「侍…」
銀時がシャーレの副顧問と名乗ろうとしたがそれを止め、己が侍であることを告げるとホシノが反復するように呟く。
「そうだ。主君でも小さな約束でもてめぇの大切なもんを体張って守る。それが侍だ」
守る存在が国でも主君でも小さな約束でも守るために体を張る存在を銀時は侍だと言ったのだ。
「銀さーん、こっちは終わりました」
「やっぱり裏門にも敵がいたアル。でも、全部倒したネ」
「わーった。今そっちに行く」
どうやら銀時の読み通り裏門にもカタカタヘルメット団がいたようだ。幸いにも人数が少なかったので二人で対処する事が出来た。
廃校対策委員会の面々には新八と神楽と合流する銀時の背中がとても大きく見えた。
「皆さんの活躍でカタカタヘルメット団を退かせる事に成功しました」
教室に集まった一同に対してアヤネがそう口にした。
「一先ずは安心って思った方が良いのかな?」
「でも、あいつらかなりしつこいって有名よ?」
「ん、だからまた来る」
新八が一先ずは安心と言うとセリカがまだ安心できないと言う。どうやらカタカタヘルメット団はしつこい事で有名で一度や二度退かせたぐらいでは意味が無いのだ。
「そうなると直接本拠地を叩く必要があるね」
カタカタヘルメット団の本拠地を叩く必要性があると先生が口に出しても誰も文句は言わなかった。
「そう言えば、銀さん達は先生とは別の所から来たんですよね?」
「確かに先生は私達に指示を出していたけど銀時さんは最低限の命令を出して各自の判断で動いていた」
ノノミがその発言をすると対策委員会の全員は銀時に視線を向ける。
「そうだが興味でも持ったのか?」
「はい。とても興味あります」
「それは気になる。特に銀ちゃんの動きは戦闘慣れしていたし」
「興味津々なのは分かるが、俺の過去話を聞いてもお前らには関係ない事だろ」
「それでも、おじさんも気になるな~。銀ちゃんは当たり前みたいに銃弾避けて叩きのめすんだから気にならないわけないよ」
銀時にとっては別に驚くべき事ではない事であったがホシノの言うように先程の銀時の戦い方はキヴォトス基準だと可笑しいのだ。
「別に言っても良いがお前らにとってはあまり面白い話じゃねぇぞ?」
この様子だと自分が拒否しても梃子でも動かずに訊いてくるのだろうと思った銀時は対策委員会の面々に突如として
「何と言うか……壮絶な話ですね」
「私としては銀ちゃんの強さに納得した」
「確かにそれだけの経験をすれば銃弾を躱せるのも納得だね~」
「このキヴォトスじゃ異質だし、脅威よ」
「セリカは脅威と思っているが俺からしたら苦でもねぇよ。ヘイローの恩寵かもしれないが生死に掛からないので必死さがない。だからカタカタヘルメット団と戦って思ったのが練度も高くないし詰められた時の対処方が杜撰すぎる。そんな奴らに負けるかよ」
ノノミとアヤネはまるで映画の世界のようだと思い、シロコとホシノは銀時の動きに納得がいった。セリカの言う通り、銀時の存在はキヴォトスではあまりにも異質であり脅威だ。と言うのも超銃社会である以上、白兵戦を仕掛ける必要がないのだ。なので、銀時が銃弾を躱しながら間合いを詰めて来るため並の生徒ではいとも簡単に斬り伏せられるのだ。しかし、銀時からはそれ程苦には感じていないようだ。理由としては必死さが足らず、接近された時の対処法があまりにも疎かだったと述べた。
「更に戦を経験した身から言うと銃みたいな火器の類は悪魔でも戦いを優位に進めるための立ち位置でしかなかったからな。主力は刀とか槍とかが多かったし長期になると資金面で弾薬が補充されない事があるから必然的にそうなった」
天人・幕府軍と攘夷軍の銀時達では資金面でかなり不利があるので刀や槍など武器が主力となるのは自然の流れだ。だからこそ、銀時は向かって来る銃弾の避け、刀で斬り伏せると言う動作が当たり前のように身に付いていくのだ。
長期と言う言葉を聞いたアビドス廃校対策委員会のメンバー全員はあまりにも身近に起きた事だったので思わず銀時の話に妙な説得力を感じてしまった。
「私達も白兵戦について学んだ方が良いかな?」
「補給が出来る以上はどうかと思いますが万が一って事もありますからね。これを機に学ぶのも良いかもしれませんね」
「私としては元々培ってきた物を疎かになるからオススメしないよ?」
白兵戦のノウハウを銀時から学ぼうと言うシロコ。その意見に対策委員会が本気で取り組もうと思っていたので先生はやんわりと釘を刺すのであった。
「俺からも訊きたいんだが……何でアビドスが狙われているんだ?」
銀時の質問に対策委員会の面々は渋面を作って顔を見合わせている。そしてアヤネが重々しく口を開いた。
「実は……今のアビドスは莫大な借金を抱えていまして……」
「その額は大体にして9億。しかも、かなり悪徳な所で借りちゃってね~」
そのせいでカタカタヘルメット団のような存在に襲撃されているとホシノは語った。どうやらアビドスはが抱えている問題は自分達が想像していたよりも大きい事を再度認識する銀時達。
「とりあえず、借金に関しては追々考えるとして今はヘルメット団の壊滅に注力しようや。返済しようにも変な横槍が入っちゃ面倒で仕方がないわな」
またしても銀時の言葉に妙な説得力を感じてしまった対策委員会は首を縦に振ることにした。
斯くして対策委員会はカタカタヘルメット団を壊滅すべくその本拠地に乗り込んだ。その工程はあまりにもスムーズだった。
「て、敵襲!敵襲だ!!」
「叫ぶ前にさっさと銃を構えろや」
フォーメーションとしては銀時達、白兵戦を得てとした面々が乗り込み、浮いた所をアビドス廃校対策委員会が狩ると言う形式だ。その効果は覿面でカタカタヘルメット団は物の数分で壊滅した。
「ん、やっぱり私達も白兵戦を学んだ方が良いのかがよく分かった」
シロコの言葉にノノミやセリカはおろか、ホシノも俄然乗る気だ。
「私達も銀さんや神楽ちゃん程でないにしろ白兵戦の心得を持っておいた方が良いですね」
誰がやるかを話し合っているシロコ達を他所に銀時はカタカタヘルメット団の本拠地を調べていた。これは攘夷戦争による行動で奪った場所が拠点として使えるか、その対策として罠を張られていないかの確認をしていた。そして本拠地の中を調べ終えた上で銀時は目を細めた。
「やっぱり、可笑しな点しかないな……」
「坂田さん。どうかしましたか?」
カタカタヘルメット団の拠点を調べている銀時の行動に先生は疑問を投げかける。それに対して銀時は胡乱な目付きでいた。
「坂口よ、そこら辺にたむろしているチンピラ共がこんなに整った拠点を持てると思うか?」
銀時の発言に先生はある可能性が浮上してきた。
「まさか……裏にいる存在が手を貸していると?」
「裏の存在が誰かは知らないがそう考えて間違いないだろうな」
肯定である銀時の言葉に先生は生唾を飲んだ。