転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3702話

 格納庫の外に出てジーラインを動かす。

 俺が知っている連邦系のMSと比べると多少違うところはある。

 だが、それでも少し動かせばその違和感は消えていく。

 そうして慣れれば、後は問題ない。

 ……うん。マオには2時間後に模擬戦をやると言ったが、10分かそこらでもう終わってしまったな。

 

『それは……普通なら機種転換訓練とか、それなりに時間が掛かるのですが』

 

 メカニックが映像モニタで驚きと共に言う。

 実際、ジオン軍とかでも1年戦争中に機種転換訓練はかなり難儀したという話を聞いてるので、おかしな話でもないか。

 とはいえ、それはあくまでもジオン軍での話だが。

 ジオニック社、ツィマット社、MIP社……他にも幾つか小さい会社であったりがそれぞれ好き勝手にMSを作っていたので、操縦系統とかもそれぞれの会社によってそれなりに違ったらしいし。

 統合整備計画によってその辺が統一されてからは、それこそ機種転換訓練もかなり短縮されたと聞いている。

 それに比べると、連邦系は陸戦型ガンダムが陸軍主導であったり、各種の軍でG4計画というのを進めていたりと微妙に系統が違うものの、それでも大雑把には一緒だ。

 そういう意味では、操縦に慣れるのはそう難しい話ではない。

 

「これでも色々な戦いに参加してきたからな。……取りあえず機体の操縦については問題ないから、武器を出してくれ。そっちを使った挙動も色々と試してみたい」

『分かりました。では一度倉庫に戻って下さい。武器の方はもう用意してありますので』

 

 その言葉に従い、倉庫に戻る。

 するとすぐメカニック達が動いて武器が用意されたのだが……

 

「このビームライフル、銃身が短いな?」

『はい。こちらは一撃の威力よりも速射性を重視した武器になっています』

 

 詳しく話を聞くと、マシンガン的な使い方が出来るらしい。

 ビームマシンガンよりも速射性は劣るが威力は高い。

 ビームライフルよりも速射性は勝るが威力は低い。

 どうやらそんな感じの武器らしい。

 使い勝手的にどうなんだ?

 いやまぁ、開発した者も使い勝手がいいと思ったから作ったんだろう。

 とはいえ今ある武器はこれである以上はこれを使うしかないのも事実。

 そもそもこのジーラインは別に俺が使う為に貰ったのではなく、コレクション的な意味で、そして連邦の最新鋭MSの技術を解析するという意味で貰ったものなのだから。

 実際にこれを使ってみて、それで使いやすかったらルナ・ジオン軍でも同じような武器を量産させればいい……とは思うんだが、ぶっちゃけビーム弾を使って牽制するのなら、ゲルググJの使っているようなビームマシンガンでいいと思うし、威力を重視するのなら普通のビームライフルでいいと思うんだが。

 模擬戦で使ってみて、それで判断すればいいか。

 そう考え、次の武器……というか、シールドに視線を向ける。

 シールドも普通の……ガンダムやジムが使っていたようなシールドではなく、先端部が尖っている。

 

「この尖っている部分は、打突用か?」

『はい。1年戦争中にシールドで敵を殴りつけるといった戦い方が多かったという話ですので』

「まぁ、そうだな」

 

 その件については俺もやった事がある為に、メカニックの言葉に納得出来た。

 先端部分が尖っているからといって、シールドとしての機能に何らかの不具合がある訳ではない。

 普通にシールドとしても使える以上、この形状に不満はない。

 いや、寧ろ現在使われている普通のシールドを全部こういうタイプにしてもいいのでは? とすら思う。

 実際にはコーウェンが言っていたように、現在の連邦軍には金がないので、そういう事は出来ないのだろうが。

 

「分かった。武器はこれだけだな」

 

 実際には他にも頭部バルカン砲やバックパックにあるビームサーベルがあるのだが、これは固定武器として既にあるので、わざわざ持ち替える必要とかはない。

 頭部バルカンの弾丸も模擬戦用のペイント弾になってるらしいし。

 ビームサーベルやビームライフルの威力とかも、模擬戦用になっているだろう。

 シールドだけはそのままだが。

 一応布とかで尖ってる部分を包んだりとか、そういう事はしなくてもいいのか?

