共犯者、と嘯いたが基本的には彼女は何もやってないし、罪なんて何もない。
我々の嘘なんか可愛いモノだし。
4歳児の初めての個性の内容なんて、不確かなもので成長に連れて本当はこんな能力でした!
なんてザラだ。
まあ、実際に芳村夫妻にはかなりミスディレクションてんこ盛り誘導しまくった結果だが。
個性は
なんて言っても誰も納得しないし、なんで知ってんだよ!て事になる。赫子の事なんて、どう説明すんだよ。Rc細胞が~なんて言っても誰も解らんわ。
ならば羽を個性にして、コーヒー飲めば使えますよ~とした方が平和。
この世界の主要人物の
と言うわけで、ここら辺は固まったので次!
次のことを考える!さて、話すことは山積みだ、さて~
「芳村さん、すこしいいかしら?」
お?ママンが動いた。
「先程から聞いて居たのだけど、確認させてもらえるかしら?」
「………はい」
「ありがとう。まず、あなた達の娘さん、愛成ちゃんは人のお肉しか食べられない」
「はい、そうです」
「それを家の子が愛成ちゃんにお肉を与えて、個性を開花させた。その上で愛成ちゃんの問題点が浮上して悩んでいる。合ってるかしら?」
「はい、その通りです。」
「ねえ、芳村さんのご職業は?お家はどこら辺かしら?」
「○○町✕✕番地です。メゾン・ド・ハンドというアパートに住んでいます。職業はソレイユと言うフレンチレストランでスー・シェフをしています。」
これはひょっとして?
「そう、ならば家の近くに引っ越してこない?」
おっしゃあぁぁぁ!さすがママン!
僕が提案しようか迷ってた事を軽々とやってのける!ソコに痺れるし!あこがれるぅ!
ママンマジでナイスプレー!
周りに味方がいない環境より、近くに味方がいた方が芳村家にとって負担が少ないだろう。
だが、ママン。一つ問題点がある。それはつまり!
「肉丸さん、ありがとうございます。ですが、わたくし共の収入ではとても、」
そう、今まで描写が無かったが、此処は閑静な高級住宅街なのだ。
更には意外かもしれないが、家は結構な高給取りで、母は弁護士。父は有名な企業コンサルティングなのだ!
今までアパートの一室に住んでいた芳村家にとって、此処ら辺は購入は勿論、賃貸でも敷居が高すぎるのだ。
これが思い付いても提案できなかった点だ。
さぁ、ママン。どうする!
だか、ママンは余裕を持って微笑み
「そう、ならばそれが解決すれば、お引っ越しできるのね?」
「え?それはどういう事ですか?」
「ちょっと待っててね」
ママンが立ち上がり側にあった電話の子機を手にして何処かに掛けはじめた。
恐らく父の携帯電話だろう。程なくすると父が電話に出たようだ。
「もしもしパパン?うん私。いま時間大丈夫?」
ママンが話している間、僕は芳村パパ(二十代後半のお二人を、おじさんおばさん呼びはちょっとと思いこう呼ぶ事にした)
「ねえ芳村パパ、芳村ママ。」
二人をこう呼ぶと驚いた様にこちら見た。
特に芳村ママはギラリと目を光らせていた。
あれ?何かロックオンされた?
気のせいだと思い、芳村ママは無視をして芳村パパに聞いてみた。
「レストランのスー・シェフって、所謂、副料理長って事だよね?それなりの地位に居るのなら、結構お給料貰ってるんじゃない?」
「襦袢くん良く知ってるね、そうだね、それなりにはお給料貰ってるよ。でもね、ここら辺に住むなら、もっとお金が必要だし、もう少し貯めないと住めないよ。」
んー、そうなのか。フレンチのスー・シェフって位だから、最低でも年収3~4百万位は貰ってるよな?それでもここら辺に住めないのか~
そうなると家の両親の年収が気になる。
千位か?億はさすがにないよな?嫌でもなぁ
と、低俗な予測していた僕を見て、芳村パパは笑いながら
「ははは、襦袢くんは、本当に4歳なのかい?」
「え?」
「君と話していると、まるで同年代の友達と話してる気がするよ。」
惜しい!年上です!
