすると安心した笑みを浮かべ手を振り返したくれた。

 

再三言うが、お疲れ様です。本当にマジで。

 

まあ、僕の事はさておき、比較的手のかからない子がもう一人居る。

いや、手のかからないでは無く、手の施しようがないと言うのが正しいか?

 

その子は茶髪のボブカット髪型で、ピンクを基調とした洋服を着ていて、まるで妖精の様な、とても可愛い女の子だった。

しかし、その雰囲気に似合わない厳しい表情で(それでもかわいいが)椅子に座って机の上にある重湯を睨んでいた。

かれこれ一時間はそうして居る。

 

保育士の人が「食べないの?」「少しでも食べよう?」と心配そうに、頻りに声を掛けていたが、女の子は首を振るだけで、食べる素振りはなかった。

 

保育士の人も根負けして、食べられたら少しでも食べてねと声をかけて後に、他のリトルモンスター(こどもたち)の対応に移っていた。だが、それ以降も女の子は食べようとせず、だが机から離れずに睨んでる。

時折食べようと、重湯を掬ったスプーンを手に取り口に運び食べようとするが、口の中に含むたびに顔を青くして口から離す。

その様子を見て、この度に保育士の人から「あぁ…」と声が漏れた。

なぜ、彼女だけ食べることを促しているかと言うと、彼女が病的に痩せていたからだ。

 

彼女が両親と保育園に来たときに、園長先生と話していた内容を盗み聞きしたが、とある時から彼女は食事が出来なくなったそうだ。

 

原因は不明。

 

医者が話を聞いても要領を得ず、無理に食べようとすると嘔吐をしてしまうそうだ。

食事が出来なければ、栄養失調で衰弱してしまって、何れは死んでしまう。

点滴という手段もあるが、それは一時的な解決方法でしかなく、それだけで何時でも生きることは出来ない。

 

本来で有れば入院必須な状況だが、検査の結果、何故か彼女には衰弱している様子は見られなく、健康体と言う結果が出たのだ。

この結果には医者も匙を投げざるを得なかった。

 

健康体には変わらないので、検査入院したあとは、お家に帰されたそうだ。(ヤブかよ)

しかし心配でたまらない両親は、何とか食べてもらおうと色々工夫して、味を変え、環境を変え、気分を変えと、友達が居た方がどうかと、藁にでもすがるような気持ちで保育園に来て食事をしている。

 

(まあ、氏子達磨(マッドドクター)に診せれば一発だろうが、即行で実験体コースに突入だろうな。)

 

しかし、結局の所、食事をしなければ彼女はその短い命のロウソクは消えてしまう。

周りのリトルモンスター達には理解が出来てないが、周りの保育士の方達や園長実に居る彼女の家族は祈るかの様に彼女の食事を気にしていた。

 

 

………そう、実を言うと、僕には一つ彼女に起きている事について、不確定だが原因に心当たりがあった。

彼女のその血のような赤い…いや赫い目に

 

 

 

動きたくはない。

目立ちたくはない。

正直、彼女の未来、ヴィランになってしまった未来を想像すると衰弱死をしてくれた方が………

けど、けど、だけど!もし、もしも、彼女に起きている事が自分の杞憂にドンピシャだった場合、恐らくあの人(AFO)以上のヴィランに成ってしまう可能性がある。

そうなると最終的にヒーローの敗北の可能性が出てきてしまう。

だが、だが!

だがしかし!!!

 

 

 

 

 

 

彼女に罪はない!!!

 

 

 

 

 

 

「四の五の言ってる場合ではないか。」

 

そうして僕は動き出す。

まずは彼女の両親に

 

「こんにちは!」

 

僕は元気よく年相応になるように声をかけた。

気分は頭脳は大人、体は子供な名探偵の気分だ。

 

「え?あ、こ、こんにちは」

 

僕の言葉に彼女のお母さんが応じてくれた。

 

「おねーさんは、あそこの子のおかーさん?」

 

僕は机を睨んでいる彼女のを指差し聞いた。

人を指差ししては、いけませんと言うお叱りは後で聞きましょう

 

「え、ええ。そうよ」

 

「あの子なんで、ごはん食べないの?」

 

「あの子、エナはご飯が食べられなくなっちゃたのよ。」

 

「なんで、ごはんたべられないの?」

 

僕がそう聞くと、彼女のお母さんの目から涙溢れ始めた。

 

「それはね、おばさんの料理が美味しくないからなの。だから…ね…うぁぅぅ……」

 

僕はお母さんのその様を見ていられず子供の仮面を外し単刀直入に聞くことにした。

 

「何時から?」

 

「え?」

 

「何時から食事が美味しくなくなったの?」

 

「え?え?」

 

「いいから答えて」

 

「た、食べられなくなったのは2ヶ月前よ」

 

2ヶ月、ならばまだいけるか?理性を喪うほどの飢餓ならばともかく、今なら間に合うか。

 

「最初の離乳食は食べられてた?」

 

「ええ、美味しそうに食べていてくれたわ」

 

「急にご飯が美味しくなくなったの?」

 

「ええ、そうよ。急に味覚がなくなったみたいに美味しくないって言い始めたの。」

 

「あの子、えなちゃんの目。赫いけど、最初から赫かったの?」

 

「いいえ、最初は綺麗な黒い目だったわよ?