 そうも思ったが、それで問題がないと判断したのなら、それでいいのだろう。

 ジーラインにビームライフル……メカニック曰くショートビームライフルとシールドを持たせ、倉庫から出る。

 そうしてショートビームライフルを構えたり、シールドで防ぐ体勢を取ってみたり、シールドで殴ってみたり、ビームサーベルを振るってみたりする。

 一時間くらいが経ったところで一度倉庫に戻り、コックピットから下りる。

 

「アクセル代表、どうでしたか?」

 

 やってきたメカニックがそう尋ねてきた。

 とはいえ、通信で大体話しているのもあって、そこに不安の色はない。

 

「問題ない。ただ、新型機だけに軽く動かしただけだが、それで何か影響が出てないかどうかを確認しておいてくれ。多分大丈夫だとは思うけど」

 

 俺がやったのは、機体をゆっくりと動かすという行為だ。

 戦闘の時のように最大限に機体を動かした訳ではない。

 ましてや機体がこっちの反応速度に追随出来ないような動きをしたりとか、そういうのはしていない。

 なので関節が消耗したり、機体追従性の問題でコンピュータにエラーが出たりとか、そういうのは心配しなくてもいいと思う。

 ただ、それでも新型機である以上、問題がないか簡単なチェックとメンテくらいはしておいて欲しい。

 実際にはここに運ばれる前、機体が完成した時にその辺はしっかり前もって確認したりはしてるんだろうが。

 何しろこのMSは俺に……シャドウミラーを率いる人物に譲渡する為のMSだ。

 それに何らかの不具合があった場合、連邦軍的に色々と不味いだろうし。

 

「アクセル代表、連邦軍の新型MSはどうでしたか?」

 

 機体をメカニックに預け、特にやる事もなくなった俺にノリスが声を掛けてくる。

 ちなみにゴップとコーウェンの姿もそこにはあり、俺に視線に向けていた。

 ゴップとコーウェンは共にそれなりに地位のある人物だ。

 俺がジーラインを動かすのを見ていてるような時間はそうないだろうに。

 それだけ俺がジーラインという機体をどう思ったのか、気になっているのか。

 実際、ノリスの質問に俺がどう答えるのかと気になっている様子だし。

 

「そうだな。悪くない。……いや、かなりいい部類だと思うぞ」

 

 ジーラインを褒める言葉に、ゴップとコーウェンはそれぞれ安堵した様子を浮かべる。

 

「満足して貰えたようで何よりだよ。……もっとも、アクセル代表がそこまで褒めてくれたジーラインだが、量産をするという事はないだろうけどね」

「コストの問題か?」

「それが一番大きい。それに性能過多というのもある。……これが1年戦争中ならともかく、今となっては連邦軍の敵はジオン軍残党くらいだ。そうなると、わざわざここまで高性能のMSを開発しなくても、ジムを強化したくらいで問題はないという意見が多くてね」

「それでもエース級が乗るのにはこういうMSがあってもいいだろうに」

 

 1年戦争中のジムでエースが好んだ機体となると、ジム・コマンドやジム・ライトアーマー、ジム・スナイパーⅡってところか?

 どれもジムよりも高性能で、ジオン軍残党が使っているMSを相手にするのに十分だと言われれば、間違いなくその通りではある。その通りではあるんだが……けど、ジオン軍残党だってずっと1年戦争のMSを使い続けている訳でもないだろうに。

 例えば、このベルファストを襲撃して色々な物資を奪ったジオン軍残党。

 その物資がどういう物なのか具体的には分からないが、それで既存のMSを改修して性能を上げてもおかしくはない。

 そしてジオン軍と連邦軍との間にある決定的な差は、MSパイロットの技術だ。

 いやまぁ、1年戦争を通じて連邦軍もMSパイロットの操縦技術は平均して上がっているのだろうが、ジオン軍のパイロットも同じだけの戦いを繰り広げてきた訳で。

 アムロを始めとする、突出した技量を持つパイロットとかは別として。

 そういう、自分よりも技量の高い相手と戦う時に大きな意味を持つのは、物量もそうだが、MSの性能も大きい。

 その辺の状況を考えると、連邦軍としてはジーラインのような高性能MSをエースでも何でもない一般のMSパイロットが使えるような量産主力機とするのが最善だと思う。

 コストの問題で出来ないのだろうが。

 

「エース級が乗る分だけを作るとなると、専用の生産ラインを作る必要がある。そのコストを考えると……」

 