とは言えないので「僕は4歳だよ~」と笑って誤魔化した。
そうしている内にママンの電話が終わりソファーに腰かけた。
「お待たせしてごめんなさい。夫と話をつけてきたから。さて、芳村さん。」
ママンが居ずまいを正しい、芳村パパを呼んだ。
「はい」と若干緊張しつつ芳村パパは、返事を返した。
「あなた、自分のお店を持ちたくはない?」
おっとぉ?!これはもしや
「我々の肉丸家は芳村さん、貴方をヘッドハンティングします。」
キタァァァァ!そう!家のパパン此処最近、飲食店をプロデュースしたいって夕食の時に溢していたのだ!特にパパンは
有名店のソレイユのスー・シェフなんて縁を逃すはずが無い!
突然ベッドハンティング宣言に芳村家のお二人は頭がまだ追い付いてなく
「え、な、に、肉丸さん、いきなり何を言い出すのですか?」
「いえね、以前から夫がここいらに飲食店を建てて、プロデュースしたいって話していてね?ただ夫も私も人様に出せる程の料理の腕前がなくてね、何処かに任せられる人は居ないか探していたのよ。」
そう、実は僕の両親は料理が苦手だ。
メシマズレベルには行かないが、まあ、作る料理の見栄えがとにかく悪いし、味は普通。
そんなのが飲食店の厨房に立とうモノなら閑古鳥が大合唱する事間違いなしなのだ。
「その点、ソレイユは有名雑誌の星が着くほどのお店でしよ。ソコのスー・シェフなんてこれはもうヘッドハンティングするっきゃない!これは運命よ!て、夫と話しになってね。」
勢い良く身を乗り出すママンを芳村パパは後に仰け反るようにして躱そうとする。
一方、芳村ママは右手を顎に当てて考えていた。
「肉丸さん、お気持ちはうれしいですが、すこし待ってください。そもそも店を建てるって何処に建てるのですか?」
「隣よ」
「は?」
「だから、家の隣よ。ソコに建てるの。」
「隣って、しかし」
「もちろん、芳村さん達もソコに住んで貰うわよ。」
「え、えぇぇぇ!」
ママンとパパンの計画はこうだ。
ウチの隣の土地をパパンが買い上げ、ソコに芳村さんファミリーが住める家兼レストランを建てる。
レストランの店長兼シェフは勿論、芳村パパ。ただし雇われと言う形にして、
そう考えると芳村さんに圧倒的に有利になるが、まあ其処らはあのパパンの事だ、どうにでも成るだろう。
ママンの説明を聴いて、芳村パパの目がかなり揺れていた。いや、いっそ渦巻きみたいな感じで回っていた。
ママン、催眠術なんて使ってないよな?