あの目の色になったのは、3ヶ月前からかしら?」

 

んー、その時に個性かと考えなかったのかな?

まあ、いいや

 

「おばさんとおじさんの個性はなに?」

 

「え?えっと、おばさんの個性は吸収よ。何でも食べられちゃうよ。」

 

「おじさんの個性は赤色細胞だよ。肌を赤くすることが出きるよ。」

 

彼女の両親か、そう答えてくれた。

 

やはりか、つまり彼女はその力が個性として発現したんだ。ならば…

僕は彼女の両親の隣に座る園長先生(女性63)に

 

「園長先生、コーヒーはある?出来ればブラック」

 

「ええ、あるわよ」

 

「用意してもらっていい?ホットで。恐らくそれなら飲めると思う」

 

僕は園長先生の目を見て言う。

園長先生は僕の言葉に戸惑いっていたが、意を決して「すぐに用意するわ」と動いてくれた。

 

 

………別にコーヒーでなくてはいけない訳ではないが、劇中の主人公が飲んでいた印象が強いため用意をしてもらった。さらに言うと、この後の事で考えがあるからだ。

 

次に僕は彼女の元に向かう。

途中で彼女の座る椅子と同じのを用意して、彼女の目の前に座る。

すると、彼女は顔を上げ僕を見た。

 

「こんにちは」

 

「こんにち…わ?」

 

挨拶を返してくれた彼女は若干だるそうに返してくれた。

 

「僕はじゅばん!君の名前は?」

 

「えな」

 

「えなちゃん、よろしくね」

 

僕がゆっくりと右手を差し出すと、えなちゃんはおずおずと、その手を取ってくれた。

 

「よろしくね」

 

「…うん」

 

その笑顔は頬がこけていたが、十分綺麗だと思った。おそらく、将来はとんでもなく美人になると思った。

さて、最終確認をしてしないと

 

「えなちゃん、ご飯、美味しくない?」

 

「………うん」

 

僕の問いかけに、まるで自分が悪いかの様に、申し訳ない様に俯きながら答えてくれた。

 

「どう、美味しくない?」

 

「えっとね、あじがないの。ネバネバしてね、たべるとね、うえ!ってなって、のみこめないの。」

 

なるほど、ほぼ確定だ。

無理やり食べなかったのも正解だ。

もしそうならば、大惨事になっていた。

ならば、この匂いはどうだろう。

 

「えなちゃん、ならば、奥から来る匂いはどうかな?」

 

「におい?………あ、いいにおい」

 

保育園の給湯室からソーサーとカップを持った園長先生がやってきた。

 

「お待たせ。さあ、どうぞ。」

 

「うわぁ」

 

コーヒーの芳ばしさに思わずえなちゃんは頬を緩める。

園長先生は、一緒マドラースプーンを持ってきてくれた。おそらく、えなちゃんにはブラックはキツイと一緒に持ってきてくれたのだろう。気遣いのできる正にファインプレーだ。

僕はマドラースプーンに少しだけコーヒーを乗せて少し息を吹き掛けて冷まして、えなちゃんに差し出した。

 

「嘗めてみて、飲んじゃダメだよ。」

 

おずおずと舌を伸ばして、嘗める。

すると「うぎゃ!」ど、可愛い悲鳴を上げで顔をしかめた。

 

「えな!」

 

悲鳴を上げた えなちゃんを心配して、お母さんが飛んできた。園長先生はあらあらと少し笑ってる。

 

「にがーい!」

 

「ふふふ、やっぱりコーヒーは苦いよね。でもね」

 

と僕が言葉を切ることで、僕は周囲の注目を集めた。

 

「苦い味は判ったよね。」

 

周りが、ハッと息を飲む。

そう、今までご飯が味がしないと言っていたえなちゃん。恐らくジュースとかでも嘔吐して居たのだろう。だが苦味を認識したのだ。

今まで不味いと言うばかりで、どう不味いのか言えなかったのだろう。

今回はハッキリと苦いと言ったのだ。

えなちゃんの両親が僕に期待の目をよせてくる。

ならば自分体でコーヒーを隠し、手の中に小さい真ん丸な肉襦袢を作りだし、コーヒーの上で握り潰す。

肉襦袢が潰れて血が溢れてきてコーヒーの中に入る。

それをマドラースプーンでかき回し、先程の様にコーヒーを掬ってえなちゃんにまた差し出す。

 