 最後まで言わず、首を振るゴップ。

 なるほど。補給とかを得意としているゴップにしてみれば、コスト的な問題でジーラインの量産は考えられないらしい。

 

「なら、なんでこのジーラインはある?」

「連邦軍として、MSの製造技術は高めておく必要があるというのが1点。それともう1つは、そもそも私が知らない場所で計画が進んでおり、気が付いた時には中止させる事が出来なかったというのがある」

「あー……それは……」

 

 連邦軍の中でゴップの影響力は強い。

 だが、それでも連邦軍の全てを完全に理解している訳でないのも事実。

 であれば、ゴップが知らない場所で進んでいる計画もあるだろう。

 実際、1年戦争の終盤で俺が確保したニュータイプ……というか、強化人間のクロエだったか。ペイルライダーも含めて、その辺の計画をしていたのもレビルの派閥の軍人だって話だったし。

 そう考えると……俺はゴップからコーウェンに視線を向ける。

 

「む? どうかしたのか?」

 

 ゴップと話していて急に自分に視線を向けられるとは思っていなかったらしく、不思議そうな様子でコーウェンがこちらに視線を向けてくる。

 

「コーウェンはレビルの派閥を引き継いだという話だが、その派閥の中に後ろ暗い事をしてる奴はいないよな? もしいた場合、それが強硬派に攻められる原因になってもおかしくはないぞ」

「何だ、急に? ……正確には分からんが、私の知ってる限りではそのような者はいないと思う」

「そう思っているだけではなくてか? 一応言っておくけど、そういう奴がいた場合にはこっちで何らかの手段に出るかもしれないぞ。特にニュータイプ関係は」

 

 ルナ・ジオンはUC世界最高のニュータイプであるセイラが治めている国だ。

 そうである以上、ニュータイプ研究をするのはいいが、そこにフラナガン機関のような非人道的な行為をしていた場合、恐らくセイラはそれに介入するだろう。

 勿論、その介入がどういう介入かは俺にも分からないが。

 俺達がフラナガン機関を襲撃した時のように、秘密裏に襲撃するか。もしくはニュータイプが治める国として大々的に動くのか。

 もっとも前者……フラナガン機関の件であっても、襲撃をするまではそれなりに秘密裏な行動だったが、襲撃そのものはかなり大々的に行ったのだが。

 ともあれ、セイラもジオン・ズム・ダイクンの娘として、そしてジオン・ズム・ダイクンが出現を予言したニュータイプとして、ニュータイプ研究で非合法な行動をしている者達がいた場合、それを無視する訳にはいかない。

 もしそのような事をすれば、それこそセイラのカリスマ性に影響が出るだろう。

 勿論、現在のセイラのカリスマ性は非常に高い。

 ルナ・ジオンに所属する者達からの支持率は80%を超え、90%に届きそうだという。

 ただ、月の企業の上層部……特に横領とか脱税とかで後ろ暗いところのある者達にしてみれば、セイラの存在は非常に邪魔だろうが。

 とはいえ、本当に看過出来ない重罪を犯していた者達は既に量産型Wやコバッタによって逮捕されているので、支持率には影響がない。

 支持率に影響があるのは、そこまで重罪ではないが罪を犯していた者達……厳重注意や、謹慎、罰金といった結果になった者達だ。

 セイラとしてはそういう者達も全て厳重処分にしたかったのだろうが、そこまでやるとルナ・ジオンの運営が難しくなる。

 清濁併せ呑むといった感じで、重罪ではなかった者達はそのまま仕事をしているのだが……それでも罪を犯した者達という事で、量産型Wやコバッタからは要注意人物とされていたり、噂とかもある。

 そのように決して居心地がいい訳ではないし、何よりやりにくいと思っている者達にしてみればセイラを支持する筈もない。

 また、そういう者でなくても、単純にセイラが気にくわないという者も一定数いるだろう。

 そう考えれば、支持率が90%近い今の状況はセイラにとって悪くない。

 そんなセイラだけに、ニュータイプ研究で非道な事をしている場合は即座に動くと思って間違いない。

 そう説明すると、コーウェンは厳しい表情を浮かべて口を開く。

 

「少し、調べてみよう」

「そうしてくれ。レビル派の勢力が落ちるのは、強硬派にとって嬉しい事だ。それは同時にルナ・ジオンとしてはあまり好ましくない事だからな」

 

 そう言う俺に、コーウェンは頷くのだった。

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