ママンの猛攻に狼狽を続ける芳村パパ。
その隣で静かに考え込んでいた芳村ママが、漸く顔を上に上げた。その目には確かな決意が宿っていた。
「あなた、この話し承けましょう。」
「
「あなた、どのみち私達に選択肢はないの。そうですよね肉丸さん。」
驚いた、芳村ママの聡明さ、いや、冷静さに正直驚いた。先程の恐慌していた人と同じ人とは思えない。
「あなたの立場を考えると、愛成の個性と特性はマイナスにしかならないわ。もし、愛成の事が明るみに出れば、人を喰う女の親と、あなたもレストランも風評被害を受けるわ。最悪あなた解雇されるかもしれないわ。」
「それは………」
「そうなるの、可能性としては確実と言えるくらい高いわ。そうなると生活とか厳しくなるし、さっき私が溢したように最悪世間から孤立してしまう。」
「それは愛成の事がバレたときの話だろう?!」
「あなた、考えてみて、あなたの周りに、職場に、愛成の事を相談できる人………いる?」
「っ!!!」
「愛成が居る限り、貴方は秘密を、孤独を抱えて仕事を、料理をしないといけないの。」
「あ………」
「誤解を怖れずに言うわ」
辛いわよ
芳村ママの言葉に絶句する芳村パパ
恐らく、その未来を想像してしまったのだろ。
「あなたに耐えられる?」と追撃の言葉に遂にノックアウトされてしまったのだろう。
力無くソファーに深く腰かけ、そのまま頭を抱えて俯いてしまった。
その様子に芳村ママは芳村パパの膝に手を置き
「肉丸さんは私達の負担に成らないように、負い目にならないように、自分の利益の為と大義名分掲げて提案してくれたわ。こんなに優しい人が提案してくれてるの。今、肉丸さんの隣に住むことが出来れば、少なくとも、すぐに相談できる味方が、心強い味方が近くにできるの。
ねえ、愛成の事、愛してる?」
「あぁ、当然だ愛してる。」
その夫婦のやり取りは、言葉としては少なかったが、ただ愛成ちゃんを愛してる。ただそれだけの事。
芳村パパは俯いていた顔を上げママンを目を正面に見ながら深々と頭を下げた。
「肉丸さん。先程の御話、ありがたく承けさせていただきます。」
芳村パパの了承の返事にママンは、パン!と柏手をひとつ打ち
「決まりね。早速パパンと話を詰めるわ。あぁ、そうそう、芳村さんの連絡先を頂けるかしら。携帯電話は持ってる?」
ママンは通常運転だ。目の前の暗く重い空気を前にしても、マイペースに話を進めていた。
そのママンに対して「少しよろしいでしょうか?」と、芳村パパが右手を挙げた。
「なぜ、そうまでしてくれるのですか?
私達は今日、会ったばかりの他人です。
そして娘は………人を喰う化け物です。」
芳村パパの化け物発言に、流石に非難の声をあげようとしたが、ママンに肩を掴まれ止められた。
「それを、なんの繋がり無い、全くの赤の他人が土地を貸してくれて、店まで建設してくれて、隣に住まわせてくれる。
何故です!肉丸さん、貴女へ何故!そこまでしてくれるのです!私たち何を求めているのです!」
芳村パパの疑問も当然の事だ。
無償の慈悲など、普通の人ならば恐怖でしかない。
厳しい表情でママンを見る芳村パパ
「そうですね………」
ママンが溜息を一つ。
そして、僕を優しい目で見る
「理由は、ウチの子の
「………は?」
呆れ果ている芳村家に対し、ママンは思い出に浸りながら饒舌に話し始める。
「ウチの子のね、おしゃべり始めるのが早くてね~(中略)いつもいつも、なんでも買ってあげるよ~て言っても要らないって言うし、(中略)周りの子のように遊ぶじゃなくいつもパパンと一緒プラモデルを作っていてね、(中略)こないだも大丈夫って言ったのにお掃除手伝ってくれて?もー!凄い良い子なの!でね、でね、!」
Oh
ママンよ、かれこれ三十分喋っているが、
対面に座る芳村家も立て板に水な様子のママンに少し表情が虚ろに成っている。
流石にママン膝を叩いて正気にさせようとする。
これで治らなければ
パンパンとママン膝を叩くと、ハッと周りの様子に気付き、咳払いをひとつした。
「ごめんなさい、ついつい熱が入ってしまったわ。要点を言うと、この子今まで我儘を何も言わなかったのよ。でもね、今日珍しく私に助けてって我儘を言ってきてね。もう、嬉しくて嬉しくて。」
それを三十分喋ってたんかい。
「あなた達を助けるのは私ではないわ。息子の意識、我儘よ。つまり、ウチはただの親バカなのよ。」
擬音にすると「ポカ~ン」が正しいだろうか?