「えなちゃん、コーヒーに魔法を掛けたから、また舐めてみて。」

 

「やー!にがいのや!」

 

「大丈夫。魔法を掛けたから苦くないよ。美味しい筈だから舐めてみて。」

 

次は大丈夫だからと、苦くないよーと、宥めながらマドラースプーンを差し出すと、えなちゃんは警戒しながらスプーンを舐めた。

するとどうだろう、まるで蕾から花が咲くように、えなちゃんの頬に赤みが差し

 

「おいしー!」

 

と、大声で喜びの声をあげた。

それを側で見ていたえなちゃんの両親は「えな!」と涙を流しながら声をあげる。

久しぶりに味わう美味しい味にえなちゃんはコーヒーに飛びつく。

 

「えなちゃん、まだ熱いから、フーフーしながらゆっくり飲むんだよ。」

 

「うん!」

 

「あぁ…エナ、よかった」

 

安堵と感激で泣き崩れるえなちゃんのお母さん。

だけど、

 

「おばさん、まだ早いです。」

 

「え?」

 

まだ、これから先は恐らく、えなちゃん家族には過酷な運命が待っている。

更に言うとそろそろ僕のママンが帰ってくる時間だ。確認をするならば、説明をするならば早くしなければ。

 

時間にすれば3分~5分位か?

園長先生はコーヒーをカップ半分以下で作ってくたみたいで、えなちゃんでも飲み干すのはそれ程時間は掛からなかった。

まあ、幼児にコーヒー飲ませること自体ほめられたことでもないが。

 

「おいしかった!」

 

「えな、飲み終わったなら、何て言うの?」

 

「ごちそうさまでした!」

 

「はい、どういたしまして」

 

えなちゃんと園長先生のやり取りを聞きつつえなちゃんを観察する。

先程の血の気のない病的なほどの感じより生き返った気がする。原作主人公はこれだけを飲んで持ちこたえていたのだ。改めてその精神力はすごいと思う。

と、別作品の事に想いを馳せつつ、僕は手の中に新しい肉襦袢を作っていた。サイズは人差し指の先くらい、固さは少し固めのグミ位で、脂より筋肉多めで作る。

準備が出来たので皆に声をかける。

 

「園長先生、おじさん、おばさん。えなちゃんから離れて。出来れば園長室で待ってて。」

 

「え、どうして」

 

「まだ早いって言ったでしょう。先生達、皆を連れて別の教室に移動して!早く!」

 

急な指示で一瞬皆行動に躊躇したが、従ってくれた。園長先生とおじさんおばさんは、園長室にある教室を覗ける窓の所で此方を伺っていた。

皆が急に居なくなってしまった為に、えなちゃんが不安げな表情している。

ごめんよ、でも、此れからする事を見られる訳にはいかないんだよ。

心の中でえなちゃんに謝罪をしつつ、えなちゃんの鼻先に先程作った肉襦袢を見せる。

 

「!?!?!?!?!?!」

 

反応は劇的だった。

肉襦袢から目を離さなくなり、少し涎を垂らしている。

そうだよな、2ヶ月ぶりに美味しい臭いを嗅いだのだからな。

 

「じゅばんくん、これ、なに?」

 

「グミ。食べたい?」

 

「うん!うん!うん!」

 

もはや理性の限界だったのだろう。「あーん」をさせつつえなちゃんの口の中に肉襦袢を放り込んだ。

口に入ったグミを、えなちゃんはゆっくりと噛み締める。

 

 

 

えなちゃんの顔が蕩けた。

 

 

 

両手で頬が落ちると支え、上気したように赤みが差す。

………正直、エロい。3~4歳位の女の子に言うことではないが。

たが、正直良かった。と胸を撫で下ろした。

劇中のキャラクターには、食事に対して趣味嗜好があったからだ。

女性しか食べない、才能ある人しか食べない。

挙げ句の果ては男性の睾丸しか食べないなどだ。

えなちゃんの嗜好がわからないから、作った肉襦袢は霜降り肉にした。

まあ、日本人ならA5(肉襦袢がA5ランクなのかはわからんが)の霜降り肉食べさせておけば大丈夫だろう。全ての日本人から顰蹙をかう様な考えのもと作ったのだが、えなちゃんには正解だったようだ。

まあ、始めての本格的な食事に感激してるだけなのだろうが。

 

さてはて、ここまで行けば彼女の特性がもう解っただろう。彼女は

 

 

 

 

 

喰種(グール)

 

 

 

 

 

そして、グミを嚥下した えなちゃんは、プルプルと体を震わせて

 

「っおいっっっしいぃぃぃぃぃ!」

 

と、感情のままに絶叫し、その背中からは赫い えなちゃんの身長と同じくらいの蝶の羽が生えていた。

 

 

 

 

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