僕は彼女の食用肉   作:李さん

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第3話 東京喰種

 

 

前世の漫画で

 

東京喰種(トーキョーグール)

 

と言う作品がある。

僕は途中までしか読んだことが無いが、喰種と言う種族が存在し、主人公がその喰種に襲われて瀕死になるが、一命を取り留めたら、自身が喰種になっていたと言うストーリーだ。

 

詳しい内容や、結末は此処では省くが、今現在目の前に居る えなちゃんに重要なのは、彼女が喰種(グール)であると言う事だ。

 

喰種とは、簡単に言うと人を食べる種族だ。

 

人の肉しか食べられず(一応例外はあるが)人が食べられる穀物、肉、野菜等は食べられない、嘔吐してしまう。それでも無理やり食べようとすると、目眩(めまい)、幻覚症状等を引き起こし、最終的には凶暴化して人の肉を求める様になってしまう。

 

そう正に えなちゃんは人類の天敵になってしまう所だったのだ。

 

何より最大の特性が彼女目、赫眼と彼女背中からはえている赫子(げっこうちょう)だ。

 

………失礼、ルビを間違えた。赫子(かぐね)だ。

 

喰種は全てRc細胞と呼ばれる細胞を持っていて、人を食べる事によって赫包と呼ばれる器官に溜め込み、捕食器官、つまり赫子として出現させる。

 

そう、捕食器官。

 

つまり彼女の赫子(はね)は人を捕食するための武器なのだ。

そしてその赫子(ぶき)の形も力も人それぞれで、大分類とし4種類。

 

羽赫、甲赫、鱗赫、尾赫、とある。

 

目の前の彼女の赫子は蝶の羽の様な形。

つまり羽赫だ。

おそらく始めての僕の肉襦袢、つまり人肉を食べた事によって勢い余って出てしまったのだろう。

取り敢えず、僕は細かいことを隠すため、拍手をして えなちゃんを誉め称え。

 

「おめでとう!えなちゃん!」

 

「ふぇ?」

 

突然の事で、えなちゃんも首をかしげる。

 

「えなちゃん、個性が発現したよ。えなちゃんの背中を見てごらん。」

 

「せなか?」

 

僕の言葉に、背中を見ようとする えなちゃん。

だが、肩越しに背中を見るのは難しいらしく足が縺れて転んでしまった。(くっ!かわいい!)

その様子を見た園長先生が、慌てて姿見を持ってきてくれた。

 

「あー!ちょうちょのはね!」

 

姿見を見た えなちゃんは嬉しそうに声をあげた。

日曜日に映っている女の子向けの主人公みたいと喜んでいるようだ。

えなちゃんの様子を見た両親も、個性が発現した事を理解したらしく二人揃って えなちゃんに駆け寄った。

 

「エナ!あなた、個性が!」

 

「まま!みてみて!えっちゃん、ちょうちょなの!」

 

「えぇ!ええ!かわいわよ、エナ」

 

はしゃいで声をあげるえなちゃん。

先程までの沈んで暗かった顔は、ヒマワリが咲いたかの様に明るかった。

それを見たおばさんも、涙を流しながら笑顔で応えていた。

その様子に目尻に涙を浮かべながら微笑みんでいたおじさんが膝をつき、目線を合わせて僕の手を取った。

 

「君の名前、襦袢くん、だったね。ありがとう。本当にありがとう。」

 

まるで救いを得たかのような感謝言葉を口にするおじさん。

だが、僕は冷静に突き放す。

 

「おじさん、まだ、早いです。」

 

「え?」

 

「おそらく、えなちゃんの本当の試練はこれからです。そして、おじさん、おばさんの本当の絶望も………これからです。」

 

僕が口にした、絶望、その言葉に顔を青ざめるおじさん。

 

「もうすぐ、僕のマ………お母さんが来ます。その時におじさん、おばさん、僕と僕のお母さんで、えなちゃん抜きで話すことは出来ますか?」

 

おばさんは不安そうだ、相も変わらず青ざめている。だが、「えなちゃんの為です」と言うと覚悟を決めたのか、目線を定めて頷いた。

 

 

 

★★★閑話休題(それはさておき)★★★

 

ママンが来るまで、僕の、僕自身の事を、そう、僕自身の運命の事を考えていて。

 

 

 

僕の個性【肉襦袢(にくじゅばん)

 

 

 

えなちゃんの個性【喰種(グール)】(仮)

 

 

 

片や肉を増やし纏う個性

 

 

 

 

片や人肉を食べ戦う個性

 

 

 

 

これはなんだ?