芳村家の二人は口を開けて呆けていた。
しかし、互いに自分の顔を見合うと、徐に笑いだす。
二人でソファーを立ち上がり、僕の前に来ると膝を付き、二人で僕の手を握った。
「ありがとう襦袢くん。君に助けられた、最大の感謝を。この恩は忘れない。」
「本当にありがとう。愛成を、私達を救ってくれて。」
………二人とも解ってない。
そう、何度も言うが、その言葉は早すぎるんだ。
僕は二人の手をすり抜けて逆に握り返す。
「まだです、まだこれからなんです。
愛成ちゃんも、芳村さんもまだ、救われてはいない。まだ、最大の絶望は終わっていない。」
芳村さんが、息を飲む。
「愛成ちゃんの食事の事です。
今は僕の個性で、食べさせることがでますが、もし
芳村さんも想像したのだろう。ゆっくりと頷き、同意を示してきた。
そこで、僕が愛成ちゃんに会ってから今までずっと考えていた事を話した。
その内容に芳村パパは「まさか!そんなことができるのか?」と良いリアクションを、芳村ママは「襦袢くんを信じるわ。」と、初志貫徹と自分を信じると言ってくれた。
最終的には全員僕の提案を支持してくれたので、ここに「愛成ちゃん育成計画」を発動するのだった。
まず、芳村パパはソレイユを自主退職した。
有能なスー・シェフを手放したくないソレイユは、かなりごねていたが、間にウチのパパンが入って
何とか説得をする事ができた。
因みに、そのときに少しトラブルが有ったらしく。
「まさか塩をまかれるとはなぁ。しかも玄関ではなく、直接投げつけてくるとはなぁ貴重な体験だったよ!」
と、パパンは嬉しそうに語っていた。
因みに、その話を聞いた
「傷害罪と侮辱罪で訴えてやりましょう!」
とかなり物騒な事を言っていたので、パパンと一緒に一生懸命に宥めた。
そして家の右隣にお店を建てる工事か始まった。
工事期間は半年。設計をチラ見したが、一階をレストランスペースに。二階を住居スペースとして芳村家が住むことになった。
その間、僕は愛成ちゃんの幼馴染みとなり、お互いに「えっちゃん」「じゅうくん」と呼び会う仲にはなった。
そして半年後。
えっちゃんより僕の方が生まれが早く、一足さきに
5歳をむかえた。
それと同時に芳村パパのお店が完成した。
芳村パパが感無量とお店の入り口とところで立っている。
土地や建物大きさは、ウチより横に大きい。
一見するとただの一軒家に見えるつくりだが、入り口の上に大きなお店の看板がついているので、一目で飲食店とわかる。
「うわー!ここが、えっちゃんのお家?」
えっちゃんが大声を上げてはしゃいでいた。
ここ半年間、キチンと三喰、僕の肉襦袢を食べて元気一杯な彼女。
あの病的な痩せぎすな印象は今はない。
「そうよ、ここが私達の新しいお家よ。」
芳村ママが、えっちゃんを抱っこして。新築の家を見上げる。
ここから新たな生活がはじまる。そう心をときめかせて。
だが、えっちゃんは「ちがうよ」と反論をした。
「ここは、えっちゃんと、パパとママとじうくんと、じゅうくんのパパとママみんなのお家なの!みんなかぞくなのよ!」
あらあら、えっちゃん。僕たちも家族に入れてくれるの?嬉しいね。
芳村夫婦もその言葉で感激して二人でえっちゃんを
抱き締めながら「ええ、そうね!」と何度も頷いていた。
みんなの家か、そうか、これも運命なのかな?
だが、この美しい光景は忘れないように覚えておこうと新築の美しいお店の看板を見ながら思った。
レストランカフェ【あんていく】
第4話
「ねえ、襦袢くん。お義母さんって呼んでも良いのよ?」
「………え?」