 

どんな運命だ?

 

どんなご都合主義だ?

 

そう、僕とえなちゃんの個性は相性が良い、いや良すぎる。

そう成るべくして成ったかのような、まるで初めから僕が介入する事が決まっていたかのような運命。

しつこい様だが神には会っていない。

たが、このきもち悪い位の一連の流れはなんだ?

人肉しか食事ができなく成った えなちゃんが、肉を増やすことが出来る僕と出会い、食べ物を得る。

途轍もない悪寒に襲われた。

なんだこれは、これではまるで、これからの将来が決定してしまったかの様な………

つまりはそう言う事なのか?

その為に僕は(おれは)転生したのか?

それは一体どんなロリコン神様だ?

たかが一人の少女を救うために人一人を転生させたのか?

だが、僕は確信が、まるで神の神託の様な確信が心の中に有った。

 

おそらく本来の歴史(みらい)では、彼女はおそらく衰弱死をしていたのだろう。あの人(AFO)の目にも留まることもなく。

だが、らしくもない義心に駆られて僕は彼女を助けてしまった。

つまりは、これが、これこそが僕を(おれを)転生させた神様の思惑ということか。

 

 

助けろ

 

 

そう言う事なのだろう。

彼女に罪はないと思った時に僕の意思はどれ程あったのか?

ついさっきの事なのに判らなくてっていた。

けど、助けた事に後悔は有るのかと聞かれると

 

「それはない」

 

と確かに答えることが出来る。

 

あーそうかい

 

全て掌のうえなのか

 

あーなるほどねぇ

 

かつてない怒りが、体の内を焦がす様な怒りがこみ上げる。

 

 

 

この運命(クソたれ)

 

 

 

 

この神様(クソたれ)

 

 

 

 

このどうしようもない人生(クソたれ)

 

 

 

 

あーそうかい、あーそうかい!

 

ならばやってやろうじゃん、ならば殺ってやろーじゃんか!

きっちり中指おっ立ててクソヤロー供に魅せてやろうじゃぁねえか!

たかが少女一人!

ハッピーエンドにしてみせるってよ!

 

「こんにちはー肉丸です。息子のお迎えにあがりましたー」

 

丁度ママンが保育園にに来たようだ。

僕は走りだし、ママンの足にしがみつく。

 

「ママンお帰り!」

 

「あらあら、ただいま襦袢。そんなに勢いつけてどうしたの?」

 

「実はね、お願いがあるんだ!」

 

 

 

 

 

 

★★★閑話休題(キング・クリムゾン)★★★

 

 

 

 

 

 

保育園から帰ってきた僕らは、家のリビングに、えなちゃんの両親と共に向かい合わせて座っていた。

コの字状のソファーの中心にローテーブルがある。ママンは飲み物をと動こうしていたが、僕がお願いして一緒に隣に座って貰った。

先程、友達の両親と一緒に重要な話をさせてとお願いしたからだ。もちろん僕にとっても、重要な話だ。ママンは二つ返事で快諾をしてくれた。

ママンサイコー!である。

えなちゃん自身は隣の部屋の和室にてお昼寝中。

色々とはしゃいで疲れてしまったのだろう。

まあ、好都合ではあるかな?

これから話すことを考えると今はまだ、知らない方がいいと思う。

 

「改めまして、肉丸単(にくまるひとえ)でございます。こちらは息子の襦袢です。」

 

「どうも」

 

まず先に、ママンが自己紹介をする。それに合わせて僕も頭を下げた。

 

「礼を失してしまい申し訳ございません。ご丁寧、ありがとうございます。

芳村朱膳(よしむらしゅぜん)と申します。」

 

芳村愛守(よしむらえり)と申します。隣室で寝ているのが娘の愛成(えな)です。」

 

続いて、えなちゃんの両親が挨拶をした。

そうかぁ、芳村さんかー、そしてえなちゃんの名前の漢字が発覚。

漢字だけを見ると男性の武将の名前みたいだな愛成(ちかなり)!みたいな?

 

………ちょっと………というか、かなり気になったのでえなちゃんの両親に聞いてみた。

 

「ねーねー、おじさん、おばさん。えなちゃんの名前って、えなちゃんが男の子で産まれてきたら、何て名前だったの?」

 

「え?いきなりどうしたの?」

 

「コラ襦袢!失礼でしょ!」

 

「えー!でも気になっちゃう!おしえて!」

 

「………襦袢?」

 

怖ぇえぇぇぇぇえぇ

ママンの背後に般若の顔が見える。

母の愛の怒りに戦々恐々としてると、前に居るおじさんが、からからと笑い答えてくれた。

 

「肉丸さん、大丈夫です。ありがとうございます。だから襦袢くんを、叱らないで下さい。

愛成が男の子だった場合の名前のだったね。

その場合は愛支(えと)と名付けてたよ。」

 

驚愕の真実。おじさんに対しては「そっかー、かっこいい名前だね!」と対応していたが、内心は冷や汗モノだった。

そうか………愛成ちゃん、愛支(人気作家)の代わり………ではないか。でも可能性の一つだったんだね~

でも、原作でもエト様はおにゃのこだったし、愛成ちゃん将来エト様みたいに、なる可能性有ったりして?

やめよう、今現在考えてはいけない気がする。

 

下らない疑問で脇道に話が逸れてしまったが、本題に戻そう。

 

では

 

 

 

 

★★★閑話休題(ほんだい)★★★

 

 

 

 

和やかな雰囲気を引き締める様に僕は笑顔から真顔になると、愛成ちゃんの両親は何かを悟ったのだろう。急に居ずまいを正した。

 

「今日ここにおじさん、おばさん、お母さん」

 

「あら、ママンって呼んでくれないの?」

 

母よ、すこし黙ってくれ

一度咳払いをして、再び話し始めた。

 

「んん!お、か、あ、さ、ん、に!集まって貰ったのは、愛成ちゃんの個性についてです。」

 

本題に入った僕を、固唾を呑んで緊張している目の前の二人。愛娘の事なのだ、当然だ。

そんな二人を前にテーブルの上に愛成ちゃんに食べさせた肉襦袢(グミ)を置いた。

 

「………これは?」

 

「僕の個性で作りました。」

 

「!?襦袢!あなた個性が発現していたの?」

 

ママンが、驚きの声をあげた。僕自身、今回の事が無ければ無個性で通していたと思ってたから当然だ。

 

「個性【肉襦袢】それが僕の個性です」

 

「肉………襦袢?」

 

「触っても?」

 

どうぞと許可を出すと、指先で肉襦袢(グミ)を触り始めた。

 

「柔らかい、ほんのり温かい。そうまるで………」

 

「人の肌を触ってるよう?」

 

おじさんの言葉を僕が引き継ぐと、弾かれたように僕の顔を見た。

 

「そう、僕の個性【肉襦袢】は僕自身の肉を増やす個性です。そう、その真ん丸いボールは、僕の体のお肉なんです。」

 

僕の告白すると、目の前二人の顔が急激に青ざめていく。

 

「………保育園で、君は愛成に此を、食べさせていた。つまり」

 

「あ、あぁぁあの子は、ひ、人の肉をた、た、たべて、あぁ、あの、あの子、お、おい、おいしっっ!」

 

おじさんはまだ正気を保っていたが、おばさんが危ない。ソファーから立ち上がり、ローテーブルに乗り上げておばさんの両手をギュット握った。

 

「落ち着いて、愛成ちゃんは何も悪くはない。」

 

おばさんの目をしっかり見ながら冷静に落ち着いた声で語りかける。

 

「大丈夫。僕の話を最後まで聞いて。大丈夫だから。愛成ちゃんは悪い子にはならないよ。大丈夫だから。」

 

何度も大丈夫と声を掛ける。おじさんもおばさんの肩を抱き、落ち着かせる様にさする。

しばらくすると過呼吸気味な呼吸も収まってきて、握っていた僕の手を逆に握り返してきた。

ありがとうと一声掛けて僕の手を話す。

うん大丈夫そうかな?

でも、念のために直球ではなく、迂遠して話す事にした。

 

「愛成ちゃんの親戚や先祖に、大口、咀嚼、触手、吸血みたいな個性の人っていない?」

 

僕の問いかけに、二人は思い出すように考え込む。

 

「私の父が【触手】の個性、母が【細胞増殖】の個性を持っている。妻の両親は【大顎】の個性と【血液操作】の個性を持っていたはずだ。」

 

「私の従兄弟が【鉄の胃袋】を持っているわ。ほら【うんま~いん】で有名なグルメリポーターの」

 

「え、岩塚ちゃん!? え、すご、愛成ちゃんって岩塚ちゃんの親戚なの!?」

 

「ええ、そうよ。あの子の出産祝いにも来てくれたよね。」

 

「あぁ、そうだな。連絡したらすぐに来てくれたよな。」

 

「ふふ、そうだったわね。」

 

いやはや、意外な有名人の名前が出てきたな。

この世界ヒーローコンテンツが圧倒的に多いが、他にも、大食いや美食家などのコンテンツも多く記事やテレビ等もヒーローに次いで多い。

やはり食に係わることはどの世界でも共通なのだ。

ワンクッション置いた事で幾分二人の顔色も戻ってきた。

 

「なるほど」

 

僕が一つ納得すると周りの視線が集中した。

 

「おそらく、愛成ちゃんの個性はお二人の血筋の集大成なのかもしれません。」

 

目の前二人が僕の一挙手一動を逃さないと見つめてくる。

 

「細胞増殖、血液操作、吸収、そして………」

 

僕は考える素振りをみせながら、おじさんに問いかけた。

 

「愛成ちゃんの個性は後から出ている蝶の羽だと思いますが、すごく赤かったのを覚えて居ますか?」

 

「…確かに。赤い羽、まるで私の個性のような色だった………」

 

「肌を赤くする個性だね、おじさんの個性を使うのに何かデメリットはある?」

 

「………私の個性の発動には血液が必要だ!もしや!」

 

「はい、考えてる通りだと思います。恐らく、あの羽を出すのに燃料が必要なんでしょう。」

 

僕は手の中からもう一個肉襦袢(グミ)を造り出す

 

「僕の個性は肉を造り出しますが、0から造り出すのでは無く、カロリーが必要になります。

お二人とも、覚えて居ますか?愛成ちゃんが羽を出したその時を。」

 

「確か、君の肉を口にして飲み込んだ時………そうか、愛成の個性の燃料は、人の肉、なのか」

 

おじさんの言葉に僕はゆっくりと頷いた。

 

「愛成ちゃんが僕の肉襦袢を、食べて美味しいと言ったのは愛成ちゃんの個性が維持するために必要な栄養だったから。」

 

「つまり愛成の味覚の変化や、通常の食べ物が食べられなくなったのは、個性に引き摺られてそうなったから!」

 

さすがだ、理解が早い。

 

「で、でも、ひ、人の肉が栄養だなんて。そんなの、まるでヴィランみたいな」

 

「おい!」

 

「だって!そうじゃない!個性に引き摺られたといって、人の肉よ?!そんなの、どうすればいいのよ!」

 

おばさんは愛成ちゃんの将来を想像してしまったのだろう。

頭を抱えて蹲ってしまった。

そして、これこそがまだ早いと僕がいい続けていた絶望だ。

 

「もし、もし警察やヒーローに知られてしまったら、それだけで犯罪者(ヴィラン)予備軍よ!

ご近所に言えないし公表されてしまったら、こ、孤立してしまうのよ?!もし!もし!愛成が人を襲うようになってしまったら!!わたしは、わたしは!」

 

悪い想像と言うのは底なし沼のようだ。

一度入ってしまえば一人では絶対に抜け出せない。

 

僕はこれまで一度も会話に入って居なかったママンの顔を見た。こちらの視線に気付いたママンが優しい目を宿し僕を見る。

 

「襦袢はどうしたいの?」

 

母は強し。その言葉か頭の中に浮かんだ「たすけたい」そう言うと、ママンがゆっくり頷てくれた。

 

「おじさん、おばさん」

 

追い風に押され口を開いた僕を、言い争いにしていた二人が顔をあげてみてきた。

まるで救いを求める様子の二人に、これまで考えてきた内容を離す事にした。

 

「全てを欺く覚悟はありますか?」

 

この言葉だけを聞くとまるで悪魔の契約のようだ

 

「愛成ちゃんのために、彼女の未来の為に、全世界に嘘をつく覚悟はありますか?」

 

二人の目には、どう見えているのだろう?

詐欺師?悪魔?救世主?

だが、徐々に二人の目には強い覚悟が宿り、力強く頷いた。

 

「襦袢くん、君を信じる!」

 

「私も、愛成の為、何でもするわ!」

 

この瞬間、僕たちは共犯者になった。

 

「愛成ちゃんの個性を嘘書いて届けを出します。

個性は羽。個性の発動に必要なモノはコーヒーと書きましょう。そして、彼女には」

 

大きく息を吸い

 

 

 

「ヒーローに成ってもらいます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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